スキル「共感覚」のおかげで最強の魔法使いになったので魔人を集めて魔王になることにしました 〜最恐魔王の手さぐり建国ライフ!〜

熊乃げん骨

文字の大きさ
63 / 143
第三章 開戦

第13話 いい奴

しおりを挟む
 幸いなことに俺には力があった。

 死ぬ気で頑張り、実際に死にかけながらも、俺は歩みを止めなかった。

 おかげで俺はなくしたモノをいくつか・・・・取り戻すことが出来た。

 しかし同時に思い知った、この世には取り返しのつかないモノが多すぎる事を。

 だから俺は二度と過ちを繰り返さない事を誓った。

 例え、恨まれ蔑まれようと。

 例え、馬鹿だと罵られようと。

 全て手に入れ全て守る。

 それが俺の決めた道だ。







 ◆







黄金星の筋肉マッスル・オブ・ウェヌス!!」

 ゴルディオは戦闘開始と同時に自身へ肉体強化魔法をかける。

 すると全身が金の膜で覆われたみたいな姿になる。正直キモい。

 だが体から放つ魔力はかなりのモノだ。星の力も使ってるところを見るにコレが奴の最強魔法なのだろう。
 様子見はナシってことか、殺す手間が省ける。

「だらああっ!!」

 黄金で出来たメリケンサックをつけたゴルディオの全体重を乗せた右ストレート。
 常人であればこの一撃で消し飛んでしまうだろう。

 しかし。


 ガッキィィッン!!


 金属と金属がぶつかり合う音が鳴り響く。

 俺はその一撃を、魔法を使うことなく片手で受け止め切って見せる。

「なに……!!」

 目を見開き驚愕するゴルディオ。
 
 当然だ。
 渾身の一撃をこんなに容易く止められるとは思わなかっただろうからな。

 俺が装備している手甲、名は『巨神族の籠手ガントレット・オブ・ヨトゥンヘイム』。
 装備者の筋力、物理攻撃力を爆発的に上げてくれる魔道具だ。

 平常時でも効果を発揮してくれるが、魔力を流すと更に強力になる。
 この通り星の力を込めた攻撃すら受け止めてくれるくらいにな。

「ぐっ!」

 拳を掴まれてる形になってるゴルディオは、必死に腕を引っこ抜こうとするがそんな甘くはいかせない。
 俺に喧嘩を売ったんだ。

 地獄を見てもらうぞ?

「吹っトびなっ!」

「ぶっ……!!」

 俺は空いている左手の拳でゴルディオの顔面を打ち抜く。

 超強化された俺の拳を真正面から受けたゴルディオは、綺麗な弧を描きながら数百m離れた岩壁に激突し、砂煙を上げる。

 ハハッ、馬鹿はよく飛ぶな。

「だが、こんなもんじゃ済まさねえからな?」

 今度は足に纏っている鎧に魔力を込める。

妖精族の脛当グリーブ・オブ・アルヘイム』、こっちは移動強化に特化した魔道具だ。

 速度強化はもちろん、空中移動など移動に関する動作ならほぼ全て強化してくれる優れものだ。

 俺は軽く地面を蹴ると、まるでワープでもしたかのような速度でゴルディオの元に移動する。

「しぶといな、もうタちあがっているとは
「ハハ、 いい拳撃ナイスパンチだったぜ。面白くなってきたよ」

 俺が到着すると既にゴルディオは拳を構え待ち構えていた。
 白い歯を見せ余裕といった表情だが俺の目はごまかせない。

 その足はわずかだが小刻みに震えている。
 ダメージは少なくないみたいだな。

「いくぜ! 黄金怒涛拳ゴールドラッシュ!!」

 だがそんな事お構いなしにと全力で向かってくるゴルディオ。

 黄金の拳を目にも止まらぬ速さで打ち込んでくる。

 まだ力の差を理解してないのか……
 まだ勝てるとでもおもっているのか……
 目障りダ……
 
 ………………

 …………

 ……


 もう、いイよな?

 いい加減この茶番ニモ飽き飽きダ。

 トットト



 殺ソウ



「死ね!! 憤怒ノ魔刃ラースエッジ!!」

 オレは右手より赤黒い小さな刃を射出する。

 刃はゴルディオの肩に当たると大きく火花を散らし、黄金の装甲を物ともせず引き裂いていく。

「が、があああああっっ!!!」

 流石に痛いのか悲鳴を上げる。いい気味だ。

 やがて奴の肩は「みしゃり」と金属を潰したような音を上げると、鮮血をまき散らしながら右手と胴体は完全に分かつ。

「―――――――――ッ!!」

 苦悶に顔をゆがませるゴルディオ。
 いい、イイ表情《かお》だ!!

「まだまだ俺の怒りはこんなモンじゃねえゾ!!」



 殴る、殴る。


 その度奴の体が凹みきしんでいく。


 蹴る、蹴る。


 その度奴は吹っ飛び血反吐を吐く。


 次は、次ハ、ツギハ……


「はは、随分楽しそうじゃないか」
「!?」

 ボロボロになりながらも立ち上がるゴルディオ。
 しぶとい奴だ。

「ナゼ立つ? 正気とは思えナイな」

「俺様は強欲でね、勝利も金も欲しいものは諦められない性質《タチ》なのさ」

 ムカつく笑顔浮かべそう言うゴルディオ。
 何が言いたいンだ。理解出来ナい。

「それより1つ聞かせてくれよ魔王様。お前は一体なぜそこまで・・・・・・怒っているんだい?」

「……そんナのどうでもいイだろ。ムカついタから殺す、そレだけだ」

 ……いや、よくない。
 確かにゴルディオには仲間を傷つけられたが大した傷ではない。
 挑発をされたが我慢できる範囲だ。
 なぜ俺はここまで殺したいほど憎いんだ?

 俺はこの時、初めて体が、感情が得体のしれないモノに操られてることに気づいた。
 自分の鈍さが嫌になる。

「敵を殺すのに理由なんざいらねエ!!」

 そんなワケあるか。
 そんなんじゃ俺は部下や民に顔向けできない。

「邪魔する奴は殺す。正義も悪も関係ねエ」

 そんなのただの暴君だ。
 そんなもんになりたいワケがない。


「そうか……残念だよ。お前はもっといい奴かと思ってたんだがな」


 いい奴……?


 どこかで、どこかで聞いた事のある台詞だ。




 どこでだ……




 どこで……





 そう、確か……







『あんたが『共感覚シナスタジア』に目覚めたのもそう。人の痛みが分かるいい奴だからきっとその力に目覚めたのよ』


 ……そうだ。

 あの人が、俺の最大の恩人であるあの人が言ってくれたんだ。

 何で忘れていたんだろう。

 あの時決めたんじゃないか。

 あの人に認めてもらえるような、褒めてもらえるに値する奴になると。


「グ、グググ……頭ガ……」


 それなのになんだこのザマは。

 一時の怒りに身を委ねて体の自由が利かなくなってるじゃないか。

『共感覚《シナスタジア》』の副作用だろうか?

 それとも二重人格にでもなったか?

 いや、今はそんな事どうだっていい。

 おい、返してもらうぜ。その体は俺のものだ。

 勝手な事すんじゃねえ。


「ぐ、グガガっ……」


 そんなことして……





「あの人に嫌われたらどう責任とるってんだ!!!!」




 急激に意識が浮上する感覚。

 俺は体の自由が戻ったのを確認すると急いで胸に燻る怒りを心の奥底に押し込む。
 いったい何だったのだろうか。
 しかし、今は確認する術はない。目の前の事に集中せねば。


「なんだかよく分からんが……さっきより良い顔つきナイスフェイスになったじゃないか。」

「みっともない所をみせたな。しかしおかげで大事なことを思い出せたよ」

 俺は皆に恐れられる最恐の魔王を常に意識し続けていた。
 だから俺の中にいるナニかに段々乗っ取られてしまったんだろう。

 残忍で無慈悲なだけが俺の目指す最恐の魔王じゃないはずだ。

 残忍さも優しさも無慈悲さも慈愛の心もすべて併せ持つ。
 そんな恐ろしくも優しい。それが俺の目指す魔王像だ。

 だから……


「特大回復《エクステンドヒール》」
「なに!?」

 俺はボロボロのゴルディオをありったけの魔力を使い回復してやる。

「どういう風の吹き回しだ?」
「なに、正気に戻してくれた礼だ。それに……」


『二回戦をやるのにそんなボロボロじゃ格好つかないだろ?』


「…………いいね。いいよ! 実にイイ!! 撤回するよ、君はいい奴グッドガイだ!!」
  

 俺とゴルディオは再び構え、向き合う。

 そして示し合わせることなく名乗りを上げる。
 名乗りはロマン。分かってるじゃないか。


「ゴルディオカンパニー社長にして十天星が一人、金星のゴルディオ」
「魔王国ゾロ・アスト頭首クリーク・O《オーネ》・ジーク」

『参る!!』


 その日、俺たちは子供みたいに気が済むまで殴りあった――
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった

ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。 学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。 だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。 暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。 よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!? ……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい! そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。 赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。 「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」 そう、他人事のように見送った俺だったが……。 直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。 「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」 ――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』 見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装… 俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。 突然の事で戸惑うクラスメート達… だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。 「またか…」 王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。 そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。 そして俺はというと…? 『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』 「それよりも不知火君は何を得たんだ?」 イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。 俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。 その場にいた者達は、俺の加護を見ると… 「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。 『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』 王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。 まぁ、その方が気楽で良い。 そして正義は、リーダーとして皆に言った。 「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」 正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。 「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」 「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」 「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」 「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」 「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」 「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」 「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」 俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。 「その…鎧と剣は?」 「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」 「今迄って…今回が2回目では無いのか?」 「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」 俺はうんざりしながら答えた。 そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。 いずれの世界も救って来た。 そして今度の世界は…? 6月22日 HOTランキングで6位になりました! 6月23日 HOTランキングで4位になりました! 昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°. 6月24日 HOTランキングで2位になりました! 皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

処理中です...