スキル「共感覚」のおかげで最強の魔法使いになったので魔人を集めて魔王になることにしました 〜最恐魔王の手さぐり建国ライフ!〜

熊乃げん骨

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第四章 聖痕を継ぐ者 ーother JUSTICEー

第6話 正義

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「皆殺し……だって!?」

 ふざけるなよ、そんなこと許されるわけがない!
 いったいこいつは何を考えているんだ!?

「女子供もいるんだぞ……!」

「ふふ、なら君達は私の国の女子供は見逃してくれるのかな?」

「!? それは……」

 そんな事にはならないだろう。
 邪教徒は殲滅するのが決まりだ。
 僕たちが勝利すれば魔王国の人間は一人残らず処刑されることだろう。

 だけど、人と邪教徒では命の重さが違う。

 僕たちは間違ってない……はずだ。

「答えられない……か」

 自問自答していると魔王はガッカリといった感じにため息をつく。

「結局この世に正義《ただしいこと》など一つもないのだよ。正義とは人は自らの行いを正当化させるための言葉に過ぎない」

「ふ、ふざけるな! こんなに人を殺しておいて正義を語るな!」

 怒りと共に体が熱くなっていくのを感じる。
 僕の聖痕《スティグマ》が愚弄されて怒っているのだ。

 そんなに正義を語りたいなら……僕の正義を見せてやる!

「目覚めよ! 正義の騎士ジャスティスナイト!!」

 僕の呼びかけに答えた聖痕《スティグマ》は眩い光を放ち僕を包み込む。

 やがて光が収まると僕の体は10m程の巨大な甲冑姿になっていた。
 これなら……これなら勝てる!

「行くぞ魔王!! 正義を執行する!!」

 僕は右手に握りしめた白銀の大剣を天高くかかげると悪の親玉へと振り下ろした――――







 ◇





 ああ、なんて憂鬱なのだろう。

 この作戦が決まってから俺の心は沈みっぱなしだ。

 ある日問題の町の存在を知ってからというものの、その町の情報を集め『母なる頭脳マザー』に入力して平和的に衝突を回避できないかシュミレーションしてみたが、これがものの見事に全て失敗に終わった。

 そして戦闘になった場合……一人でも生き残りがいればやがて魔王国にとって大きな障害になるという結果が出た。
 彼らも広い目で見れば魔人だ。出来ることなら救ってやりたい。

 しかしその思想は長い年月をかけて捻じ曲がっており、もはや矯正が効くものではなくなっていた。

 共存が出来ないなら……滅ぼすしかない。

 彼らは放っておけばどんどん力をつけやがて魔王国の脅威となりうるだろう。

 ならば俺は悪になろう。

 自ら手を汚し、血で血を洗おうじゃないか。


 それが、俺なりの『正義』だから。







 ◇





「聖痕《スティグマ》……やはり早めに潰しておいて正解だったな」

 俺は白銀の鎧の下敷きになっている名も知らぬ青年の死体に向かってそう呟く。
 力を得たばかりだというのに中々の強敵だった。こんなのが何人も攻め込んできたらかなりの被害が出ていただろう。

 まあ真っ向から戦えば俺の敵ではないが。

「魔王!! その首もらい受ける!!」

 そんなことを考えていると後ろから二人組の男に声をかけられる。
 わざわざ教えてくれるとは律儀な奴だ。

「この魔力のつよさ……『神秘の聖痕《アルカナ》』とやらか」

「その通り! いかに貴様と言えど我々二人がかりには叶うまい!」

 まあそんなことは無いが……
 血を見るのにもうんざりしていたところだ。
 後は任せるか。

「死ねいっ!! 『重戦車装甲《ヘビーチャリオット》』!!」

「くらえっ!! 『超越せし力スーパーストレングス!!」

 二人が声を上げると片方の男には鈍色の装甲が装着される。両腕は砲塔になっており、正に
 人間戦車といった感じだ。

 もう一人は純粋にムキムキになっている。キモい。

「ここは任せたぞ。ライデン、フーゴ」

『承知!!』

 俺の呼びかけに呼応し二人の人物が上空より現れ聖痕《スティグマ》使いを止める。


「ガハハハッ!! ここは俺に任せなジーク兄《にぃ》!!」

 戦車男を止めたのはライデンという巨漢の男だ。
 岩のようにごつく硬い筋肉は浅黒く焼けており立ってるだけで他者を威圧する。
 恐ろしい事に魔法を使わず腕力だけで戦車男を受け止めている。腕力だけで言えば間違いなく魔王国トップクラスだろう。

「ふふっ、美しく任されたよ我が王よ」

 ムキムキ男をレイピアで受け止めたのは、ライデンとは対照的にスラっとしたモデル体型の男だ。
 こいつはフーゴ。
 キザで面倒くさい奴だがその実力は確かだ。

 二人とも俺の専属使用人であり、今回の反吐が出る作戦に強力を申し出てくれた奴らだ。

 ちなみに今回の作戦は極秘なので少数精鋭で来ている。
 全員合わせても十数名しかいない。
 みんなよく働いてくれているぜ。

「ぐっ……こいつ調子に乗るなよ!!」

 戦車男は腕を掴まれながらもその腕の先についている砲塔をライデンに向ける。

「お?」

「くらえ!!」

 砲塔が火を噴き魔力で出来た砲弾がライデンの顔面に命中する。
 辺りにはズガン!! と鈍い音が響き渡り砲撃の威力の高さが伺い知れる。

 しかし……

「へへ、中々いい攻撃だったぜ」

「ば、馬鹿な……!」

 ライデンの顔は少しススがついているくらいえ擦り傷一つついていなかった。
 いやホントアイツの体はどうなっているんだ……

「じゃあ次はこっちの番だな」

「ひぃっ!!」

 可哀想な事に戦車男は自信を失ったのかすっかり戦意を失っている。
 しかしライデンはそんな事お構いなしに右手を握りしめ魔力を溜めていく……。

「オラア!! 雷撃針槌拳《ニードルハンマー》!!」

 針の如く鋭い雷撃を纏ったライデンの拳が、戦車男の腹部に音を立てて突き刺さる。
 鍛え抜かれた拳はぶ厚い装甲をものともせず突き破り、必殺の電撃をその身に叩きこむ。

 その一撃は男に声を上げる余裕すら与えず命を刈り取る。
 せめて苦しまずに逝ってくれ……

「何だもう終わっちまったのか。悪く思わないでくれよ」

 どうやら暴れたりなかったみたいだ。
 今度模擬戦闘でも付き合ってやるか。部下の面倒を見るのも大変だぜ。


「フフ、ようやく終わりましたか」

「んあ?」

 突如投げかけられたフーゴの言葉に俺とライデンが振り向く。

 するとそこには既に息絶えた大男の上に優雅に腰掛けているフーゴがいた。

「遅すぎて眠りそうでしたよライデン。君はもう少しスマートになった方がいい」

「チッ! てめえが早すぎんだよ、もやしヤローが」

「なんだと筋肉ゴリラ!!」


 いつものように下らない事で言い争う二人。
 こんな正反対の二人だが意外と普段は仲が良く一緒に飯を食うことも多いらしい。羨ましい。

「二人ともご苦労。計画も最終段階に入る、町の外に出るぞ」

『了解!!』

 俺はこの下らない戦いに終止符を打つため、外に外に出るのだった。
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