98 / 143
第五章 氷獄に吠ゆ
閑話2 J
しおりを挟む
「――――お疲れ様です。ボス」
閣下との問答を終え外に出てきた魔王に一人の男が話しかける。
その男は身の丈が2mはある上に、腕や足や腹がパンパンに膨れ上がっている巨漢の持ち主だった。スキンヘッドの頭に派手なサングラスをかけタバコをふかすその姿は、誰でもたじろんでしまう威圧感を持っている。
「待たせたなジャック。全く、アイツの尻拭いをなんで俺がしなくてはいけないんだ」
「まあまあいいじゃないですか、他ならぬ自分の半身がやったことなんですから」
「俺だったらこんな中途半端なマネはしなかった。アイツは甘いんだよ」
口元を歪め苛だたしげにする魔王。
余程今回の件に腹立っているのだろう。
「でもいいんですかボス? 人間の蘇生なんて出来もしない事約束して」
そう、人間の蘇生は不可能なのだ。
いくら神性を有する魔王でも出来るのは重傷者の回復まで。魔法の力を持ってしても死んだ者は二度とこの世に戻ることは出来ないのだ。
「なに、本当に蘇らせる必要はない」
「ん? どういう事ですか?」
「簡単な事だ、生き返ったように見せればいいだけ。魔法も使えない奴らにそれを見破る事など出来ないだろう」
「ボス……あんたって人は……最高にクールだな!!」
魔王の恐るべき計画にジャックは鼻息を荒げ興奮する。
「そうだろ? ついこの間死体から記憶を抜き取る技術を確立したんだ。それを生体ゴーレムに埋め込めばもう人間と区別つかないだろう。更にいざとなればこちらの思うがままにコントロールする事が出来る、つまり……」
「ロシアはもう掌握したも同然、って事ですね? ほんとおっかねえ事思いつきますね」
恐ろしい会話内容とは裏腹に、和やかに会話する二人。
しかしそんな二人を邪魔するかのように乱入者が現れる。
「お前ら! そこで何をしている!」
現れたのは軍服に身を包んだ二人のロシア兵だった。
魔獣から町を守るため町の外を巡回していた二人は偶然にも魔王とジャックを発見してしまい、明らかに不審な格好をしている両名に声をかけたのだった。
「あちゃあ、とっとと帰れば良かったですね。どうしますかボス?」
「俺は疲れた、お前に任す」
「ほいほい了解しやした」
魔王に任されたジャックはたるんだお腹をポンポン叩きながらめんどくさそうにロシア兵に向き直る。
「と、止まれ! 貴様らここで何している!?」
震える声のロシア兵の手には小型の銃が握られている。
もちろんそれはただの銃ではなく魔兵器だ。量産品のソレに特殊な効果などは存在しないが、威力は通常の銃よりはるかに高く人間など簡単に木っ端みじんに出来る程だ。
「へへへ、大したことはしてねえよ。ちょっとこの国をハメてやろうと思ってただけさ」
「――――!! キサマ!!」
ヘラヘラとした態度で祖国を馬鹿にするジャックに対し、兵士の怒りは一瞬で頂点に達し握りしめた銃に力を込めて引き金を強く引く。
射出された弾丸は寸分たがわずジャックの眉間目がけ打ち出され見事命中。着弾と同時に中規模の爆発を引き起こし辺りに煙をまき散らす。
「はぁ……はぁ……」
「おい落ち着け! 気持ちは分かるがこいつらは生かして捉えるべきだ!」
「あ、ああ。済まない。もう一人はそうしよう」
「おいおい、人を勝手に殺すんじゃねえよ」
「「!!」」
煙の中から現れたのは倒したはずの男、ジャックだ。
足取り軽くスキップで出てきた彼の眉間には傷一つなく、ピンピンしている。
「くっ! こいつ魔法を使えるのか!」
「作戦変更だ! こいつあ確実にヤバい、確実にここで殺すべきだ!」
ジャックの異常性を察知した二人は銃を構えジャック目がけ乱射する。
『ズダダダダダダ!』と物凄い爆発の嵐がジャックを襲うが、ジャックはまるで意に介さず口笛を吹きながら一歩、また一歩と前に進む。
「こ、こいつ一体なんの魔法を使ってるんだ!?」
そんなジャックの様子に兵士は困惑する。
彼らが放っている弾丸はほとんどが爆発するタイプの弾丸だが、その中に特殊な弾丸を織り交ぜて放っている。
それは魔法の波長を狂わす弾、「反魔法弾丸《アンチマジックバレット》」だ。
まだ試作段階のこの魔兵器だが、ロシア軍の技術の粋《すい》が注ぎ込まれておりその効果は強力だ。
しかし、ジャックには何の効果も無かった。
打ち込まれた弾丸はジャックの柔らかい脂肪を裂くことが出来ず、はじかれる。兵士はまるで悪夢でも見ているかのようだった。
「さて、さみいしさっさと終わらせっか」
そう呟いたジャックはその風体からは想像もつかない速度で距離を詰める。
「なっ……!」
時間にして一秒も満たぬ間に、10mはあった両者の距離はゼロになる。
突然の出来事に兵士は口を開け反応が遅れる。ジャックはその僅かなスキをつき、むんずと兵士の頭頂部をわしづかみにする。
「ほなさいなら」
まるで親しい友達に別れの挨拶をするかのように話しかけ、ジャックはその手を垂直に地面へ振り下ろした。
ぱきょり。
何とも可愛らしい音がした後、地面に残ったのは赤黒いシミとかつて人間だったモノ。まるで巨大なプレスに潰されたかの如き衝撃をモロにうけた兵士は、家族が見ても判別がつかない状態になっていた。
「――――――っ!!??」
ここに来てもう一人の兵士は理解する。
目の前の人物がとても自分の手に負えるものではないことに。
そう気づいた兵士の行動は早かった。即座に撤退。わき目も降らず仲間の元へ駆け出した。
確かにそれはこの場における最善の策だった。なぜならそのおかげで彼の寿命は3秒は伸びたのだから。
「ほいっと」
兵士が逃げ出したことに気づいたジャックは、その手に握っていた元兵士の頭骨をアンダースローで投擲する。
不格好なフォームで投げられたにも関わらず、ソレはまるで銃弾の如き速度で飛んでいき……逃げる兵士の頭に命中し両者の頭は砕け散る。
「おっし当たった」
そうガッツポーズをとるジャックの顔には人を殺めたことに対する嫌悪感はもちろん嬉しさもない。
されほどまでに殺人《それ》はジャックにとって日常的な行為であり、特別な行動ではないのだ。
「ご苦労」
「ところで死体《これ》どうします? 片付けないと面倒くさいですかね?」
「捨て置いとけ。どうせ魔獣が処理してくれよう」
「確かに! ボスは頭がいいですね!」
体を血でべっとり汚しながらもジャックは己のボスを立てるのを怠らない。
見た目に合わず彼はマメな男なのだ。
「そういやボス。さっき連絡があったんですがキングとクイーンの奴らも城に着いたらしいっすよ」
「そうか……計画は順調なようだな」
「へい! ボスの理想の世界のため、このジャック粉骨砕身で頑張らせていただきやす!」
「ふふ、期待しているぞ」
こうして高らかに笑う二人組は吹雪の中に消えていったのだった…………
閣下との問答を終え外に出てきた魔王に一人の男が話しかける。
その男は身の丈が2mはある上に、腕や足や腹がパンパンに膨れ上がっている巨漢の持ち主だった。スキンヘッドの頭に派手なサングラスをかけタバコをふかすその姿は、誰でもたじろんでしまう威圧感を持っている。
「待たせたなジャック。全く、アイツの尻拭いをなんで俺がしなくてはいけないんだ」
「まあまあいいじゃないですか、他ならぬ自分の半身がやったことなんですから」
「俺だったらこんな中途半端なマネはしなかった。アイツは甘いんだよ」
口元を歪め苛だたしげにする魔王。
余程今回の件に腹立っているのだろう。
「でもいいんですかボス? 人間の蘇生なんて出来もしない事約束して」
そう、人間の蘇生は不可能なのだ。
いくら神性を有する魔王でも出来るのは重傷者の回復まで。魔法の力を持ってしても死んだ者は二度とこの世に戻ることは出来ないのだ。
「なに、本当に蘇らせる必要はない」
「ん? どういう事ですか?」
「簡単な事だ、生き返ったように見せればいいだけ。魔法も使えない奴らにそれを見破る事など出来ないだろう」
「ボス……あんたって人は……最高にクールだな!!」
魔王の恐るべき計画にジャックは鼻息を荒げ興奮する。
「そうだろ? ついこの間死体から記憶を抜き取る技術を確立したんだ。それを生体ゴーレムに埋め込めばもう人間と区別つかないだろう。更にいざとなればこちらの思うがままにコントロールする事が出来る、つまり……」
「ロシアはもう掌握したも同然、って事ですね? ほんとおっかねえ事思いつきますね」
恐ろしい会話内容とは裏腹に、和やかに会話する二人。
しかしそんな二人を邪魔するかのように乱入者が現れる。
「お前ら! そこで何をしている!」
現れたのは軍服に身を包んだ二人のロシア兵だった。
魔獣から町を守るため町の外を巡回していた二人は偶然にも魔王とジャックを発見してしまい、明らかに不審な格好をしている両名に声をかけたのだった。
「あちゃあ、とっとと帰れば良かったですね。どうしますかボス?」
「俺は疲れた、お前に任す」
「ほいほい了解しやした」
魔王に任されたジャックはたるんだお腹をポンポン叩きながらめんどくさそうにロシア兵に向き直る。
「と、止まれ! 貴様らここで何している!?」
震える声のロシア兵の手には小型の銃が握られている。
もちろんそれはただの銃ではなく魔兵器だ。量産品のソレに特殊な効果などは存在しないが、威力は通常の銃よりはるかに高く人間など簡単に木っ端みじんに出来る程だ。
「へへへ、大したことはしてねえよ。ちょっとこの国をハメてやろうと思ってただけさ」
「――――!! キサマ!!」
ヘラヘラとした態度で祖国を馬鹿にするジャックに対し、兵士の怒りは一瞬で頂点に達し握りしめた銃に力を込めて引き金を強く引く。
射出された弾丸は寸分たがわずジャックの眉間目がけ打ち出され見事命中。着弾と同時に中規模の爆発を引き起こし辺りに煙をまき散らす。
「はぁ……はぁ……」
「おい落ち着け! 気持ちは分かるがこいつらは生かして捉えるべきだ!」
「あ、ああ。済まない。もう一人はそうしよう」
「おいおい、人を勝手に殺すんじゃねえよ」
「「!!」」
煙の中から現れたのは倒したはずの男、ジャックだ。
足取り軽くスキップで出てきた彼の眉間には傷一つなく、ピンピンしている。
「くっ! こいつ魔法を使えるのか!」
「作戦変更だ! こいつあ確実にヤバい、確実にここで殺すべきだ!」
ジャックの異常性を察知した二人は銃を構えジャック目がけ乱射する。
『ズダダダダダダ!』と物凄い爆発の嵐がジャックを襲うが、ジャックはまるで意に介さず口笛を吹きながら一歩、また一歩と前に進む。
「こ、こいつ一体なんの魔法を使ってるんだ!?」
そんなジャックの様子に兵士は困惑する。
彼らが放っている弾丸はほとんどが爆発するタイプの弾丸だが、その中に特殊な弾丸を織り交ぜて放っている。
それは魔法の波長を狂わす弾、「反魔法弾丸《アンチマジックバレット》」だ。
まだ試作段階のこの魔兵器だが、ロシア軍の技術の粋《すい》が注ぎ込まれておりその効果は強力だ。
しかし、ジャックには何の効果も無かった。
打ち込まれた弾丸はジャックの柔らかい脂肪を裂くことが出来ず、はじかれる。兵士はまるで悪夢でも見ているかのようだった。
「さて、さみいしさっさと終わらせっか」
そう呟いたジャックはその風体からは想像もつかない速度で距離を詰める。
「なっ……!」
時間にして一秒も満たぬ間に、10mはあった両者の距離はゼロになる。
突然の出来事に兵士は口を開け反応が遅れる。ジャックはその僅かなスキをつき、むんずと兵士の頭頂部をわしづかみにする。
「ほなさいなら」
まるで親しい友達に別れの挨拶をするかのように話しかけ、ジャックはその手を垂直に地面へ振り下ろした。
ぱきょり。
何とも可愛らしい音がした後、地面に残ったのは赤黒いシミとかつて人間だったモノ。まるで巨大なプレスに潰されたかの如き衝撃をモロにうけた兵士は、家族が見ても判別がつかない状態になっていた。
「――――――っ!!??」
ここに来てもう一人の兵士は理解する。
目の前の人物がとても自分の手に負えるものではないことに。
そう気づいた兵士の行動は早かった。即座に撤退。わき目も降らず仲間の元へ駆け出した。
確かにそれはこの場における最善の策だった。なぜならそのおかげで彼の寿命は3秒は伸びたのだから。
「ほいっと」
兵士が逃げ出したことに気づいたジャックは、その手に握っていた元兵士の頭骨をアンダースローで投擲する。
不格好なフォームで投げられたにも関わらず、ソレはまるで銃弾の如き速度で飛んでいき……逃げる兵士の頭に命中し両者の頭は砕け散る。
「おっし当たった」
そうガッツポーズをとるジャックの顔には人を殺めたことに対する嫌悪感はもちろん嬉しさもない。
されほどまでに殺人《それ》はジャックにとって日常的な行為であり、特別な行動ではないのだ。
「ご苦労」
「ところで死体《これ》どうします? 片付けないと面倒くさいですかね?」
「捨て置いとけ。どうせ魔獣が処理してくれよう」
「確かに! ボスは頭がいいですね!」
体を血でべっとり汚しながらもジャックは己のボスを立てるのを怠らない。
見た目に合わず彼はマメな男なのだ。
「そういやボス。さっき連絡があったんですがキングとクイーンの奴らも城に着いたらしいっすよ」
「そうか……計画は順調なようだな」
「へい! ボスの理想の世界のため、このジャック粉骨砕身で頑張らせていただきやす!」
「ふふ、期待しているぞ」
こうして高らかに笑う二人組は吹雪の中に消えていったのだった…………
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中
巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった
ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。
学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。
だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。
暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。
よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!?
……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい!
そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。
赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。
「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」
そう、他人事のように見送った俺だったが……。
直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。
「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」
――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました
まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。
その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。
理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。
……笑えない。
人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。
だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!?
気づけば――
記憶喪失の魔王の娘
迫害された獣人一家
古代魔法を使うエルフの美少女
天然ドジな女神
理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ
などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕!
ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに……
魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。
「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」
これは、追放された“地味なおっさん”が、
異種族たちとスローライフしながら、
世界を救ってしまう(予定)のお話である。
異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』
見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装…
俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。
突然の事で戸惑うクラスメート達…
だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。
「またか…」
王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。
そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。
そして俺はというと…?
『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』
「それよりも不知火君は何を得たんだ?」
イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。
俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。
その場にいた者達は、俺の加護を見ると…
「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。
『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』
王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。
まぁ、その方が気楽で良い。
そして正義は、リーダーとして皆に言った。
「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」
正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。
「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」
「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」
「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」
「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」
「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」
「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」
「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」
俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。
「その…鎧と剣は?」
「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」
「今迄って…今回が2回目では無いのか?」
「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」
俺はうんざりしながら答えた。
そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。
いずれの世界も救って来た。
そして今度の世界は…?
6月22日
HOTランキングで6位になりました!
6月23日
HOTランキングで4位になりました!
昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°.
6月24日
HOTランキングで2位になりました!
皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる