スキル「共感覚」のおかげで最強の魔法使いになったので魔人を集めて魔王になることにしました 〜最恐魔王の手さぐり建国ライフ!〜

熊乃げん骨

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第六章 戦乱の京

第6話 妹

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「……うん、美味い」

「ふふ、せやろ♪」

高級料理の様な繊細さはないが、野性味あふれる味ながらも食べやすく調理されており力がみなぎるような料理だ。

「……うむ、染みる」

どうやら虎鉄も気に入ったようだ。
よかったよかった。

「そういえば虎鉄はなんで魔王国に来たんや? 陰陽京にいたならそこにとどまってもよかったんやないの?」

飯を食っていると不意にハコが虎鉄に疑問を投げかける。
そういえばそれは聞いた事が無かった。虎鉄はあまり自分の事を話すタイプじゃないからな。

その虎鉄はと言うと、答えあぐねているのか困った顔になっていた。ただでさえ深いしわが更に深くなりしわくちゃだ、助け舟を出した方がよさそうだな。

「おい、別に無理に答えなくてもいいんだぞ? お前もあんまりデリカシーのない事言うんじゃない!」

そう言って隣に座るハコの尻尾を引っぱたく。
そんなに強く叩いてないはずだが、ハコは「ひぃん!」と声をあげ赤面する。尻尾は敏感だったのか? 悪い事をした。

「……いや。いい機会だ、話しておくとしよう」

「いいのか?」

「うむ、これから京に赴くのに知らないことがあってはならぬ。それに、拙者も知って欲しいのだ。拙者自身の事を、な」

魔王国に来たときはとげとげしかった虎鉄だが、今はだいぶ柔らかい表情を見せるようになった。
その一因に俺も関わっているなら嬉しい限りだ。

「拙者はが京を離れた理由、それは家族を探すためなのだ」

「家族?」

「うむ。魔力大規模感染《マジカル・パンデミック》後、我が家族はその対応にあたり奮闘空しくその全てが命を失ったのだ」

元から魔力濃度の高かった京都には大量の魔獣が湧いたと聞く。
いかに強力な力を持った陰陽師と言えど対応しきるのは困難だっただろう。

「しかしただ一人、拙者の妹だけは京を離れていたのだ」

「という事は……」

「うむ。拙者は今や唯一の肉親である妹を探しに京を離れたのだ」

「なるほど……」

まさか虎鉄がそんな事情を抱えているとは思いもしなかった。
しかし、現実問題今の状況でその妹さんを見つけるのはかなり厳しいだろう。

元日本のここに存在する大きな人の住む都市は「魔王国」と「陰陽京」のみ。
陰陽京から抜け出し魔王国にもいないとなると見つけるのは困難だろう。いや、そもそもこんな過酷な環境で生きている可能性の方が低いだろう。
そんな状況で虎鉄を連れ出したりしていいのだろうか?

「そんなら一刻も早く妹さんを探しに行って方がいいんとちゃうか?」

そんな俺の気持ちをハコが代弁してくれる。
いい子だ、後でモフモフしてやろう。

「それには及ばぬ。魔王国に来た日よりマーレ殿に頼んで捜索してもらっている。拙者が一人でやみくもに探すよりも数倍よかろう。それに空いた時間も自ら探しておる」

「そうだったのか……」

マーレめ、俺に秘密でそんなことをやっていたのか。水臭い奴だ。
この件に片がついたら人探しの魔道具でも作るとしよう。俺が最初に見つけてやるぜ。

「妹さん、見つかるといいな」

「はい、ありがとうございます」

そう答える虎鉄の表情は柔らかく、そしてどこか寂しげだった。
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