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第六章 戦乱の京
第10話 芭蘭
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すらすらと意味の分からない事を言いやがる。
どうやら想定していたよりもやべえ奴に出会ってしまったらしい。
虎鉄とハコもそれを感じ取ったのか臨戦態勢に入り、芭蘭を囲むようにジリジリと移動している。
「いやあ今日はめでたい日だ! ようやく私のことを見つけ出してくれる者が現れた! 陰陽師共ではなく君たちに目をつけとくべきだった!!」
「何言ってんだお前。陰陽師共はお前を追ってるんだろ?」
ならば俺たちより先に会っているはずだ。
「ふふ、彼らは私の事を不思議な力を持つ魔人くらいにしか思っていない。しかし君は違う、そうだろジーク君?」
「……!!」
その言葉を聞いた瞬間、俺の全身を寒気が走り抜ける。
今の俺の体に魔王を感じさせるものは一切ない筈。それなのになぜ!?
「君は既にこの世界を変質させた者の存在に気づき始めている。その上で私の元まで辿り着いた。これは凄い事だよ」
……どうやら俺の正体どころか何を研究しているかまで把握されているみたいだ。
俺はいつしか自分が全てを上手くやっているつもりになっていたらしい。
俺の、俺たちの想像を超える化け物はいたのだ。
「そんなに怯えないで欲しい。私は君たちを害すつもりは全く無い。むしろ応援したいくらいなんだ」
「そんな言葉を信じられると思うか?」
俺の言葉に芭蘭はやれやれといった感じで肩をすくめる。
「君達じゃ無駄だと思うけど……そんなにやりたいならかかっておいでよ」
芭蘭は面倒くさそうにかかってこいと言わんばかりに指をくいくい曲げる。
完全に舐め腐ってやがる。
「虎鉄!!」
「御意」
俺の呼びかけに一瞬で応じた虎鉄が腰に掛けた刀に手をかけ一瞬で距離を詰める。
虎鉄の居合術の速さは魔王国の中でも最高クラス。この距離で放たれれば何が起きたかも理解できないだろう。
当たれば即死は免れないだろうがまあいい。
死んでからでも情報を引き出す方法はいくらでもある。
最も悪手なのはここで様子見をしてこちらに死人が出ること。
それだけは避けなければならない。
「――――切り捨て御免ッ!」
まるで吸い寄せられるかの如く芭蘭の首筋へ振り抜かれた刀は寸分狂わず首に命中し……切り払われた。
宙へ舞い上がった首はくるくると回りながら芭蘭の足元へ落下する。
「……ふう」
ひとまず安心だ。
まだわからないことだらけだが当面の危機は去ったと言えよう。
これから忙しくなるぞ。
さて死体を回収するか。
「何かおかしい」
刀を抜き放った状態の虎鉄がつぶやく。
「確かにいくら何でも弱すぎるな」
「そうではござらん。斬った感触があまりに異質《・・》でした。硬さこそ人体に近いですがもっと無機質な感じでした」
芭蘭だったものをよく観察する。
首のないその体を、この体に搭載された解析装置で解析してみるが人体で間違いないとの結果が出る。
しかし、妙な点がある。
細胞の一つ一つが、若いのだ。
まるで今しがた産み落とされた赤子の様だ。
「ふふふ、驚いていただけたかな?」
「!!」
狭い小屋に鳴り響く芭蘭の声。
その発生源、それは切り落とされ絶命したはずの頭からだった。
「貴様、何をした……!」
「簡単なこと、君たちが入り込む直前にこの体を作ったのさ。本物の私はもうとっくに逃げおおせた」
「これが仮初の肉体だと!?」
確かにだとしたら細胞が若いのも頷ける。
だけどありえない。
人体錬成など魔法の域を超えている。
それは神の領域に近しい行為。神の真似事をしている俺たちでは到底及びつかない行為だ。
「私を見つけた君たちの進化を願い一つ教えよう。この技は君たちの知るところの『魔法』とは根本から異なる。そうだな、名前を付けるなら『神秘』とでもしようか」
神秘とは御大層なネーミングだ。
しかし確かにこれはそう呼ぶに値する所業だ。
「貴様らの狙いはなんだ?」
もう逃げられるのは確定している。
せめて出来ることと言えば情報を引き出すことくらいだ。ただでは逃さんぞ。
「最初に言いましたよね。人類の進化こそが我らの願い。どうかあなたたちも美味しく育ってくださいね?」
そう喋るのを最後に芭蘭の死体はパラパラと崩れ消え去っていく。
それは床にした立っていた血も同様で、数秒後には奴のいた痕跡は部屋に無くなってしまう。
「……どうされますか殿?」
あまりに多くの事が起こり過ぎた。
俺の脳はもうオーバーフローだ、少し休みたい。
「一回休んで対策を練ろう。早くしないと陰陽師が……」
来る。と言おうと瞬間入り口のドアが蹴破られ黒装束の人間がドカドカと入ってくる。
……手遅れだったか。
「我らは陰陽京見回り部隊! 大罪人芭蘭を捕らえにきた!」
大声で名乗ってるところ悪いがお探しの奴はとっくに逃げ出している。
名乗りを上げた陰陽師の男は部屋を見まわしていき、そしてなぜか虎鉄と目が合い固まる。
「お、お前虎鉄じゃねえか!? 一体こんなところでなにやってんだ!?」
「……」
男は警戒を解き虎鉄のそばに近寄ると背中をバシバシ叩いて喜ぶ。
叩かれている虎徹は迷惑そうにはしてるが、抵抗してないとこを見るにどうやら顔見知りではあるようだ。
どうやら昔の知り合いの様だ。
「……で? あんさんは誰なんや?」
「おっとこれは失礼! 俺は玄流院《げんりゅういん》興亀《こうき》。陰陽京所属の陰陽師にしてそこの侍野郎の友人だ!」
どうやら想定していたよりもやべえ奴に出会ってしまったらしい。
虎鉄とハコもそれを感じ取ったのか臨戦態勢に入り、芭蘭を囲むようにジリジリと移動している。
「いやあ今日はめでたい日だ! ようやく私のことを見つけ出してくれる者が現れた! 陰陽師共ではなく君たちに目をつけとくべきだった!!」
「何言ってんだお前。陰陽師共はお前を追ってるんだろ?」
ならば俺たちより先に会っているはずだ。
「ふふ、彼らは私の事を不思議な力を持つ魔人くらいにしか思っていない。しかし君は違う、そうだろジーク君?」
「……!!」
その言葉を聞いた瞬間、俺の全身を寒気が走り抜ける。
今の俺の体に魔王を感じさせるものは一切ない筈。それなのになぜ!?
「君は既にこの世界を変質させた者の存在に気づき始めている。その上で私の元まで辿り着いた。これは凄い事だよ」
……どうやら俺の正体どころか何を研究しているかまで把握されているみたいだ。
俺はいつしか自分が全てを上手くやっているつもりになっていたらしい。
俺の、俺たちの想像を超える化け物はいたのだ。
「そんなに怯えないで欲しい。私は君たちを害すつもりは全く無い。むしろ応援したいくらいなんだ」
「そんな言葉を信じられると思うか?」
俺の言葉に芭蘭はやれやれといった感じで肩をすくめる。
「君達じゃ無駄だと思うけど……そんなにやりたいならかかっておいでよ」
芭蘭は面倒くさそうにかかってこいと言わんばかりに指をくいくい曲げる。
完全に舐め腐ってやがる。
「虎鉄!!」
「御意」
俺の呼びかけに一瞬で応じた虎鉄が腰に掛けた刀に手をかけ一瞬で距離を詰める。
虎鉄の居合術の速さは魔王国の中でも最高クラス。この距離で放たれれば何が起きたかも理解できないだろう。
当たれば即死は免れないだろうがまあいい。
死んでからでも情報を引き出す方法はいくらでもある。
最も悪手なのはここで様子見をしてこちらに死人が出ること。
それだけは避けなければならない。
「――――切り捨て御免ッ!」
まるで吸い寄せられるかの如く芭蘭の首筋へ振り抜かれた刀は寸分狂わず首に命中し……切り払われた。
宙へ舞い上がった首はくるくると回りながら芭蘭の足元へ落下する。
「……ふう」
ひとまず安心だ。
まだわからないことだらけだが当面の危機は去ったと言えよう。
これから忙しくなるぞ。
さて死体を回収するか。
「何かおかしい」
刀を抜き放った状態の虎鉄がつぶやく。
「確かにいくら何でも弱すぎるな」
「そうではござらん。斬った感触があまりに異質《・・》でした。硬さこそ人体に近いですがもっと無機質な感じでした」
芭蘭だったものをよく観察する。
首のないその体を、この体に搭載された解析装置で解析してみるが人体で間違いないとの結果が出る。
しかし、妙な点がある。
細胞の一つ一つが、若いのだ。
まるで今しがた産み落とされた赤子の様だ。
「ふふふ、驚いていただけたかな?」
「!!」
狭い小屋に鳴り響く芭蘭の声。
その発生源、それは切り落とされ絶命したはずの頭からだった。
「貴様、何をした……!」
「簡単なこと、君たちが入り込む直前にこの体を作ったのさ。本物の私はもうとっくに逃げおおせた」
「これが仮初の肉体だと!?」
確かにだとしたら細胞が若いのも頷ける。
だけどありえない。
人体錬成など魔法の域を超えている。
それは神の領域に近しい行為。神の真似事をしている俺たちでは到底及びつかない行為だ。
「私を見つけた君たちの進化を願い一つ教えよう。この技は君たちの知るところの『魔法』とは根本から異なる。そうだな、名前を付けるなら『神秘』とでもしようか」
神秘とは御大層なネーミングだ。
しかし確かにこれはそう呼ぶに値する所業だ。
「貴様らの狙いはなんだ?」
もう逃げられるのは確定している。
せめて出来ることと言えば情報を引き出すことくらいだ。ただでは逃さんぞ。
「最初に言いましたよね。人類の進化こそが我らの願い。どうかあなたたちも美味しく育ってくださいね?」
そう喋るのを最後に芭蘭の死体はパラパラと崩れ消え去っていく。
それは床にした立っていた血も同様で、数秒後には奴のいた痕跡は部屋に無くなってしまう。
「……どうされますか殿?」
あまりに多くの事が起こり過ぎた。
俺の脳はもうオーバーフローだ、少し休みたい。
「一回休んで対策を練ろう。早くしないと陰陽師が……」
来る。と言おうと瞬間入り口のドアが蹴破られ黒装束の人間がドカドカと入ってくる。
……手遅れだったか。
「我らは陰陽京見回り部隊! 大罪人芭蘭を捕らえにきた!」
大声で名乗ってるところ悪いがお探しの奴はとっくに逃げ出している。
名乗りを上げた陰陽師の男は部屋を見まわしていき、そしてなぜか虎鉄と目が合い固まる。
「お、お前虎鉄じゃねえか!? 一体こんなところでなにやってんだ!?」
「……」
男は警戒を解き虎鉄のそばに近寄ると背中をバシバシ叩いて喜ぶ。
叩かれている虎徹は迷惑そうにはしてるが、抵抗してないとこを見るにどうやら顔見知りではあるようだ。
どうやら昔の知り合いの様だ。
「……で? あんさんは誰なんや?」
「おっとこれは失礼! 俺は玄流院《げんりゅういん》興亀《こうき》。陰陽京所属の陰陽師にしてそこの侍野郎の友人だ!」
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