スキル「共感覚」のおかげで最強の魔法使いになったので魔人を集めて魔王になることにしました 〜最恐魔王の手さぐり建国ライフ!〜

熊乃げん骨

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第六章 戦乱の京

第15話 若き当主達

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「まったく、人使いが荒いったらないぜ」

 虎鉄の友人にして陰陽師の一人、玄流院《げんりゅういん》興亀《こうき》はそうぼやきながら陰陽京の本部とも言える場所、陰陽堂に向かっていた。
 陰陽京の守備を司る4つの一族の一員である興亀は事あるごとに陰陽師の最高権力者の集まりである『元老院』に呼び出されるのだ。

 その内容は主に京の防衛設備の修理や、魔獣の撃退などだ。
 それ自体は大事な仕事なので興亀も文句はない。しかし偉そうに命令するだけで自らは動かない元老院の事を、興亀はあまりこころよく思っていなかった。

「ん? なんだお前も呼ばれていたのか虎子」

 陰陽堂に足を入れた興亀は見知った顔を見つけ声をかける。

「虎子ゆーなって言ってんだろ、興亀」

 虎虎はうんざりといった感じで面倒臭そうに答える。
 虎子というのは虎虎が小さかった頃のあだ名だ。興亀と虎鉄より年下の彼女は大きくなった今でもそのあだ名で呼ばれているのだ。

「まあまあそう怒るなって。それにしても四象家が二人も呼び出されるなんてよほど大事なのか。面倒くせえな」

「全くね、あの老害どもとっととくたばんないかしら」

 彼らの親世代では元老院は絶対の存在であり崇拝すらされているが、若い世代からの支持は少ない。
 元から尊大な態度の元老院は若者に人気がなかったが、魔法大規模感染《マジカル・パンデミック》時の元老院の行動で更に彼らの人気は落ちた。

 大量の魔獣が京を襲い陰陽師総出で防衛していた最中、なんと元老院は自分たちのみで強力な結界に隠れ込み引きこもってしまったのだ。
 当然陰陽師たちは怒り狂い元老院たちを引きずりだそうとしたが、結界は強固でありそれを破るには無駄にたくさんの魔力を消費してしまうため断念し元老院抜きで魔獣と戦う事に専念した。

 結果は辛勝。
 実に総数の6割もの陰陽師を失うという代償を払ったもののなんとか魔獣を追い返す事に成功したのだった。
 しかし彼らの愚行はそれだけに止まらなかった。

 魔獣が去り京が平和になるや否や彼らは結界を解き、傷つき疲弊した陰陽師と市民の前へ現れ彼らの傷を癒し始めたのだ。

 当然若者たちは激怒した。都合のいい時に現れ偽善者ぶる彼らを許せないのは当然だ。

 しかし上の世代は違った。
 元老院を盲目的に慕う彼らは逃げ隠れた事実など忘れ、前よりも強く元老院を崇拝し始めたのだ。
 細かい事情を知らない市民も元老院を支持し始めてしまい、再び元老院は京の実験を握る事に成功したのだった。

「だいたい年寄りが指揮をとる事自体間違ってるのよ、こんな制度廃止するべきだわ」

「そうだな、今回の一件で頼りになる奴とならない奴がはっきりした。どっかで組織を編成しなおさなきゃな」

 若い彼らだが、四象家の家元であるためその地位は元老院の次に高い。
 元老院にとっても目障りな存在である彼らだが、京の防衛のために彼らの力は絶対不可欠。ゆえに手出しをできないでいるのだ。

「それよりお前虎鉄に会ったか? お前ったらあいつがいなくなった時すげえ落ち込んで目え腫らしてたもんな」

「ばっ……! 私は泣いてなんかないわ! あんな奴どうでもいいんだから!」

「へいへい分かったから叩くなって! お前の力は強いんだよ!」

 バシバシ殴る虎虎から離れる興亀。
 彼からしても虎虎は妹のような存在であり昔からよく一緒に遊んだ仲だ。
 それゆえ彼女がすくなからず虎鉄を想っている事は知っている。

 しかし虎鉄は失踪した妹の事で頭がいっぱいだし、虎虎もそんな虎鉄にイライラして素直になれない。
 とっととくっついて欲しいと思う興亀だが中々思うようにいかないのだ。

 そんな風に歩きながら話す二人の前に、再び見知った顔が現れる。

「まさかお前までいるとはな、龍々家るるいえ

「……南無」
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