DWSDF〜異世界自衛隊〜

オオタケ ショー

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報告書㊙︎ 2 偵察

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 匠と若菜は部下を連れて、ドアの向こう側につながっていた森の中を偵察していた。

「ねぇ匠」

「なんだ若菜」

「こんな車両どっから持ってきたの」

 そう匠達は自衛隊の車両で移動いていた。軽装甲機動車(LAV)を戦闘に高機動車、そして匠達が乗ったジープと続く。

「あぁこれは姉さんが前に俺に渡してきたコレに入れてきたんだ」

 匠が若菜に見せたの皮で出来た袋だった。

「なにこれただの皮の袋じゃない」

「いいやコレはただの袋じゃないマジックアイテムって呼ばれる物らしい」

「マジックアイテム?」

「だよな?清水きよみず古内こうち

 匠は運転席で運転している清水と助っ席で車長をやっている古内に話しかけた。

「えぇそうですよ」

「ほらよくRPGに出てくるじゃないっすか空間収納それがコッチではそれらしいっす」

「ほら昔やっただろ」

「あぁ!匠が弱かったゲームね!」

「それは言うな!」

 ったく!若菜は俺の傷口をえぐる気か!

 っとそんな事を思ってると車が急に止まった。

「っ!どうした!」

「分からないっす!」

「すみません!前の車が止まったもので」

 すると無線機からノイズと共に匠達を呼び出す声が聞こえた。匠は無線機の受話器を取り応答した。

「HQこちら先頭LAV数メートル先で馬車が何者かによって襲われてる模様どうしますか?送れ」

「匠これって・・・」

「あぁ間違いない報告書にあった盗賊だ」

 匠達が貰った資料には盗賊の事も書いてあった。

 どうする・・・このまま戦ってもいいがこちらからは手が出せない・・・!

 そう匠達がもらった資料には規則も書かれていた。その1つに「人間もしくわそれに該当するものにはこちらから手を出すな」と書かれていた。

「先頭LAVこちらHQ俺の乗ったジープを先に通せ俺が話を付ける。通信終わり」

 ガチャりと受話器を元に戻した。すると横から戦闘服の胸元を掴まれた。

「ちょっと!どうすんのよ!私達は手を出せないのよ!」

「ま、まぁまぁ!落ち着いて!ね?俺に考えがあるから!」

「え・・・?」

 匠はそう言うと清水に「先頭に行け」と言ってジープを走らせた。

 先頭に着いた匠と若菜はジープから降り、ライナーヘルメットを戦闘帽にかぶり直し外に出た
 
「で、先頭に着いたけどどうするの?」

「まぁ見てなって」

 すると匠は襲われてる馬車の方へ向かって走っていた。

「おい!貴様らその女性から手を離せ」

 その匠の声に盗賊たちは振り返り女性を乱暴に手から離すとズシズシと重たい音とともに1人の大男が寄ってきた。

「なんだテメェは・・・!」

「俺は神無月 匠。自衛官だ」

「自衛官だー?聞いたことねぇな!」

「当たり前だ、この世界には存在して無いからな」

「何を言ってんだ!テメェら!やっちまえ!」

 その大男の声に盗賊たちは剣やナタで匠に襲いかかった。
 一方その頃ジープでは・・・

「ったく!昔から変わらないわねぇ!」

「山内一尉・・・!大丈夫なんでしょうか!ほら今も襲われてますよ!神無月一尉」

「あぁ大丈夫よ・・・匠ね徽章は付けてないけど、あぁ見えてレンジャー、格闘、空挺は持ってるから」

「え?」

「「「「「えぇ!!」」」」」

 その頃匠は戦っていた。部下たちが驚いてる中

「これで正当防衛成立だな」

 ぼそっとその言葉を言うと1人目に前から襲いかかった族を避けた。

「遅い・・・それに前からは人を襲わない方がいいよっ!っと」

 匠が避けた勢いで前かがみになり背中がガラ空きになった背中を肘で上から叩き下ろした。

「っ!くそ!」

「おぉ!」

 2人掛りで後ろから襲いかかってきた族は後ろ蹴りで顔面を蹴られてうずくまった。

「お前ら弱いな・・・残り3人はどうする?やられるか捕まるかどっちか好きな方選べ」

「わ、分かった!大人しくする・・・」

 匠は大男に近づき両手を拘束しようと手を出した。すると大男は持ってきた剣を大きく振りかぶり立ち上がった。匠はそれを避けて後ろに大きく避けた

「へっ!誰が捕まるって言った!」

「そうか・・・なら本気で行くぞ」

 匠は相手が見えないほどの速さで大男に近づき顎を下から拳で殴りその場にバタリと倒れ込んだ。

「おい・・・そこの2人こんな下手な真似したら分かってるよな」

 匠は殺気を出し2人に言いつけた。そのその2人は殺気で気絶までしてしまった。
 匠は襲われていた馬車の近くで座っている女性の方へ向かった。

「怪我はありませんか?」

「え、えぇ・・・私は大丈夫です。けどメイドと騎士達が」

「ちょっと見せて貰えますか?」

「ぜひお願い致します・・・!」

 匠はメイドと騎士の元へ向かい怪我の状況を見た。刺傷や切り傷がありかなり深い所まで行ってるものもあった。

「俺の仲間を呼んでもいいですか?」

「えぇ構いません」

 匠は数メートル先の若菜に合図を送りジープを先頭に偵察の部隊がやってきた。

「ちょっと!匠!大丈夫なの?!」

「あぁ俺は全然これっぽっちも痛くない。けどこの人達がかなりの怪我をしている衛生で見てもらってこの人達の国まで行く」

「わ、分かったわ!衛生班!」

 匠はまた馬車の近くに座っている女性のところまで行った。

「今俺の部下が治療してます。しかし馬車は我々ではなおせないので我々の方貴方の国までまお送りします」

「本当ですか!そこまでして頂いてありがとうございます!」

 匠は各小隊の長を呼び出し集めた。

「今から我々は三つの小隊に別れる。第一小隊は俺と共にあの女性と怪我人を連れて女性方の国まで行く。それは吉岡曹長よしおかそうちょう頼みます」

「了解。しかし、女性の方はいいとしても怪我人はどうしますか?」

「もしも我々の部隊で怪我人が出た場合の為に高機の後ろは2人ずつにしてるはずだから2人ずつの所を一つにまとめて移動します」

「了解です。それではその様に手配します」

「ありがとうございます。次に第二小隊は悪いけどここの後処理を任せたい。馬車の瓦礫は一つにまとめて道の端っこの方に置居とく事。事後我々の第一小隊に合流という形で。それを宮田一曹みやたにいっそうお願いします」

「分かりました。終わり次第連絡します」

「了解です。最後に第三小隊は山内と共にドアの向こう側に行き神無月一佐と田崎陸将に報告、再度補給等の作業をした後この部隊も合流で。これを多賀谷一曹たがやいっそうお願いします」

「了解です」

「以上。現在時1337ヒトサンサンナナ1430ヒトヨンサンマルまで休憩等を取って各隊の行動に移るように。なにか質問」

「「「なしっ!」」」

「気をつけ、別れ!」

「「「別れます!」」」

 敬礼をして各人ごと動く。匠も馬車の方へと向かった。

「長く待たせてしまって申し訳ないです」

「いいえ。こちらとしては助けられた身ですのでお気になさらずに」

「そう言っていただけるとありがたいです・・・あっ今後の行動を説明しますのでちょっと来て貰えますか?」

「えぇ構いません」

 匠と女性はジープの前まで行きボンネットの上にある地図を見せた。

「まぁ!凄い!こんなにも正確な地図があるなんて」

「まぁ空から取った物と周囲の物を照らし合わせてをそのまま写してるだけですけどね」

「そ、空からですか?」

「えぇ。まぁその話は置いといてまずは自己紹介しません?」

「そうでしたね!まだ名前も聞いてませんでした」

「んじゃまず俺から、神無月 匠です。今は周辺の森林を偵察してたんですよ」

 まぁこう言っとけば大丈夫だろう・・・多分

「偵察ですか?」

「えぇ我々はとても遠い国から来ましてね、自分の国の事以外は何も知らないのでこうして偵察をしてたんですよ」

「そうだったんですね・・・あっ私は帝国第1王女アイリス・ディ・グレイと申します」

「なっ!王女様だったとは失礼しました」

 匠は片膝をつき頭を下げた。

 なんで王女なんだ!テンプレ過ぎんだろ・・・。しかし、神は本当にいるもんだなまさか目指していた国、帝国の第1王女と会えるなんて。

「あ、頭をお上げください!私は助けられた身です。助けてくださった方に頭を下げられては困ります」

「そうですか・・・分かりました」

 匠は頭を上げて立ち上がった。

「それと私の事はアイリスとお呼びください!「さん」も「様」もいりません!あと敬語も禁止です!」

「わ、分かったアイリス・・・俺の事も名前で呼んでくれ敬語も無しで構わない」

「ありがとうございます匠。しかし、この敬語は口癖でして」

「分かった。時間も無いから簡単に説明するよ・・・えーとまずはーーー」

 匠は地図を見せて説明をした。各小隊長と話したこれからどういう流れで街に進むのかと三つの小隊に別れるのかなどを

「ーーっとこんな感じかな簡単で悪いけど分かった?」

「えぇ大丈夫です」

「んじゃそろそろ出発するからちょっと待ってて」

「はい!分かりました」

 匠は時間を見て皆の前に立つ。

「時間だ行動開始」

 それぞれが立ち上がった。匠に敬礼をして「はい!」と言って三つの小隊に別れた。

「若菜、頼んだ」

「りょーかい」

 そう言って匠の横を通り手を振って行った。
 匠はそれを見ると、アイリスの元へ行き車に案内する。

「アイリスは後ろの席に座って」

「は、はい・・・。しかし匠は・・・」

「大丈夫!俺は前の席に座るから」

 そんなやり取りをしている内に無線で「準備完了」と流れて来た。

「さぁ行こうか帝国へ」

 匠達の乗ったジープは帝国へと向かった。
 帝国は世界の中心であり、平和の象徴となっている。かつて、この世界は戦争が絶えずにいた。そこで立ち上がったのが帝国王二世レジット・ディ・グレイだった。彼は国際協定と言うものを創り、国際法も創り上げたという。

 んー・・・この資料を見ると、この世界は俺達の世界と似てるな・・・

「神無月一尉」

「ん?」

「あれはなんでしょうか・・・?」

 えぇまたトラブルか?どれどれ・・・

 匠は清水が指さした方向に目を向けた。するとそこには馬に乗った騎士たちがこちらに向かって来ていた。

「お、おい・・・!こっちに向かってきてないか!?」

 匠は無線機を取り全車に向けて話した。

「全車!左右に避けて停止!」

 匠の指示通り匠達の車列は左右に避けて停止した。
 数分後、馬に乗った騎士2名が匠の乗ったジープの横に止まる。

「貴様ら降りろ!」

「やめなさい!騎士団長!」

「ア、アイリス様!ど、どうしてここに・・・!」

「この方々は私を助けてくださった恩人です!無礼は許しません!」

「し、しかし・・・!」

「まぁ落ち着けって、この人達の方が正しいよ。多分、帝国の王女が盗賊にでも襲われてるって知らせを受けて来たんだろう・・・しかも俺達が来た方向はアイリスが盗賊達に襲われていた森の方向だしな・・・な?そうだろう騎士団長?」

「あ、あぁそうだ。伝書鳩が私の所に知らせてきたのだ・・・」

「そうだったんですね・・・申し訳ないです・・・」

 アイリスはシュンとした。それを見た匠は、アイリスの方を振り返り笑顔でこう言った。

「アイリスそう落ち込むなこの人達はアイリスの為を思ったんだ。こういう時は笑顔で礼を言ってやれ」

「そ、そうですね・・・騎士団長ありがとうございます」

 その時の彼女の笑顔は匠が見る初めてのアイリスの笑顔だった。

「さ、騎士団長とやら俺達はどうすればいい?」

「あ、あぁ貴殿らはアイリス王女を助けてくださった方だ我々が帝国まで案内する」

「了解」

 匠は無線機を手に取り、また全車に連絡をした。

「全車へこれより我々は騎士団を先頭に前進を開始する。なお、事後の指示はまだ不明な為、再度また連絡する!以上、
通信終わり」

 匠は無線機を元に戻すと目線を前に戻した。

「準備が出来たようだな」

「あぁいつでも大丈夫だ」

「では私に着いてこい!」

 騎士団は「はっ!」といいながら馬を走らせた。俺達はその後に続き帝国へと向かった。
























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