スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ

文字の大きさ
19 / 112

15 町長さんを連れてきた

しおりを挟む
 彼女が軽い気持ちで言っているのではないと直ぐに分かった。奇しくも似た境遇に置かれ、彼女もまた周りから軽蔑された目で見られていたのだろう。8年前の俺と全く同じだ。

 あの時、誰かが手を差し伸べてくれていたらもっと違う未来が待っていたかもしれない。根本は自分にも原因があるのかもしれないが、それでも俺は誰かに助けてもらいたかった。

 エミリアは今まさにその真っ暗闇の中――。

 自分がそれだけ頑張って足掻いても変えられない状況。周りの目はどんどん冷たく冷酷になっていくにも関わらず、誰も助けてくれないどころか笑われ馬鹿にされてしまう……。

 昔の自分とそっくりだ。

「エミリア……。俺は剣士だから魔法は使えない。だから強くなりたいと言われても、魔法が使えない俺は魔法なんて到底教えられないんだ。
だけど、今エミリアがいる暗闇から抜けだす方法なら、俺でも少しは教えられるかもしれない。これでもエミリアと似た道を歩んできた呪われた世代の1人だからな――」
「グリムさん……」
「きっとエミリアも、その暗闇から抜け出せば自分の力で強くなれる筈だよ。それなら俺にも助言が出来るしな。
だからエミリア、こんな俺でもいいなら君の助けになる。だが、何度も言うが俺は狙われている身だ。当然危険があるだろう。それでも仲間になって来るか? 俺と一緒に――」

 俺がエミリアにそう問うと、彼女は微塵の迷いもない真っ直ぐな瞳を俺に向けて頷いた。

「はいッ――!!」


♢♦♢


「……全然帰ってこないな……」
「バウ……」

 俺とハクは、エミリアが向かって行った方向を見ながらそう話していた。

 あれから、一応エミリアは俺と仲間?になったみたいで、俺が王都に向かうと言ったら快く了解してくれた。だがさっきの洞窟でのノーバディとの戦闘と壁の破壊で剣がまた壊れてしまっていた。

 何処かで剣を調達しないといけないなと話していたら、エミリアが「この近くに街がありますよ」と教えてくれた。

 だが俺とハクは人目の多い場所を極力避けたい。まだ辺境の森からそう離れていないこの場所では、騎士団や魔法団の奴らが近くにいても可笑しくないからだ。だけど進むにはどうしても剣は必須。
 
 どうしたものかと悩んでいたら、エミリアが「私が行ってきます!」と張り切って申し出てくれたのだ。

 俺は流石に申し訳ないと思い断ったが、彼女もハクもお腹が空いたらしく買い物がてらに行ってくると言って本当に行ってしまった次第である。

「まぁ確かに助かったけど、それにしても遅くないか? もう日が沈み始めてるぞ」
「バウ」

 エミリアが向かって早くも何時間が経っただろう。俺の都合で街に行ってもらっているのだが、幾らなんでも時間が掛かり過ぎじゃないか? 俺が思っている以上に街との距離があったのか、それとも何かトラブルに巻き込まれたんじゃ……。 

「ワウ!」
「お、来たか」

 そんな事を思っていると、向こうから音が聞こえてきた。ハクも気付いたらしい。しかし近づいてくる音はエミリアの足音ではなく、何故か馬の走る音とガタガタと車輪が転がる音だった。

 一瞬騎士団や魔法団かと思い慌てて道の向こうを確認したが、そこには1頭の馬が馬車を引いており、その馬車の荷台の上にエミリアが乗っていた。そして彼女は俺達に向かって大きく手を振っている。

「おーい、グリムー! ハクちゃーん!」
「ん……どういう事?」
「バウ」

 取り敢えず騎士魔法団でない事に安堵したと同時、エミリアのまさかの登場の仕方に驚いた。同い年だから名前も呼び捨てでいいし敬語も止めてくれと言ったのは俺だが、いざ呼ばれると少し恥ずかしい。

 そんな事を思っていると、エミリアを乗せた馬車は俺とハクの前で止まった。

「ただいま! 遅くなってすみませ……じゃなくて、遅くなってごめんね。ハクちゃんもお腹空いたよね。コレなら食べられるかな?」
「バウ!」
「グリムはコレどうぞ。街に売ってる双剣がコレしかなかったんだけど……」

 そう言いながら馬車から降りてエミリアは俺に剣を渡した。

「コレで十分だよ。ありがとなエミリア。それよりも……」

 買い物は確かに助かった。だが、それよりも気になったのが馬車を運転していた1人のお爺さんだ。

「ああ。こちらは街の町長さんです! 」
「初めまして」
「あ……初めまして……」
「実はねグリム。町長さんがなんか困っているらしくて、強い人を探しているらしいの。だからここまで送ってもらうついでにグリムと1度会ってみたらどうかと思ってね」

 エミリアの事だから全く悪気はないんだろう。経緯は分からないが、目の前にいる町長さんが本当に困っているから助けたいと思っての行動だと思う。

 だがエミリアよ……。さっきも言ったが、俺達はもう追われているという事を自覚しなければならない。目立つのは良くないんだ。君にもちゃんとそう言ったよな? 

 え、俺のこの考えで間違ってないよね……? 合ってるよね……? 状況理解してるよね……?

 俺はそう思いながら慌ててエミリアを引き寄せ、小声で確認した。
しおりを挟む
感想 73

あなたにおすすめの小説

【状態異常耐性】を手に入れたがパーティーを追い出されたEランク冒険者、危険度SSアルラウネ(美少女)と出会う。そして幸せになる。

シトラス=ライス
ファンタジー
 万年Eランクで弓使いの冒険者【クルス】には目標があった。  十数年かけてため込んだ魔力を使って課題魔法を獲得し、冒険者ランクを上げたかったのだ。 そんな大事な魔力を、心優しいクルスは仲間の危機を救うべく"状態異常耐性"として使ってしまう。  おかげで辛くも勝利を収めたが、リーダーの魔法剣士はあろうことか、命の恩人である彼を、嫉妬が原因でパーティーから追放してしまう。  夢も、魔力も、そしてパーティーで唯一慕ってくれていた“魔法使いの後輩の少女”とも引き離され、何もかもをも失ったクルス。 彼は失意を酩酊でごまかし、死を覚悟して禁断の樹海へ足を踏み入れる。そしてそこで彼を待ち受けていたのは、 「獲物、来ましたね……?」  下半身はグロテスクな植物だが、上半身は女神のように美しい危険度SSの魔物:【アルラウネ】  アルラウネとの出会いと、手にした"状態異常耐性"の力が、Eランク冒険者クルスを新しい人生へ導いて行く。  *前作DSS(*パーティーを追い出されたDランク冒険者、声を失ったSSランク魔法使い(美少女)を拾う。そして癒される)と設定を共有する作品です。単体でも十分楽しめますが、前作をご覧いただくとより一層お楽しみいただけます。 また三章より、前作キャラクターが多数登場いたします!

【1/20本編堂々完結!】自力で帰還した錬金術師の爛れた日常

ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」 帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。 さて。 「とりあえず──妹と家族は救わないと」 あと金持ちになって、ニート三昧だな。 こっちは地球と環境が違いすぎるし。 やりたい事が多いな。 「さ、お別れの時間だ」 これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。 ※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。 ※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。 ゆっくり投稿です。

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

悪役貴族に転生したから破滅しないように努力するけど上手くいかない!~努力が足りない?なら足りるまで努力する~

蜂谷
ファンタジー
社畜の俺は気が付いたら知らない男の子になっていた。 情報をまとめるとどうやら子供の頃に見たアニメ、ロイヤルヒーローの序盤で出てきた悪役、レオス・ヴィダールの幼少期に転生してしまったようだ。 アニメ自体は子供の頃だったのでよく覚えていないが、なぜかこいつのことはよく覚えている。 物語の序盤で悪魔を召喚させ、学園をめちゃくちゃにする。 それを主人公たちが倒し、レオスは学園を追放される。 その後領地で幽閉に近い謹慎を受けていたのだが、悪魔教に目を付けられ攫われる。 そしてその体を魔改造されて終盤のボスとして主人公に立ちふさがる。 それもヒロインの聖魔法によって倒され、彼の人生の幕は閉じる。 これが、悪役転生ってことか。 特に描写はなかったけど、こいつも怠惰で堕落した生活を送っていたに違いない。 あの肥満体だ、運動もろくにしていないだろう。 これは努力すれば眠れる才能が開花し、死亡フラグを回避できるのでは? そう考えた俺は執事のカモールに頼み込み訓練を開始する。 偏った考えで領地を無駄に統治してる親を説得し、健全で善人な人生を歩もう。 一つ一つ努力していけば、きっと開かれる未来は輝いているに違いない。 そう思っていたんだけど、俺、弱くない? 希少属性である闇魔法に目覚めたのはよかったけど、攻撃力に乏しい。 剣術もそこそこ程度、全然達人のようにうまくならない。 おまけに俺はなにもしてないのに悪魔が召喚がされている!? 俺の前途多難な転生人生が始まったのだった。 ※カクヨム、なろうでも掲載しています。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

処理中です...