スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ

文字の大きさ
23 / 112

19 vs究極体ノーバディ②

しおりを挟む
「死ねぇぇぇぇ!」

 男は安っぽい言葉と共に剣を振り下ろしてきた。

 受けるまでもない。

「遅い――」
「ッ⁉」

 男の振り下ろした剣を簡単に躱し、俺は剣の柄を思い切り男の腹部に撃ち込む。男は悶絶するようにその場に崩れ落ちたが、ガクガクと脚を震わせながら何とか堪え立ち上がってきた。

「ぐッ、貴様……!」
「だ、大丈夫ですかイズム様⁉」
「何だコイツ? もしかして騎士団じゃないだろうな」

 怪しい連中は攻撃を受けたイズムとかいう男を心配して駆け寄ってきた。そしてそれに続くように他の者達も不気味な儀式とやらを止め集まって来る。

 儀式も運よく中断したみたいだから、このまま全員まとめて片付けるか。

 そう思った矢先、イズムという男が再び不気味な笑みを浮かべながら口を開いた。

「落ち着くんだお前達……! 私達がずっと儀式を行ってきた事によりもう蓄えは出来ている。グハハハ! お前達、遂に“究極体”の召喚をする時が来たぞぉぉッ!」

 イズムが高らかに天を仰ぎながら叫び、手にしていた剣を上に掲げた。すると、マントを被った他の者達も剣を取り出して上へと掲げる。

 マズい。

 魔法陣や召喚魔法なんて詳しくないから発動の仕方が分からないけど、コレは何かヤバい感じがする――。

「やられたくなかったら全員大人しくしろ」
「グハハハ! もう“遅い”」

 次の刹那、イズムを含めたマントの者達13人が全員上に掲げていた剣の切っ先を己に向け、そのまま躊躇することなく胸へと突き刺した。

「なッ……⁉」
「グハッ……ハハハ……ッ!」

 余りの予想外の行動に動けなかった。
 剣を刺した者達のマントの下からは夥しい量の血が流れ、次々にその場に倒れていく。

「マジかコイツら。もしかしてコレが召喚する方法とか言うんじゃないだッ……『――ブォォォォン』

 そう思ったのも束の間、今度は奴らが儀式を行っていた場所の魔法陣の光が急激に強くなり、倒れていたイズム達の体が1人また1人と消滅していった。

 そして13人全員の体が消滅すると同時、より輝きを増した魔法陣……いや、大地が大きく揺れだした。強い揺れと地響きが鳴り響く中、更に魔法陣が描かれていた地面がバキバキと割れ次の瞬間、見た事のない禍々しい存在が突如現れた。



『ギヴヴォォォォォォォォッ!!』



 これはまた凄いのが出てきた……。

 奴らの儀式によって召喚されたソレは、地上や洞窟で見たノーバディととても似た姿をしていた。だが、目の前のコイツは本体と思われた洞窟のノーバディを優に凌駕する存在。奴らが“究極体”と呼んでいたに相応しい格の違う魔力の強さを持つノーバディだった。

「取り敢えず連中は片付いたけど、アレも倒した方がいいのかな? このままこの空間に閉じ込めたり出来ないんだろうか」

 ここが地上なら勿論始末するが、良くも悪くもここは魔法陣で生み出された別次元の空間。もし閉じ込められるなら無駄に戦う必要ないよな。

 そんな事を思った直後、召喚されたノーバディが俺に気付いたのか、威嚇する様に雄叫びを上げてきた。

『ギギヤァァァァァッ!!』
「……⁉」

 まるで衝撃波。
 奴から発せられた雄叫びは凄まじく、まるで衝撃波の如く周りの岩や木々を吹き飛ばしてしまった。

「ハク、エミリア! 大丈夫か⁉」

 俺は奴を無視して直ぐにエミリア達の元へ向かう。

「う、うん……何とか大丈夫」
「バウ!」
「良かった。それにしても、とんでもない奴が出てきたな」

 エミリアとハクは少し離れた位置にいたお陰で何とか今の衝撃波から身を守れていた。洞窟で倒した4つ頭のノーバディより一回り小柄でどちらかと言えば人型に近い姿をしている。オークみたいな感じだな。まぁアレより圧倒的に強いし、4つ頭と比べても魔力が桁違い。

「あんな恐ろしいノーバディがまだいたなんて……。あの人達は余程この召喚に時間を費やしてきた様ね」
「ああ。それに最後の最後の自分達の命まで使ったからな。最早イカれ集団だよ。
それよりエミリア、アイツをこの空間に閉じ込めて置く事とかって出来るのか?」
「どうかな……。この空間を魔法陣で作ったのがさっきの人達なら、ここが消滅するのも時間の問題かもしれない」
「って事は、もしそうなったらアレは外に?」
「分からないけど多分。どの道あのノーバディの魔力が強過ぎて、この空間に留めるのは難しいと思う」

 成程。やっぱりアレは倒しておかないとヤバそうだ。万が一にも地上に出たらと考えただけで恐ろしい。今まで出会った中で1番強いモンスターかもしれないな。

「よし。俺はアイツの相手してくるから、エミリアとハクはなるべく離れて自分達を守る事だけに徹してくれ」
「え、グリム1人で大丈夫? 私なんかが行っても確かに足手まといだけど……」
「大丈夫だよ、ありがとう。正直今までとはレベルが違うけど、多分倒せる。それよりも自分の事とハクを頼む」
「うん、分かった。気を付けてね。行こうハクちゃん」

 エミリアはハクを抱えて更に離れた場所へと移動する。俺はそれを確認して再び奴の元へと戻った。

「さてと……。見た感じ中ランクぐらいの剣だよなコレ。持って“5~6”……本気なら“2”が限界か。どうか剣が壊れる前に倒せますように」

 そんな事を軽く祈りながら剣を双剣を抜くと、最強のノーバディも俺に気付いた。そして得意の雄叫びを上げるや否やノーバディはさっきの威嚇とは違い、今度は確実に俺を“敵”と認識して襲い掛かって来た。
しおりを挟む
感想 73

あなたにおすすめの小説

【状態異常耐性】を手に入れたがパーティーを追い出されたEランク冒険者、危険度SSアルラウネ(美少女)と出会う。そして幸せになる。

シトラス=ライス
ファンタジー
 万年Eランクで弓使いの冒険者【クルス】には目標があった。  十数年かけてため込んだ魔力を使って課題魔法を獲得し、冒険者ランクを上げたかったのだ。 そんな大事な魔力を、心優しいクルスは仲間の危機を救うべく"状態異常耐性"として使ってしまう。  おかげで辛くも勝利を収めたが、リーダーの魔法剣士はあろうことか、命の恩人である彼を、嫉妬が原因でパーティーから追放してしまう。  夢も、魔力も、そしてパーティーで唯一慕ってくれていた“魔法使いの後輩の少女”とも引き離され、何もかもをも失ったクルス。 彼は失意を酩酊でごまかし、死を覚悟して禁断の樹海へ足を踏み入れる。そしてそこで彼を待ち受けていたのは、 「獲物、来ましたね……?」  下半身はグロテスクな植物だが、上半身は女神のように美しい危険度SSの魔物:【アルラウネ】  アルラウネとの出会いと、手にした"状態異常耐性"の力が、Eランク冒険者クルスを新しい人生へ導いて行く。  *前作DSS(*パーティーを追い出されたDランク冒険者、声を失ったSSランク魔法使い(美少女)を拾う。そして癒される)と設定を共有する作品です。単体でも十分楽しめますが、前作をご覧いただくとより一層お楽しみいただけます。 また三章より、前作キャラクターが多数登場いたします!

【1/20本編堂々完結!】自力で帰還した錬金術師の爛れた日常

ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」 帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。 さて。 「とりあえず──妹と家族は救わないと」 あと金持ちになって、ニート三昧だな。 こっちは地球と環境が違いすぎるし。 やりたい事が多いな。 「さ、お別れの時間だ」 これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。 ※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。 ※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。 ゆっくり投稿です。

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

悪役貴族に転生したから破滅しないように努力するけど上手くいかない!~努力が足りない?なら足りるまで努力する~

蜂谷
ファンタジー
社畜の俺は気が付いたら知らない男の子になっていた。 情報をまとめるとどうやら子供の頃に見たアニメ、ロイヤルヒーローの序盤で出てきた悪役、レオス・ヴィダールの幼少期に転生してしまったようだ。 アニメ自体は子供の頃だったのでよく覚えていないが、なぜかこいつのことはよく覚えている。 物語の序盤で悪魔を召喚させ、学園をめちゃくちゃにする。 それを主人公たちが倒し、レオスは学園を追放される。 その後領地で幽閉に近い謹慎を受けていたのだが、悪魔教に目を付けられ攫われる。 そしてその体を魔改造されて終盤のボスとして主人公に立ちふさがる。 それもヒロインの聖魔法によって倒され、彼の人生の幕は閉じる。 これが、悪役転生ってことか。 特に描写はなかったけど、こいつも怠惰で堕落した生活を送っていたに違いない。 あの肥満体だ、運動もろくにしていないだろう。 これは努力すれば眠れる才能が開花し、死亡フラグを回避できるのでは? そう考えた俺は執事のカモールに頼み込み訓練を開始する。 偏った考えで領地を無駄に統治してる親を説得し、健全で善人な人生を歩もう。 一つ一つ努力していけば、きっと開かれる未来は輝いているに違いない。 そう思っていたんだけど、俺、弱くない? 希少属性である闇魔法に目覚めたのはよかったけど、攻撃力に乏しい。 剣術もそこそこ程度、全然達人のようにうまくならない。 おまけに俺はなにもしてないのに悪魔が召喚がされている!? 俺の前途多難な転生人生が始まったのだった。 ※カクヨム、なろうでも掲載しています。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

処理中です...