スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ

文字の大きさ
24 / 112

20 vs究極体ノーバディ③

しおりを挟む
『ギギォァァッ!!』

 ノーバディはその巨体に似つかない速さで俺との間合いを詰めると、
剣よりも硬く鋭そうな鉤爪を躊躇なく振り下ろしてきた。俺は向かってきた奴の攻撃を受け流しながら体勢を整え、そのままノーバディの腕を斬り落とした。

 ――シュバンッ!
『ヴヴァァ⁉』
「よし、ダメージはあるみたいだな。これならイケそうだ」

 斬ったノーバディの腕がズドンと地面に落ち、凄い量の血が流れ落ちている。斬られた事により一瞬怯んだノーバディであったが、奴はもう片方の腕で再び俺を狙ってきた。

 ――シュバンッ!
『ギゴァァ⁉』

 まるでデジャブかの如く立て続けに腕を斬り落とされたノーバディは叫び声を上げていた。

「こっちも攻撃回数が限られてる。このまま一気に終わらせてッ……『――ヴヴィァァッ!』

 一気に勝負を着けようとした瞬間、ノーバディは斬り落とした筈の腕からまた腕を再生させ、神々しい光を放った魔力弾を勢いよく放ってきた。

「マジかよッ……⁉」

 ――ズドォォォォン!!
 洞窟で倒した4つ頭とはやはり桁違いの魔力。奴の放った魔力弾は大地を抉りながら数キロ先まで飛んでいった。

 俺は咄嗟に全力で剣を振るい今の魔力弾から身を守ったが、その凄まじい威力の攻撃に剣が耐えられずに1本が壊れてしまった。

「くっそ。今のはヤバかったな。お陰で早くも片方壊れた……。しかもアイツ再生能力まであったのかよ。こりゃ一撃で確実に仕留めないとマズいな」

 正直最初の攻撃で油断した。これなら何とか倒せると。だが、思った以上に厄介な奴を相手にしちまったなぁ。腕斬ったからアイツも怒ってるみたいだし、また魔力が上がってる。

「次で決めるしかない。もし失敗すれば、俺の負けだ」

 今みたいな魔力弾をまた放たれたらヤバいな。範囲がデカくて躱しきれないからどうしても攻撃で相殺するしかなくなるけど、そうなったらこっちの剣まで壊れて即終了だ。もし今以上の攻撃を持ってるなら尚更ヤバい。

 事態は一刻を争う。

 俺は次の一撃で決める覚悟で奴に飛び掛かった。

『ギギォァァ!』

 ノーバディの繰り出してくる攻撃はただ腕や脚を振り回しているだけだが、その一撃一撃が威力も速さも他を圧倒していた。下手すればこの一撃で小さな村が消し飛ぶ程に。

 だが俺は既に癖を見つけた。奴は攻撃を繰り出して次の動作に入る瞬間、僅かな隙が生まれる。そこを狙って頭を斬ってやる。

 連続で繰り出される奴の攻撃を掻い潜り、俺はその僅かな隙を狙って一気に地面を蹴り奴の眼前まで跳んだ。

 ここだ――。

 隙を突いた俺は折れていないもう1本の剣でノーバディの首を一刀両断……しようと剣を振り下ろそうとしたまさにその瞬間、突如奴の首が大きく裂けた。何事かと思ったのも束の間、奴は裂けた部分を“口”へと姿を変化させ、全くの予想外に出現し開かれたその口には、既に神々しい光の魔力が集まっていた。

『ヴギュァ――!』
「なッ⁉」

 もう既に攻撃態勢。
 しかも今は空中にいる状態。
 とてもじゃないが躱しきれない。
 直撃したら死ぬ。
 相殺させれば剣が壊れれてしまう。
 そうなればもう次はない。
 もうこのまま振り切るしかない。
 だがコレはもう相打ち覚悟だ。

 本当にヤバい時は世界がスローモーションに見えると言うが、もし本当ならば今がそれだろう――。

 ノーバディの首から突如出現した口は既に魔力弾を放つ直前。俺ももう躱しきれないからこのまま攻撃を止める訳にはいかない。時間にしたら1秒にも満たないこの一瞬で、俺の頭には様々な事が駆け巡った。

 そして、俺は玉砕覚悟で剣を振るった。








「“ディフェンション”!」



 ――バキィィィィン!
「……⁉」

 自分の耳を疑った。

 俺とノーバディの攻撃が互いに直撃する瞬間、突如俺の耳に聞こえたのはエミリアの声だった。更にエミリアの声が聞こえたと思った次の瞬間には、俺の目の前で“何か”が砕かれ粉々に吹き飛ばされた。

 余りに唐突な一瞬の出来事。

 俺は何が起こったのか分からなかったが、今の一瞬でノーバディの口から放たれた神々しい光が消え去っており自分も無傷。

 反射的に目の前の状況を呑み込んだ俺は、そのまま今度こそ奴の首を一刀両断した。

 ――ザシュンッ!!
『ギッィ……⁉』
「俺の勝ちだ」 

 斬ったノーバディの頭は地面に転がり、首からは血が噴水の様に湧き出てきた。奴の頭が落ちると同時に剣も壊れてしまったが、今の一撃で決まった様だ。もう再生する気配もないし急激に魔力が弱まっているから確実だろう。

 地面に着地した俺は直ぐにエミリアの方を見た。

「エミリア、さっきのは……」
「何とか出せて良かった! グリム大丈夫⁉」
「バウワウ!」

 遠くに離れさせていたハクとエミリアがいつの間にか俺のところまで駆け寄って来ている。やはりさっきの声はエミリアだよな。って事は目の前に現れたあの“防御壁”は……。

「さっき突然現れたのはやっぱエミリアのお陰か」
「うん。私の防御壁なんか出しても意味無いって思ったけど、気が付いたら使ってたの。良かったぁ……」

 エミリアはそう言いながらホッと胸を撫で下ろしていた。

「アレは本当に助かったよエミリア。ありがとう! ぶっちゃけもう相打ち覚悟だったんだ」
「もう、本当に良かったよ。何か今のだけでどっと疲れが押し寄せてきちゃった」

 俺の目の前に現れノーバディの強力な魔力弾を防いだのは他でもないエミリアの防御壁。この防御壁のお陰で助かったし、ノーバディを倒す事も出来た。

 正直、今のエミリアの防御壁には驚かされたな。まさか木の杖の魔法で奴の攻撃を防ぎきるなんて――。
しおりを挟む
感想 73

あなたにおすすめの小説

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

俺を凡の生産職だからと追放したS級パーティ、魔王が滅んで需要激減したけど大丈夫そ?〜誰でもダンジョン時代にクラフトスキルがバカ売れしてます~

風見 源一郎
ファンタジー
勇者が魔王を倒したことにより、強力な魔物が消滅。ダンジョン踏破の難易度が下がり、強力な武具さえあれば、誰でも魔石集めをしながら最奥のアイテムを取りに行けるようになった。かつてのS級パーティたちも護衛としての需要はあるもの、単価が高すぎて雇ってもらえず、値下げ合戦をせざるを得ない。そんな中、特殊能力や強い魔力を帯びた武具を作り出せる主人公のクラフトスキルは、誰からも求められるようになった。その後勇者がどうなったのかって? さぁ…

モフモフテイマーの、知識チート冒険記 高難易度依頼だって、知識とモフモフモンスターでクリアします!

あけちともあき
ファンタジー
無能テイマーとしてSランクパーティをクビになったオース。 モフモフテイマーという、モフモフモンスター専門のテイマーであった彼は、すぐに最強モンスター『マーナガルム』をテイムするが……。 実はオースこそが、Sランクパーティを支える最強メンバーだったのだ。 あらゆるモンスターへの深い知識。 様々なクラスを持つことによる、並外れた器用さ。 自由になったオースは、知識の力で最高の冒険者へと成り上がっていく。 降って湧いた凶悪な依頼の数々。 オースはこれを次々に解決する。 誰もがオースを最高の冒険者だと認めるようになっていく。 さらに、新たなモフモフモンスターが現れて、仲間も増えて……。 やがて、世界を巻き込む陰謀にオースは関わっていくのだ。

掘鑿王(くっさくおう)~ボクしか知らない隠しダンジョンでSSRアイテムばかり掘り出し大金持ち~

テツみン
ファンタジー
『掘削士』エリオットは、ダンジョンの鉱脈から鉱石を掘り出すのが仕事。 しかし、非戦闘職の彼は冒険者仲間から不遇な扱いを受けていた。 ある日、ダンジョンに入ると天災級モンスター、イフリートに遭遇。エリオットは仲間が逃げ出すための囮(おとり)にされてしまう。 「生きて帰るんだ――妹が待つ家へ!」 彼は岩の割れ目につるはしを打ち込み、崩落を誘発させ―― 目が覚めると未知の洞窟にいた。 貴重な鉱脈ばかりに興奮するエリオットだったが、特に不思議な形をしたクリスタルが気になり、それを掘り出す。 その中から現れたモノは…… 「えっ? 女の子???」 これは、不遇な扱いを受けていた少年が大陸一の大富豪へと成り上がっていく――そんな物語である。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

処理中です...