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七聖天、ユリマ・サーゲノム②
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♢♦♢
~デバレージョ町・結果外~
グリム達が魔法陣を使用して祖の王国へ転移したと同時刻。
デバレージョ町を囲った結界の外にユリマは何時もの如く立っていた。
「どうやらグリム達は無事旅立ったようですね――」
静かに独り言を漏らすユリマ。手には魔道賢書ノアズを広げ、彼女の視界にはもう10回以上は見たであろう無数に転がる騎士魔法団員の屍の姿が映っていた。
最早日課と化していた騎士魔法団員との戦闘。それは勿論デバレージョ町とグリム達を守る為。ユリマは今日もまた、1人で全ての団員達を返り討ちにしていたのだ。
彼女がグリム達の見送りに行けなかった理由はコレ。
しかし、今日の戦闘もこれまでと“同じ”ならばまだユリマはグリム達の元に駆けつける事が出来た。だがそれが出来なくなってしまった最大の理由が――。
「もう立っているのもやっとだね、ユリマ・サーゲノム」
「本気で俺達全員を相手に出来ると思ってんのかコイツは」
「七聖天でも1番頭が良いと思っていた貴方が、まさかこんな行動に出るなんて意外だったわ」
霞みゆくユリマの視線の先、そこには地面に転がる団員達とは圧倒的に違う強さを纏った、“神器”を手にする3人の人間が立っていた。
バチバチと音を鳴らしながらその手にする槍に雷を纏わせている男は、ユリマと同じ七聖天が1人、神器『雷槍グルニグ』に選ばれし“ジャンヌ・ジャン4世”。
そんなジャンヌの反対側におり、カールがかかったショートヘアに草冠をしている女はこれまた七聖天が1人、神器『狩弓アルテミス』に選ばれし“デイアナ・ムンサルト”であった。彼女の手にする『狩弓アルテミス』は煌びやかな銀色に輝いている。
圧倒的強者のオーラを纏うジャンヌとデイアナより、更に底の見えない強者のオーラを纏いながら堂々と真ん中に位置している青年。
彼は間違いなく現リューティス王国最強の剣士であり、全ての騎士魔法団員のトップに立つ騎士団大団長。そして七聖天でもその実力が最も強いと謳われる『神剣ジークフリード』に選ばれし“ヴィル・レオハート”だ。
「貴方達ではないのですよ……。3神柱が希望を託したのは、終焉から世界を救えるのは、絶対に貴方達ではない」
血が流れ視界が霞む。意識も朦朧とし体はフラフラ。もう魔力も体力も底をついていながらも、ユリマは力強い真っ直ぐな目でヴィル達に向けそう言い放った。
「はぁ? 最後まで何を意味わかんねぇ事言ってやがる」
「辛うじて意識を保っているのよ。無理もないわ」
「ハハハハ。幾らお前でも七聖天3人相手は無理だよね。まぁ仮に俺が1人だったとしても勝てないでしょ、普通に」
ユリマにとっては絶体絶命の状況。
しかし、彼女は“現状”の事も視た未来で知っていた――。
だからこそユリマはヴィル、ジャンヌ、デイアナの七聖天3人をここで足止めし、グリム達がデバレージョを無事旅立てるよう足止めしていたのだ。
ユリマ自身も神器に選ばれし者であるが、同じ神器に選ばれた彼ら3人を同時に相手する事は到底不可能。万が一にもユリマに勝ち目などない。だがそこまで全てを知った上で尚、ユリマは己が出来る最善のの選択をしていた。
魔道賢書ノアズの輝きが弱まりながらも彼女は力を振り絞ってヴィル達に魔法を放つが、彼ら相手に下級魔法など食らう訳がない。ユリマが最後に振り絞った魔法攻撃はまるで虫を払うかの如く簡単に搔き消されてしまった。
「諦めが悪いね。お前さ、何で毎回毎回俺の邪魔するの? 俺は兄さんを殺したいだけなんだ。その邪魔をするならお前から殺してやるよ」
ヴィルはそう言いながら剣を振り上げた。
「おい、待てヴィル。コイツは殺さずに生け捕りだと国王から言われてるだろ」
「そうよ。殺してはダメ。裏切り者とは言えユリマはまだ利用価値が十分にあるんだから」
ユリマを殺そうとしているヴィルをジャンヌとデイアナが止め、ヴィルは興醒めと言わんばかりに剣を降ろした。
だが……。
「ちっ。でもまぁ“生きていれば”いいんだよね。腕や足を切断するぐらいなら死なないでしょ」
ヴィルは不敵な笑みを浮かべた瞬間、降ろしていた剣を再び振り上げ、目にも止まらぬ速さでユリマの体を斬りつけた。
「ぐッ!?」
腹部を斬られたユリマは激しい血飛沫と共に地面に倒れ込み、斬ったヴィルは更に倒れたユリマの傷口を足で踏みつけた。
「ゔゔゔッ……!」
「ハハハ。いい気味。でもこれじゃ全然消化不良なんだよね。俺すげぇ苛ついてんだよお前に。さて、何処から斬り落とそうか」
ヴィルがユリマを見下す目は最早人を見る目ではなかった。一切の感情を感じさせない冷酷非情な視線。ヴィルは彼女を踏みつけたまま、ユリマの片腕を落とそうと再び剣を振り上げた。
しかし、横にいたジャンヌが暴走し出したヴィルを抑止したのだった。
「止めろやヴィル! もう十分だ。ユリマはもう限界、これ以上は死ぬぞ」
「だったら何?」
「コイツはお前の玩具じゃねぇ。国王からも殺すなと言われてるだろうが。趣味の悪い甚振りはお前の兄貴とやらにするんだな」
「何それ、詰まんないな。だったらジャンヌの言う通り、俺はこのデバレージョに隠れてる兄さんの所に先に向かう事にするよ。後の事は全部2人でやっといて」
ふて腐れる様にそう言ったヴィルは剣を納め、そのまま結界が解かれたデバレージョ町へと向かって行ってしまった。
「全く。大団長とは言えまだ中身はガキだな」
「そんなブツブツ言ってる暇はないわ。まだ動ける団員達を集めて、私達もユリマを連れて王都に戻るわよ」
デイアナに促され、ジャンヌも面倒くさそうに動き始めた。
「グリム……エミリア……フーリン……ハク……。後は頼みましたよ――」
遠のく意識の中、ユリマは誰にも聞こえないであろうか弱い声でそう言い、彼女は最後に口元を微笑ませながら意識を失った――。
~デバレージョ町・結果外~
グリム達が魔法陣を使用して祖の王国へ転移したと同時刻。
デバレージョ町を囲った結界の外にユリマは何時もの如く立っていた。
「どうやらグリム達は無事旅立ったようですね――」
静かに独り言を漏らすユリマ。手には魔道賢書ノアズを広げ、彼女の視界にはもう10回以上は見たであろう無数に転がる騎士魔法団員の屍の姿が映っていた。
最早日課と化していた騎士魔法団員との戦闘。それは勿論デバレージョ町とグリム達を守る為。ユリマは今日もまた、1人で全ての団員達を返り討ちにしていたのだ。
彼女がグリム達の見送りに行けなかった理由はコレ。
しかし、今日の戦闘もこれまでと“同じ”ならばまだユリマはグリム達の元に駆けつける事が出来た。だがそれが出来なくなってしまった最大の理由が――。
「もう立っているのもやっとだね、ユリマ・サーゲノム」
「本気で俺達全員を相手に出来ると思ってんのかコイツは」
「七聖天でも1番頭が良いと思っていた貴方が、まさかこんな行動に出るなんて意外だったわ」
霞みゆくユリマの視線の先、そこには地面に転がる団員達とは圧倒的に違う強さを纏った、“神器”を手にする3人の人間が立っていた。
バチバチと音を鳴らしながらその手にする槍に雷を纏わせている男は、ユリマと同じ七聖天が1人、神器『雷槍グルニグ』に選ばれし“ジャンヌ・ジャン4世”。
そんなジャンヌの反対側におり、カールがかかったショートヘアに草冠をしている女はこれまた七聖天が1人、神器『狩弓アルテミス』に選ばれし“デイアナ・ムンサルト”であった。彼女の手にする『狩弓アルテミス』は煌びやかな銀色に輝いている。
圧倒的強者のオーラを纏うジャンヌとデイアナより、更に底の見えない強者のオーラを纏いながら堂々と真ん中に位置している青年。
彼は間違いなく現リューティス王国最強の剣士であり、全ての騎士魔法団員のトップに立つ騎士団大団長。そして七聖天でもその実力が最も強いと謳われる『神剣ジークフリード』に選ばれし“ヴィル・レオハート”だ。
「貴方達ではないのですよ……。3神柱が希望を託したのは、終焉から世界を救えるのは、絶対に貴方達ではない」
血が流れ視界が霞む。意識も朦朧とし体はフラフラ。もう魔力も体力も底をついていながらも、ユリマは力強い真っ直ぐな目でヴィル達に向けそう言い放った。
「はぁ? 最後まで何を意味わかんねぇ事言ってやがる」
「辛うじて意識を保っているのよ。無理もないわ」
「ハハハハ。幾らお前でも七聖天3人相手は無理だよね。まぁ仮に俺が1人だったとしても勝てないでしょ、普通に」
ユリマにとっては絶体絶命の状況。
しかし、彼女は“現状”の事も視た未来で知っていた――。
だからこそユリマはヴィル、ジャンヌ、デイアナの七聖天3人をここで足止めし、グリム達がデバレージョを無事旅立てるよう足止めしていたのだ。
ユリマ自身も神器に選ばれし者であるが、同じ神器に選ばれた彼ら3人を同時に相手する事は到底不可能。万が一にもユリマに勝ち目などない。だがそこまで全てを知った上で尚、ユリマは己が出来る最善のの選択をしていた。
魔道賢書ノアズの輝きが弱まりながらも彼女は力を振り絞ってヴィル達に魔法を放つが、彼ら相手に下級魔法など食らう訳がない。ユリマが最後に振り絞った魔法攻撃はまるで虫を払うかの如く簡単に搔き消されてしまった。
「諦めが悪いね。お前さ、何で毎回毎回俺の邪魔するの? 俺は兄さんを殺したいだけなんだ。その邪魔をするならお前から殺してやるよ」
ヴィルはそう言いながら剣を振り上げた。
「おい、待てヴィル。コイツは殺さずに生け捕りだと国王から言われてるだろ」
「そうよ。殺してはダメ。裏切り者とは言えユリマはまだ利用価値が十分にあるんだから」
ユリマを殺そうとしているヴィルをジャンヌとデイアナが止め、ヴィルは興醒めと言わんばかりに剣を降ろした。
だが……。
「ちっ。でもまぁ“生きていれば”いいんだよね。腕や足を切断するぐらいなら死なないでしょ」
ヴィルは不敵な笑みを浮かべた瞬間、降ろしていた剣を再び振り上げ、目にも止まらぬ速さでユリマの体を斬りつけた。
「ぐッ!?」
腹部を斬られたユリマは激しい血飛沫と共に地面に倒れ込み、斬ったヴィルは更に倒れたユリマの傷口を足で踏みつけた。
「ゔゔゔッ……!」
「ハハハ。いい気味。でもこれじゃ全然消化不良なんだよね。俺すげぇ苛ついてんだよお前に。さて、何処から斬り落とそうか」
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しかし、横にいたジャンヌが暴走し出したヴィルを抑止したのだった。
「止めろやヴィル! もう十分だ。ユリマはもう限界、これ以上は死ぬぞ」
「だったら何?」
「コイツはお前の玩具じゃねぇ。国王からも殺すなと言われてるだろうが。趣味の悪い甚振りはお前の兄貴とやらにするんだな」
「何それ、詰まんないな。だったらジャンヌの言う通り、俺はこのデバレージョに隠れてる兄さんの所に先に向かう事にするよ。後の事は全部2人でやっといて」
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