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63 最悪のシチュエーション
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♢♦♢
~ローロマロ王国・閻魔闘技場~
「さぁ、今度こそ着いたよ」
ずっと先頭を飛んでいたイヴが、俺達の方へ振り返って言った。
「何だここは」
イヴに案内された場所。それは活気づくローロマロ王国でも更に異様な盛り上がりを見せている場所だった。
リューティス王国に次ぐローロマロ王国は、当然の如く暮らしている人々も多ければ街も賑わっている。それはここに来るまでの道中で十分に体感出来た。観光客や商店も多くどこも活気づいていた。
だが、今俺達の目の前はそれ以上だろう。
視界の先には見た事もない大きさを誇る円形の建造物。見た感じ石の様な材質で造られた建造物は全体に細かい装飾が施されている。何より1番最初に目に留まるのが、これまた石を削って造られているであろう外壁に施された仰々しく悍ましい、不気味な笑顔を浮かべた大きな顔の石像だ。
あれが何をモチーフに造られたのかは定かじゃない。だが見ただけで何故か寒気がしてくる。それぐらい意味不明な不気味さだ。そしてこの中から物凄い熱気や歓喜が溢れ出ている。建物から少し距離があるにも関わらず、ここまで響いてくる声のせいでその凄さが直に伝わってくる。
俺達は何かも分からないその大きな建物に呆気を取られていた。
「ヒッヒッヒッ、何だね? ここには来た事がないのかい? これはローロマロ王国で最も面白く有名な場所、“閻魔闘技場”だよ――」
閻魔闘技場。
なんとなく小さい頃に聞いた事ある気するけど……ダメだ。思い出せん。何この建物。
そう思っていると、まるで俺の心の声を読み取ったと言わんばかりのタイミングでエミリアが口を開いた。
「閻魔闘技場と言えば、ありとあらゆる者達が命懸けで戦うっていうローロマロ王国の有名な観光地の場所の1つだよね。私も初めて見たけど、昔お父さんから話を聞かせてもらった事があるよ」
「どうやら知ってるのはアンタだけみたいだねぇエミリア。そっちの男共はもう少しその頭に知識を蓄えな」
イヴの容赦ない言葉。言い返せない上にごもっともだから余計に自分が情けない。くそう。
「私も聞いた話だけど、ここは人や猛獣やモンスターを戦わせているって言ってたけど本当なの?」
「ああ。その通りさ」
さらっと当然の如く会話してるけどさ、何それ。そんな危ない事する場所なのここ。
って、ちょっと待て。
刹那、俺は何故かとんでもなく恐ろしい予感がし、1つの“最悪なシチュエーション”が脳裏を駆け巡った。全身が震えに襲われる程。
「そんな場所が存在するのか。ならばここには強者が集まっているという事だな」
「少しは頭が使える様だねぇフーリン。そうさ、ここには世界中からアンタみたいな“戦闘馬鹿”が集まる場所。寧ろ弱い奴の方が少ないだろう。人間は勿論、動物もモンスターも獰猛な奴ばかりが集まっているからねぇ」
今のイヴの言葉で、俺は感じていた恐ろしい予感が確信に変わってしまった。最悪だ。まさかとは思うが……。俺は1人で1度深呼吸をし、覚悟を決めてイヴに問いた。
「な、なぁ、イヴ。ここにはどれぐらい強い奴がいるんだ?」
「そうだねぇ。元々ローロマロ王国は、リューティス王国や他の王国みたいに騎士魔法団という当たり前の概念や文化がまず存在しない、面白い王国なのさ。
この王国には確かに騎士魔法団と少し似た部隊があるにはあるが、そうだねぇ、この閻魔闘技場を生業にしている国王の“親衛隊”であれば、その実力は間違いなく七聖天に匹敵するだろうねぇ」
やべぇ。
思った以上にヤバい場所だった。だがもうここまできたら核心に迫るしかない。聞きたくないけど。
「成程、七聖天に匹敵する奴らね。成程成程。……で? どうして俺達をそんな所に連れて来たんだよ」
俺は自分でイヴに聞きながらも、既に心の何処かでこの答えを分かっていた。しかし俺はそれを分かった上で尚、僅かな希望に懸けてイヴに問いているのだ。
だがしかし。
俺のそんな僅かな希望は一瞬で塵と化した――。
「ヒーーヒッヒッヒッヒッ! 回りくどい聞き方をしても何も変わらぬぞグリム! そうさ、この答えは今まさにアンタが思っている“最悪シチュエーション”通り!
アンタ達にはもっと強くなってもらう為、この閻魔闘技場で“戦士”として戦ってもらうからねぇ! 覚悟しなッ! ヒッーーヒッヒッヒッ!」
その刹那、仰け反り笑うイヴの悍ましい笑顔が、俺には閻魔闘技場に施された大きく不気味な笑顔を見せているあの石像の顔と重なった――。
「ヒッーーヒッヒッヒッヒッ!」
いや、まさかな。
単なる偶然だろう。
でも高笑いするイヴのこの面を見れば見る程、俺はもうあの悍ましい石像と同じにしか見えなくなっていた。
閻魔闘技場……。戦士……。戦い……。
俺達はこれから一体どうなってしまうのだろうか。
先の見えない不安とイヴの悍ましい笑顔が俺の頭を埋め尽くしていると、今度はハクが徐に意味深な事を口にした。
「そっか。閻魔闘技場の戦士との特訓なら確かに」
「何が確かになんだよハク」
「あのね、これはさっきイヴも言ったけどローロマロ王国は他の王国と違って少し特殊な王国なの。何が特殊かって、1番の理由がここなのよ。閻魔闘技場、そしてここで戦っている戦士のその“戦い方”が他にはない特殊な力を扱っているの――」
~ローロマロ王国・閻魔闘技場~
「さぁ、今度こそ着いたよ」
ずっと先頭を飛んでいたイヴが、俺達の方へ振り返って言った。
「何だここは」
イヴに案内された場所。それは活気づくローロマロ王国でも更に異様な盛り上がりを見せている場所だった。
リューティス王国に次ぐローロマロ王国は、当然の如く暮らしている人々も多ければ街も賑わっている。それはここに来るまでの道中で十分に体感出来た。観光客や商店も多くどこも活気づいていた。
だが、今俺達の目の前はそれ以上だろう。
視界の先には見た事もない大きさを誇る円形の建造物。見た感じ石の様な材質で造られた建造物は全体に細かい装飾が施されている。何より1番最初に目に留まるのが、これまた石を削って造られているであろう外壁に施された仰々しく悍ましい、不気味な笑顔を浮かべた大きな顔の石像だ。
あれが何をモチーフに造られたのかは定かじゃない。だが見ただけで何故か寒気がしてくる。それぐらい意味不明な不気味さだ。そしてこの中から物凄い熱気や歓喜が溢れ出ている。建物から少し距離があるにも関わらず、ここまで響いてくる声のせいでその凄さが直に伝わってくる。
俺達は何かも分からないその大きな建物に呆気を取られていた。
「ヒッヒッヒッ、何だね? ここには来た事がないのかい? これはローロマロ王国で最も面白く有名な場所、“閻魔闘技場”だよ――」
閻魔闘技場。
なんとなく小さい頃に聞いた事ある気するけど……ダメだ。思い出せん。何この建物。
そう思っていると、まるで俺の心の声を読み取ったと言わんばかりのタイミングでエミリアが口を開いた。
「閻魔闘技場と言えば、ありとあらゆる者達が命懸けで戦うっていうローロマロ王国の有名な観光地の場所の1つだよね。私も初めて見たけど、昔お父さんから話を聞かせてもらった事があるよ」
「どうやら知ってるのはアンタだけみたいだねぇエミリア。そっちの男共はもう少しその頭に知識を蓄えな」
イヴの容赦ない言葉。言い返せない上にごもっともだから余計に自分が情けない。くそう。
「私も聞いた話だけど、ここは人や猛獣やモンスターを戦わせているって言ってたけど本当なの?」
「ああ。その通りさ」
さらっと当然の如く会話してるけどさ、何それ。そんな危ない事する場所なのここ。
って、ちょっと待て。
刹那、俺は何故かとんでもなく恐ろしい予感がし、1つの“最悪なシチュエーション”が脳裏を駆け巡った。全身が震えに襲われる程。
「そんな場所が存在するのか。ならばここには強者が集まっているという事だな」
「少しは頭が使える様だねぇフーリン。そうさ、ここには世界中からアンタみたいな“戦闘馬鹿”が集まる場所。寧ろ弱い奴の方が少ないだろう。人間は勿論、動物もモンスターも獰猛な奴ばかりが集まっているからねぇ」
今のイヴの言葉で、俺は感じていた恐ろしい予感が確信に変わってしまった。最悪だ。まさかとは思うが……。俺は1人で1度深呼吸をし、覚悟を決めてイヴに問いた。
「な、なぁ、イヴ。ここにはどれぐらい強い奴がいるんだ?」
「そうだねぇ。元々ローロマロ王国は、リューティス王国や他の王国みたいに騎士魔法団という当たり前の概念や文化がまず存在しない、面白い王国なのさ。
この王国には確かに騎士魔法団と少し似た部隊があるにはあるが、そうだねぇ、この閻魔闘技場を生業にしている国王の“親衛隊”であれば、その実力は間違いなく七聖天に匹敵するだろうねぇ」
やべぇ。
思った以上にヤバい場所だった。だがもうここまできたら核心に迫るしかない。聞きたくないけど。
「成程、七聖天に匹敵する奴らね。成程成程。……で? どうして俺達をそんな所に連れて来たんだよ」
俺は自分でイヴに聞きながらも、既に心の何処かでこの答えを分かっていた。しかし俺はそれを分かった上で尚、僅かな希望に懸けてイヴに問いているのだ。
だがしかし。
俺のそんな僅かな希望は一瞬で塵と化した――。
「ヒーーヒッヒッヒッヒッ! 回りくどい聞き方をしても何も変わらぬぞグリム! そうさ、この答えは今まさにアンタが思っている“最悪シチュエーション”通り!
アンタ達にはもっと強くなってもらう為、この閻魔闘技場で“戦士”として戦ってもらうからねぇ! 覚悟しなッ! ヒッーーヒッヒッヒッ!」
その刹那、仰け反り笑うイヴの悍ましい笑顔が、俺には閻魔闘技場に施された大きく不気味な笑顔を見せているあの石像の顔と重なった――。
「ヒッーーヒッヒッヒッヒッ!」
いや、まさかな。
単なる偶然だろう。
でも高笑いするイヴのこの面を見れば見る程、俺はもうあの悍ましい石像と同じにしか見えなくなっていた。
閻魔闘技場……。戦士……。戦い……。
俺達はこれから一体どうなってしまうのだろうか。
先の見えない不安とイヴの悍ましい笑顔が俺の頭を埋め尽くしていると、今度はハクが徐に意味深な事を口にした。
「そっか。閻魔闘技場の戦士との特訓なら確かに」
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