スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ

文字の大きさ
82 / 112

神父と拳闘士②

しおりを挟む
♢♦♢

~ローロマロ王国~

 グリム一行の元へ、突如訪れたローロマロ王国の戦士ヘラクレス。ウェスパシアの予知夢によって導かれ、抗う事が出来ないと悟ったイヴは遂に諦めウェスパシアの元へと向かうのだった。

 グリム達がエネルギーの流れの特訓を始めて早6日目。
 彼らが立ち去ったローロマロ王国の荒地では、密かにグリム達の動向を伺う怪しい影が迫っていた――。


「ホッホッホッ。どうですか? 行った通り邪神を見つけましたよカルさん」
「ああ。確かに“やっと”見つけたな。アレが邪神とその味方をしている謎の人間達か」

 何処からともなく荒地に静かに響いた声。
 次の瞬間、突如空間に歪みが生じるや否や、その歪みの中から2人の男が姿を現した。

 現れた男はローゼン・クリス神父とカル・ストデウス。リューティス王国が誇る七聖天のメンバーであり、先のラドット渓谷での一件からグリム達を追って来た存在だ。

「いやはや、それにしてもあのシシガミとイヴという邪神は計り知れない魔力を持っていましたね。あれは些か厄介ですな」
「流石に世界をどうこうしようとしているだけはあるみたいだ。口だけの奴らではない。だがそれよりも、俺は他に気になる事が2つある――」

 カルは何やら意味ありげな表情を浮かべながらローゼン神父にそう言った。ラドット渓谷でのカルはとても冷静で落ち着いた雰囲気を纏っていたが、今は何処か鋭い目つきをしている。

「気になる事? それはなんでしょうかカルさん。悩みがあるのならば、神父の私が貴方の魂を健やかなる方へ導いてあげますよ」

 神父と呼ばれるだけあって、どうやら彼は七聖天のメンバーであり本物の神父でもある様だ。

 だがしかし、この時ローゼン神父はまだ知らなかった。
 今の発言がブーメランとなって自分に返って来るという事を。

「……成程。じゃあ早速聞いてもらうが、そもそも悩みではない。まず気になる1つ目の事、それは“木の杖”を持っていたあの少女の事だ。
俺もしっかりと顔を覚えていた訳ではないが、彼女は確か呪われた世代とか呼ばれていた子の1人だ」
「ほほう、あの子が。確か呪われた世代と言えば、彼女の他にもあのグリード“元”大団長のご子息もおりましたな」
「ああそうだ。彼の息子とあの木の杖の少女、それともう1人いるみたいだが今はその事より、何故その少女が邪神と行動を共にしているのかだ。横にいた双剣と槍の少年もな」

 グリム達が去り、誰もいなくなった荒地を見つめながらカルはそう口にしていた。

「そう言われると気になりますね。因みに今のが1つ目となるともう1つは何でしょうか」
「なぁローゼン神父、アンタそれ本気で言っているのか」
「……と、言いますと?」

  カルが何か言いたそうな態度に対し、全く身に覚えがない様子のローゼン神父は訝しい表情でカルに尋ねている。そんなローゼン神父を見たカルは少し呆れ顔で、ここぞとばかりに内に秘めていた思いを全て彼に告げたのだった。

「もう1つは他でもない、ここに辿り着くまでのアンタの“転移魔法”の事だ――」

 そう。
 ローゼン神父とカルがグリム達の後を追ってもう6日目。彼らはラドット渓谷を出てからついさっきグリム達を見つけるまでの間、ずっとイヴの魔力の残り香を追って異空間を彷徨っていたのだった。

「先ず誤解のない様言っておくが、アンタの魔法には感謝しているぞローゼン神父。俺は波動を扱う者だから魔法に関して一切文句を言える立場でもなければ、“リューティス王国一の魔法使い”であるアンタに不満はない。
だがな、それを差し引いたとしても時間掛かり過ぎだろ。6日だぞ」
「ホッホッホッ、そこは流石邪神とでも言うべきでしょうか。いやはやこんな事は私も初めてですな。邪神イヴの転移魔法が複雑で残り香を追うのに苦労しましたよ」

 ローゼン神父はカルに悪いと思いながらも、変わらずマイペースな感じである。リューティス王国で1番の魔法の使い手であるローゼン神父の力を持ってしても6日目も掛かってしまった。

 いや、ローゼン神父だからこそ6日でグリム達に追いつき見つける事まで出来たのだ。普通の魔法使いであればそもそも魔力の残り香の追尾すらままならない。転移魔法ですら扱える者が限られる高等魔法でもある。

「まぁもういい、結果奴らを見つけた事だしな。後は邪神とあの少年達を倒して拘束するだけだ」
「そうですね。邪神の倒せば国王の機嫌も良くなるでしょう。そうすれば手柄を上げた私達はとんでもない報酬が待っていますぞカルさん。ホッホッホッホッ」

 そう言って高笑いするローゼン神父の顔は今までの穏やかな表情から一変し、神父ならぬ私利私欲の欲望に憑りつかれた不気味な笑顔を見せていた。しかし、そんなローゼン神父とは対照的に、カルは再びグリム達が去った荒地を眺めながら1人何かを考えている様子であった。

(ラドット渓谷の時もそうだったが、奴らは死人を1人も出さなかった。それにこのローロマロ王国には何が目的で来た……?
世界を滅ぼそうとしている邪神がわざわざ人間と行動を共にしている上に、あの少年達と訓練みたいな事をしている行動もまるで意図が分からん。一体何が目的だ。国王から聞いていた邪神達のイメージとまるで違う――。

いや、だがあの邪神達が凄まじい力を持っているのは確か……。それこそ世界を自分達の手に出来る程に。油断は禁物だ。奴らの行動は引き続き注視する必要がある。そこでタイミング見計らい仕留めるか)

 カルが無言で考え事をしていると、ローゼン神父が彼に話し掛けた。

「どうしましたかカルさん。まだ他にも悩みが?」
「だから悩みではない。邪神達の狙いを考えているだけだ」
「成程、確かに奴らの行動は読めませんな。何故こんな所に来たのかも不明ですが、私的にはあのヘラクレスと繋がっている事も驚きですよ」
「ヘラクレス? それって邪神イヴの前で片膝ついていた奴か?」
「そうです。彼はローロマロ王国の国王側近でもある“親衛隊隊長”。役割は似ていますが、この国では騎士魔法団という呼び方ではなく親衛隊と呼ぶのが一般的ですね。
それに彼らは戦士とも呼ばれていて、我々とは異なる“気”とか言うエネルギーを用いて戦う特殊な存在です。勿論戦士と呼ばれる者達の実力も様々ですが、ヘラクレス率いる親衛隊は、噂では我々七聖天とも“同格”とか――」

 ローゼン神父のまさかの発言に、聞いていたカルの眉がピクリと動いた。

「そんな奴らがこの国にいるのか。今まで知らなかったな」
「ローロマロ王国は色々と独自な文化を持つ変わった国ですからな。余り他国とも交流が無く、元から情報が少ない国なんですよ」
「独自の文化ね……。確かにヘラクレスとか言うあの男、事もあろうか邪神を崇拝している様な感じだったな。アイツ個人だけが繋がっているのか、はたまた“この国”が繋がっているのか」
「ホッホッホッ。邪神がこの国の戦士を洗脳して、自分達の駒として扱おうとしているとも考えられますな」
「ああ。兎に角奴らを追うぞ。何を企んでいるか探らないとな」

 ローゼン神父とカルは話を終えると、彼らは再びグリム達の後を追うのだった――。
しおりを挟む
感想 73

あなたにおすすめの小説

【状態異常耐性】を手に入れたがパーティーを追い出されたEランク冒険者、危険度SSアルラウネ(美少女)と出会う。そして幸せになる。

シトラス=ライス
ファンタジー
 万年Eランクで弓使いの冒険者【クルス】には目標があった。  十数年かけてため込んだ魔力を使って課題魔法を獲得し、冒険者ランクを上げたかったのだ。 そんな大事な魔力を、心優しいクルスは仲間の危機を救うべく"状態異常耐性"として使ってしまう。  おかげで辛くも勝利を収めたが、リーダーの魔法剣士はあろうことか、命の恩人である彼を、嫉妬が原因でパーティーから追放してしまう。  夢も、魔力も、そしてパーティーで唯一慕ってくれていた“魔法使いの後輩の少女”とも引き離され、何もかもをも失ったクルス。 彼は失意を酩酊でごまかし、死を覚悟して禁断の樹海へ足を踏み入れる。そしてそこで彼を待ち受けていたのは、 「獲物、来ましたね……?」  下半身はグロテスクな植物だが、上半身は女神のように美しい危険度SSの魔物:【アルラウネ】  アルラウネとの出会いと、手にした"状態異常耐性"の力が、Eランク冒険者クルスを新しい人生へ導いて行く。  *前作DSS(*パーティーを追い出されたDランク冒険者、声を失ったSSランク魔法使い(美少女)を拾う。そして癒される)と設定を共有する作品です。単体でも十分楽しめますが、前作をご覧いただくとより一層お楽しみいただけます。 また三章より、前作キャラクターが多数登場いたします!

【1/20本編堂々完結!】自力で帰還した錬金術師の爛れた日常

ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」 帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。 さて。 「とりあえず──妹と家族は救わないと」 あと金持ちになって、ニート三昧だな。 こっちは地球と環境が違いすぎるし。 やりたい事が多いな。 「さ、お別れの時間だ」 これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。 ※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。 ※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。 ゆっくり投稿です。

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

悪役貴族に転生したから破滅しないように努力するけど上手くいかない!~努力が足りない?なら足りるまで努力する~

蜂谷
ファンタジー
社畜の俺は気が付いたら知らない男の子になっていた。 情報をまとめるとどうやら子供の頃に見たアニメ、ロイヤルヒーローの序盤で出てきた悪役、レオス・ヴィダールの幼少期に転生してしまったようだ。 アニメ自体は子供の頃だったのでよく覚えていないが、なぜかこいつのことはよく覚えている。 物語の序盤で悪魔を召喚させ、学園をめちゃくちゃにする。 それを主人公たちが倒し、レオスは学園を追放される。 その後領地で幽閉に近い謹慎を受けていたのだが、悪魔教に目を付けられ攫われる。 そしてその体を魔改造されて終盤のボスとして主人公に立ちふさがる。 それもヒロインの聖魔法によって倒され、彼の人生の幕は閉じる。 これが、悪役転生ってことか。 特に描写はなかったけど、こいつも怠惰で堕落した生活を送っていたに違いない。 あの肥満体だ、運動もろくにしていないだろう。 これは努力すれば眠れる才能が開花し、死亡フラグを回避できるのでは? そう考えた俺は執事のカモールに頼み込み訓練を開始する。 偏った考えで領地を無駄に統治してる親を説得し、健全で善人な人生を歩もう。 一つ一つ努力していけば、きっと開かれる未来は輝いているに違いない。 そう思っていたんだけど、俺、弱くない? 希少属性である闇魔法に目覚めたのはよかったけど、攻撃力に乏しい。 剣術もそこそこ程度、全然達人のようにうまくならない。 おまけに俺はなにもしてないのに悪魔が召喚がされている!? 俺の前途多難な転生人生が始まったのだった。 ※カクヨム、なろうでも掲載しています。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

処理中です...