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第2章~試験と赤髪と海上ギルド~
13 観戦するのも悪くない
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やけに返事が良すぎると思ったんだ―。
確かに僕は今言ったさ。
「ティファーナ行くよ!」
「OK!」
でも普通分かるじゃん。この流れで僕が「行くよ」って言ったらどう考えてもこの場から“立ち去る方へ”行くよね。当たり前だよ? ティファーナ。
それなのに何故君は“そっち”だと思ったんだい?
もっと分かりやすく言おうか。誰がどう考えても、この状況で僕が言った「行くよ」は今来た道を戻るという事。騎士団の入団試験をやっていると分かったなら尚更だ。最早その1つの選択しかないのに。
どうして僕は今、君の走る後姿を見ているのだろう。後ろから見てもスタイルが良いと分かるよ。靡く髪もサラサラしていて綺麗だと思う。
だが、君が走り出したその方向は余りに奇天烈な発想だ。
君が今出したその答えはきっと、神様でも理解出来ないと思う―。
「――何故そっちに走ったぁぁぁぁ⁉⁉⁉」
もう僕の声は届いていない。
『『ウオォォォォォォォォ!!!!!!!』』
それほど離れていない距離だが、大勢の人の声と召喚獣の呻き声が森中に響き渡っている。
そしてティファ―ナ。君が向かったその先は、まさに剣と魔法が無数に犇めく群雄割拠の地―。
騎士団の入団を希望する者達が、覚悟と決意を持って戦っている入団試験のど真ん中だぞ!
「――いくよ……それ!それ!それぇ!」
バシュン!バシュン!バシュン!
さっきよりティファ―ナの姿が小さく見える。更に加速して進んだ様だ。そして気のせいだと有り難いが、僕の見たものが確かなら、今ティファ―ナは3発の攻撃魔法を放って3体の召喚獣を倒した模様。
まるで流れる川の如し。足場も悪く、大勢いる人の中を上手くかいくぐる無駄のない動き。からの滑らかに魔力を練り上げての攻撃魔法。見事だ。
「……って違うだろ!!何でそっちに走り込んで挙句、君も召喚獣倒しているんだよ!戻って来いティファ―ナ!」
「どんどんいくわよ!」
「いっちゃダメだって!……うわぁ!危ない」
しまった。ティファ―ナのお尻を夢中で追っていたらいつの間にか僕も試験のど真ん中だ。ここは危険すぎる。
『グゥゥ!』
『グルルル!』
ほら。思ったそばからもう2体に目を付けられた。やっぱり僕って何か狙われやすいのか?
「やば、どうしよう。僕でも倒せるレベルかな?」
自慢じゃないが、僕が撃てる魔法なんて下級魔法のみだぞ。しかも数発。
不幸中の幸いと言えるのか分からないが、一応僕の魔力は火属性。召喚獣だけど、獣や動物だから何となく火が効けばいいなと思ってる。
どの道この状況はマズイ。物は試し。先手必勝。
僕は魔力を練り上げて、召喚獣目掛けて魔法を放つ―。
「……“火の玉”!」
――ボスンッ!ボスンッ!
よし!2体とも命中だ。動かないけど、思いのほか食らったのか……?
淡い期待をしたのも束の間、衝突で生まれた煙が次第に召喚獣の姿を現していくと、またその鋭い視線と呻き声を発しながら僕に飛び掛かって来た。
「うわぁぁぁッ⁉⁉」
やばい……!!
――バシュン!
――ズバンッ!
「――え……⁉」
それは一瞬の出来事。
「大丈夫かい?」
「ジルー!大丈夫?」
「ティファ―ナ……クレイさん……?」
間一髪助かったみたいだ。また助けられてしまったな……不甲斐ない。
「気をつけなくちゃダメよ。ジル弱いんだから!」
ゔっ……!
た、確かにそうだけど、こんなに面と向かって言われると流石に傷つく。しかも君に言われると尚更だ。
「さっきディオルドが助けてた子だね。彼女とデートしてるなら直ぐにここを離れた方が良いよ。危ないから」
「あ、助けてくれてありがとうございます。僕も是非そうしたいんですが……「また来た!」
――バシュン!
「命中!」
「やるねお嬢ちゃん」
「まだまだ!私の実力はこんなものじゃないわよ」
「それは興味深い。それじゃあどちらが多く倒せるか競争しないかい?」
「乗った」
乗ったじゃないよ。
まともな人かと思ったら結構アホだぞこの人も。いや、助けてくれた人を悪く言うつもりはさらさらないが、自分でも危ないから離れた方がいいって言ったじゃん。ものの数秒前に。言ったじゃん。それが何故こうなる?
「今何体倒した?」
「え~と、今ので4かな」
「そうか。僕は3体だから、ここから何体倒せるかの勝負だね」
「私こんな勝負初めてだからワクワクしてきた!」
「いいね~!それじゃあ始めるぞ。よーい……スタート!」
合図と同時に、ティファ―ナとクレイさんは勢いよく狩りを始めた。
『『ウオォォォォォォォォ!!!!!!!』』
相変わらず凄まじい熱気、闘気、生気、殺気、活気だ。もう好きにしてくれ。僕は疲れた。はぁ~、とんだ初デートになったな。これはこれで一生の思い出になりそうだ。
人生初デートが、スライム討伐の後に相手の女の子が騎士団の入団試験乱入なんて前代未聞。
誰も経験したことがないだろコレは。10年後に笑って話せる様な良い思い出になるといいな。とても今すぐ受け入れるのは無理。
途方に暮れた僕は、少し離れた木に寄りかかる様に座り、勝手に試験を観戦させてもらった。
「おお~。今の人凄かったなぁ。あっちの人も強いぞ」
観戦するのも案外悪くない。
そしてそのまま1時間が経過した―。
確かに僕は今言ったさ。
「ティファーナ行くよ!」
「OK!」
でも普通分かるじゃん。この流れで僕が「行くよ」って言ったらどう考えてもこの場から“立ち去る方へ”行くよね。当たり前だよ? ティファーナ。
それなのに何故君は“そっち”だと思ったんだい?
もっと分かりやすく言おうか。誰がどう考えても、この状況で僕が言った「行くよ」は今来た道を戻るという事。騎士団の入団試験をやっていると分かったなら尚更だ。最早その1つの選択しかないのに。
どうして僕は今、君の走る後姿を見ているのだろう。後ろから見てもスタイルが良いと分かるよ。靡く髪もサラサラしていて綺麗だと思う。
だが、君が走り出したその方向は余りに奇天烈な発想だ。
君が今出したその答えはきっと、神様でも理解出来ないと思う―。
「――何故そっちに走ったぁぁぁぁ⁉⁉⁉」
もう僕の声は届いていない。
『『ウオォォォォォォォォ!!!!!!!』』
それほど離れていない距離だが、大勢の人の声と召喚獣の呻き声が森中に響き渡っている。
そしてティファ―ナ。君が向かったその先は、まさに剣と魔法が無数に犇めく群雄割拠の地―。
騎士団の入団を希望する者達が、覚悟と決意を持って戦っている入団試験のど真ん中だぞ!
「――いくよ……それ!それ!それぇ!」
バシュン!バシュン!バシュン!
さっきよりティファ―ナの姿が小さく見える。更に加速して進んだ様だ。そして気のせいだと有り難いが、僕の見たものが確かなら、今ティファ―ナは3発の攻撃魔法を放って3体の召喚獣を倒した模様。
まるで流れる川の如し。足場も悪く、大勢いる人の中を上手くかいくぐる無駄のない動き。からの滑らかに魔力を練り上げての攻撃魔法。見事だ。
「……って違うだろ!!何でそっちに走り込んで挙句、君も召喚獣倒しているんだよ!戻って来いティファ―ナ!」
「どんどんいくわよ!」
「いっちゃダメだって!……うわぁ!危ない」
しまった。ティファ―ナのお尻を夢中で追っていたらいつの間にか僕も試験のど真ん中だ。ここは危険すぎる。
『グゥゥ!』
『グルルル!』
ほら。思ったそばからもう2体に目を付けられた。やっぱり僕って何か狙われやすいのか?
「やば、どうしよう。僕でも倒せるレベルかな?」
自慢じゃないが、僕が撃てる魔法なんて下級魔法のみだぞ。しかも数発。
不幸中の幸いと言えるのか分からないが、一応僕の魔力は火属性。召喚獣だけど、獣や動物だから何となく火が効けばいいなと思ってる。
どの道この状況はマズイ。物は試し。先手必勝。
僕は魔力を練り上げて、召喚獣目掛けて魔法を放つ―。
「……“火の玉”!」
――ボスンッ!ボスンッ!
よし!2体とも命中だ。動かないけど、思いのほか食らったのか……?
淡い期待をしたのも束の間、衝突で生まれた煙が次第に召喚獣の姿を現していくと、またその鋭い視線と呻き声を発しながら僕に飛び掛かって来た。
「うわぁぁぁッ⁉⁉」
やばい……!!
――バシュン!
――ズバンッ!
「――え……⁉」
それは一瞬の出来事。
「大丈夫かい?」
「ジルー!大丈夫?」
「ティファ―ナ……クレイさん……?」
間一髪助かったみたいだ。また助けられてしまったな……不甲斐ない。
「気をつけなくちゃダメよ。ジル弱いんだから!」
ゔっ……!
た、確かにそうだけど、こんなに面と向かって言われると流石に傷つく。しかも君に言われると尚更だ。
「さっきディオルドが助けてた子だね。彼女とデートしてるなら直ぐにここを離れた方が良いよ。危ないから」
「あ、助けてくれてありがとうございます。僕も是非そうしたいんですが……「また来た!」
――バシュン!
「命中!」
「やるねお嬢ちゃん」
「まだまだ!私の実力はこんなものじゃないわよ」
「それは興味深い。それじゃあどちらが多く倒せるか競争しないかい?」
「乗った」
乗ったじゃないよ。
まともな人かと思ったら結構アホだぞこの人も。いや、助けてくれた人を悪く言うつもりはさらさらないが、自分でも危ないから離れた方がいいって言ったじゃん。ものの数秒前に。言ったじゃん。それが何故こうなる?
「今何体倒した?」
「え~と、今ので4かな」
「そうか。僕は3体だから、ここから何体倒せるかの勝負だね」
「私こんな勝負初めてだからワクワクしてきた!」
「いいね~!それじゃあ始めるぞ。よーい……スタート!」
合図と同時に、ティファ―ナとクレイさんは勢いよく狩りを始めた。
『『ウオォォォォォォォォ!!!!!!!』』
相変わらず凄まじい熱気、闘気、生気、殺気、活気だ。もう好きにしてくれ。僕は疲れた。はぁ~、とんだ初デートになったな。これはこれで一生の思い出になりそうだ。
人生初デートが、スライム討伐の後に相手の女の子が騎士団の入団試験乱入なんて前代未聞。
誰も経験したことがないだろコレは。10年後に笑って話せる様な良い思い出になるといいな。とても今すぐ受け入れるのは無理。
途方に暮れた僕は、少し離れた木に寄りかかる様に座り、勝手に試験を観戦させてもらった。
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