【魔力商人】の僕は異世界を商売繫盛で成り上がる~追放で海に捨てられた為、海上ギルド建てたら実力も売上も波に乗って異世界最強に~

きょろ

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第2章~試験と赤髪と海上ギルド~

14 クレイという男

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 ♢♦♢


「――そこまで!!」


 その声と同時に、大量にいた召喚獣が一瞬で消え去った。試験が終了したみたいだ。

「全員集まれ!今の討伐試験の結果を発表する!」

 この試験の担当であろう騎士団員の試験官が2人。その2人の前に、入団希望者達が続々集まってきた。ぱっと見でも100人ぐらいはいそうだ。

 そしてやはりと言うべきか何故とツッコむべきか……集合する入団希望者達のその後ろの方に、ティファ―ナの姿が見えた。その横にクレイさんも。

 運が良いのか悪いのか、入団希望者の中の1~2割ぐらいが女性。しかも後ろの方にいてまだ試験官達も気付いていないのか、当たり前の様に輪に入っている。周りの人達も全員の顔なんて覚えていないだろうから気付かれていないんだよなこれがまた。

 だったら僕も……と、こっそり1番後ろの方に紛れ込んだ。これ以上ティファ―ナが暴走したら本当にヤバいからね。タイミングをみて早く帰らないと。

 僕はゆっくり目立たない様に、ティファ―ナとクレイさんの所まで移動した。

「皆ご苦労だった!3日間続いた騎士団入団試験も今日が最終日。そして残す試験は次が最後だ。その前に、今の討伐試験の結果を発表する!」

 思いのほか、皆前にいる試験官の方しか見ていないから全然気付かれる様子が無い。僕は小声でティファ―ナに声を掛けた。

「……ティファ―ナ」
「あ。ジル!」
「しー、静かに。何してるんだよ全く」
「どっちが沢山倒せるか競争したの」
「いやそういう意味じゃなくて、そもそも乱入しちゃダメって事」
「君の彼女やるね」
「クレイさん……」

 申し訳ないけど、あなたにも原因があるんですよ。

「それでは、上位10名の結果がこれだ!」

 試験官の頭上に、大きなボードが現れた。
 そこにはこの討伐試験の結果である、上位10名の名前と討伐数が表示されていた。皆がザワザワとしながらその結果を確認している。

「そういえばお嬢ちゃん名前は?」
「私はティファ―ナ。お兄さんは?」
「僕はクレイだよ。君は?」
「僕ですか……僕はジルです」

 そういえば助けてもらったのに自己紹介が遅れちゃったな。まぁ、まさかあの流れでいきなりティファ―ナと勝負を始めると思わなかったからね。

「そっか。ジル君にティファ―ナ君ね。じゃあ早速だけどティファ―ナ君、君何体倒した?」

 生き生きと言い出すクレイさん。何なんだこの人は。いまいち掴めないな。

「聞いたら驚くわよ。私はなんと99体!どう?」
「へぇ~!やっぱ凄いねティファ―ナ君。驚いたよ」

 僕はその数を聞き、何気なく他の皆が見ているボードを見た。

「……いッ⁉」

 おいおいおいおい。冗談でしょ? 今倒した数99って言ったよね。
 ティファ―ナ。勿論君の名前はあのボードに乗っていないけど、その数が本当なら君の順位“2位”だよ……⁉ それもあの2位の人と40体以上差を付けてるじゃないか!

「今年は例年よりも希望者が多く、個々の能力も目を引く者が予想以上に多い豊作の年だ!
この討伐試験で君達が倒した召喚獣は中級クラスのモンスター。敢えて何の情報も無しに始めたこの試験は、モンスターのレベルや出現する数、そしていつまで戦闘が続くかも分からない中で、個々の戦闘力や対応力、組んだスリーマンセルでどんな策を生み出すかの協調性や判断力を見させてもらった。

討伐数が全てではないが、この試験のメインはシンプルな戦闘力。ここで上位になったからと言って必ずしも合格ではない。自分が、そして自分と同じ希望者が、どれ程の力なのかを確認してくれ!
これまでの平均討伐数は、1時間で約15~20体。30体倒せればかなりの実力者。そして今回は50体倒した者もいる。
2位のギン・ツーセカンド!君の実力は本物だろう!素晴らしかった」

 試験官の発表に、皆は更にザワつき盛り上がりを見せている。

「クレイは何体倒したの?」
「僕かい?僕はね……」

 そう言ってクレイさんは、とある方向を指差した。その指先が向く少し先にはボードが―。

「「――⁉」」

 ほぼ同時のタイミングで、僕とティファ―ナは驚き目を合わせた。

「――しかし!驚いたことに、今年は更に上の討伐数、前人未到の結果を叩き出した強者が現れた。
討伐数129体!見事1位を取った“クレイ・ギ―ゼン”だ!」
「「おぉーー!!」」

 試験官の方を向いていた皆が一斉に振り返り、その視線はクレイさんへと注がれた。

「ハハハハ。そんな大袈裟に言う事じゃないですよ試験官さん。あくまでただの討伐数。そんなものは宛になりません。騎士団たるもの、心技体全てが揃って初めて本物だと思っていますので」
「実力もさることながら心構えも素晴らしい。他の希望者達も是非彼を見習ってくれ」

 パチパチパチと自然に拍手が起こった。
 誠実で冷静ながらも、真っ直ぐ熱い芯を感じられるクレイさんは、やはり他の人よりも一目置かれる存在なのだろう。ティファ―ナも皆と同じように拍手をしながら「凄い!」を連発している。

 クレイさんみたいな人が自分の仲間にいたらこれ以上ないほど頼りになるんだろうなきっと。こういう人がいるパーティやギルド、そして騎士団は絶対に強くなる。見た目も爽やかで格好いいし完璧だ。

 ……でも何故だろう。

 何故かは分からないけど、クレイさんのこの笑顔が、僕はどこか違和感を覚えるんだ―。

「クレイ凄いよ!凄い!1位なんて格好いい!」

 ぐっ……何だ? この胸の奥がモヤモヤする感じは……。もしかしてクレイさんに嫉妬しているのか僕は。だから根拠もないのに、こんないい人の笑顔が胡散臭いとか思っているのか?

 そこまでは言ってないけど……。

 止めるんだ。嫉妬なんてカッコ悪い。余計自分が惨めになるだけだ。気持ちを切り替えて、いい加減この場を去るぞ僕!


「――次が最後の試験だ!」
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