呪われた勇者~呪いのスキル『引寄せ』を授かった俺は、災いを引寄せると一族を追放。だが気が付けば災いどころか最強スキルばかり引寄せて最強に~

きょろ

文字の大きさ
16 / 45
第2章~獣人国と刺客~

2-4 サラマンダーとの戦闘を引寄せ

しおりを挟む
~サンモロウ渓谷・山~

「あぁぁ~、暑っっつ……!」
「ちょっと止めてくれるかしらその言い方! 余計暑苦しいわ」

 山の麓に位置する獣人国でさえサラマンダーの影響で熱波と乾燥が凄かったが、サラマンダーがいるであろう山は更に厳しい環境になっていた。

 歩くだけで汗が溢れる。
 普段元気なルルカとミラーナも明らかにぐったりだ。気が付けばレベッカも口を開いていない。幸いビッグマウンテン山と比べればかなりマシな道中だけど、如何せんこの暑さが問題だった。

「皆頑張ろう。ビッグマウンテン山に比べれば全然だよ。それにもう頂上が見えてる」

 暑さにやられながらも、気が付けばもう頂上付近まで来た。後少しだ。

『『ギギャア!』』

 ッ……⁉
 暑さに気を取られて反応が遅れた。

「ここで出やがったやんよリザードマン」
「本当に暑苦しくて嫌になるわね」
「レベッカ、下がってて。後“槍”をお願い」
「分かりました」

 ジジ神様から聞いていた通り、僕達の前に現れたリザードマンは計8体の群れで姿を現した。奴らは見るからに僕達に殺意を向けている。敵と認識しているんだ。

「ここで体力は使いたくない。僕が一気に片付ける」
「ジーク様どうぞ」

 レベッカは空間魔法で予め準備しておいた槍を出してくれた。数は相手のリザードマンと同じ8本。

 よし。
 “さっきみたいに”やれば大丈夫な筈――。

 槍を手に取った僕は『必中』スキルを発動させ、勢いよくリザードマン目掛けて投擲した。

 ――ドシュン!
『ギガァ……!』
「よし!」

 投擲した槍は見事リザードマンの胸に命中。槍を食らったリザードマンはそのまま崩れ落ちる様に地面に倒れた。

「やりましたねジーク様!」
「ああ、このまま一気に倒すぞ」

 そう。
 僕達は山を登る前、何とかリザードマンの群れを効率良く倒せないかと考えていた。勿論遭遇しないのが1番だが、もし遭遇したのなら戦闘は免れない。

 とは言っても急にそんな都合のいい案が思い浮かぶわけもなく、僕達は半ば諦めつつ最低限の準備を整えていると、そこへ徐にジャック君が木の棒を持って僕達の所に来た。そしてジャック君は「僕も戦う」とその木の棒を力強く掲げてみせたのだ。

 僕よりも小さいのにとても勇気があるなと感心した。
 でも流石にこんな危険な場所へ連れて行く訳には行かない。駄々を捏ねるジャック君を皆でなだめていたが、彼は「じゃあ離れた所から木の棒を投げつける!」とまるで手に負えない状態だった。

 ジャック君なりに獣人国を守ろうとしていたんだろう。

 僕はそんなジャック君を懸命に止める皆の姿を微笑ましく眺めていたのだが、直後ジャック君が言った“木の棒を投げつける”という言葉にハッとした。

 そこで僕はある1つの仮説に辿り着く。
 もし『必中』スキルを施した“遠距離攻撃”が出来たら――。

 結果は成功。

 実際に確かめるまで半信半疑だったけど、ジャック君の発言からまさかの思い付きで試した実験が成功した。

 レベッカ達にも事情を説明した当初、「だったら弓放てば全部倒せるな」とルルカが極論を言ったけれど、流石に『必中』スキルを使っているとは言え、根本攻撃力の低い弓では倒し切れないだろうという結論に至った。

 そこでレベッカが「なら剣や槍を投擲してみては」と徐に言い出したのだが、コレが大正解となり今に至るんだ――。

 そして。

『『ギギャア⁉』』

 僕が全部の槍を投げ終えると、8体のリザードマンも綺麗に全て地面に倒れ込んだのだった。

「ふう。上手くいって良かった」
「やりましたねジーク様!」
「本当に凄い強さよね、ジークって」
「この調子でサラマンダーもサクッと倒すんッ……『ヴボォォォォォッ――!』

 リザードマンを倒して喜んでいたのも束の間。次の瞬間ルルカの言葉をサラマンダーの咆哮が掻き消した。

 空気を裂く様な咆哮。ここにきてグッと暑さが増した。
 僕達の目と鼻の先には確実にサラマンダーがいる。

 僕達は互いに頷きあった後、改めて気持ちを切り替え士気を高めた。

「行くぞ!」

 登り切った頂上。
 焼ける様な熱さの中、僕達の視線の先では凄まじい豪炎を身に纏う巨大なモンスターの姿があった。

『ヴボォォォォォォォォォッ!』
「「……⁉」」

 サラマンダーはその激しい咆哮と共に強烈な熱波を周囲に放つ。

 くッ、暑い……!
 コイツがサラマンダーか。

 リザードマンよりも遥かに大きな体格をし、全身を炎に包んだサラマンダー。まるでとてもデカいトカゲの様なその姿は、凄まじい存在感と強力な魔力を発していた。

「威圧感が半端じゃないんよ。流石Sランク」
「感心してる場合じゃないわ。早く倒してこの暑さ何とかするわよ」
「レベッカはあっちの岩陰に隠れていてくれ」
「分かりました。皆さんお気をつけて。何か必要な物がありましたら直ぐに私に仰って下さい」

 そう言ってレベッカが岩陰に避難すると、サラマンダーはそれが合図と言わんばかりに一気に僕達との距離を詰め、鋭い牙がついた口を目一杯広げる。更に直後、その広げた口から灼熱の炎が勢いよく僕達に向かって放ってきた。

 ――ブオォォォォン!
 サラマンダーによる炎ブレスの範囲が広過ぎて避け切れない。

 瞬時にそう悟った僕は、握る剣に『無効』スキルを発動させ思い切り炎目掛けて横一閃で剣を振るう。

 無効スキルはあらゆる魔法を無効化させるもの。
 僕はサラマンダーの炎を一刀両断した――。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。 名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。 絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。 運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。 熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。 そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。 これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。 「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」 知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

処理中です...