呪われた勇者~呪いのスキル『引寄せ』を授かった俺は、災いを引寄せると一族を追放。だが気が付けば災いどころか最強スキルばかり引寄せて最強に~

きょろ

文字の大きさ
17 / 45
第2章~獣人国と刺客~

2-5 獣人族との深い絆を引寄せた

しおりを挟む
「大丈夫、2人共!」
「危ねぇ! 助かったんよジーク」
「思った以上に強いわね。どうやって倒すのよ」

 モンスターを倒すには核を破壊する。これしかない。でもサラマンダーの核は何処にある? ここまで大きいと必中スキルで狙った場所と核が離れ過ぎていたら、逆にこっちが隙を与える事になる。

 そう考えた僕は足元に転がっていた石を手に取り、必中のスキルを発動させてサラマンダーの頭部目掛けてその石を投げた。

 ――ヒュー……カァン。
 「成程、丁度腹部の辺りか」

 投げた『必中』スキルの石は、奴の頭部から大きく曲がって胴体の真ん中に当たった。

 以前ここは焼ける様に熱いし足場も悪い。長期戦は僕達が圧倒的に不利だ。

「ルルカ、サラマンダーの注意を引き付けてくれないか? その間に僕とミラーナが奴の懐に入い込んで核を狙う!」
「OK。頭もボーっとしてきてるし、チャチャッと終わらせるとしようか!」
「ミラーナ、ベヒーモスの姿で僕を上の大きな岩まで運んでくれないか! 奴の死角から攻撃を仕掛ける」
「分かったわ。一撃で決めてねジーク」

 作戦を練った僕達は一斉に動き出す。

『ヴボォォォォォ!』

 激しい咆哮と共に次の攻撃動作に入ったサラマンダー。奴は長く太い尾を勢いよく振り回してきたが、ミラーナの背に乗った僕はミラーナの俊敏な動きで尾を躱し、ルルカは風を纏わせた槍を思い切り振りって、その風圧で体を飛ばして尾を避けた。

 無情にも空を切ったサラマンダーの攻撃だったが、奴の攻撃は周り一帯の岩を勢いよく破壊し、砕かれた岩が辺りに散らばった。

 当たれば一溜りもないぞ。

「いちいち攻撃がデカいんよ。もうちょっと大人しくしてな」
『ッ……⁉』

 ルルカはサラマンダーの注意を引く為に連続で風魔法を繰り出す。疾風の如き速さのルルカの攻撃は見事にサラマンダーを攪乱していた。

「今の内だミラーナ!」

 サラマンダーよりも高い位置にある岩の崖を目指して僕はミラーナに運んでもらう。そして大きな岩に辿り着いた僕は『分解』のスキルを発動させ、思い切り岩を斬り砕いた。

 ――ズガァン!
 大きな破壊音と共に、分解によって砕かれた岩が霰の如くサラマンダーの体に振り注ぐ。

 そう。
 この間新たに習得した『分解』は、魔法のみに効果のある『無効』スキルとは逆に、魔法以外の“物質”を対象として効果を発揮するスキルだ。

「じゃあ行くわよジーク。さっき投げた石が当たった胴体を狙えばいいのね?」
「ああ。頼む!」

 僕がそう言うと、ミラーナは僕を背に乗せたまま思い切りサラマンダーの上に飛び降りる。砕かれ落下する岩々を器用に足場と化し、連続でジャンプしたミラーナと僕はサラマンダーの背中……奴の核がある胴体の真上に来た。

 そして。

「はあッ!」

 ミラーナの背から飛んだ僕は『必中』スキルを発動させ、両手で振りかざした剣を力一杯振り下ろした。

 ――バキィン!
『ギゴァァァァ……ッ!』

 よし。
 核を砕いた確かな手応えと同時に、悲鳴のようなサラマンダーの呻き声がサンモロウ渓谷一帯に奏でられた。奴は一瞬の呻き声を上げ終えると身を纏っていた炎が瞬く間に消え去り、静かにその巨体を地面へと倒したのだった。

 サラマンダー討伐成功――。

「うっし! やったなジーク!」
「流石ジーク! 本当に一撃でサラマンダー倒しちゃったわね」
「皆さんお怪我はありませんか!」

 見事サラマンダーを倒した僕達は一堂に駆け寄り、互いに無事を確認しながら討伐成功を喜んだ。

♢♦♢

~獣人国~

「戻りましたわ――」

 サラマンダーを討伐した僕達は獣人国へと戻った。

「おお! ミラーナ達が帰って来たぞ!」
「無事だったの皆⁉」
「おいおい、急に暑さがなくなったけどよ、もしかして……」
「そうよ。サラマンダーならちゃんと私達が倒してきたわ」
「「おお!!」」

 ミラーナのドヤ顔と共発せられた言葉によって、獣人達は歓喜の声を上げた。

 サラマンダーを討伐した事によって焼ける様な暑さも干からびる様な乾燥もなくなり、サラマンダーの影響によって枯れていた草木や川はみるみるうちに新たな命を芽吹かせ、元の自然豊かなサンモロウ渓谷の姿へと戻ったのだった。

 どんどん戻っていく辺りを見て、ジジ神様や獣人国の皆は笑顔と歓喜に満ち溢れている。

 皆のその笑顔を見ているだけで、思わず僕もつられて笑みが零れていた。

「まさか本当にあのサラマンダーを倒すとはねぇ。恐れ入ったよ。初めはミラーナを唆した悪い人間だと思っていたが、アンタは獣人国を救ってくれた英雄だよ“ギミック”! 誠に礼を言うぞ」

 歓喜で溢れる獣人達を横目に、ジジ神様は真っ直ぐ僕に向かってお礼を言ってくれた。

 今までで言われた中で1番僕から遠ざかった名前で――。

 ま、いっか。
 誰にも被害が出ずに無事に解決出来たみたいだから。

「いえいえ。少しでも獣人国の皆さんのお力になれたのなら良かったです。ミラーナも凄く頑張ってくれましたから」
「そうかそうか。ミラーナも頑張ってくれたか。あの子は獣人の中でも希少なベヒーモスの獣人でな、しかもそれに加えて変化まで出来るから、将来は頼もしい獣人国の守り神の様な存在になってもらいと思っていたんだ。

だが見ての通りミラーナは昔っから好奇心旺盛でプライドも高いからな、よく獣人国を勝手に抜け出しては私に怒られていたんだよ。幸い他の者よりは確かに強いからねぇ、ミラーナがどこかでやられるとは思っていなかったけど、それでも毎回心配になるからこっちは取り越し苦労だったよ」

 溜息をつきながら、呆れ口調でミラーナの事を話すジジ神様だったけど、僕はそんなジジ神様からミラーナに対する深い愛情をちゃんと感じた。

「ハハハ。ミラーナっぽいですね。昔からそうだったんだ」

 僕が何気なくそう言うと、ジジ神様は突如改まった表情に変わり僕の顔を覗き込んできた。

「そこで頼みがあるんだがねぇ“シーグ”」

 惜しい。

「え、何ですか?」
「私は珍しくミラーナよりも強い者に会った。だからアンタにミラーナを任せたい。また何時何処を彷徨うか分かったもんじゃないからねぇ。私としてはそんな事をされるよりも、このままアンタと一緒にいてもらう方が気楽さ。あの子もアンタを気に入っている様だしねぇ――」

 悪戯にそう言うと、ジジ神様はニヤリと笑みを浮かべていた。

「え⁉ いや、でも……そればっかりはミラーナが決める事ですしし、ジジ神様や僕が言ったところでッ……「こらジーク。用も済んだんだから早くクラフト村に戻るわよ。なんか結晶とやらの事をまだ調べるのよね?」

 僕とジジ神様が話していると、割って入ってきたミラーナが当然の如く言い放った。

「ハッハッハッハッ! じゃあそう言う事で決まりだねぇ」

 戸惑い僕を他所に、ジジ神様は大笑いをしながらそう言った。まぁミラーナが決めた事なら僕はいいけど――。

 こうして、何とかサラマンダーを倒して無事に獣人国を助けられた僕達は、再びクラフト村へ帰る事にしたのだった。

 支度を済ませた僕達がいざ獣人国を後にしようとすると、ジジ神様を始め皆が見送りに来てくれた。

「なんだ、お前も行くのかよミラーナ」
「当たり前よ。私は縛られるのが嫌いなの」
「ったく、相変わらずだなミラーナちゃんは」
「どこに行ってもいいけどさ、迷子にはならないでよねお姉ちゃん」

 そんな会話をしながらミラーナが皆と別れを済ませていると、ジジ神様がスッと僕の元に寄って来るや否や、最後にこう言った。

「ありがとうねぇ。アンタは本当に獣人国の英雄だよ。ミラーナの事も頼んだよ。何かあれば今度は私達が力になろう。また何時でも遊びにおいで……“ジーク”や――」
「ッ⁉」

 ジジ神様はとても穏やかな顔で僕にそう告げた。
 初めて間違えずに僕の名を呼んで――。

 それはズルいよジジ神様。

そんなこんなで、皆に別れを済ませた僕達はクラフト村へと帰ったのだった。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。 名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。 絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。 運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。 熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。 そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。 これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。 「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」 知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

処理中です...