祝福は貴方だけに捧げます!!

中村湊

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殿下と婚儀へ……

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 王宮の執務へと行けば、騎士団長。聖騎士団長さんが、足しげく来ては。「リヒャルト!! 騎士団に戻れ!!」「マリア嬢も一緒に説得を!!」と……わたしは、彼のお膝の上で抱き締められながら。彼の表情が険しくなるのを見惚れ……いえいえ、ゾクゾクして身体が火照り……あぁ、違う!!
 じっと彼をみつめてしまう。
 そんな彼が、目の前の団長など視界に、いえ、存在しないとばかりにわたしにキスの愛撫を激しくされてきて。
 
 「ぁん、んんっぁ……リヒャルト様ぁ……」
 「いい声だ、マリア」
 「……殿下? アレが、あの冷酷無慈悲の騎士が……」
 「ふぁあん……やっん、あぁ!! だ、めぇ……」
 「こんなに感じて、軽くっている状態なのにか?」 
 「なっ、あれで……イッてしまわれる程の……なんと?」

 変な感動を覚えた聖騎士団長。
 漆黒の黒髪と瞳の男が、幼さを少し残す女性を女へと変えている姿。あられもなく喘ぎ声が執務室を響かせ、ほんのり紅く染まった頬と潤んだ瞳。
 光魔法をなくした騎士を祝福する。唯一の女性。
 2人をなんとしてでも、聖騎士団に来て貰わねば!! 変な感動から、目の前の2人のイチャイチャを……祝福を与えているとしか考えていない騎士団長。

 「殿下!!」
 「っ、あぁぁぁぁ!! やっん、あぁ!! イックゥゥ!!」
 「ふっ、上手に出来たじゃないか? マリア」
 「で、でん、殿下……やはり、騎士団に……」

 リヒャルトの冷たい視線をはねのける、狸で狐の騎士団長。
 
 バンッ!!
 ドガンッッ!!

 「っおっぅ!! ふべっ!!」
 「あらっ? 聖騎士団長? いつからカーペットに?」
 「ほぼいべぐべばべんば」
 「母上、カーペットですから気になさらず」
 「あぁ、待ってくれ!! 大事なモノを忘れては!!」
 「ぶべばべん!!」
 「んっ、あぁ、君か? 私の可愛い娘の周りをウロウロしているのは?」
 「っぶひゃ?!」

 国王の鋭く冷たい瞳。王妃の扇の隙間から見える、歪んだ笑み。王太子の酷く極悪な表情。
 その家族である、リヒャルトの冷たく極悪な表情。
 夫になる彼の瞳に、ゾクリとしつつも目が離せずにいる。
 カーペットになった後、騎士団長は姿勢を正して敬礼をした。

 「君ね、すんごい迷惑!! マリアちゃんに、何してくれてんのさ!!」
 「はっ……あの、王太子さ、ま?」
 「そうよねぇ……不敬罪に、あとはぁ……」
 「君、死にたい? 早死にはイヤダよね?」
 「ひっ!!」
 
 騎士団長の目の前に、1枚の書類。証明書が見せられた。

【祝福に関する測定証明書】
【マリア・クロイツ侯爵令嬢に関する証明
 
 測定時に、異例の祝福の力と特定人物のみに効力発揮する。力の発揮は補助としても効力あり。と、測定された。
 本人の意思に反する場合、力は発揮されない。
 また、マリア・クロイツと祝福は限定期間となる。
 この者と婚儀を結ぶ言質、約束をした場合は祝福の効力はないと等しい。
 婚儀後は、祝福の力を発揮することが難しいとみられる。
 
 教会長】  

 「コレ、教会長が正式にだしている証明書。わかるよね? 君なら」
 「は、はい!! 国王様!!」
 「それで、君がマリアの力を知った情報はどこからだ?」
 「そ、それは……さ、宰相閣下から……です」
 「ふぅん、狸同士には似合いだ」
 「で、殿下!! わたくしめは、ただ!!」
 「リヒャルト? もっとイイコト思いついた!」
 「なんだ、愚弟ぐてい? お前のは、とてつもなくイイコトすぎるからな?」
 「「……とぉーーーても、イイコトだ」」

 その後、騎士団長は執務室から王室近衛隊の特務騎士に連れて行かれた。宰相閣下も、特務騎士に。
 王宮には、王室の一部の人間しか知らない。場所が、ある。と、リヒャルト様が教えてくれた。そこに行くと、わるーい事をした人は、皆、反省して人が変わったように頑張って王室のためにと尽力をとするようになると。
 事実、聖騎士団長と宰相閣下は、心を入れ替えたように? 尽力を賭して働いている。
 時折、2人は時間を合わせたように王宮のどこかへと消えては、執務へと戻ってきている。戻ってきた時の表情は、とても満たされ、恍惚としている表情と潤んだ瞳。時折漏れる、喘ぐような溜め息。

 想像にかたくないと思える。たぶん、特務騎士の方々。皆さん……お兄ちゃんと同じく。堕としたんでしょうね? 聖騎士団長と宰相閣下を。
 2人とも、独身で容姿端麗でしたし。恋人がいなかった? かと。リヒャルト様より1つか2つ上のおふたり。
 仕事が終えると、特務騎士の恋人に躾けられ……いえ、恋人との逢瀬に勤しんでいます。

 証明書の件が、王宮中に広まり。聖騎士団はじめ、すべての騎士団たちにも周知され。
 気がつくと、ワルバーン公爵邸で着々と花嫁修業も始まりました。「お嫁さんにして」と言いましたし。うん、後悔はしてません。
 ギルバードさんの張り切り加減が……すごいです。

 「奥様がいらっしゃらなかったら、このワルバーン公爵家はなくなっていたことでしょう!!」

 まぁ、讃辞さんじというか、喜んでくれているので。わたしも頑張って、公爵の家の歴史や礼儀作法。王家の出自のリヒャルト様なので、王家の歴史や王宮の仕来りや作法。貴族同士の婚姻よりも、王宮や王室についても深く学ぶのです。
 意外にも、試しに作ったレース刺繍の下着。アレをリヒャルト様は……ひっ、じょーーーーーーーに、お気に召され。いそいそ、花嫁修業のかたわら作り。
 衣装ダンスの引き出し。1つ分になり。とうとう、侍女に見つかり……。

 「まぁ!! とても素敵です!!」

 って。いや、レース刺繍を施した薄絹地のスケスケっ下着さんですよ?
 その上、ロイ公爵がこの下着の話を茶会でちらっとしたら……ぜひ、みたいというご令嬢が。オネエちゃんの計らいで、特定の令嬢の招待にして貰いました。
 なんというか、見せて良いモノか悩みましたが。皆様、興味津々で、「わたくし、恋人と逢う時に付けたいですわ」などなど。
 レース刺繍下着の講習会を開くことに……殿方は入れません。ロイ公爵のぞいて。だって、オネエちゃんだし。

 社交界で、小さな拡がり。レース刺繍の下着で、お相手女性に夢中になり婚約確定がちらほら。
 講習会にいらした令嬢のみなさま、もう、本当にお相手のことを想い慕っていましたし。一生懸命、刺繍を学んでくれたので、わたしもロイ公爵も喜びました!!

 という、わたしも。あとひと月で婚儀という日に。
 彼と過ごす日々が、とても愛おしくて。あの、彼のわたしを罰した愛し方と補助魔法で解放されたわたしの想いなどが。
 忘れられないでいて、時々、彼におねだりしてしてしまう。  

 「あの、リヒャルト様……わたし……」
 「あぁ、今日は悪いことをしたね。マリアは……どう、罰を与えて苛めてあげようか?」

 意地の悪い瞳と冷たく、熱い眼差しで見つめてくる。ゾクゾクと身体が粟立あわだち、身体中が熱を帯びてしまう。小さな溜め息をつくと、彼は激しく蹂躙するキス。
 キスから始まる彼の罰し方。胸の頂きが、薄絹地の刺繍下着から身体の火照りだけでなく。うずいて彼を待ち望む姿をあらわわにした。
 荒々しく胸をまさぐり、刺激される度に嬌声をあげ達してしまう。

 「ひぅっ!! ぁっ、あぁあぁあっ!!」
 「はぁ、マリア? これは、ほんの罰の始まりだよ? いけないねぇ……どんどん、俺ごのみになって」
 「ぁっ、リヒャルトさぁまぁ……もっと……愛したいの……」
 「あぁ、アカネ……たまらない」
 「んんっ!! ぁんっふっ……ぁ……んぁ」
 「はっ、はぁ……もぅ君は、俺の声や手。足音でも身体が反応して。堪らないくらいに、イヤラシい。ゾクゾクしてくるよ」
 
 リヒャルトの独占欲の愛が、日に日に増していく。ゲームの中であった、彼の愛が。アカネによって、より深く、いっそう深く奥底の眠っていた愛をましていた。
 毎夜、彼に愛され。王宮の執務室でも、彼の愛に溺れ。マリアとアカネは、2人から1人へと溶け込む。マリアとして生きる。この世界で、リヒャルトの傍で……。

 この世界では、婚約期間中で婚約者と深い関係をもつことは許されていない……訳ではない。そのため、補助魔法の発展もあり婚儀後も互いに子どもをもうける時間が作れた。
 彼の激しい愛に染まり、受け入れていく。アカネは、記憶と感情などを無くすことなくマリアとなっていく。まるで、彼がそれを助けているように。

 婚儀の前日に、彼と同じようにベッドで供に過ごしていてアカネはマリアを強く感じていた。

 「あぁ!! リヒャルト様ぁ!! わたし!! あぁ、もう!!」
 「もっと、ひとつに!! アカネ、不安になることはない!! 俺を、もっと!!」
 「っあ、あぁぁ!! マリアが、アカネがっ!! ひぁっ、あっぁあ!! リヒャルト様ぁ!!」
 「そうだ!! 俺だけの、マリア!! アカネ、君は……俺のマリアだ!!」

 最後のリヒャルトの言葉。アカネは、全てマリアと絵の具が混ざり合い新しい色になるように混ざり合い。ひとりになった。茜の人格は消えることなく、新たなマリアとして。
 この世界に転生し、彼と出逢い、こうなるのを求めていたように。彼も、アカネを離すまいと。マリアとひとつになり、アカネを壊すことなく……。

 朝になると、茜は不思議な気持ちだった。生まれ変わったわけではなく、この世界。リヒャルトのいる世界が、当たり前に感じ。彼の愛を以前よりも、深く深く欲しかった。そして、茜自身も彼を愛しているのを感じた。
 横で、優しく微笑む彼は、マリアを抱き締め。「アカネ、愛している。離さないから、覚悟してくれ」と言いキスをした。
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