跳ね返り令嬢、腹黒殿下に捕まります!?

さくらもち

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王都でも

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結局アレからずーっと同じ馬車で王都まで来たよ。
途中1泊したんだけどその晩餐も一緒に誘われて同じドレスを着るわけに行かず泣く泣くエメラルドグリーンのドレスを着たら普通は王族の気を引くチャンスで俺の瞳の色のドレスを持っているなら着て来るのに始めから全く興味が無いというのも新鮮だと楽しそうだったんだけど。

王都には辺境伯家の屋敷は持っていないので親戚のハーシェル伯爵家に身を寄せる。
祖父の歳の離れた妹が嫁いでおり快く受け入れてくれることになっていたのだけど、王弟殿下のエスコートで馬車から降りたもんだからもう大騒ぎよ。
だから王都に入る前に別の馬車に乗り換えようとしたらガッチリホールドされて馬車に乗せられたし。

大叔母様が殿下にお茶でもと誘ったけど王都に着いたばかりだからとスマートに断って去っていく馬車を見送ったけど、本当にあの人は何がしたかったのよ!
2日以上寝る時以外ほぼ一緒にいて令嬢の猫かぶり(意地で剥がれかけていても最後まで擬態した)を続けて疲労困憊。
大叔母様に断って用意してもらった客室で湯浴みと軽食を頂いてからそのまま泥のように朝まで寝てしまった。

「うーん」
いつもより長時間寝ていたのとしばらく馬車に乗りっぱなしだったので身体がバキバキだし鈍りそうだ。
さすがに王都で剣を振り回す訳にはいかないのは分かっているので室内で出来るように作ってもらった木剣でしばらく素振りをする。
「お嬢様、そろそろお食事のお時間ですよ。」
ユウリが運んできてくれた朝食は辺境とは違いなんか煌びやかだ。
「ふぅ、ユウリありがとう。」
汗を拭い席に着こうとすると
「お嬢様、ちゃんと汗を拭かないと風邪をひかれます。」
「ちょっとくらい平気よ。それより後で組手の相手して欲しいからよろしく。」
「本日はこの後のご予定が詰まっていますから無理です。」
「え?王都に着いてそうそう予定なんて無いでしょ。」
「ドレスを作りますよ、王弟殿下とのご交流を考えると少しでも早くから最低でも10着くらいは急ぎ用意しなければ行けませんしね。」
「え?そんなにいらないでしょ?」
「デイドレスも入れたらそれでも足りませんよ。」
あの殿下余計なことしてくれるわー
「その辺はさ、アレンジで誤魔化そうよ。」
「まぁデイドレスならばそれでも多少は許されますけど夜会に参加する時は絶対そんなことしてはダメですからね!!」
うちのスーパー侍女さんは厳しいよぉ。

朝食を済ませてから湯浴みをさせられ何故か無駄に着飾ったあと連れていかれたホール(商人とか呼んでドレス選ぶにしても大きめの応接室とかよ?)で大量のドレスが待ち構えていたのを見た時には盛大に顔が引きつっていたと思う。
その後ドレスの中に置かれていたソファーに優雅に座ってお茶を飲んでいる姿を見つけた時には回れ右をして部屋に戻ろうとした瞬間にユウリに捕まったから無理だったけどさ……
「お?やっと来たか。」
「お約束していましたかしら?」
この時の私の表情はきっと《無》だったと思う。
「愛しのレディに逢いたくて口実を作って押しかけてしまったのは申し訳ない。だが逢えて嬉しい。」
え?この人こんな歯の浮くセリフ言う人だった?
なんで私なんかにかまうの?!
もうなんとかしてー!!!
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