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私、再会したくないです。

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王妃様ことユリアーナ様とのお茶会も無事におえて、次は夜会つまり、私にとっては社交界デビュー。

素敵なドレスは出来上がっていて家族にはお披露目済みで、クリス様が誰にも見せたくないとちょっと一悶着あったとはいえこんなに素敵なドレスで私は幸せだわ。

でもね、最近少しだけ寂しいの。
タリアが完全に侍女としてしかお話してくれないのよ。
2人でお店で生活していた時が懐かしいと思うのは贅沢よね?
2人きりになることもほとんどないの。

そんなふうに少し元気が無かったみたいでクリス様とお茶している時
「リディ?最近元気無いけどどうしたんだい?まさか社交界デビューが不安なのかな?」
って、それはそれで不安が無いとは言わないけれどもみんなが護ってくれるつもりなのが分かっているので実はあまり心配はしていなかったりもするのよね。
「そうじゃないの。」
「それとも、サウスリンドに会うかもしれないことを心配してるのかな?」
あ、それはすっかり忘れていたわ。
そもそも近寄っては行けないと誓約書を……
ってあの人は私の顔をしらないわ!!
「クリス様!すっかり忘れていましたの。私がリリーとして働いているお店には来ていても名ばかりの妻だということに気づいていなかったのですが、今の私は髪の色が違うだけのなのでもしかしたら知らずに近寄ってくるかもですわ!」
「確かにそれはあるかもしれないね、でもそれはそれでいいんじゃないかな?」
「えっ?」
どういう事かしら?
「知らないとはいえ誓約書を交わしているのに不用意に近づいたという事であいつの絶望の顔が見れるしな。」
性格がわるいですわ。
「そんな顔すら見たくありませんわ。」
以前はふざけてどんな顔をするのかとは思ったのに幸せな今は全く興味がありませんしね。
「あいつは鈍すぎるんだよ。リディにした事も少しは悪いと思っているから婚姻無効に同意はしたんだろうけど、必死になって探すべきだったのさ。」
「その事は私には分からないのですが、傍から見ていて何をしているのかしらとは思っていました。」
「優秀だと思われていた奴にこんなとんでもない欠点があったとはな、でも今のリディは私の婚約者だから必ず護るよ。」
「頼りにしてますね。」
「もしも、そばにいられない事になったとしても母上か、不本意ながら殿下のそばにいて欲しい。」
殿下のことは信用なさっているけど男心ってことなのでしょうか?
「ふふ、わかりました。」
ちょっと拗ねているクリス様が可愛いと思ってしまったなんて知られたらもっと拗ねてしまうのでしょうか。

「それで?悩みことはこのことではなさそうだけど、どうしたんだい?」
しっかり覚えていてくれたようで話が戻る。
「大したことではないの、環境の変化についていけていないだけで。」
そう、タリアのこともだけれども何もかもが変わってしまったからこその不安はやっぱりあるの。

「大丈夫だよ。」
「ここにいるのはみんな君の味方だからさ。」
「ええ、そうよね。」
「そうだ!タリア、リディと私の代わりにお茶をしていてくれないか?少し用事を思い出したから。」
「クリフォード様?それは……」
「いいからいいから!君はリディが1人の時からずっと支えてくれていたんだから少しくらい前みたいに砕けてもいいんだよ。」
「しかし、」
「もちろん他の人の前ではきちんとして欲しいがリディの前位はさ、頼むよ。」
クリス様ったら私の不安をくみ取ってくれるなんて、やっぱりこの人を選んで良かったわ。

「ふふ、タリアとこうするのは久しぶりね。」
「ええ、でもいいのでしょうか?」
「いいの!それに家族は私に甘々よ?それがこんなに幸せな事と知ることが出来たのはタリアが私のそばにいてくれたから。」
「私はそんな、大したことはしていませんよ。」
「ううん、タリアは信用するって事を私に教えてくれたの。」
「リディア様……」
「ありがとうタリア、そばに居てくれて。」
「私はただ、リディア様のそばに居たかったのでむしろ勝手にそばに居るってついて行ってるだけで。」
「タリアがそう思ってくれた事が嬉しいの。だからこれからも時々こうして一緒にお茶を飲んでお話させて、2人でお店をやっていたあの時の事は大切な思い出なのだから。」
「リディア様、あの時のことは私も大切な思い出です。」
「ふふ、やっぱり私たち気が合うのよ。これからもよろしくね。」
「はい!」

タリアとその後ものんびり思い出話をしたり、新しいお店のことを話したりとゆっくり話せて少しスッキリできたのは良かったけれども、あの人と再会してしまう可能性のある夜会はやっぱり気が重いと思うわ。

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