【完結】旦那様、わたくし家出します。

さくらもち

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【閑話】恋する男の末路

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頭の中が混乱していて今聞いたことが理解出来ない、いやしたくないのかもしれない。

殿下に言われ、妻が家出してどこかに行ってしまった為婚姻無効にサインをし、迷惑をかけたので二度と近寄らないと誓約書にもサインをした。
全てが片付き急ぎ自領に帰りリリーのいるカフェに顔を出すが最後に殿下と行った日からしばらくでしてから実家に帰ってこちらにいつ戻るか分からないという。
平民だが、彼女ならどこかの貴族の養女となり私の妻に迎えたいと話をしよと思った時に居ないなんてついていない。
平民ならば貴族になれるとならば喜んで妻になってくれると思ったが居ないのならば仕方がない。
社交界シーズンが終わった頃にまた店に顔を出してみたら戻ってきているだろうしなどと呑気に考えていたんだ。

社交界シーズン開始の王宮での夜会で私と同じく結婚をしていない高位貴族である公爵家のクリスが女連れで参加していたのでからかってやろうと近寄ると、髪の色こそ違うがそこに居たのはリリーだった。
クリスにエスコートして貰っているということは彼女は実は貴族だったということだ。
紹介してもらおうと近寄るとクリスは近寄るなといつもはリンと呼ぶのにサウスリンドと言うしなんなんだ?
と思っていると後ろから肩を殿下に掴まれていて訳の分からないことを言う。
リリーがリディアってどういう事だ?
その名前はいなくなった妻だった人と同じ名前で。

つまり、私は放置していた妻とは知らずにあのカフェで働くリリーに惚れ通っていたということ。
彼女からみたらとんだ道化夫だったということか?
頭の中がぐるぐるしているうちに夜会の控え室に連れてこられたようで気づくと殿下の向かいに座らされていた。

「サウスリンド、お前は知らないとは言えない立場なのはわかるか?」
居なくなって勝手に生きているだろうと興味もなかった妻を本気で探さなかったことに、いや最初から彼女のことを見ていれば家令に良いようにされることも無かった。
彼女の実家を調べると彼女は前妻の子で後妻と父親から使用人のような扱いを受けていて病弱で弱々しく見えたあの姿はろくに食べてなくガリガリだっただけである事はあの家令にバカにされて知った事だ。
偽妻問題の直後彼女が実家を頼っているのかもと念の為調べるとマールブルク家は色々やらかしており最近取り潰されていた。
足取りがまったく掴めず探すことを真剣にせず殿下によって婚姻無効にサインした時におかしいと思うべきだったのだろう。
「申し訳ありません。」
私はまた間違えてしまったのだ。
父である侯爵からは家令の件で娶った妻がいなくなり婚姻無効となったことは報告したが、次何かあれば廃嫡の上勘当すると言われていたのに。

「まぁいい、約束を破った上にクリフォードの婚約者に言いよろうとした事実は変わらない。」
クリスの婚約者?!
「そ、そんな……」
「いまさらお前が足掻いても何も変わらん。ちなみにお前の父親には明日にでもこの事を伝える。今夜自分から言うのか私から言われるか好きな方を選べ。」

そう言われ殿下は控え室から出ていった。
後悔しても遅い。
私が彼女の事を結婚した日によく見ていればと淡い空想に逃げ出したくなるが意味の無いことなのだろう。
夜会の終わる時間まで呆然としていたのか、我が家の侍従が探しに来て馬車に乗り帰宅する。

既に帰っていた父から書斎に呼び出され顛末を自分で報告する。
殿下から聞かされるよりかは良いだろう。自分のやらかしたことだ人から聞かされる事になる方が良くないことくらいは知っている。
潔く伝えることは出来なかったが何とか伝える事ができた。
分かっていたが、少しの着替えと多少の金を持って明日の朝家から出ていくよう言う父は一気に老け込んでいるように見えた。

私が人の心を考えず自分の利益の為に行動したことが引き起こしたこと、初めての恋は自分で台無しにしたといまさら分かっても遅かった。
その夜侯爵家で最後の夜は、失恋で子供の頃以来枕を涙で濡らした。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
コメントで頂いていた領地取り上げには理由として弱いかなと思ったので廃嫡で勘弁してあげてくださいw
生活能力のない事務仕事しかできない男が平民になって生きていけるのか……

次話 ついに?完結です!
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