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第一章 チュートリアル

平川のノート『歴史』①

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 今から500年前、『神話戦争』で放たれた『荒力』が世界に充満した。

 元は一つのだった大陸が『ナキア(北方)大陸』と『ラベゴ(南方)大陸』に分かれた。



 二つに分断された原因は神の力と推測されているが、詳しいことは判明していない。
 長命種の寿命でさえ300年が限界である。当時のことを目で見た者は恐らくはもう生きてはいない。

 戦った神々は全て共倒れして深い眠りについたと言われている。
 彼らの目覚めを待てば当時のことが聞けるのかもしれないが、『神の目覚めを待つ者』は『バカ』と同義とされている。
 人の寿命では到底そこまで持つとは誰も思わないからだ。



 その時のナキア大陸の西部は大まかに分けて五つの民族が住んでいる。

 南端のムヤ人。

 西端のフェス二人。

 北端のペセ人。

 中央のデセム人。

 そして、フェス二人とペセ人に挟まれているヌエニ人。



 ムヤ人が住む南端は一年を通して雨がほぼ降らない。古くから麦類の栽培が盛んで、騎兵が精強である。平原が広がっており、遊牧民族も多数存在する。

 フェス二人が住む西端はナキア大陸でも一二を争う程の降雨量を誇る。古くから米類の栽培が盛んである。険しい山脈が至る所にあり、土石流などの災害が多い。

 ペセ人が住む北端は夏が短く、雪が降る冬が一年の大半を占める。古くからジャガイモの栽培が盛んで、ヌエニ人とは友好的である。

 デセム人が住む中央はナキア大陸の西部で最も肥沃の土地で、河川が複雑に入り組んでいる。その為、海に接していないのに精強な水軍を持っている。

 ヌエニ人は北西部に住み、南と東は山脈に囲まれている。その為、貿易の為に海に力を入れている。食糧難が起こった時、ペセ人が持ってきたジャガイモに救われたため友好的である。



 その時のラベゴ大陸の西部では二つの民族が争っていた。

 最西端にいるペコサ人とその東にいるシャカラ人である。

 ナキア大陸と比べてラベゴ大陸はかなり豊かで、争いもそれに比例するように多い。

 助け合わなければ、『荒獣』に蹂躙されかねないナキア西部と違って、ラベゴ大陸の北西部では既に『荒獣』対策がある程度施されて、余裕が出来てしまった。
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