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第一章
スイッタ 第6話
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二人組は武器を捨てた、敵意はないと示しているようだ。
最初は罠か何かとも思ったが、このオーガの量を目にして武器を捨てるのは本当に敵意がないのだろう。
でなければ頭がおかしいヤツか何かだ。
最初に口を開いたのは女のほうだ。
「こちらはここのダンジョンマスターと御目通り願いたい!!見てのとおり、敵意はない!」
ここまでやるのだから本当に敵意はないのだろう。しかし、困ったものだ。僕はそこに行けない。ミジンコだもの。
だから、オーガの一体を操って遠隔操作を試みる。
何回か、ゴブリンやオークに乗り移ったことがある。説明書にその機能が書かれていたので何回かやってみたことがあった。
やはり、人型が一番落ち着くのだ。
「僕がここのダンジョンマスターです。直接会うのは危険極まりないことですので、オーガを通してお話しします。」
「ごもっともだ。侵入者を警戒するのは至極当然のこと、こちらもそれを気にしようとは思わない。
にしても、それは『憑依』か何かか?それなら種族は『レイス』系と………いや、詮索はしないのが礼儀だろう。」
「実に理解ある方で助かりました。早速本題に入りましょう。あなた方は何者でしょうか?ただの緑色ではありませんね。
そして、僕のダンジョンに如何なる御用でしょうか?ここまで大量にモンスターを殺されたのですから、流石に文句の一つでも言いたいのですがね。」
ここで初めて男のほうが口を開いた。
「ここに至るまでに殺したモンスターのことを詫びるつもりはない。殺そうとすれば殺されることも覚悟したほうが良い。」
「なるほど、ではここで殺し合いをしましょう…………ということでもなさそうですね。そのつもりなら武器を捨てたりはしません。
…………袖の中に隠している物を除けば。」
女も男もこの言葉で慌てる素ぶりを見せない。最初から見破れられることを前提をしている?どういうことだ?
「やはり、こちらの見立てどおりでした。あなたはかなりの知能と力を有している。何故こんなところ蟄居しているかは見当もつかないが、それはあずかり知らぬところだ。」
ますます読めなくなってきた、意味がわからない。僕が目当てで来たというのか?
「そちらが考えているように、こちらはただの緑色冒険者ではない。元は白色冒険者だった。」
その瞬間、僕は心臓が止まりかけた。立っているのもやっとだった。中堅冒険者と一概に言っても、茶色と白色には絶対的の戦力差がある。
白色の中に、茶色と大して変わらない戦力の冒険者はザラといる。というより、そっちのほうが多い。
でも、そうでない者もいる。
黒色、即ち上級冒険者になり損ねた、もしくは一歩手前の準上級冒険者もいるのだ。
この二人がそうなのかはわからない。でも元は白色というのは嘘ではないだろう。
そういうことなら、全ての辻褄は合う。
ならば、尚更何故ここに来たのかわからなくなった。
ギルドが本気になったのか?
いや違う、それなら武器を捨てる意味と名乗る意味ががわからない。
僕が一ミジンコで思考に悶え苦しんでいるところに、女のほうは勝手に喋っている。
「黒色冒険者になるためには試験受ける必要がある。こちらはそれを受けて合格した。だが、もうひと組の受験者にハメられて今のような有様になった。」
なるほど…………全くわからない。
それがどうして僕のようなダンジョンマスターを見つけることにつながるのだ?
「こちらはあやつらに復讐したい。だが、そんなことはできそうにない。こちらをハメたのは本当だが、実力も確かなものだ。技術こそこちらには劣るものの、真正面からぶつかったら負けるのはこちらだ。」
男は何も言わなかったが、目に苦痛に耐える色があった。
「そちらには理解できないことだろうが、人族には明確な成長限界がある。九分九厘はそれを超越できない。こちらはそれを突破できなかった。技術で辛うじて白色までが限界だった。ある意味、あやつらはそれでこちらを嘲笑いたかったのかもしれん。
成長限界の例外があるとすれば、紫色の怪物どもだろう。しかし、こちらはそんな芸当など到底できそうにない。」
女の目に、一瞬憧憬の念が浮かべられた。それもすぐに消えた。
「ほぼ全ての種族に成長限界が存在する。しかし、モンスターにそんなものは存在しない。どんな下級モンスターでも、無限に成長できる。」
ここまで来て、ようやく僕は何が何なのかが読めてきた。
二人は揃って跪く。
「こちらをそちらの配下にして頂きたい。モンスターになれば成長限界はなくなり、あやつらに勝つことも能うだろう。
こちらの唯一の望みはそれだけだ。あやつらに復讐できれば、この身も魂も捧げよう。」
これは、ラッキーと言っていいのかな?
最初は罠か何かとも思ったが、このオーガの量を目にして武器を捨てるのは本当に敵意がないのだろう。
でなければ頭がおかしいヤツか何かだ。
最初に口を開いたのは女のほうだ。
「こちらはここのダンジョンマスターと御目通り願いたい!!見てのとおり、敵意はない!」
ここまでやるのだから本当に敵意はないのだろう。しかし、困ったものだ。僕はそこに行けない。ミジンコだもの。
だから、オーガの一体を操って遠隔操作を試みる。
何回か、ゴブリンやオークに乗り移ったことがある。説明書にその機能が書かれていたので何回かやってみたことがあった。
やはり、人型が一番落ち着くのだ。
「僕がここのダンジョンマスターです。直接会うのは危険極まりないことですので、オーガを通してお話しします。」
「ごもっともだ。侵入者を警戒するのは至極当然のこと、こちらもそれを気にしようとは思わない。
にしても、それは『憑依』か何かか?それなら種族は『レイス』系と………いや、詮索はしないのが礼儀だろう。」
「実に理解ある方で助かりました。早速本題に入りましょう。あなた方は何者でしょうか?ただの緑色ではありませんね。
そして、僕のダンジョンに如何なる御用でしょうか?ここまで大量にモンスターを殺されたのですから、流石に文句の一つでも言いたいのですがね。」
ここで初めて男のほうが口を開いた。
「ここに至るまでに殺したモンスターのことを詫びるつもりはない。殺そうとすれば殺されることも覚悟したほうが良い。」
「なるほど、ではここで殺し合いをしましょう…………ということでもなさそうですね。そのつもりなら武器を捨てたりはしません。
…………袖の中に隠している物を除けば。」
女も男もこの言葉で慌てる素ぶりを見せない。最初から見破れられることを前提をしている?どういうことだ?
「やはり、こちらの見立てどおりでした。あなたはかなりの知能と力を有している。何故こんなところ蟄居しているかは見当もつかないが、それはあずかり知らぬところだ。」
ますます読めなくなってきた、意味がわからない。僕が目当てで来たというのか?
「そちらが考えているように、こちらはただの緑色冒険者ではない。元は白色冒険者だった。」
その瞬間、僕は心臓が止まりかけた。立っているのもやっとだった。中堅冒険者と一概に言っても、茶色と白色には絶対的の戦力差がある。
白色の中に、茶色と大して変わらない戦力の冒険者はザラといる。というより、そっちのほうが多い。
でも、そうでない者もいる。
黒色、即ち上級冒険者になり損ねた、もしくは一歩手前の準上級冒険者もいるのだ。
この二人がそうなのかはわからない。でも元は白色というのは嘘ではないだろう。
そういうことなら、全ての辻褄は合う。
ならば、尚更何故ここに来たのかわからなくなった。
ギルドが本気になったのか?
いや違う、それなら武器を捨てる意味と名乗る意味ががわからない。
僕が一ミジンコで思考に悶え苦しんでいるところに、女のほうは勝手に喋っている。
「黒色冒険者になるためには試験受ける必要がある。こちらはそれを受けて合格した。だが、もうひと組の受験者にハメられて今のような有様になった。」
なるほど…………全くわからない。
それがどうして僕のようなダンジョンマスターを見つけることにつながるのだ?
「こちらはあやつらに復讐したい。だが、そんなことはできそうにない。こちらをハメたのは本当だが、実力も確かなものだ。技術こそこちらには劣るものの、真正面からぶつかったら負けるのはこちらだ。」
男は何も言わなかったが、目に苦痛に耐える色があった。
「そちらには理解できないことだろうが、人族には明確な成長限界がある。九分九厘はそれを超越できない。こちらはそれを突破できなかった。技術で辛うじて白色までが限界だった。ある意味、あやつらはそれでこちらを嘲笑いたかったのかもしれん。
成長限界の例外があるとすれば、紫色の怪物どもだろう。しかし、こちらはそんな芸当など到底できそうにない。」
女の目に、一瞬憧憬の念が浮かべられた。それもすぐに消えた。
「ほぼ全ての種族に成長限界が存在する。しかし、モンスターにそんなものは存在しない。どんな下級モンスターでも、無限に成長できる。」
ここまで来て、ようやく僕は何が何なのかが読めてきた。
二人は揃って跪く。
「こちらをそちらの配下にして頂きたい。モンスターになれば成長限界はなくなり、あやつらに勝つことも能うだろう。
こちらの唯一の望みはそれだけだ。あやつらに復讐できれば、この身も魂も捧げよう。」
これは、ラッキーと言っていいのかな?
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