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第ニ章
タラータ 第2話
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認めよう、僕は油断していた。
ウェジャド同盟は僕と友好な関係を結びたい。だから、かなり下手から出ていた。その証拠に、国王に相当する同盟盟主の息子を人質に寄越した。自分の親族を政治の駒扱いしているかもしれないが、随分と大きい駒を貰ったと思っても良いだろう。
カレディー商業連盟は僕と商売をしたい。うちの国にしかない商品は他国ではかなり高価で売られているらしい。彼は営業スマイルを浮かべてニコニコしながら巧みな話術でたたみかける。訪問販売なら僕も前世でたくさんしてきたから、嫌悪感はおろか、親近感すら湧いた。(話過ぎると懐がヤバそうだけど)
カルッタ聖国はまた他の意味で怖かったけど、僕のことを尊敬して、信仰を寄せているオーラが波のように押し寄せて来た。これが現実で物質化してしまったたら、大陸が沈むかもしれない。まぁ、今のところは良好面しか出ていないから、そんな心配することではないだろう。
……………恐らくは。
ともかく、これまで謁見した全ての国は僕に悪意をそれ程持っていなかった。
誰かに悪意を持つのはしょうがない。自分より優れていれば、自然と羨望や嫉妬を覚える。自分より劣っていれば、自然と侮蔑し軽視する。
誰もがこのとおりだとは言わない。ただ、それをしてしまうのは、そうなってしまうのは、しょうがないと言いだけだ。笑って過ごせばいいし、それなりの敬意も払う。
だが、それとて限度というものがある。それを破ってしまうというのなら、こちらも敬意や社交辞令をかなぐり捨てる。
今、僕の前にはそれを完璧に体現している奴がいる。まるでその権現であるように。
誰であろう、ソルヤー共和国の使者だ。
こいつはうちの国に対する侮りを隠そうともせずに、捻くれた会話の中で僕を蔑む。
僕を蔑むのもよくないが、何より許せないのが僕の国を侮辱することだ。この国に来て一年程しか経っていないが、不思議と前世の故郷よりも愛着がある。
ナナーリアンさんも僕の苛立ちに気づいたのか、数分経たないうちに追い出した。
相手も、『いつかキサマらのほうから共和国に屈するだろう!』という悪役のザコキャラみたいなセリフを残してこの国を立ち去った、というより追い出された。
最後に謁見するのはルディアルド王国。さっきのソルヤー共和国と違いますように。
ナナーリアンさんからの情報からすると、この国はまさに風前の灯火状態。そもそも、この国を一つの独立した主権国家と認めない国のほうが多い。
ルディアルド王国を独立国家だと認めている国は片手で数えられる程に少ない。うちの国、アカラ=レヴロン神聖王国は数少ないそのうちの一つだ。
その国力の低さは自他認めてられており、如何なる国(うちの国も含めて)も一番最後に謁見するか、或いは謁見要求をガン無視するかのどちらかを取る。
何故、今日まで存続できたかはこの大陸の五大不思議の第四位になっている。
国の存在自体を不思議扱いするとは、しかも第四位という非常に残念な順位。これはもしかしたら末の弟よりも気の毒な状況かもしれない。
喜べ、ハムサよ!あなたよりかわいそうな存在は確実にいる!
さて、相手をディスるのは一旦やめよう。
目の前の使者殿たちを、ナナーリアンさんは目を見開いて見つめる。
片方は自信満々、もう片方は何かに困っているような顔をしている。
最初に口を開いたのはナナーリアンさん、ここまでは通常運転だ。
問題はこの後にナナーリアンさんが爆弾発言を投下したことだ。
「ルディアルドのツェベルフェン・カルレウス・ゲネリゴタ・デターマイン・バナルーグ王陛下。
ようこそ神聖王国へ。」
ナナーリアンさんはそう言って、前の四人に………ソルヤー共和国を除いて三人にした礼とは違った礼をとった。
って、ええぇええぇえええぇぇぇ!!!!
目の前にいるこの御方は王様なの!!??
いや、僕も一国の王だけど。
そっ、それに、地球でも首脳会談とかしょっちゅう行われたし、王様同士の会談とかも普通にあるものだろう。
………………きっと………………
「アカラ=レヴロン神聖王国のタラータ王殿。神選国王の即位を祝賀する。」
表情と述べられている言葉に関しては敵意を感じられない。
祝賀の言葉はウェジャド同盟とカレディー商業連盟と違って、どちらかと言うとカルッタ聖国に似ていた。
うちと仲が良い国は大体こんな感じの言葉を使えるのだろうか?友好度を測る条件の一つとして考えておこう。
「さて、タラータ王殿。今回は我が国にとっても、貴国にとっても良いこと尽くしの話をしに来た。」
ウェジャド同盟は僕と友好な関係を結びたい。だから、かなり下手から出ていた。その証拠に、国王に相当する同盟盟主の息子を人質に寄越した。自分の親族を政治の駒扱いしているかもしれないが、随分と大きい駒を貰ったと思っても良いだろう。
カレディー商業連盟は僕と商売をしたい。うちの国にしかない商品は他国ではかなり高価で売られているらしい。彼は営業スマイルを浮かべてニコニコしながら巧みな話術でたたみかける。訪問販売なら僕も前世でたくさんしてきたから、嫌悪感はおろか、親近感すら湧いた。(話過ぎると懐がヤバそうだけど)
カルッタ聖国はまた他の意味で怖かったけど、僕のことを尊敬して、信仰を寄せているオーラが波のように押し寄せて来た。これが現実で物質化してしまったたら、大陸が沈むかもしれない。まぁ、今のところは良好面しか出ていないから、そんな心配することではないだろう。
……………恐らくは。
ともかく、これまで謁見した全ての国は僕に悪意をそれ程持っていなかった。
誰かに悪意を持つのはしょうがない。自分より優れていれば、自然と羨望や嫉妬を覚える。自分より劣っていれば、自然と侮蔑し軽視する。
誰もがこのとおりだとは言わない。ただ、それをしてしまうのは、そうなってしまうのは、しょうがないと言いだけだ。笑って過ごせばいいし、それなりの敬意も払う。
だが、それとて限度というものがある。それを破ってしまうというのなら、こちらも敬意や社交辞令をかなぐり捨てる。
今、僕の前にはそれを完璧に体現している奴がいる。まるでその権現であるように。
誰であろう、ソルヤー共和国の使者だ。
こいつはうちの国に対する侮りを隠そうともせずに、捻くれた会話の中で僕を蔑む。
僕を蔑むのもよくないが、何より許せないのが僕の国を侮辱することだ。この国に来て一年程しか経っていないが、不思議と前世の故郷よりも愛着がある。
ナナーリアンさんも僕の苛立ちに気づいたのか、数分経たないうちに追い出した。
相手も、『いつかキサマらのほうから共和国に屈するだろう!』という悪役のザコキャラみたいなセリフを残してこの国を立ち去った、というより追い出された。
最後に謁見するのはルディアルド王国。さっきのソルヤー共和国と違いますように。
ナナーリアンさんからの情報からすると、この国はまさに風前の灯火状態。そもそも、この国を一つの独立した主権国家と認めない国のほうが多い。
ルディアルド王国を独立国家だと認めている国は片手で数えられる程に少ない。うちの国、アカラ=レヴロン神聖王国は数少ないそのうちの一つだ。
その国力の低さは自他認めてられており、如何なる国(うちの国も含めて)も一番最後に謁見するか、或いは謁見要求をガン無視するかのどちらかを取る。
何故、今日まで存続できたかはこの大陸の五大不思議の第四位になっている。
国の存在自体を不思議扱いするとは、しかも第四位という非常に残念な順位。これはもしかしたら末の弟よりも気の毒な状況かもしれない。
喜べ、ハムサよ!あなたよりかわいそうな存在は確実にいる!
さて、相手をディスるのは一旦やめよう。
目の前の使者殿たちを、ナナーリアンさんは目を見開いて見つめる。
片方は自信満々、もう片方は何かに困っているような顔をしている。
最初に口を開いたのはナナーリアンさん、ここまでは通常運転だ。
問題はこの後にナナーリアンさんが爆弾発言を投下したことだ。
「ルディアルドのツェベルフェン・カルレウス・ゲネリゴタ・デターマイン・バナルーグ王陛下。
ようこそ神聖王国へ。」
ナナーリアンさんはそう言って、前の四人に………ソルヤー共和国を除いて三人にした礼とは違った礼をとった。
って、ええぇええぇえええぇぇぇ!!!!
目の前にいるこの御方は王様なの!!??
いや、僕も一国の王だけど。
そっ、それに、地球でも首脳会談とかしょっちゅう行われたし、王様同士の会談とかも普通にあるものだろう。
………………きっと………………
「アカラ=レヴロン神聖王国のタラータ王殿。神選国王の即位を祝賀する。」
表情と述べられている言葉に関しては敵意を感じられない。
祝賀の言葉はウェジャド同盟とカレディー商業連盟と違って、どちらかと言うとカルッタ聖国に似ていた。
うちと仲が良い国は大体こんな感じの言葉を使えるのだろうか?友好度を測る条件の一つとして考えておこう。
「さて、タラータ王殿。今回は我が国にとっても、貴国にとっても良いこと尽くしの話をしに来た。」
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