好きな世界を選んでいいと言われたんですが、多すぎるから分裂しちゃいました。

ニコニ

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第一章

ワーヒド 第3話

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 しばらく歩いてるうちにまだ何が近づいてきた。
 敵か!と身構えしてしまったが、どうやら馬車のようだ。
 これはこの世界の住民に接触するチャンスだ、近づいて相手の出方を見て慎重にいこう。

「おや、こんなところに魔法使いさんが何の用だ?この近くで魔法の実験でもするつもりか?」

 異世界の言葉はどのようになっているのかが気になったが、スキルのおかげで日本語に翻訳してくれるらしい。
 でもどうしよう、相手がメッチャこっちを警戒してる。
 魔法使いはこの世界では危険な存在なのか?
 さっきの発言からすると、もしかしたらこの世界の魔術師はあっちこっちで怪しい実験をして、一般人から疎まれているのかもしれない。
 それはそれで助かる。これなら言動が多少おかしくても魔法使いということで誤魔化せるし、向こうもある程度それで片付けてくれるだろう。

 取りあえず警戒を解きたい。
「怪しいものではありません、たまたま通りかかった者です。」
 あくまでたまたま通りかかった者と言う。旅の者とも魔術師とも言わない。旅の者と言ったら、ここがどこなのか知らないのはおかしいし、魔術師と言っても、この世界の魔術師の詳しい情報がないままだといつかばれる恐れがある。
 最低限の情報だけ言って、あとは好きに想像させれば良い。

「へぇ、さすがは魔法使いさん。田舎もんの俺と違って、礼儀正しいもんだ。」
 御者の男は笑って話しているが、目には警戒の色がまだ残っている。まぁ、初対面の人にいきなり警戒を解く方がどうかしてるから気にしない。

「アル、何があったか?」
 馬車の中に誰かいるようだ。声からして男性。

「どうやら魔法使いさんが通りかかったらしいぜ。」
 御者の男がそう言うと、馬車の中から貴族風のいけすかないイケメンが出てきた。決して嫉妬で悪く言ったわけではない。

「魔法使いの方ですか。私はアーラム伯爵家の四男のミディール・ロン・アーラムです。お名前を伺っても?」

「ワーヒド・ヒグチと申します。」
 本当に貴族だった。どうしよう、貴族と話したことなんてないから礼儀とかよくわからない、地球の方でも時代にょっては貴族の不興を買って殺されたなんてよく聞く。
 でも、目の前の方あまり気にしてないようだ。単に目の前の男が礼儀を気にしないのか、はたまたこの世界の貴族の礼儀が緩いのか、よく調べる必要がある。

「どこかのお抱えの魔術師でしょうか?」

「いえ、どこにも。」
 僕はこの世界の情勢に疎い、無理に嘘をつくより真実を話した方がいいだろう。

「なら、我がアーラム領へ訪れてはどうか?何か急ぎの用事あれば無理はしなくていいが。」
 なんと、そちらの方からお誘いが来た。危険度も上がるが、せっかくの情報源を逃す手はない。

「是非とも、そうさせていただきます。」

 そのあと馬車に案内されて、談笑の間にさりげなくこちらの情報を探ろうとするが、こちらも同じようなことをしているから悪いとは思わない。
 情報戦はどのくらい大事なのか、前世の仕事で嫌だと言うほど知った。情報戦は漏らした方が悪い。

「ワーヒド殿はどちらから来たのだろうか?
 東の王国から海を渡って来たのだろうか?」
 東の王国と言った時、一瞬ではあるが目線が鋭くなった。この国と何があったかもしれない。

「では、何しにこちらへきたのだろうか?
 ここは大したもの何もないからはずと思うが。」
 出身のことを聞かれなくなったのは助かる、この世界の国について何も知らないから。
 しかし、目的を聞いても特にここに用があったわけではなく、転移先がここというだけ。そんなこと言えるはずもない。

「通りかかっただけです。」
 もう知らない、これで押し通る、どうにとでもなれ。

 向こうが何を聞いても曖昧な返事しかできなかった。向こうも何か察したらのか、こっちのことを聞かず、アーラム領のことを話し始めた。すみませんでした、先ほど僕の嫉妬という醜い感情により悪く言いました、あなたメッチャいい人です。僕が汚いだけです。

 話したことをまとめるとアーラム家は最近数十年できた新興貴族で、領地面積は平均より下、領民も少ない、経済の方も豊かではなく、貧困ではないが、ギリギリ。領の東は海に面しているため、そこから作られる名産品でなんとか賄えている様子。
さっき大したものはないと言ったが、それは謙虚ではなく、本当にないようだ。

 馬車が急に止まり、何事かと思っていると。
「大変だ!オークの群れだ!30はある!」

オークというのはさっき殺したヤツだろうかだったら30くらいならなんとかなるかもしれない。

僕は窓からオークの群れを見て、実戦経験なんてさっきの一回だけなのに、なぜか簡単にできると心の底から思えた。
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