好きな世界を選んでいいと言われたんですが、多すぎるから分裂しちゃいました。

ニコニ

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第一章

タラータ 第2話

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 あたかも何かされたような言い方だが、実際僕は何もされていない。
 とてもよくいてもらってるし、多少不自由ではあるが、楽しく生活できている。
 何より、悪意は全く感じられない。これは僕が接客業に勤めていて、非常に役に立ったスキルだ。これでそこそこの業績を積み上げている。

 今日、僕は一歳の誕生日を迎える。ちなみにこっちの暦は一年360日で、一ヶ月ちょうど30日だ。
 誕生日は前世の誕生日ではなく、この世界に来た6月20日だ。

 朝から少しウキウキしている。なにせ、異世界に来てからの一周年記念日だからな。そして今世の僕の誕生日でもある。落ち着いではいられないのは分かって欲しい。

 祝って欲しいかと言うと、まぁその通りだ。かなり烏滸がましいが。
 でも、メイドさんたちも執事さんたちもみんな良い方だから、きっと祝ってくれるはず。多分。
 そもそも、この世界に誕生日を祝うという風習があるかが問題だけど。

 にしても、その世界に来てもう一年経ったか~。色々あったような、なかったような。
 色々驚いてしまったような、固まってしまったような。

 と、おじいちゃんのように黄昏ていると。ノックの音が響いた。

「入って良いですよ。」

「失礼します。」

 メイドさんたちは何故か許可が出るまで部屋に入らない。始めての時は中々入らないから、どうしたかと思ったが、今はノックがなればすぐに返事をする。メイドたちはマナーがすごく良い。

「タラータ様、本日は貴方様の一歳の誕生日でございます。
 神殿長から大事な話がございますので、少々お時間を頂きます。」

 メイドと一緒に入って来た黒い服の青年が神殿長なのだろう。
 この世界の風習に一歳になったら何かあるのだろうか、民族によっては洗礼か何かを受けなければないというのを聞いたことがある。
 それにしても、神殿長とは結構地位の高い方だろう。何故僕のためにここまで偉い方を…

「さぞ、困惑しておられましょうが、どうか話を聞いて頂きたい。
 映像があった方が分かりやすいでしょう。」

 そういうと、ペンサイズの物をテーブルに置いた。僕と神殿長の間にホログラムのようなものが映し出される。

「まず、この国の歴史についてお話ししましょう。この国の名前はアカラ=レヴロン神聖王国、5000年前ほどにアカラ王国とレヴロン王国が合併して出来た国です。
 しかし、どちらが国を主導するかで揉めました。そこでとった方法が神選国王でした。神に王を選んで頂くのです。幸い、両国の宗教は同じ宗教でした。」

 ここまで言われると、とんでもない考えてが僕の脳裏を過ぎる。

「そして、初代神選国王が次の王を選び、輪廻に入りました。」

 なんだ~、勘違いだっ…、えっ、初代?

「その後も度々、神選国王が神に選ばれました。
 貴方が第五代神選国王です。」

 ギャグ神は何をしたんだ!

「これまで、貴方を神殿の深部に留めていたのは、不埒の輩を防ぐためです。神選国王は皆赤ん坊の状態です。ですので、戴冠式の前に良からぬことを吹き込まれないよう神選の深部にいるのがしきたりです。」

 なるほど悪意がないわけだ。善意しかない。一瞬でもあなた方を疑った僕が汚らわしかった。

「急な話ですが、明日は貴方の誕生日、国民にとっての初の披露目となります。」

 確かに急だね、だがしかし、前世で散々プレゼンテーションや訪問販売を経て来た僕である。ちっとも怖くないぞ、ハッハッハ!

「全国中継ですので、思う存分に自分の考えを知らせましょう。」

 ごめんなさい、調子に乗りました。多くても百人がやっとの僕にそんなことはできません。百人ですら緊張して思うようにできません。

「では、明日のために少しこの国の貴族について学びましょう。」

 モニターの画面が変わって、今度は文字も出て来た。なんと日本語だった。

「すみません、この文字の由来を聞いても良いですか?」

「この文字、及び今、我々が使っている言語は創世期に、至高なる神の一柱が広めたものです。」

 なるほど、ギャグ神の仕業か。

「神々の間では公用語として使われているとのことです。」

 ギャグ神って、もしかして凄い人?凄い神?

「説明に戻りますね。この国の爵位は高い順に、尊爵、神爵、公爵、侯爵、伯爵、子爵、騎士爵、準騎士爵となります。
 貴方の誕生祝いに出られるのは侯爵以上と有力伯爵になります。
 神爵と尊爵はこの国独特の爵位で、神爵は神選国王の子孫、尊爵は国に偉大な貢献をなさった方への一代限りの称号になります。」

 画面がまた変わり、地図ご出てくる。

「神爵が4名、尊爵が7名、公爵が2名、侯爵が9名、伯爵が6名が出席します。
 ここまではいいですか?」

「はい、大丈夫です。
 ところで、この国のマナーと喋り方がよく分からないのですが、基本的なルールを教えて頂けますか?」

「貴方がこの国の王ですから、貴方がこの国の法となります。貴方が私共に合わせる必要は有りません。
 そろそろ夜も更けますので、今日はお早めにお休みください。」

 神殿長は一礼してから出て行った。
 はぁ、明日は疲れそうだ。
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