好きな世界を選んでいいと言われたんですが、多すぎるから分裂しちゃいました。

ニコニ

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第一章

ハムサ 第2話

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 太陽の明るい光に照らされ、小鳥がチュンチュンなく朝。


………………は当然迎えられるはずもありません。

 ゴブリン居住地の大半は二種類に分けることが出来ます。
 技術がある程度発展して、鬼口もそこそこある集落は素材を集めて自分たちの家を建てます。
 もう一つは家を建てるほどの技術、もしくは材料が足りない場合は洞窟などを加工してそこに住みます。

 残念なことに、うちは後者。

 土木技術とその資材、両方とも欠ける未発展で遅れている集落です。

 ぼくが頑張り始めてからはそうでもなくなりましたが、いかんせん周辺はゴツゴツとした岩場ばかり。
 ぼくのスキルをフルに使えば、それなりの建物も出来なくはないのですが、とても効率が良いとは言えません。
 まず、硬い岩場に支柱を立てるだけで月単位がいります。そこから始まる工事を想像するだけでも嫌になります。
 これならいっそう洞窟の中を発展させた方がメリットは大きい。きっとそうに違いない。
 洞窟の中の岩盤は削りやすく、加工しやすい。
 ほんと、ご先祖様方はどうやって住居にまでしたのかが謎であります。
 もしかしたら、ここに来た時は岩盤を撃ちぬくほどの実力者がいたり、工事が出来るほどの技術があったりしたかもしれません。
 まぁ、もしそうだとしたらその技術は如何にして失われたのが謎なんですが、いつまでも無いものねだりをしてもしょうがない。

 気を取直して、洞窟の開発といきましょう。

…………………………

 工事を見るたびに、ツルハシなるものを褒め称えたいものです。それを発明せしめたメソポタミア文明は偉大なり哉。
 最初は30も無い部屋数が、45まで増えたのですから。ほんと、ツルハシ様には頭が上がりません。

 居住地の改造は部屋数を増やしただけではありません。
 生活に必要なものもいろいろ作りました。

 洞窟の中に住んでいるのですから、奥の方まで光は届きません。というより、玄関を除く実に8割の場所は真っ暗と言えましょう。
 今までどうやっ暮らしていたかと言いますと、松明を灯していました。
 ここまで違和感を抱かない方、要注意ですよ。
 
 そもそも、風通しが悪く、空気の流動がほぼない洞窟の中で松明を大量に灯せば

 事実、洞窟の奥にいるゴブリンは玄関近くのゴブリンと比べて力は弱く、寿命もやや短い。
 そして、この集落のゴブリンは弱者を奥の方にしまい込み、出さない性質を持ちます。
 とんでもない悪循環です。

 そこでぼくはを作りました。
 ここの洞窟の中には『光晶』というものがあります。『光晶』とは名の通り『光属性』の『晶石』で、光を出します。
 それ自体は洞窟のあらゆるところに点在しますが、純度が低く、微かの光を出すだけに止まります。
 しかし、ぼくの『錬成術』のスキルには素晴らしいスキルがありました。『万物精錬』を使えばその問題は無くなります。
 しかも、ぼくのジョブが『最高錬成師』からか、成功率がとんでもなく高いです。
 比べる対象がいないのにどうして分かるかと言いますと、成功率欄に99%とあったんですよ。高いに決まってます。
 

 ぼくの居住地改造は勿論ランプだけに留まりません。
 松明問題を解決しただけで、空気問題は解決していません。風通しが悪く、酸素が奥の方に行けば行くほど薄いのは相変わらずです。
 これからもっともっと洞窟を開拓していくというのに、この問題を光克服しなければ進めません。
 ぼくのスキルを使えば、空気を送る程度の機械は作れますが、乱雑に置いても仕方がありません。
 そこで、ぼくは『アリの巣計画』を考案しました。要するに、全ての部屋を二本以上の通路で繋げ、一定区間に空気循環機を置きます。
 これは大掛かりな工事で、それによって廃棄処分になった部屋は、空気流動を妨げるかもしれませんので埋めなければなりません。
 今まで住んでいたところを潰してしまうのですから、反抗者が出てくるかもしれないと心配していたのですが、特に問題はありませんでした。
 ゴブリンたちは個人主義より、絶対なる全体主義ですので、ぼくが全体の利益になるといえば喜んで死ぬことすら厭いません。
 事実、5回侵入者が入ってこようとして、3回は話で解決し、お帰り頂いたのですが、2回は戦わねばなりませんでした。
 1回目は何の準備もなく、その場でやらねばなりませんでした。ぼくは結構残忍な計画を立てました。
 まず、弱いゴブリンを10ほど囮にし、侵入者達が弱いゴブリンを殺して油断している時に殺す、という計画でした。
 驚くことに誰も異議を唱えず、着々と進んでいきました。
 この計画の残忍なところは殺させねばならないということです。殺させねば、本当に油断させられるかが、不明だからです。

 その戦いを教訓とし、しばらくは軍備に力を当てました。
 ボウガンは本当に素晴らしい。それを発明せしめた中国文明は偉大なり。
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