32 / 59
第一章
ハムサ ゴブイチ隊の素材収集
しおりを挟む
どもっス。
自分はゴブイチさんとこの『名無し』の只のゴブリンっス。
ほかの隊のことは知らないっスけど、ゴブイチさんは自分たちのような下っ端にも結構優してくれるっス。
あっ、決してほかの隊を悪く言いたい訳じゃないっスよ!
ゴブサさんとこに、友だち居るんスけど、割りかし楽しいらしいっス。
でも、やっぱゴブイチさんとこがいちばんいいっス。ゴブイチは兄のように隊のみんなと付き合っていて、ハムサ様曰く“あにきはだ”?らしいっス。
だからみんな『隊長』より『アニキ』の方がしっくりくるから、『アニキ』って呼んでるっス。
そしてなんと、今日はめでたい初任務っス!
だけどアニキはなんだが顔色があまり良くないっス。ずっと上の空で、たまにボーっとしてて心配になるっス。
「実感が無くとも、これを上手く使って戦わねばいけんだろうな。」
あっ、やっと戻って来たっス!
実感?なんのことだろう?
きっと、自分には想像も出来ないような重要なことを考えてるっス。でも任務を遂行しなきゃ駄目っス!だからある程度注意するッス!
「ゴブイチさん、なんだか辛気くさい顔してますよ。」
「ああ相棒、言ってくれてどうもありがと。」
分かってるっス、自分は上司には強く言えない軟弱者っス。
でも、分かって欲しいっス。
日頃から色々世話を焼かせて貰って居る相手に強く出られないヘタレの気持ちを、分かって欲しいっス!
あと、『相棒』って言って貰えてチョー嬉しかったっス!
「んじゃあ、出発するか。」
だからこうもあからさまな話題転換も許しちゃうんスよ……
「おっと、これは大物だ。大きな音を立てるずに忍び寄れ。」
見つけたのは『レッサーウィンドウルフ』っス。
一昔前なら、これと出会うことは死を意味していたっス。でも今はハムサ様から頂いた武器があるっス。
これがあれば、『レッサーウィンドウルフ』くらいはイチコロっス!
………というのはさすが無理っス………それでも五分五分まで持っていけるだけ、ハムサ様はやっぱり凄いっス。
自分らはこの森では間違いなく最下層だったっス。他の奴らからしてみれば、放し飼いの食糧っス。
それが今は『レッサーウィンドウルフ』を狩って………狩ろうとするまで行けたっス!
こんな嬉しいことはないっス!被食者から捕食者になったっス!
さあ、気を引き締めていくっスよ。
うわー、緊張するっス。周りを見渡しても、みんなも緊張しているのが伝わってくるっス。
「訓練どおりに行くぞ。狙いをきちんと定めておけ。」
大丈夫っス、自分はちゃんとボウガン訓練を受けてたっス。訓練の内容も覚えてるっス。
これで問題はない筈っス………
「放て!」
隊長が出した大きな声で、相手が一瞬こちらを向いたんスが、これが狙いなんス。
ボウガンは矢を撃つっス、でも『レッサーウィンドウルフ』は下級の風の魔法を使えるっス。
遠距離から撃っても、バレたら風で飛ばされて届かないっス。
そこでこの作戦なんス。自分らのような弱い存在であれば、相手もきっと油断するっス。だから大声で相手をこっちに誘き寄せるっス。
そこで至近距離で数発撃ち込み、行動力を奪ったところで滅多撃ちっス!
これは自分の案っスよ!ドヤっス!!
隊長も自分の案に賛成して即採用した程っスから。きっとうまく行く筈っス。
至近距離の攻撃を引き受けたのは隊長だったんス。でもみんなから止められて他のゴブリンに変わったっス。
そんな危険なことを隊長にやらせることはできないっス!
本当は自分が変わってあげたいんスけど、自分は筋力も膂力も足の速さもあまり良くないっス。
それがどうしてみんなに副隊長を任されたのかが分からないっス。
結果を言えば、成功したっス。
唯一の力の風の魔法さえ封じれば、『レッサーウィンドウルフ』なんてゴブリンよりちょっとしか強くないっス。
それを遠距離で滅多撃ちすればイチコロっス。
それなのに、なんでっス………
なんで隊長がそんな怪我しちまってるんスか!?
あのバカ狼は隊長に三発撃ち込まれて逃げようとしたっス。でもそんなさせる訳がないっス。
みんなで包囲して出られないように滅多撃ちにしてやったっス。でも、あのバカ狼は最後の最後に力を振り絞って隊長に襲いかかったっス!
自分らボウガンがなければただのゴブリンっス。『レッサーウィンドウルフ』の死力を尽くした一撃を防げる訳ないっス。
隊長のところに駆けつけた時には、もう、息をしていなかったっス。
自分はゴブイチさんとこの『名無し』の只のゴブリンっス。
ほかの隊のことは知らないっスけど、ゴブイチさんは自分たちのような下っ端にも結構優してくれるっス。
あっ、決してほかの隊を悪く言いたい訳じゃないっスよ!
ゴブサさんとこに、友だち居るんスけど、割りかし楽しいらしいっス。
でも、やっぱゴブイチさんとこがいちばんいいっス。ゴブイチは兄のように隊のみんなと付き合っていて、ハムサ様曰く“あにきはだ”?らしいっス。
だからみんな『隊長』より『アニキ』の方がしっくりくるから、『アニキ』って呼んでるっス。
そしてなんと、今日はめでたい初任務っス!
だけどアニキはなんだが顔色があまり良くないっス。ずっと上の空で、たまにボーっとしてて心配になるっス。
「実感が無くとも、これを上手く使って戦わねばいけんだろうな。」
あっ、やっと戻って来たっス!
実感?なんのことだろう?
きっと、自分には想像も出来ないような重要なことを考えてるっス。でも任務を遂行しなきゃ駄目っス!だからある程度注意するッス!
「ゴブイチさん、なんだか辛気くさい顔してますよ。」
「ああ相棒、言ってくれてどうもありがと。」
分かってるっス、自分は上司には強く言えない軟弱者っス。
でも、分かって欲しいっス。
日頃から色々世話を焼かせて貰って居る相手に強く出られないヘタレの気持ちを、分かって欲しいっス!
あと、『相棒』って言って貰えてチョー嬉しかったっス!
「んじゃあ、出発するか。」
だからこうもあからさまな話題転換も許しちゃうんスよ……
「おっと、これは大物だ。大きな音を立てるずに忍び寄れ。」
見つけたのは『レッサーウィンドウルフ』っス。
一昔前なら、これと出会うことは死を意味していたっス。でも今はハムサ様から頂いた武器があるっス。
これがあれば、『レッサーウィンドウルフ』くらいはイチコロっス!
………というのはさすが無理っス………それでも五分五分まで持っていけるだけ、ハムサ様はやっぱり凄いっス。
自分らはこの森では間違いなく最下層だったっス。他の奴らからしてみれば、放し飼いの食糧っス。
それが今は『レッサーウィンドウルフ』を狩って………狩ろうとするまで行けたっス!
こんな嬉しいことはないっス!被食者から捕食者になったっス!
さあ、気を引き締めていくっスよ。
うわー、緊張するっス。周りを見渡しても、みんなも緊張しているのが伝わってくるっス。
「訓練どおりに行くぞ。狙いをきちんと定めておけ。」
大丈夫っス、自分はちゃんとボウガン訓練を受けてたっス。訓練の内容も覚えてるっス。
これで問題はない筈っス………
「放て!」
隊長が出した大きな声で、相手が一瞬こちらを向いたんスが、これが狙いなんス。
ボウガンは矢を撃つっス、でも『レッサーウィンドウルフ』は下級の風の魔法を使えるっス。
遠距離から撃っても、バレたら風で飛ばされて届かないっス。
そこでこの作戦なんス。自分らのような弱い存在であれば、相手もきっと油断するっス。だから大声で相手をこっちに誘き寄せるっス。
そこで至近距離で数発撃ち込み、行動力を奪ったところで滅多撃ちっス!
これは自分の案っスよ!ドヤっス!!
隊長も自分の案に賛成して即採用した程っスから。きっとうまく行く筈っス。
至近距離の攻撃を引き受けたのは隊長だったんス。でもみんなから止められて他のゴブリンに変わったっス。
そんな危険なことを隊長にやらせることはできないっス!
本当は自分が変わってあげたいんスけど、自分は筋力も膂力も足の速さもあまり良くないっス。
それがどうしてみんなに副隊長を任されたのかが分からないっス。
結果を言えば、成功したっス。
唯一の力の風の魔法さえ封じれば、『レッサーウィンドウルフ』なんてゴブリンよりちょっとしか強くないっス。
それを遠距離で滅多撃ちすればイチコロっス。
それなのに、なんでっス………
なんで隊長がそんな怪我しちまってるんスか!?
あのバカ狼は隊長に三発撃ち込まれて逃げようとしたっス。でもそんなさせる訳がないっス。
みんなで包囲して出られないように滅多撃ちにしてやったっス。でも、あのバカ狼は最後の最後に力を振り絞って隊長に襲いかかったっス!
自分らボウガンがなければただのゴブリンっス。『レッサーウィンドウルフ』の死力を尽くした一撃を防げる訳ないっス。
隊長のところに駆けつけた時には、もう、息をしていなかったっス。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
92
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる