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第一章
ハムサ 『ゴブイチ』の葛藤
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ハムサ様は生まれてから一年も経っていないが、その改革は目を疑うほどだった。
今でも、自分が持っている武具に実感を感じない部分があるくらいに、その衝撃は凄まじかった。
たまに人間たちが入ってきて魔獣狩りをやるが、その時に見た装備よりも良いかもしれない。
これを手にしたすぐに使いこなせるほうがどうかしている。
「実感が無くとも、これを上手く使って戦わねばいけんだろうな。」
おっと、つい声に出してしまったな。
「ゴブイチさん、なんだか辛気くさい顔してますよ。」
そんな感傷にも似た感情に浸りそうになった寸前で止めてくれたのはハムサ様から名前も頂いてない普通のゴブリンだ。
これはいけないな、そんなに偉くなった覚えはないが、上に立つ者の一挙手一投足が全体に影響を与える。
オレが暗い顔なんかしたら全体の士気に影響しかねない。
「ああ相棒、言ってくれてどうもありがと。」
こいつにはまだハムサ様に名前を戴いてないが、中々周囲に気を配れる。
オレは基本的に戦闘にしか能が無い。それも個体個の戦闘で、集団対個の戦闘はてんで駄目だ。
模擬戦がわりの対野獣戦も、ほぼこいつが指揮した。オレはこいつの指揮に沿って動いているいるだけだ。
本当は、こいつが名を戴くはずじゃ無いのか、そっちの方が適解じゃ無いのか。
オレなんか、木偶の坊でしかない。いや、完全に作戦どおりに動けないから、木偶の坊以下だな。
名をハムサ様から頂いた時から、オレはオレのそんな疑問を抱き続けていた。
「んじゃあ、出発するか。」
大して年を食った訳でも無いのに、考え事を長々と。
別に自分がこいつに負けているとは思わない。
いや、それは嘘になるな。
確かに負けているところはあるだろう。
たが、そがどうした。長所や短所があってなにがおかしい。
オレはハムサ様から名を戴いた。それはオレにとって何よりもの真実に他ならない。
傲慢は忌むべきだが、これくらいの自負は持ってもバチは当たるまい。
せめて、今回の任務で高評価を得て、こいつにも名が与えられるにしよう。
「おっと、これは上物だ。大きな音を立てるずに忍び寄れ。」
森の少しひらけた場所にグースか寝ているのは『レッサーウィンドウルフ』。
単体の討伐はそんな難しくないが、厄介な風の魔法を使ってくる。
下級の魔法だろうと、ボウガンの矢をそらして当たらないようにすることは容易にできる。
オレたちの洞窟の周辺のエリアに棲息している魔獣の種類はそんなに多くない。精々3、4種類くらいだ。
それくらいだったら、一種類ごとに作戦を立てることもできた。
『レッサーウィンドウルフ』もその中に入っている。
作戦はこう、オレがアイツを呼び寄せ、至近距離で矢を2、3発食らわせる。
至近距離で矢を食らえば、かなり弱くなる筈だ。そこを隊員全員で矢を撃ち、集中攻撃を更に食らわせる。
問題は、一番危険な至近距離でボウガンを撃つ役だったが、それはオレにとっては問題じゃなかった。
最良の答えはオレだ。この中で一番強い力を持つ。なにせ、ハムサ様から名を頂いたのだから、かなり強化される。
だが、そこから更に問題が起きた。
それまで意見を出し合い、言い争う声が一転。満場一致でオレに矛先を向けた。余程オレにその役をやらせたくないみたいだ。
オレはどちらかというと、隊員の意見を聞くほうだ。これから生死を共に渡る存在を無碍に扱うことはできない。
もし、叶えられるのなら叶えてあげたいとは思う。
大丈夫だ。
問題無い。
計画どおりに行けば、一番危険なあの役をやっているあのゴブリンも怪我くらいで済む筈だ。
大丈夫だ。
問題無い。
相棒の計画に、一回だってミスや不具合が生じたことはあるか?いや、ない。
そう、今はただ相棒を信じればいい。
そんな風に自分を慰めた。
だがまぁ、オレは自分が思っている以上に運が良いみたいだ。
そして、オレは最初で最後の相棒のミスを目にした。
はっ、お前も中々ゴブリン味があるじゃないか……いつもミスらしいミスをしないから本当に生き物か、と疑問に思ったこともあるぞ。
嗚呼、本当に良い冥土のみやげができた。
正確無比のお前の計画のほつれを見れるなんて、な。
今でも、自分が持っている武具に実感を感じない部分があるくらいに、その衝撃は凄まじかった。
たまに人間たちが入ってきて魔獣狩りをやるが、その時に見た装備よりも良いかもしれない。
これを手にしたすぐに使いこなせるほうがどうかしている。
「実感が無くとも、これを上手く使って戦わねばいけんだろうな。」
おっと、つい声に出してしまったな。
「ゴブイチさん、なんだか辛気くさい顔してますよ。」
そんな感傷にも似た感情に浸りそうになった寸前で止めてくれたのはハムサ様から名前も頂いてない普通のゴブリンだ。
これはいけないな、そんなに偉くなった覚えはないが、上に立つ者の一挙手一投足が全体に影響を与える。
オレが暗い顔なんかしたら全体の士気に影響しかねない。
「ああ相棒、言ってくれてどうもありがと。」
こいつにはまだハムサ様に名前を戴いてないが、中々周囲に気を配れる。
オレは基本的に戦闘にしか能が無い。それも個体個の戦闘で、集団対個の戦闘はてんで駄目だ。
模擬戦がわりの対野獣戦も、ほぼこいつが指揮した。オレはこいつの指揮に沿って動いているいるだけだ。
本当は、こいつが名を戴くはずじゃ無いのか、そっちの方が適解じゃ無いのか。
オレなんか、木偶の坊でしかない。いや、完全に作戦どおりに動けないから、木偶の坊以下だな。
名をハムサ様から頂いた時から、オレはオレのそんな疑問を抱き続けていた。
「んじゃあ、出発するか。」
大して年を食った訳でも無いのに、考え事を長々と。
別に自分がこいつに負けているとは思わない。
いや、それは嘘になるな。
確かに負けているところはあるだろう。
たが、そがどうした。長所や短所があってなにがおかしい。
オレはハムサ様から名を戴いた。それはオレにとって何よりもの真実に他ならない。
傲慢は忌むべきだが、これくらいの自負は持ってもバチは当たるまい。
せめて、今回の任務で高評価を得て、こいつにも名が与えられるにしよう。
「おっと、これは上物だ。大きな音を立てるずに忍び寄れ。」
森の少しひらけた場所にグースか寝ているのは『レッサーウィンドウルフ』。
単体の討伐はそんな難しくないが、厄介な風の魔法を使ってくる。
下級の魔法だろうと、ボウガンの矢をそらして当たらないようにすることは容易にできる。
オレたちの洞窟の周辺のエリアに棲息している魔獣の種類はそんなに多くない。精々3、4種類くらいだ。
それくらいだったら、一種類ごとに作戦を立てることもできた。
『レッサーウィンドウルフ』もその中に入っている。
作戦はこう、オレがアイツを呼び寄せ、至近距離で矢を2、3発食らわせる。
至近距離で矢を食らえば、かなり弱くなる筈だ。そこを隊員全員で矢を撃ち、集中攻撃を更に食らわせる。
問題は、一番危険な至近距離でボウガンを撃つ役だったが、それはオレにとっては問題じゃなかった。
最良の答えはオレだ。この中で一番強い力を持つ。なにせ、ハムサ様から名を頂いたのだから、かなり強化される。
だが、そこから更に問題が起きた。
それまで意見を出し合い、言い争う声が一転。満場一致でオレに矛先を向けた。余程オレにその役をやらせたくないみたいだ。
オレはどちらかというと、隊員の意見を聞くほうだ。これから生死を共に渡る存在を無碍に扱うことはできない。
もし、叶えられるのなら叶えてあげたいとは思う。
大丈夫だ。
問題無い。
計画どおりに行けば、一番危険なあの役をやっているあのゴブリンも怪我くらいで済む筈だ。
大丈夫だ。
問題無い。
相棒の計画に、一回だってミスや不具合が生じたことはあるか?いや、ない。
そう、今はただ相棒を信じればいい。
そんな風に自分を慰めた。
だがまぁ、オレは自分が思っている以上に運が良いみたいだ。
そして、オレは最初で最後の相棒のミスを目にした。
はっ、お前も中々ゴブリン味があるじゃないか……いつもミスらしいミスをしないから本当に生き物か、と疑問に思ったこともあるぞ。
嗚呼、本当に良い冥土のみやげができた。
正確無比のお前の計画のほつれを見れるなんて、な。
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