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第一章
ハムサ 第4話
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最初にその知らせを聞いた時、これは嘘だと思いました。だって、本当である筈がありません…………
ゴブイチはぼくが『ゴブリンキング』になる前から、ぼくを助けてくれていたゴブリンです。ぼくが頭角を現す前から助けてくれた唯一のゴブリンです。
彼が長老たちにぼくのことを報告しなければ、ぼくはこんなにも早く『ゴブリンキング』の座に就けなかったのでしょう。
彼は非常に賢かったんです。ぼくより数年年程上ですが、ゴブリンからしてみれば彼は驚くべき学習能力を持ち、僅か一年近くで言葉を操れるようになりました。
ぼくの誕生がなければ、彼が『ゴブリンキング』になっていたのでしょう。
ぼくの誕生によって、彼の賢さは霞ましたが、ぼくの誕生はかなりイレギュラーの出来事です。神の力でチートを使えますから。
言葉だって、日本語を話しているのではなく、完全な未知の言葉だったら一生使えるようにならなかったかもしれません。
彼はただのゴブリンとして、世界でも稀に見るような聡明さを誇ります。ぼくが彼に勝てるものなんて、運の良さくらいです。
だから、感謝と敬意を込めて彼には一番最初に名前をつけました。一番目の名前、ぼくが最初につけた名前をつけたからって、特別な力を持てる訳ではありません。
しかし、名前をつけられるということはその名前の分の力が足されるということです。
単純な力量であればこの集落の最強を誇る彼が名前を持ったのです。鬼に金棒ですよ。
それなのに、
それなのになぜ、
死んだのですか?
『最初に知らせを聞いた時、これは嘘だと思いました。』などと言いましたが、これこそが嘘です。
ゴブニはつまらない嘘や冗談を吐くゴブリンじゃありません。ゴブサも彼程ではないにしろ、違います。
二鬼共、生真面目性格で、仕事を卒なくこなしてしまうタイプです。
それが二鬼揃って慌ててゴブイチの死を報告したのですから、それはきっと真実だろうとその瞬間に分かりました。
それでも、それでも一縷の嘘だと思いたい気持ちはありました。これに関してはぼくを責めないでほしい。
ゴブイチはぼくが誕生してから世話を焼いてくれて、様々な物事を教えてくれた恩師とも言える存在でした。
そんな彼が死んだという事実を、ぼくの本能が拒みました。
倒れて気絶しそうになったぼくを支えてくれたのはゴブスケです。彼は最初、ぼくを全く認めていませんでしたが、ぼくが作り出した数々の道具を見て感服したらしいです。
今では、恐らく一番の忠誠心を寄せているのが彼です。
そう、今では、一番の忠誠心を持っています。
ほんの数時間前であれば、一番の座は間違いなくゴブイチでした。
それが、入れ替えによってその座が変わったのではなく、ゴブイチの死によってゴブスケがその座に座ることは誰にも予想できなかったでしょう。
とはいえ、ぼくも今や一つの集団の長。
上に立つ者はいつだって強くなければなりません。ぼくが弱さを見せれば、この集落そのものの力が低下してしまいます。
ゴブイチの死は実に遺憾きわまりないことです。それでも、ぼくは前に進まなければなりません。この集落を前に進ませなければなりません。
これはゴブイチも賛同してくれた考え方です。ぼくを冷酷だと言いたいのでしたら、どうぞ言ってください。
これが上位に立つ者としての義務、そして権利ですから。
これ以上、弱さを見せてはダメです。ゴブニとゴブサはぼくの腹心ですので、彼らは多少見せてしまっても構いません。
しかし、ぼくの即位を快く思っていない者の存在も忘れてはいけません。
彼らは自分が上手いこと隠れてばれていないと思っているようですが、ほとんど全員を把握しています。
彼らはきっと、ぼくの弱みを血眼になって探っている筈です。そして今、ぼくの片腕とも言えるゴブイチはもういません。
彼らは食いついて離さないでしょう。
普段なら、会話や舌戦の準備をしていたのでしょう。
必要悪は本当に必要なんです。一部の悪をコントロールすることによって、大多数を善にすることができます。
普段なら、です。
今のぼくは気が狂う寸前なんです。もし、彼らが愚かなことをすれば、即座に死刑を宣告するくらいには冷静から離れています。
無駄な殺しをしない為にも、あまり過剰な恐怖を集落に与えない為にも、あのアホどもが面倒ごとを起こさないことをギャグ神に祈りましょう。
ゴブイチはぼくが『ゴブリンキング』になる前から、ぼくを助けてくれていたゴブリンです。ぼくが頭角を現す前から助けてくれた唯一のゴブリンです。
彼が長老たちにぼくのことを報告しなければ、ぼくはこんなにも早く『ゴブリンキング』の座に就けなかったのでしょう。
彼は非常に賢かったんです。ぼくより数年年程上ですが、ゴブリンからしてみれば彼は驚くべき学習能力を持ち、僅か一年近くで言葉を操れるようになりました。
ぼくの誕生がなければ、彼が『ゴブリンキング』になっていたのでしょう。
ぼくの誕生によって、彼の賢さは霞ましたが、ぼくの誕生はかなりイレギュラーの出来事です。神の力でチートを使えますから。
言葉だって、日本語を話しているのではなく、完全な未知の言葉だったら一生使えるようにならなかったかもしれません。
彼はただのゴブリンとして、世界でも稀に見るような聡明さを誇ります。ぼくが彼に勝てるものなんて、運の良さくらいです。
だから、感謝と敬意を込めて彼には一番最初に名前をつけました。一番目の名前、ぼくが最初につけた名前をつけたからって、特別な力を持てる訳ではありません。
しかし、名前をつけられるということはその名前の分の力が足されるということです。
単純な力量であればこの集落の最強を誇る彼が名前を持ったのです。鬼に金棒ですよ。
それなのに、
それなのになぜ、
死んだのですか?
『最初に知らせを聞いた時、これは嘘だと思いました。』などと言いましたが、これこそが嘘です。
ゴブニはつまらない嘘や冗談を吐くゴブリンじゃありません。ゴブサも彼程ではないにしろ、違います。
二鬼共、生真面目性格で、仕事を卒なくこなしてしまうタイプです。
それが二鬼揃って慌ててゴブイチの死を報告したのですから、それはきっと真実だろうとその瞬間に分かりました。
それでも、それでも一縷の嘘だと思いたい気持ちはありました。これに関してはぼくを責めないでほしい。
ゴブイチはぼくが誕生してから世話を焼いてくれて、様々な物事を教えてくれた恩師とも言える存在でした。
そんな彼が死んだという事実を、ぼくの本能が拒みました。
倒れて気絶しそうになったぼくを支えてくれたのはゴブスケです。彼は最初、ぼくを全く認めていませんでしたが、ぼくが作り出した数々の道具を見て感服したらしいです。
今では、恐らく一番の忠誠心を寄せているのが彼です。
そう、今では、一番の忠誠心を持っています。
ほんの数時間前であれば、一番の座は間違いなくゴブイチでした。
それが、入れ替えによってその座が変わったのではなく、ゴブイチの死によってゴブスケがその座に座ることは誰にも予想できなかったでしょう。
とはいえ、ぼくも今や一つの集団の長。
上に立つ者はいつだって強くなければなりません。ぼくが弱さを見せれば、この集落そのものの力が低下してしまいます。
ゴブイチの死は実に遺憾きわまりないことです。それでも、ぼくは前に進まなければなりません。この集落を前に進ませなければなりません。
これはゴブイチも賛同してくれた考え方です。ぼくを冷酷だと言いたいのでしたら、どうぞ言ってください。
これが上位に立つ者としての義務、そして権利ですから。
これ以上、弱さを見せてはダメです。ゴブニとゴブサはぼくの腹心ですので、彼らは多少見せてしまっても構いません。
しかし、ぼくの即位を快く思っていない者の存在も忘れてはいけません。
彼らは自分が上手いこと隠れてばれていないと思っているようですが、ほとんど全員を把握しています。
彼らはきっと、ぼくの弱みを血眼になって探っている筈です。そして今、ぼくの片腕とも言えるゴブイチはもういません。
彼らは食いついて離さないでしょう。
普段なら、会話や舌戦の準備をしていたのでしょう。
必要悪は本当に必要なんです。一部の悪をコントロールすることによって、大多数を善にすることができます。
普段なら、です。
今のぼくは気が狂う寸前なんです。もし、彼らが愚かなことをすれば、即座に死刑を宣告するくらいには冷静から離れています。
無駄な殺しをしない為にも、あまり過剰な恐怖を集落に与えない為にも、あのアホどもが面倒ごとを起こさないことをギャグ神に祈りましょう。
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