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『ポーション』ビュッフェ
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テーブルの上に陳列されている怪しげの色の瓶。隣でニコニコしているアルダス。未だに悶え苦しんでいるスリ。そして何か悟りを開いた顔をしている小沼。
ポーションの瓶にぶら下がっているラベルを見てみると『劇毒ポーション』、『痙攣ポーション』、『麻痺ポーション』、『育毛ポーション』……
見るとゾッとしてしまう名前ばかりである。
小沼:最後のやつだけはギャグ感がハンパないな。
幸いなことに、スマホ様は『来るもの拒まず』を貫くらしい。全てもれなく『解毒』して『吸収』してエネルギーに変えた。
瓶が次から次へと空になっていき、小沼が最後の一本を飲む度に新しい攻勢が送られて来る。小沼はそれを見事に突破すればする程にアルダスの笑みも深まる。
スマホのスタートアップ進度は既に18%まで進んだ。小沼は気づいた、効力が強いポーション程、吸収した時は進度が高い。しかし同じポーションを再度飲む時、増える進度は一気に減る。
彼がこの未知の道具に対する期待値もぐんぐん上昇している。100%になった時、一体何が起きるのだろう?彼はそれを想像せずにはいられない。
突然、小沼の顔色が急激に悪くなった。
「アルダスさん!待ってください!」
アルダスは嬉々としてさっき小沼が飲み干した瓶を拾いあげてラベルを確認する。
「どうしたんだ?手足の感覚がなくってきたのか?視界がボヤけてきたのか?身体が麻痺してきたのか?呼吸が苦しくなってきたのか?耳が……」
アルダスは様々な可能性を考慮して小沼を質問攻めしたが、やはり小沼にそのまま聞いた方が正確なデータが取れるだろうと予想して普通に「どうした?」と質問した。
「えっと、さっき水?ポーション?を飲み過ぎまして、あのー、厠ってどこですか?」
パリン!
その瓶は一瞬で割れて破片となった。初対面の時の無表情が嘘と思える程にアルダスの顔面のパーツは歪んでいた。
「飲み過ぎた!?『水』を飲み過ぎたと言ったな!!!!??」
さっきまでの落ち着いた雰囲気はなく、アルダスは半狂乱に陥っていた。
「薬剤師の十数年間の努力を!!!『水』だと!!!!!!」
小沼は驚き、口を閉じて目を瞑った。
昨日は『肌色差別』が原因で一回稲妻を受けた。まさかまたすぐにそれを受ける羽目になるとは流石に彼も思っていなかった。
(残念なことに、スマホ……様はまだ電気を吸収できないんだよなぁ。お願いします!スマホ様!僕に更なる新機能を!!)
小沼は達観してこれからくるだろう苦しみに備えて歯を食いしばったが、アルダスはの行動は彼の考えの斜め上を向かっていた。
「人族の体質はもう……それ程までに達していたのか?私の研究成果、私の新型ポーションが……」
アルダスはヒステリックに叫び、息を荒げていた。
「いや!まだ奥の手がある!今すぐに最高難度の『黒色ポーション』を配合してお前に飲ませてやろう!!」
この時、スリはポーションの効力が切れたのか回復しつつあった。脱力した状態で地面に寝そべっていた。このレッサーデーモンはアルダスの助手になって結構時間が経った。
『黒色ポーション』という単語を聞いて顔に恐怖の色を浮かべた。
「アルダス様!!それは……!!」
スリはそれを止めようとするが、半狂乱から本格的に狂乱し始めたアルダスはそんな忠告を聞こうともしなかった。
小沼はこれを好機と見て、脱走計画第二弾を実施、成功する。
アルダスが震えながら何かの液体を沸騰している容器に入れ、爆音が轟く。
アルダスは衝撃に飛ばされて壁に激突して気絶、スリもまた飛ばされて実験室の端っこの方で気絶していた。
このことを知る由もない小沼は懸命に出口に向かった。この実験室はとても頑丈に作られており、さっきの衝撃でも罅一つ入らなかった。
出口は知っている。問題はここを出た後にどこに行けば良いかである。しかし、小沼はそんな問題はどうでもよかった。
今、何より優先される問題はそう。
『トイレはどこだ?』
これよりも優先順位が高い問題はない、あるはずがない。
だからといって、呑気に時間をかけてそれを探す余裕も彼にはなかった。
そこにあったフード付きのマントを手にとって、簡単に羽織って出口のドアを開ける。
もう少しここにいてエネルギー稼ぎをしたい心もあったけど、彼にはアルダスが危険なマッドに見えた(百人インタビューして九十九人が賛成するだろう)。
これ以上の小沼を恐怖に陥れる言動は控えていただこうにも、アルダスがそれを聞き入れることを小沼は想像できなかった。
ポーションの瓶にぶら下がっているラベルを見てみると『劇毒ポーション』、『痙攣ポーション』、『麻痺ポーション』、『育毛ポーション』……
見るとゾッとしてしまう名前ばかりである。
小沼:最後のやつだけはギャグ感がハンパないな。
幸いなことに、スマホ様は『来るもの拒まず』を貫くらしい。全てもれなく『解毒』して『吸収』してエネルギーに変えた。
瓶が次から次へと空になっていき、小沼が最後の一本を飲む度に新しい攻勢が送られて来る。小沼はそれを見事に突破すればする程にアルダスの笑みも深まる。
スマホのスタートアップ進度は既に18%まで進んだ。小沼は気づいた、効力が強いポーション程、吸収した時は進度が高い。しかし同じポーションを再度飲む時、増える進度は一気に減る。
彼がこの未知の道具に対する期待値もぐんぐん上昇している。100%になった時、一体何が起きるのだろう?彼はそれを想像せずにはいられない。
突然、小沼の顔色が急激に悪くなった。
「アルダスさん!待ってください!」
アルダスは嬉々としてさっき小沼が飲み干した瓶を拾いあげてラベルを確認する。
「どうしたんだ?手足の感覚がなくってきたのか?視界がボヤけてきたのか?身体が麻痺してきたのか?呼吸が苦しくなってきたのか?耳が……」
アルダスは様々な可能性を考慮して小沼を質問攻めしたが、やはり小沼にそのまま聞いた方が正確なデータが取れるだろうと予想して普通に「どうした?」と質問した。
「えっと、さっき水?ポーション?を飲み過ぎまして、あのー、厠ってどこですか?」
パリン!
その瓶は一瞬で割れて破片となった。初対面の時の無表情が嘘と思える程にアルダスの顔面のパーツは歪んでいた。
「飲み過ぎた!?『水』を飲み過ぎたと言ったな!!!!??」
さっきまでの落ち着いた雰囲気はなく、アルダスは半狂乱に陥っていた。
「薬剤師の十数年間の努力を!!!『水』だと!!!!!!」
小沼は驚き、口を閉じて目を瞑った。
昨日は『肌色差別』が原因で一回稲妻を受けた。まさかまたすぐにそれを受ける羽目になるとは流石に彼も思っていなかった。
(残念なことに、スマホ……様はまだ電気を吸収できないんだよなぁ。お願いします!スマホ様!僕に更なる新機能を!!)
小沼は達観してこれからくるだろう苦しみに備えて歯を食いしばったが、アルダスはの行動は彼の考えの斜め上を向かっていた。
「人族の体質はもう……それ程までに達していたのか?私の研究成果、私の新型ポーションが……」
アルダスはヒステリックに叫び、息を荒げていた。
「いや!まだ奥の手がある!今すぐに最高難度の『黒色ポーション』を配合してお前に飲ませてやろう!!」
この時、スリはポーションの効力が切れたのか回復しつつあった。脱力した状態で地面に寝そべっていた。このレッサーデーモンはアルダスの助手になって結構時間が経った。
『黒色ポーション』という単語を聞いて顔に恐怖の色を浮かべた。
「アルダス様!!それは……!!」
スリはそれを止めようとするが、半狂乱から本格的に狂乱し始めたアルダスはそんな忠告を聞こうともしなかった。
小沼はこれを好機と見て、脱走計画第二弾を実施、成功する。
アルダスが震えながら何かの液体を沸騰している容器に入れ、爆音が轟く。
アルダスは衝撃に飛ばされて壁に激突して気絶、スリもまた飛ばされて実験室の端っこの方で気絶していた。
このことを知る由もない小沼は懸命に出口に向かった。この実験室はとても頑丈に作られており、さっきの衝撃でも罅一つ入らなかった。
出口は知っている。問題はここを出た後にどこに行けば良いかである。しかし、小沼はそんな問題はどうでもよかった。
今、何より優先される問題はそう。
『トイレはどこだ?』
これよりも優先順位が高い問題はない、あるはずがない。
だからといって、呑気に時間をかけてそれを探す余裕も彼にはなかった。
そこにあったフード付きのマントを手にとって、簡単に羽織って出口のドアを開ける。
もう少しここにいてエネルギー稼ぎをしたい心もあったけど、彼にはアルダスが危険なマッドに見えた(百人インタビューして九十九人が賛成するだろう)。
これ以上の小沼を恐怖に陥れる言動は控えていただこうにも、アルダスがそれを聞き入れることを小沼は想像できなかった。
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