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小沼の勝利
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小沼はアルダスの実験室に入る。
三日も空いて来なかったのに、彼はここに来たのがつい昨日のように思えた。実験室での思い出が鮮烈過ぎたのだろう。
アルダスの隣にはアリスが微笑みながら座っている。小沼は固唾を呑んでアリスの方をあまり見ないようにする。
「オヌマ、今日が約束の日だ。お前が何か大それた物を作れるとは思っていない。それでもお前の話を証明できる程の物を作ってきたのだろうな?」
勿論、アルダスはそんなことを思っていない。これはアリスとの芝居だ。
しかし、それを知らない小沼は少し慌てた。彼はスマホ様の力を借りてアレを手に入れたが、この世界で既に開発されているかもしれない。
アレとは、小沼がスマホ様の『ショップ』機能を試してある時に小沼が手に入れた物だ。
小沼はこの機能こそが彼が今最も使える機能と考えて最初に開いた。
彼のラノベ知識のとおりのことが起きた。購入可能の商品がずらりとリストに並ぶ。商品を購入するためにはポイントが必要だ。そしてそれはエネルギーを吸収することで手に入る。
スリが持ってきた『ディメル』を全部吸収してポイントは2000とちょっとまで増えた。
小沼はリストを眺めて何を買えばアルダスに殺されずに済むかを考える。
アルダスはポーションの研究をしているから、それ関係で探した結果、ポーションとそのレシピが売られていた。
レシピはポーションそのものと比べてかなり高い。ポーションの値段の10倍もする。それだけポーションのレシピは重要なのだろう。
商品にはランクがつけられており、最高ランクのポーションは桁数が恐ろしかった為、小沼は数える前に飛ばした。
自分の必要なジャンルと値段に絞る機能も搭載されているのが幸いだった。2000ポイントで買えるポーションはランク3まで、それも一本のみ、レシピはランク1まで全て買うことができるが、ランク2のレシピは『美肌ポーション』のみである。
小沼は悩んだ、ランク1よりもランク2の方が品質は良いのだろう。しかし、『美肌ポーション』というのはなんだか、うーん……。
小沼は頑張ってほかのジャンルも漁ってみたり、ランク1のレシピなども見てみた。ポーションそのものをアルダスに渡すことを考えたが、小沼は悩んだ末に諦めた。
ポーションの渡せばアルダスに配合方法を聞かれる可能性がある。小沼が作った訳でもないのにそんなことは答えられない。
そこからボロが出る可能性がある。
だからそのままレシピを渡してアルダスに研究させることにした。知識だけ授けられて自分は作れないと言えばなんとかなると小沼は思った。
それで出した候補が、ランク2の『美肌ポーション』とランク1の『回復力増強ポーション』である。
字面で見ると、小沼はどうしても後者である『回復力増強ポーション』を選びたかった。だが、ランク1は既に誰かが開発されているかもしれない。
クーリングオフ制度がある場合はともかく、それがないのならポイントは一度使ったら後がない。
だから買う商品は慎重に選ばなくてはならない。しかし、いくらランク2とはいえ『美肌ポーション』の凄さは小沼にはイマイチ伝わらなかった。
かと言って、ポーション関係でこれ以上に買える物はない。他のジャンルにアルダスは興味を抱くのかがわからない。
小沼は悩んだ末に……
「アルダス様、この三日間では僕は確かに大それた物は作れませんでした。」
「ふん!やはりお前の話は偽りであったことが証明されたな!!」
ここまではアルダスとアリスの計画どおりだった。けれどもここからが予想外になる。
「代わりに、これを進呈します。とあるポーションのレシピです。僕は『卑弥呼』様から作り方の知識だけを授けられましたので、どういう効果があるかわかりません。」
小沼は当然これが『美肌ポーション』ということを知っているが、どうしてもそれを口に出すことに抵抗があった。
アルダスとアリスは小沼がまさか何かできるとは思っていなかったから慌てた。アルダスはそのまま顔に驚きが現れていた。アリスはやはり『腹黒ロリ』の名に恥じず、ずっと笑顔を維持できた。
それでもよく観察すればわかるだろう。アリスは目を閉じて笑っている、それは目から動揺していることがバレないようにする為である。
三日も空いて来なかったのに、彼はここに来たのがつい昨日のように思えた。実験室での思い出が鮮烈過ぎたのだろう。
アルダスの隣にはアリスが微笑みながら座っている。小沼は固唾を呑んでアリスの方をあまり見ないようにする。
「オヌマ、今日が約束の日だ。お前が何か大それた物を作れるとは思っていない。それでもお前の話を証明できる程の物を作ってきたのだろうな?」
勿論、アルダスはそんなことを思っていない。これはアリスとの芝居だ。
しかし、それを知らない小沼は少し慌てた。彼はスマホ様の力を借りてアレを手に入れたが、この世界で既に開発されているかもしれない。
アレとは、小沼がスマホ様の『ショップ』機能を試してある時に小沼が手に入れた物だ。
小沼はこの機能こそが彼が今最も使える機能と考えて最初に開いた。
彼のラノベ知識のとおりのことが起きた。購入可能の商品がずらりとリストに並ぶ。商品を購入するためにはポイントが必要だ。そしてそれはエネルギーを吸収することで手に入る。
スリが持ってきた『ディメル』を全部吸収してポイントは2000とちょっとまで増えた。
小沼はリストを眺めて何を買えばアルダスに殺されずに済むかを考える。
アルダスはポーションの研究をしているから、それ関係で探した結果、ポーションとそのレシピが売られていた。
レシピはポーションそのものと比べてかなり高い。ポーションの値段の10倍もする。それだけポーションのレシピは重要なのだろう。
商品にはランクがつけられており、最高ランクのポーションは桁数が恐ろしかった為、小沼は数える前に飛ばした。
自分の必要なジャンルと値段に絞る機能も搭載されているのが幸いだった。2000ポイントで買えるポーションはランク3まで、それも一本のみ、レシピはランク1まで全て買うことができるが、ランク2のレシピは『美肌ポーション』のみである。
小沼は悩んだ、ランク1よりもランク2の方が品質は良いのだろう。しかし、『美肌ポーション』というのはなんだか、うーん……。
小沼は頑張ってほかのジャンルも漁ってみたり、ランク1のレシピなども見てみた。ポーションそのものをアルダスに渡すことを考えたが、小沼は悩んだ末に諦めた。
ポーションの渡せばアルダスに配合方法を聞かれる可能性がある。小沼が作った訳でもないのにそんなことは答えられない。
そこからボロが出る可能性がある。
だからそのままレシピを渡してアルダスに研究させることにした。知識だけ授けられて自分は作れないと言えばなんとかなると小沼は思った。
それで出した候補が、ランク2の『美肌ポーション』とランク1の『回復力増強ポーション』である。
字面で見ると、小沼はどうしても後者である『回復力増強ポーション』を選びたかった。だが、ランク1は既に誰かが開発されているかもしれない。
クーリングオフ制度がある場合はともかく、それがないのならポイントは一度使ったら後がない。
だから買う商品は慎重に選ばなくてはならない。しかし、いくらランク2とはいえ『美肌ポーション』の凄さは小沼にはイマイチ伝わらなかった。
かと言って、ポーション関係でこれ以上に買える物はない。他のジャンルにアルダスは興味を抱くのかがわからない。
小沼は悩んだ末に……
「アルダス様、この三日間では僕は確かに大それた物は作れませんでした。」
「ふん!やはりお前の話は偽りであったことが証明されたな!!」
ここまではアルダスとアリスの計画どおりだった。けれどもここからが予想外になる。
「代わりに、これを進呈します。とあるポーションのレシピです。僕は『卑弥呼』様から作り方の知識だけを授けられましたので、どういう効果があるかわかりません。」
小沼は当然これが『美肌ポーション』ということを知っているが、どうしてもそれを口に出すことに抵抗があった。
アルダスとアリスは小沼がまさか何かできるとは思っていなかったから慌てた。アルダスはそのまま顔に驚きが現れていた。アリスはやはり『腹黒ロリ』の名に恥じず、ずっと笑顔を維持できた。
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