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新生アルダス
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小沼はレシピを渡した後に、もう部屋に帰って良いとアルダスに許可を貰って、そそくさと実験室を後にした。
アルダスとアリスは両者ともに小沼に何かできると思わなかったから、小沼が提出したレシピに驚いた。
しかし、アルダスの方が衝撃が幾分か強かった。アリスは単に小沼が何か提出したという程度としか思っていないが、アルダスは薬学の知識がアリスより何倍もある。
彼はレシピを見つめて動かなかった。
材料のリストを見た瞬間はそれほど衝撃はなかった。種類からして皮膚に関係するポーションということが読み取れた。
アルダスの専門は毒関係のディスポーションで、バフポーションの方もそれなりには研究している。
毒と薬は表裏一体、どちらかについて研究すれば、もう片方の知識も深める必要はあるし、良い薬師は良い殺し屋、逆もまた然り。
アルダスがバフポーションを研究している時に、偶に美容に関係するポーションも作る。これは研究というより、資金集めの為である。
魔界の御婦人たちも美に細心の注意を払っている、少しでも自分を美しくしてくれのなら彼女らは簡単に大枚はたいて買ってくれる。
小沼の想像とは違って、アルダスもこの分野には詳しいし、興味もそこそこある。
だからこそ、彼は余計に衝撃を食らった。
材料を分析して彼はある程度、ポーションの効能について予想をつけた。その効能から逆算して作り方や配合の分量も考察してページをめくった。
小沼が『ショップ』から買ったレシピは日本語で書かれている為、そのままでは渡せない。彼は紙にこの世界の言語で写した。
この世界の言語はなぜ理解できるのかは小沼はわからない、彼はどうせ考えてもわからないし、書ければいいと開き直った。
しかし、書けはするがうまくはない。頭に文字がそのままダウンロードしたような状態で、小沼は文字を書く練習をしたことがない。
この世界には鉛筆のような物はないらしく、小沼が何か書く物を要求した時はインクを染み込ませた羽ペンを渡された。
書き間違えても鉛筆のように消せる訳ではないから何度も書き直した。最初の一文字目で間違えてしまうこともあれば、終盤に意味不明な語句を書いてしまうこともあった。
やがてその回数が二桁に達した時、小沼は細かくページを分けて書くことにした。
材料で1ページ、作り方で3ページ、効果で1ページ、使用注意で1ページ。
このやり方に切り替えた後に逆に間違えなくなってしまったが、イライラしている書き直しにイライラしている小沼にとってはそんなことはどうでもよかった。終わればもう何でもよかった。
アルダスが材料のページをめくって、作り方のページを見た時に物凄い違和感を覚えた。何か、部屋を間違えた時のような違和感だった。
まず彼が疑ったのは小沼が嘘をついたことだ。しかし直ぐに考えを頭から追い出した。これで失敗すれば殺されるリスクがある。小沼がそんなことをする筈がないとアルダスは判断した。
次にレシピを間違えたことを疑った、だがそれも直ぐに彼自身によって否定された。彼が想像していなかった配合方法ということもあり得る。
実際、よく見てみれば材料はリストのとおりである。しかし、見れば見る程アルダスはレシピを食い込むように見つめた。
彼が最初に想像したのは複雑な工程だった。彼がこの類のポーションを作る時はかなり手間取ったからだ。
そして何日もこのレシピを解読する覚悟もしていた。このレシピを読む前にスリに一週間の食料品と必需品を買って来いと命令したのがその表しだ。
しかし、彼は良い意味で裏切られたと言えるのだろう。
その作り方はに書かれたことに関して、アルダスが見て理解できないことは何もなかった。そう、何もなかったことにアルダスは驚いた。
そこに書かれていることに難しさは何一つない。アルダスじゃなくても、アリス程度の知識があれば配合可能な簡単さだ。
アルダスが今まで作ってきたポーションの中には、このポーションと同じ効果の物もあるにはある。
だが、どれもアルダスでさえ時間をかけて注意して作らなくてはならない代物ばかり、とても大量生産できる物ではない。
小沼が書いたこれはアルダスの常識を覆した。
材料の値段に差はあまりない、しかし加工の手間と技術性天と地の差である。
アルダスのような免許皆伝が1日かかるような方法、見習いが数時間程度で完成させる方法。その差はあまりに大きい。
アルダスは今、この瞬間。小沼のホラ話を絶対に信じて疑わなくなった。
アルダスとアリスは両者ともに小沼に何かできると思わなかったから、小沼が提出したレシピに驚いた。
しかし、アルダスの方が衝撃が幾分か強かった。アリスは単に小沼が何か提出したという程度としか思っていないが、アルダスは薬学の知識がアリスより何倍もある。
彼はレシピを見つめて動かなかった。
材料のリストを見た瞬間はそれほど衝撃はなかった。種類からして皮膚に関係するポーションということが読み取れた。
アルダスの専門は毒関係のディスポーションで、バフポーションの方もそれなりには研究している。
毒と薬は表裏一体、どちらかについて研究すれば、もう片方の知識も深める必要はあるし、良い薬師は良い殺し屋、逆もまた然り。
アルダスがバフポーションを研究している時に、偶に美容に関係するポーションも作る。これは研究というより、資金集めの為である。
魔界の御婦人たちも美に細心の注意を払っている、少しでも自分を美しくしてくれのなら彼女らは簡単に大枚はたいて買ってくれる。
小沼の想像とは違って、アルダスもこの分野には詳しいし、興味もそこそこある。
だからこそ、彼は余計に衝撃を食らった。
材料を分析して彼はある程度、ポーションの効能について予想をつけた。その効能から逆算して作り方や配合の分量も考察してページをめくった。
小沼が『ショップ』から買ったレシピは日本語で書かれている為、そのままでは渡せない。彼は紙にこの世界の言語で写した。
この世界の言語はなぜ理解できるのかは小沼はわからない、彼はどうせ考えてもわからないし、書ければいいと開き直った。
しかし、書けはするがうまくはない。頭に文字がそのままダウンロードしたような状態で、小沼は文字を書く練習をしたことがない。
この世界には鉛筆のような物はないらしく、小沼が何か書く物を要求した時はインクを染み込ませた羽ペンを渡された。
書き間違えても鉛筆のように消せる訳ではないから何度も書き直した。最初の一文字目で間違えてしまうこともあれば、終盤に意味不明な語句を書いてしまうこともあった。
やがてその回数が二桁に達した時、小沼は細かくページを分けて書くことにした。
材料で1ページ、作り方で3ページ、効果で1ページ、使用注意で1ページ。
このやり方に切り替えた後に逆に間違えなくなってしまったが、イライラしている書き直しにイライラしている小沼にとってはそんなことはどうでもよかった。終わればもう何でもよかった。
アルダスが材料のページをめくって、作り方のページを見た時に物凄い違和感を覚えた。何か、部屋を間違えた時のような違和感だった。
まず彼が疑ったのは小沼が嘘をついたことだ。しかし直ぐに考えを頭から追い出した。これで失敗すれば殺されるリスクがある。小沼がそんなことをする筈がないとアルダスは判断した。
次にレシピを間違えたことを疑った、だがそれも直ぐに彼自身によって否定された。彼が想像していなかった配合方法ということもあり得る。
実際、よく見てみれば材料はリストのとおりである。しかし、見れば見る程アルダスはレシピを食い込むように見つめた。
彼が最初に想像したのは複雑な工程だった。彼がこの類のポーションを作る時はかなり手間取ったからだ。
そして何日もこのレシピを解読する覚悟もしていた。このレシピを読む前にスリに一週間の食料品と必需品を買って来いと命令したのがその表しだ。
しかし、彼は良い意味で裏切られたと言えるのだろう。
その作り方はに書かれたことに関して、アルダスが見て理解できないことは何もなかった。そう、何もなかったことにアルダスは驚いた。
そこに書かれていることに難しさは何一つない。アルダスじゃなくても、アリス程度の知識があれば配合可能な簡単さだ。
アルダスが今まで作ってきたポーションの中には、このポーションと同じ効果の物もあるにはある。
だが、どれもアルダスでさえ時間をかけて注意して作らなくてはならない代物ばかり、とても大量生産できる物ではない。
小沼が書いたこれはアルダスの常識を覆した。
材料の値段に差はあまりない、しかし加工の手間と技術性天と地の差である。
アルダスのような免許皆伝が1日かかるような方法、見習いが数時間程度で完成させる方法。その差はあまりに大きい。
アルダスは今、この瞬間。小沼のホラ話を絶対に信じて疑わなくなった。
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