ティーシェラン戦記

ニコニ

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第4章 内政に励もう

爵位って、な〜に〜。

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 一行は勢いよく整備工場に向かった。

 「自分は本当に国家元首でありましょうか……」

 黄昏ている国王を残して。



 それから一週間。
 艦隊の改造嵐はピークを過ぎ、一段落ついた。
 メンバー全員で『玉座の間』に集まり、和気藹々と楽しく情報交換していた。

 『シェラン戦記』は元々ゲーム機能がとにかく多い。
 本当に必要不可欠な機能、使い方によっては千変万化する機能、一回もしくは使ったことが皆無のネタ機能。
 一から全部テストするには膨大な時間をかけなければならない。

 全員が精密無比に役割分担、とまではいかないが。ある程度、調べる系統や部分は大まかに決まっている。

 戦艦の改良は王国の絶対的な優先順位第一事業ではあるが、いかんせんルーン関係は職業に大きく依存する。
 いくら絶対優先とはいえ、効率というものがある。
 ルーンに全く関係ないメンバーはスキル調べやアイテム調べが中心となった。
 それでも、メンバーの約七割が動員されたことから見て、主人公たちの熱意が伝わってこよう。

 王国の主旨は『ブラック禁止』。組織に貢献するのは多いに結構だが、休養をとることは怠ってはならない。
 そんな仕事の休みを全員がとっている時だった。
 極細うどんさんはジュースなのかワインなのかよく分からない飲み物を手に持って、飲みながらとにかくラーメンさんにある提案をした。

 「ね~、ラーさん。提案があるんですけど~。メンバーに爵位を与えてみませ~ん?」

 「えっ、別にいいですけど。何か意味があるんですか?」

 最近は驚きの連続だったのもあって、ちょっとやそっとじゃ全然びっくりしないとにかくラーメンさん及び全メンバー。
 極細うどんさんが言っていることは大体正しい。というより間違っていることなんて指で数えられるくらいしかない。
 それでも、組織の長として聞かなければならない。
 一度、国王を極細うどんさんにやらせるという案を、とにかくラーメンさん自身が出したことがあったが、幹部会議で全会一致で否決された。
 曰く、「最高はラーさんがやるべきなんです。」と。
 
 なので、間違いなく正しいはずだが、形式的に聞いておこうという感じだった。
 実際、極細うどんの提案が否決されたことは一度もない。

 「ルーンの制限が~、なくなったでしょ~う。だから~、ゲームにない機能も~、使えるのかな~って。
 大臣と長老格には~、ステータス補正がありますよね~。爵位を与えれば~、それも補正が付くんじゃないかな~って、思ったんです~。」

 確かに、その通りだ。
 みんなゲーム時代の機能すら全部確かめ終えてないのに、極細うどんさんは既に今までにない機能を、自ら切り開こうとしている。

 多分、極細うどんさんも破亜斗さんも似たような思考回路をしているかもしれない。
 どんどん、どんどん、前に進んで行く。
 けれども、決してついていけないまでペースを上げたりしない。
 自分と仲間にとって最良の選択を瞬時に判断し、それを最高のタイミングで提案・実行する。

 極細うどんさんの提案をしばらく吟味し、とにかくラーメンさんは問題ないと、元から決まっていた許可を出した。

 「公・候・伯・子・男の五等爵でよろしいでしょか?
 大公は入れる必要がありますか?」

 フレフレさんはどうやらノリ気らしい。

 「大公は公国の王様と扱われることもありますし、なしにしましょう。」

 そう続けたのは我らが主人公のナポリタン。

 「五等爵だけにしましょうね~。それよりも~、侯爵以下はともかく~、公爵は王族に準ずる者や~、ものすご~い功績を残した者にしか~、与えられないよ~。
 そこはどうするのか~、決めた方がいいんじゃな~い。」

 極細うどんさんの鶴の一声?によって大公はなしになった。
 それよりも公爵の基準が速く決めた方がいいとのことになり、とにかくラーメンさんの裁量に任された。

 「えっ、こういう責任重大で胃が痛くなるような仕事ばかり、自分に来てるような気がしますが、気のせいでありましょうか……」

 「いいから、ちゃっちゃっと速く決めちゃってください。」

 「恨み言のぼやきすら許してもらえなかった……
 それでは、自分の独断と偏見に決めさせて頂きますよ。」

 半分ヤケになった国王陛下は器用に、黄昏ながら言い捨てた。

 「初期の六人のメンバーのうどんさん、ゲッティさん、ナポさん、蕎麦さんは公爵の爵位を与えます。
 大臣のフレフレさん、ケルメオさん、舞雷九さん、破亜斗さんは侯爵の爵位を与えます。
 役職がないメンバー同士がケンカしないように、子爵及び男爵は保留。
 全員、伯爵とします。」

 色々あったようで、案外あっさりと終えてしまった叙爵式であった。
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