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第9章 外交の本番をしよう
幕間 その三
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王国から来たのはとんでもない存在だった。外交と財政両方を同時に兼任することなど前代未聞だ。
それも、現国王と血の繋がりがないのに、公爵の位をいただいている。それは王が家族同然と認めたということを意味する。
モルンタスを遣わせてよかった。下っ端を向かわせて、機嫌を損ねたらこの国が滅ぶ。
相手が貴族だろうと、一端の兵士だろうと大事ないように、宰相位を向かわせたのは実に正しかった。こんな小国に貴族を向かわせるだけの価値があるようには思えないが、もしもの時の為だ。
そう、モルンタスが情報を伝えて来るまでは思っていた。
王国最強の一桁艦隊、大臣位を二つも所持している、王国の次高位に当たるだろう程の存在。
一体全体、何がどうなっている!!!
何故?何故か!?
このちっぽけな国の何処にそんな魅力がある!!!
ワシにも知り得ない何かの財宝でもあるのか?ならば諸手を挙げて献上しよう。
太古の神器でも何処かに眠っているのか?それは最初からワシのものではなく、王国が手にすべきだろう。
しかも、征服ではなく同盟を結びに来ただと?
……………
ああ、ああああ、ああああああああ!
読めぬ、読めぬ読めぬ読めぬ!
一体何がしたいのだ。
モルンタスの話によれば、戦艦の中で彼と話していたら急に自室に帰られた。
無意識に何か粗相をしてしまったのかとビクビクしていると、なんでもないようにまた出てきては話しかけて来た。
彼を歓迎する為に、渡り廊下を徹底的に掃除した、ワシの即位式もこれ程綺麗になったことがない。一粒の塵で機嫌を悪くしてしまうかもしれないから。
国で一番の楽団に今回の件を伝えて、なるべく調和性が高く地味で、しかし華やかさに欠けない曲にしてもらった。
全力で向こう最大限の敬意を払ったつもりだ。
それでも、あのお方はお気に召さなかったらしい。
曰く、廊下を渡っている間はずっと目を閉じていた。
謁見の間に入った瞬間は一回、目を閉じてしまったが、すぐに開けた。しかし、それは光が宿っていない目だった。
情報によれば、
フィーセド星域は連合を除けば、ほぼ芸術に無頓着と聞いたことがある。そんなことに力を削ぐなら戦力を増強することを選ぶ。帝国と王国はそういう国だ。
そこで、ワシは一つの仮説をたてる。
王国のような武人風の国はこういうことを軟弱だと思って、嫌っているのはないだろうか。
実際、クアチフの将軍もほとんどはあまり豪華な屋敷には住まず、嗜好品、装飾品、美術品には興味がない。
単に興味がないならまだよかった。
だが、興味がないなら気にしなければ良いだけのこと。わざわざ目をずっと閉じている必要はない。
もしかしたら、興味がないどころか、嫌悪感があるのだろうか。
そう考えると鳥肌が立つ。
嫌なことを延々とされ続けていたら、良い印象など残る筈もない。
同盟を結ぼうとしている国でなければ、ワシはこの国と諸共滅びに赴いたかもしれん。
これ以上機嫌を損ねてはならんと、議事堂の美術品と装飾を全て取り外し、案内した結果。目に光が戻って表情も随分と柔らかくなり、饒舌さも増している。
やはりこういった種類の物はお好きでないみたいだ。王国の民全員に通ずるかは分からないが、心に留めておくことにしよう。
彼から情報をいくつか引き出せた、或いは向こうが引き出せさせたなのでかもしれん。
一、彼らは今までフィーセド星域から出られなかった。
詳しいことは話していないが、これは恐らく戦争が続いて外に目を向ける余裕がなかったのだろう。
二、友好的な同盟を結びたい。
これはどうしても理解ができん。従順を誓うことを婉曲に伝えたが、彼はやんわりと断った。
三、邪魔なフルドゥイ王国を友誼を示す為に滅ぼしてくれる。
これは単純に有り難い。嘘だとは思わないし、思えない。クアチフの10倍くらい強いが、王国にとっては虫けら程度、片手間の仕事だろう。
彼は観察していると、悪意がないことが判った。ただし、それは他国に甘いという意味ではない。
彼から、王に対する篤い忠誠心を感じる。王国の王はほぼ権力を持たず、傀儡として生きているとの情報もあるが、眉唾物だな。
大臣が皆、彼のようにとは限らない、それでも王国の王の権限は絶大だろう。
クアチフはフルドゥイに併呑されようとしている。その大きな危機があったからこそクアチフは団結できた。
とは言え、それも完全ではない。政界は相変わらず揺らぎを隠さない。完全に一丸になってようやく同じステージに立てると言うのに。
それを、強大なる王国は実現させているのだろうか。もしそうなら、王国は誠に偉大なる国だ。
その国が何故、クアチフなどに同盟を結ぼうとしているのは判りかねる。
でも深く考える必要はない、神から命じれたことをこなせば良い。
生と命じれば、泥を啜っても生き。
死と命じれば、胸に刃を突き刺そう。
それも、現国王と血の繋がりがないのに、公爵の位をいただいている。それは王が家族同然と認めたということを意味する。
モルンタスを遣わせてよかった。下っ端を向かわせて、機嫌を損ねたらこの国が滅ぶ。
相手が貴族だろうと、一端の兵士だろうと大事ないように、宰相位を向かわせたのは実に正しかった。こんな小国に貴族を向かわせるだけの価値があるようには思えないが、もしもの時の為だ。
そう、モルンタスが情報を伝えて来るまでは思っていた。
王国最強の一桁艦隊、大臣位を二つも所持している、王国の次高位に当たるだろう程の存在。
一体全体、何がどうなっている!!!
何故?何故か!?
このちっぽけな国の何処にそんな魅力がある!!!
ワシにも知り得ない何かの財宝でもあるのか?ならば諸手を挙げて献上しよう。
太古の神器でも何処かに眠っているのか?それは最初からワシのものではなく、王国が手にすべきだろう。
しかも、征服ではなく同盟を結びに来ただと?
……………
ああ、ああああ、ああああああああ!
読めぬ、読めぬ読めぬ読めぬ!
一体何がしたいのだ。
モルンタスの話によれば、戦艦の中で彼と話していたら急に自室に帰られた。
無意識に何か粗相をしてしまったのかとビクビクしていると、なんでもないようにまた出てきては話しかけて来た。
彼を歓迎する為に、渡り廊下を徹底的に掃除した、ワシの即位式もこれ程綺麗になったことがない。一粒の塵で機嫌を悪くしてしまうかもしれないから。
国で一番の楽団に今回の件を伝えて、なるべく調和性が高く地味で、しかし華やかさに欠けない曲にしてもらった。
全力で向こう最大限の敬意を払ったつもりだ。
それでも、あのお方はお気に召さなかったらしい。
曰く、廊下を渡っている間はずっと目を閉じていた。
謁見の間に入った瞬間は一回、目を閉じてしまったが、すぐに開けた。しかし、それは光が宿っていない目だった。
情報によれば、
フィーセド星域は連合を除けば、ほぼ芸術に無頓着と聞いたことがある。そんなことに力を削ぐなら戦力を増強することを選ぶ。帝国と王国はそういう国だ。
そこで、ワシは一つの仮説をたてる。
王国のような武人風の国はこういうことを軟弱だと思って、嫌っているのはないだろうか。
実際、クアチフの将軍もほとんどはあまり豪華な屋敷には住まず、嗜好品、装飾品、美術品には興味がない。
単に興味がないならまだよかった。
だが、興味がないなら気にしなければ良いだけのこと。わざわざ目をずっと閉じている必要はない。
もしかしたら、興味がないどころか、嫌悪感があるのだろうか。
そう考えると鳥肌が立つ。
嫌なことを延々とされ続けていたら、良い印象など残る筈もない。
同盟を結ぼうとしている国でなければ、ワシはこの国と諸共滅びに赴いたかもしれん。
これ以上機嫌を損ねてはならんと、議事堂の美術品と装飾を全て取り外し、案内した結果。目に光が戻って表情も随分と柔らかくなり、饒舌さも増している。
やはりこういった種類の物はお好きでないみたいだ。王国の民全員に通ずるかは分からないが、心に留めておくことにしよう。
彼から情報をいくつか引き出せた、或いは向こうが引き出せさせたなのでかもしれん。
一、彼らは今までフィーセド星域から出られなかった。
詳しいことは話していないが、これは恐らく戦争が続いて外に目を向ける余裕がなかったのだろう。
二、友好的な同盟を結びたい。
これはどうしても理解ができん。従順を誓うことを婉曲に伝えたが、彼はやんわりと断った。
三、邪魔なフルドゥイ王国を友誼を示す為に滅ぼしてくれる。
これは単純に有り難い。嘘だとは思わないし、思えない。クアチフの10倍くらい強いが、王国にとっては虫けら程度、片手間の仕事だろう。
彼は観察していると、悪意がないことが判った。ただし、それは他国に甘いという意味ではない。
彼から、王に対する篤い忠誠心を感じる。王国の王はほぼ権力を持たず、傀儡として生きているとの情報もあるが、眉唾物だな。
大臣が皆、彼のようにとは限らない、それでも王国の王の権限は絶大だろう。
クアチフはフルドゥイに併呑されようとしている。その大きな危機があったからこそクアチフは団結できた。
とは言え、それも完全ではない。政界は相変わらず揺らぎを隠さない。完全に一丸になってようやく同じステージに立てると言うのに。
それを、強大なる王国は実現させているのだろうか。もしそうなら、王国は誠に偉大なる国だ。
その国が何故、クアチフなどに同盟を結ぼうとしているのは判りかねる。
でも深く考える必要はない、神から命じれたことをこなせば良い。
生と命じれば、泥を啜っても生き。
死と命じれば、胸に刃を突き刺そう。
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