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第11章 ナポリタンの所領
勉強は続く。
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ナポリタン殿はワシの話を聞いて、大笑いをした。腹を抱えて、地面に転がる勢いで笑った。
「クアチフ王殿は賢明だけでなく、とても聡明でもあるのですね。ええ、そのとおりですよ。
フィーセド星域の三大国のほとんどの幹部は元々同一国家に所属していました。
……もう、日本には帰れませんし、帰ろうとも思いませんが……」
最後の呟きは声が小さく、辛うじて聞き取れる程度だったが、一体どういう意味だろうか?『ニホン』?フィーセド星域三大国を生み出す母体の国が……
ああ、ダメだ。思考がついていけない。必死に思考回路のスピードを上げるも、徒労に終わる。さっぱり分からん。
それに追い撃ちをかけるようにナポリタン殿が話を進めていく。
「暦のほうは『始まりの王国』……と言っても分かりませんね。『シンムル王国』という国に合わせているのです。
『シンムル王国』はオレたちにとって特別な意味を持つんです。
そこに侵略しようとすれば、他の二大国が総力を挙げて討ち滅ぼします。そこで不法を働けば、裁判抜きで取り敢えず死刑にしてから罪状を考えます。」
そこまで力の限りを尽くして護る存在なのだろうか?『シンムル王国』はどのような国だろうか?『始まりの王国』という言葉も気になる。
「そうですね、強いて言うならオレたちの故郷みたいなものです。全てのプレ……三大国の幹部はそこから生まれました。」
なるほど、そういう意味での特別か。確かに故郷を荒らされるのはできれば願い下げたいものだ。
しかし、ここでいう故郷は祖国を指す言葉だろうか?『シンムル王国』から三つの国が独立したということか?
それなら、その『シンムル王国』はほぼフィーセド星域全域を支配していた覇権国家……いや、独立後に拡大した可能性もある。
どちらにせよ、『シンムル王国』の民の機嫌を損ねてはならんことを、心に留めておこう。
「本来なら、貴国との同盟も『シンムル王国』で結ぶべきなんですが、クアチフはフィーセド星域の国ではありません。
そこで締結する特殊意味もありませんし、態々二度手間をする必要はないと、我が国の総務大臣が判断しました。
『シンムル王国』を強く希望する場合はラー……国王陛下に掛け合いますが、如何致しますか?」
勿論、それは遠慮してもらった。一国の聖地のような場所に、余所者がヅカヅカと踏み入れるべきではないだろう。
ましてや、偉大なる王国だ。
向こうもそれが分かっている。あくまでも社交辞令として聞いただけだろう。現実に、ナポリタン殿はホッとしたような顔になっている。
本当に、この方は自分の表情をもう少し戒めるべきだ。王国では政界の陰謀は全くないと見える。さもなくば、そんな広大な領を維持できる訳がない。
それとも、祖先が残した遺産があまりに莫大なものなのだろうか?
ナポリタン殿は滅多に怒ったりはしない。というより怒ったところを見たところはないし、表情は豊かなものの、起伏は少ない。
さっき見た大笑いが今まで一番の起伏であった。
だから、多少踏み入った話を聞いても問題はないだろう。
初代国王陛下、そしてルシェーラ領とヤドゥーユ領の前領主のことを聞いてみた。
ナポリタン殿は珍しくも困ったような顔を見せた。いつもはもう少し軽い雰囲気を纏っているんだか、そんなに言いたくないことだろうか。
もしかしたら、前領主とは何か揉め事でもあったのだろうか。いや、そんなことはクアチフで起こり得るとしても、ここでは起こる筈がない。
だとしたら初代国王陛下のほうだろう。今代は素晴らしいお方のようだが、建国当時の国王陛下は暴虐の圧政を敷いてたかもしれん。
やはり、ここまで聞いてはならんようだ。
そう思って、話題を変えようとした時。
「現国王陛下がこの国を建国した初代国王ですよ。オレ初代ヤドゥーユ領主で、初代ルシェーラ領主です。
国の幹部も全て建国時からいるメンバーです。他の二大国も全てとまではいかないのですが、主要の大臣や幹部たちは建国時からいると思いますよ。」
待て、
待て、
待て待て、
待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て!!!
今なんと仰った!?記憶違いでなければ、偉大なる王国は一万年以上の歴史を持つ古国だ。他の二大国もまた然り。
「オレたちはあまり死なないですし、死んだとしても蘇る方法はありますので。
良く考えれば、オレって結構歳食ってましたね。」
独りで感傷に耽っているナポリタン殿を眺めて、ワシは自分の矮小に気づいた。これでも、長いこと生きてきた自負があった。
20も満たずに王位を継いだ。それから20年以上クアチフを護る為に奮闘してきた。
それがどうだ。
国を創り、それを一万年以上、護ってきたナポリタン殿と比べればどれ程つまらないものだろうか。
時間の長短だけが全てではない。
だが、ここは偉大なる王国。一からこのような強国を育て慈しんできたナポリタン殿は伝説だろう。
しかも、死は彼らの終点ではないらしい。
これぞまさに、神の国だ。
「クアチフ王殿は賢明だけでなく、とても聡明でもあるのですね。ええ、そのとおりですよ。
フィーセド星域の三大国のほとんどの幹部は元々同一国家に所属していました。
……もう、日本には帰れませんし、帰ろうとも思いませんが……」
最後の呟きは声が小さく、辛うじて聞き取れる程度だったが、一体どういう意味だろうか?『ニホン』?フィーセド星域三大国を生み出す母体の国が……
ああ、ダメだ。思考がついていけない。必死に思考回路のスピードを上げるも、徒労に終わる。さっぱり分からん。
それに追い撃ちをかけるようにナポリタン殿が話を進めていく。
「暦のほうは『始まりの王国』……と言っても分かりませんね。『シンムル王国』という国に合わせているのです。
『シンムル王国』はオレたちにとって特別な意味を持つんです。
そこに侵略しようとすれば、他の二大国が総力を挙げて討ち滅ぼします。そこで不法を働けば、裁判抜きで取り敢えず死刑にしてから罪状を考えます。」
そこまで力の限りを尽くして護る存在なのだろうか?『シンムル王国』はどのような国だろうか?『始まりの王国』という言葉も気になる。
「そうですね、強いて言うならオレたちの故郷みたいなものです。全てのプレ……三大国の幹部はそこから生まれました。」
なるほど、そういう意味での特別か。確かに故郷を荒らされるのはできれば願い下げたいものだ。
しかし、ここでいう故郷は祖国を指す言葉だろうか?『シンムル王国』から三つの国が独立したということか?
それなら、その『シンムル王国』はほぼフィーセド星域全域を支配していた覇権国家……いや、独立後に拡大した可能性もある。
どちらにせよ、『シンムル王国』の民の機嫌を損ねてはならんことを、心に留めておこう。
「本来なら、貴国との同盟も『シンムル王国』で結ぶべきなんですが、クアチフはフィーセド星域の国ではありません。
そこで締結する特殊意味もありませんし、態々二度手間をする必要はないと、我が国の総務大臣が判断しました。
『シンムル王国』を強く希望する場合はラー……国王陛下に掛け合いますが、如何致しますか?」
勿論、それは遠慮してもらった。一国の聖地のような場所に、余所者がヅカヅカと踏み入れるべきではないだろう。
ましてや、偉大なる王国だ。
向こうもそれが分かっている。あくまでも社交辞令として聞いただけだろう。現実に、ナポリタン殿はホッとしたような顔になっている。
本当に、この方は自分の表情をもう少し戒めるべきだ。王国では政界の陰謀は全くないと見える。さもなくば、そんな広大な領を維持できる訳がない。
それとも、祖先が残した遺産があまりに莫大なものなのだろうか?
ナポリタン殿は滅多に怒ったりはしない。というより怒ったところを見たところはないし、表情は豊かなものの、起伏は少ない。
さっき見た大笑いが今まで一番の起伏であった。
だから、多少踏み入った話を聞いても問題はないだろう。
初代国王陛下、そしてルシェーラ領とヤドゥーユ領の前領主のことを聞いてみた。
ナポリタン殿は珍しくも困ったような顔を見せた。いつもはもう少し軽い雰囲気を纏っているんだか、そんなに言いたくないことだろうか。
もしかしたら、前領主とは何か揉め事でもあったのだろうか。いや、そんなことはクアチフで起こり得るとしても、ここでは起こる筈がない。
だとしたら初代国王陛下のほうだろう。今代は素晴らしいお方のようだが、建国当時の国王陛下は暴虐の圧政を敷いてたかもしれん。
やはり、ここまで聞いてはならんようだ。
そう思って、話題を変えようとした時。
「現国王陛下がこの国を建国した初代国王ですよ。オレ初代ヤドゥーユ領主で、初代ルシェーラ領主です。
国の幹部も全て建国時からいるメンバーです。他の二大国も全てとまではいかないのですが、主要の大臣や幹部たちは建国時からいると思いますよ。」
待て、
待て、
待て待て、
待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て!!!
今なんと仰った!?記憶違いでなければ、偉大なる王国は一万年以上の歴史を持つ古国だ。他の二大国もまた然り。
「オレたちはあまり死なないですし、死んだとしても蘇る方法はありますので。
良く考えれば、オレって結構歳食ってましたね。」
独りで感傷に耽っているナポリタン殿を眺めて、ワシは自分の矮小に気づいた。これでも、長いこと生きてきた自負があった。
20も満たずに王位を継いだ。それから20年以上クアチフを護る為に奮闘してきた。
それがどうだ。
国を創り、それを一万年以上、護ってきたナポリタン殿と比べればどれ程つまらないものだろうか。
時間の長短だけが全てではない。
だが、ここは偉大なる王国。一からこのような強国を育て慈しんできたナポリタン殿は伝説だろう。
しかも、死は彼らの終点ではないらしい。
これぞまさに、神の国だ。
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