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第12章 同盟を結ぼう
ラーさんの煩悩
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自分は藤村……いや、その名前はもう使われることも、呼ばれることもないでしょう。この世界では、その名前を知る者はいませんから。
自分の今の名前は『とにかくラーメン』、それ以外の名称は存在しませんし、いりませんし、必要ありません。
自分は、至って平凡な人生を送っていました。見方によれば、平均以下かもしれませんね。
地球いたころの自分は会社の為に働きました。それなりの業績を出していましたし、昇進も決まっていました。
そして、その会社は潰れてしまいました。
自分の部署は黒字を継続してきたものの、会社を維持する程の額ではありません。
元々経営方法に難ありで、早かれ遅かれそうなることは予想していました。
会社が潰れることに遺憾の念はありません。弱肉強食は自然の摂理。これによって、優秀な存在は進化して、劣悪な存在は淘汰されます。
これは合理的です。会社が潰れるのは当然の帰結。
会社が潰れそうになった時に会社を辞めました。有能な部下たちも連れてもう少し良さそうな会社に履歴書を出しました。
幸い、自分はこの業界ではそこそこ名が知られていて、向こうも自分と部下たちの手腕を信じてくれました。
この会社は前と違って、中々合理的な経営をしています。百年以上続くかは分かりませんが、自分が生きているうちは潰れる心配はないでしょう。
その時です。
給料もそれなり貰っていた自分は時間に余裕が生じて、娯楽について考え始めました。
人は欲望によって進歩します。
人は空に飛びたいと思って、飛行機を作りました。
人は海を渡りたいと思って、船を作りました。
人は人を殺したいと思って、銃を作りました。
人はもっと人を殺したいと思って、爆弾を作りました。
これを暴論をいう人もいるでしょう。ダイナマイトを発明したノーベルを弁護する人もいるでしょう。
ノーベルさんが何を考えて、それを発明したなか分かりかねます。しかし、後世でそれを使う人や作る人は恐らくそれを考えている者もいるでしょう。
何故自分はこんな話をしているのか、疑問に思うかもしれません。自分もよくわかりません。
ああ、そうでした。欲望の話ですね。
自分の欲望は少し特殊だったのです。
『殺したい』
それが自分の一番の欲望だったのです。
しかし、それは現代の日本では難しいことでした。
人を殺すのは法律に反します。他の動物を殺すと愛護団体が文句を言ってきます。虫を殺すのは良い方法でしたが、途中でそれでは満足できなくなりました。
そこで出会ったのが、バーチャルリアリティ・フルダイバーゲームの『シェラン戦記』でした。
いくつものゲーム会社がバーチャルリアリティ・フルダイバーゲームの開発に臨んでは失敗してきました。『シェラン戦記』は唯一の成功例です。
そのゲームの中で、自分は生きていることを実感しました。
ゲームより楽しいことはありませんでした。仕事のノルマをこなし、と生命を維持する最低限のこと以外は全てこのゲームに費やしました。
ゲームでは仲間とも出会いました。会社の部下たちも自分を慕ってくれていますが、価値観のズレをよく感じます。
善悪判断の基準、行動原則、存在概念の定義などがどことなくズレていました。
自分は始めて真の仲間に出会ったことに喜びを感じました。向こうもすぐに同類だと気付いてくれました。一緒にプレイして、ギルドも立ち上げました。
何故、自分がギルドマスターなのかは分かりませんが、『極細うどん』さんと『スパゲッティ』さん、『ナポリタン』さんが賛成したことです。
三人は自分よりも遥かに賢く、頭が良い。ならばきっと、自分がギルドマスターをやったほうが良いでしょう。
自分は正直言って、そんなに賢くはありません。
ナポリタンさんは商機を巧みに掴み、王国では一番、フィーセド星域でも五本の指に入る程の財産を築きました。
スパゲッティさん戦闘のサポートをやさせれば間違いなく、12サーバー最強級です。乱戦に強く、大集団対大集団ならこちらの力量を倍にしてくれる存在。
極細うどんさんは人心掌握に得意とし、政治全般にその力を発揮します。もはや得意という域を超えていますが、本人はそう言っています。
三人が揃って自分にやれ、と言っていますので、間違いがあるとは思いません。それでも疑問として残ります。
何回聞いても曖昧な回答しかして貰えず、少し寂しい気持ちになります。
ナポリタンさんはクアチフという国と同盟を結びました。きっと何か考えがあるでしょう。それを破綻させない為にも、自分は頑張ります。
自分の今の名前は『とにかくラーメン』、それ以外の名称は存在しませんし、いりませんし、必要ありません。
自分は、至って平凡な人生を送っていました。見方によれば、平均以下かもしれませんね。
地球いたころの自分は会社の為に働きました。それなりの業績を出していましたし、昇進も決まっていました。
そして、その会社は潰れてしまいました。
自分の部署は黒字を継続してきたものの、会社を維持する程の額ではありません。
元々経営方法に難ありで、早かれ遅かれそうなることは予想していました。
会社が潰れることに遺憾の念はありません。弱肉強食は自然の摂理。これによって、優秀な存在は進化して、劣悪な存在は淘汰されます。
これは合理的です。会社が潰れるのは当然の帰結。
会社が潰れそうになった時に会社を辞めました。有能な部下たちも連れてもう少し良さそうな会社に履歴書を出しました。
幸い、自分はこの業界ではそこそこ名が知られていて、向こうも自分と部下たちの手腕を信じてくれました。
この会社は前と違って、中々合理的な経営をしています。百年以上続くかは分かりませんが、自分が生きているうちは潰れる心配はないでしょう。
その時です。
給料もそれなり貰っていた自分は時間に余裕が生じて、娯楽について考え始めました。
人は欲望によって進歩します。
人は空に飛びたいと思って、飛行機を作りました。
人は海を渡りたいと思って、船を作りました。
人は人を殺したいと思って、銃を作りました。
人はもっと人を殺したいと思って、爆弾を作りました。
これを暴論をいう人もいるでしょう。ダイナマイトを発明したノーベルを弁護する人もいるでしょう。
ノーベルさんが何を考えて、それを発明したなか分かりかねます。しかし、後世でそれを使う人や作る人は恐らくそれを考えている者もいるでしょう。
何故自分はこんな話をしているのか、疑問に思うかもしれません。自分もよくわかりません。
ああ、そうでした。欲望の話ですね。
自分の欲望は少し特殊だったのです。
『殺したい』
それが自分の一番の欲望だったのです。
しかし、それは現代の日本では難しいことでした。
人を殺すのは法律に反します。他の動物を殺すと愛護団体が文句を言ってきます。虫を殺すのは良い方法でしたが、途中でそれでは満足できなくなりました。
そこで出会ったのが、バーチャルリアリティ・フルダイバーゲームの『シェラン戦記』でした。
いくつものゲーム会社がバーチャルリアリティ・フルダイバーゲームの開発に臨んでは失敗してきました。『シェラン戦記』は唯一の成功例です。
そのゲームの中で、自分は生きていることを実感しました。
ゲームより楽しいことはありませんでした。仕事のノルマをこなし、と生命を維持する最低限のこと以外は全てこのゲームに費やしました。
ゲームでは仲間とも出会いました。会社の部下たちも自分を慕ってくれていますが、価値観のズレをよく感じます。
善悪判断の基準、行動原則、存在概念の定義などがどことなくズレていました。
自分は始めて真の仲間に出会ったことに喜びを感じました。向こうもすぐに同類だと気付いてくれました。一緒にプレイして、ギルドも立ち上げました。
何故、自分がギルドマスターなのかは分かりませんが、『極細うどん』さんと『スパゲッティ』さん、『ナポリタン』さんが賛成したことです。
三人は自分よりも遥かに賢く、頭が良い。ならばきっと、自分がギルドマスターをやったほうが良いでしょう。
自分は正直言って、そんなに賢くはありません。
ナポリタンさんは商機を巧みに掴み、王国では一番、フィーセド星域でも五本の指に入る程の財産を築きました。
スパゲッティさん戦闘のサポートをやさせれば間違いなく、12サーバー最強級です。乱戦に強く、大集団対大集団ならこちらの力量を倍にしてくれる存在。
極細うどんさんは人心掌握に得意とし、政治全般にその力を発揮します。もはや得意という域を超えていますが、本人はそう言っています。
三人が揃って自分にやれ、と言っていますので、間違いがあるとは思いません。それでも疑問として残ります。
何回聞いても曖昧な回答しかして貰えず、少し寂しい気持ちになります。
ナポリタンさんはクアチフという国と同盟を結びました。きっと何か考えがあるでしょう。それを破綻させない為にも、自分は頑張ります。
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