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第12章 同盟を結ぼう
同盟締結本番
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今の正直な気持ちを言うと、そうだな、普通だと言おう。
頗る程に普通だ。
吟遊詩人たちがよく城下町で英雄叙事詩を詠ったりするが、ワシの名前がそこに載るのは時間の問題だろう。
ワシはあの偉大なる王国に赴いた。タナンサ星域では極々少数ではあるものの、フィーセド星域に向かう者もいる。
彼らから得る情報はどんな宝石よりも、どんな貴金属よりも貴重である。クアチフもその情報を得ることに腐心した。
それがどうだ、今やワシ自身がその偉大なる王国にいる。伝聞などの不確かの情報ではない。
全てはこの目で見て、この耳で聞いた情報ばかりだ。今までのやってきたことがバカらしくなる。
いや、そうとも限らん。これまでの情報があっての成果かもしれん。ならば彼らに感謝せねばならんな。
偉大なる王国で見聞した物事はどれも腰を抜かしそう(実際は何度か本当に腰を抜かしてしまった)になる。
天変地異を簡単に引き起こし、場合によっては天と地そのものを無に帰す力を持つ龍種と天使が、まるで一介の衛兵のように立っていた。
もしかしたら、この国では本当に衛兵程度の位置なのだろうか?
だとしたら、流石は偉大なる王国と言ったほうが良いだろう。
ワシは褒め称えられるだけのことを成し遂げてたつもりだ。もっと大々的にワシを賛美する叙事詩を作ってくれてもバチは当たらんだろう。
勿論、一番に賛美すべきは偉大なる王国に決まっている。
今のワシには分かる、神よりも、信仰すべきは偉大なる王国であると、それこそが救済に至る道であると。
歓迎の式典に参加したことがない訳ではない。寧ろ、王としては異例なまでに周辺の諸国を度々訪問していると思う。
フルドゥイが唯一の隣接国だが、それはフルドゥイが過去に存在した数多ある小国を飲み込んだ結果であり、元はかなりの数の国がクアチフと国境を接していた。
喜ぶべきに、タナンサ星域にはまだ多くのフルドゥイに侵略されていない国が存在する。
とは言っても、一対一でフルドゥイに勝てる国はもはや存在しない。それでも、周辺諸国の全てが包囲網を結成して、これ以上の侵攻を抑え込めることができた。
それが原因でワシは周辺諸国によく顔を出さねばならん。連携に少しでも歪みが生じれば、それがフルドゥイのタナンサ統一開始の合図になる。
もっとも、その心配も必要無くなった。偉大なる王国がフルドゥイを消滅させた。これ以上、何を心配すると言うのだ。
話を戻すが、これ程の軍事力を保有し、更には天使を使役することができる、ということは神が存在するのだろう。
神がどういう位置に座しているのは不明だが、もし神でさえ使役できているのなら、ワシは再度腰を抜かしてしまうかもしれん。
もう、何があっても驚かんと決めたのに、やはりワシの決意を嘲笑うように、ワシの心を粉砕しにかかる。
そんな、驚異的な力を見せて来た偉大なる王国が、普通なのだ。普通なことをやっているのだ。
同盟締結の際にいくつかの条約が結ばれることになったが、どれも当たり障りのないものばかりであった。
これがフルドゥイを除く周辺諸国なら、こんな風に疑問に思ったりはせん。これがフルドゥイであったとしても、それを疑問には思うが、読み解こうとする。
しかしながら、ここはどこか?偉大なる王国である。こんなどうでも良い条約を結ぶ為にこれだけの労力を払う筈がない。
分かるのはそれだけだ。これ以上は、何も分からんし、思い付かん。
ここら数日の努力もあって、この国の歴史と現在の仕組みについては大雑把に、ある程度理解できた。
それらの情報から導き出せる答えとして、やはり、ナポリタン殿は王国で断然の力を誇る大貴族に違いない。
治める二つの領は経済力と領民の数は共に一位と二位。
武器の製造に関しては2名の軍部大臣が治めるカルティメスとマヒノヌシスには及ばないが、それに次ぐ量と質はある。
そんな、下手したら国王陛下よりも実権を握っている大貴族を、こんなどうでも良いことで辺境に行かせたりはしない。
何か、ワシには思い付きそうもないことだろう。
このありきたりな条約の裏に、何が隠されているのだろうか?ワシに、この平凡な条約の真意を探れとの仰せだろうか?
もしかしたら………
本当に同盟を結ぶに相応しいテストなのだろうか?
頗る程に普通だ。
吟遊詩人たちがよく城下町で英雄叙事詩を詠ったりするが、ワシの名前がそこに載るのは時間の問題だろう。
ワシはあの偉大なる王国に赴いた。タナンサ星域では極々少数ではあるものの、フィーセド星域に向かう者もいる。
彼らから得る情報はどんな宝石よりも、どんな貴金属よりも貴重である。クアチフもその情報を得ることに腐心した。
それがどうだ、今やワシ自身がその偉大なる王国にいる。伝聞などの不確かの情報ではない。
全てはこの目で見て、この耳で聞いた情報ばかりだ。今までのやってきたことがバカらしくなる。
いや、そうとも限らん。これまでの情報があっての成果かもしれん。ならば彼らに感謝せねばならんな。
偉大なる王国で見聞した物事はどれも腰を抜かしそう(実際は何度か本当に腰を抜かしてしまった)になる。
天変地異を簡単に引き起こし、場合によっては天と地そのものを無に帰す力を持つ龍種と天使が、まるで一介の衛兵のように立っていた。
もしかしたら、この国では本当に衛兵程度の位置なのだろうか?
だとしたら、流石は偉大なる王国と言ったほうが良いだろう。
ワシは褒め称えられるだけのことを成し遂げてたつもりだ。もっと大々的にワシを賛美する叙事詩を作ってくれてもバチは当たらんだろう。
勿論、一番に賛美すべきは偉大なる王国に決まっている。
今のワシには分かる、神よりも、信仰すべきは偉大なる王国であると、それこそが救済に至る道であると。
歓迎の式典に参加したことがない訳ではない。寧ろ、王としては異例なまでに周辺の諸国を度々訪問していると思う。
フルドゥイが唯一の隣接国だが、それはフルドゥイが過去に存在した数多ある小国を飲み込んだ結果であり、元はかなりの数の国がクアチフと国境を接していた。
喜ぶべきに、タナンサ星域にはまだ多くのフルドゥイに侵略されていない国が存在する。
とは言っても、一対一でフルドゥイに勝てる国はもはや存在しない。それでも、周辺諸国の全てが包囲網を結成して、これ以上の侵攻を抑え込めることができた。
それが原因でワシは周辺諸国によく顔を出さねばならん。連携に少しでも歪みが生じれば、それがフルドゥイのタナンサ統一開始の合図になる。
もっとも、その心配も必要無くなった。偉大なる王国がフルドゥイを消滅させた。これ以上、何を心配すると言うのだ。
話を戻すが、これ程の軍事力を保有し、更には天使を使役することができる、ということは神が存在するのだろう。
神がどういう位置に座しているのは不明だが、もし神でさえ使役できているのなら、ワシは再度腰を抜かしてしまうかもしれん。
もう、何があっても驚かんと決めたのに、やはりワシの決意を嘲笑うように、ワシの心を粉砕しにかかる。
そんな、驚異的な力を見せて来た偉大なる王国が、普通なのだ。普通なことをやっているのだ。
同盟締結の際にいくつかの条約が結ばれることになったが、どれも当たり障りのないものばかりであった。
これがフルドゥイを除く周辺諸国なら、こんな風に疑問に思ったりはせん。これがフルドゥイであったとしても、それを疑問には思うが、読み解こうとする。
しかしながら、ここはどこか?偉大なる王国である。こんなどうでも良い条約を結ぶ為にこれだけの労力を払う筈がない。
分かるのはそれだけだ。これ以上は、何も分からんし、思い付かん。
ここら数日の努力もあって、この国の歴史と現在の仕組みについては大雑把に、ある程度理解できた。
それらの情報から導き出せる答えとして、やはり、ナポリタン殿は王国で断然の力を誇る大貴族に違いない。
治める二つの領は経済力と領民の数は共に一位と二位。
武器の製造に関しては2名の軍部大臣が治めるカルティメスとマヒノヌシスには及ばないが、それに次ぐ量と質はある。
そんな、下手したら国王陛下よりも実権を握っている大貴族を、こんなどうでも良いことで辺境に行かせたりはしない。
何か、ワシには思い付きそうもないことだろう。
このありきたりな条約の裏に、何が隠されているのだろうか?ワシに、この平凡な条約の真意を探れとの仰せだろうか?
もしかしたら………
本当に同盟を結ぶに相応しいテストなのだろうか?
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