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第二十五話 一件落着
しおりを挟む立浪の社内調査の結果では、和孝の父親が被害者女性にお金を支払う為に会社から不正にお金を引き出していた事が分かった。
それにより三栄株式会社を買収した円城寺が先代の社長からの依頼もあり、佐々木の父親を告訴する事になったのだという。
立浪:佐々木親子は裁判で花音さんに対しての行為や、今まで被害者女性に対して支払われたお金など追求される形となります。
円城寺:立浪さんと勅使河原さんの調査のお陰で全てが詳らかになり社内の悪習、不正も清浄されると思っています。そこで提案なのですが大滝花音さん、良かったら会社に戻って来て貰えませんか?
花音:え・・・。お気持ちは嬉しいのですが、大変申し訳ないですが会社に戻るつもりはありません。すみません。
円城寺:そうですか、残念です。では、せめてほんの気持ちですが退職金は支払わせて下さい。
立浪:花音さんこちらの書類にサインをして貰えますか?
花音:こんなに!?貰えません!
書面には一つ○が多かったのか花音が首を横に振った。
根子:花音ちゃん、貰えるもの貰った方が良いわよ。これから結婚するんだし色々物入りになるし。ね?
びす子と美留來は根子の言葉に賛同するように「うんうん」と頷いた。
花音:では、お言葉に甘えて・・。
立浪:退職金の方は後ほど振り込ませて頂きます。それと裁判の準備で聞き取りを再度させて貰うかもしれませんのでその時はよろしくお願いします。
花音:わかりました。
円城寺:本当にこの度は会社の者が大変ご迷惑をおかけしました。先代の社長に代わり謝らせて頂きます。申し訳ありませんでした。
円城寺はスッと立ち上がり花音に向かって深々と頭を下げた。
花音は円城寺に応えるかのように立ち上がり一礼をした。
根子:これで一件落着ね。
立浪:うん。では、円城寺様、そろそろ次の方のところへ参りましょう。
円城寺:はい。では、これで失礼します。
根子:お疲れ様でした。
花音:根子さん、立浪さんありがとうございました。
すると根子が「良かった良かった」と花音の頭を軽く撫でた。
立浪:無事解決して良かったです。では、私も失礼します。
立浪が書類をバッグに仕舞い込むと円城寺と店からいなくなった。
すると花音はホッとしたのか椅子に深く座り込んだ。
根子:三人とも疲れたでしょ?今新メニューのアップルパイ持って来るわね。食べるでしょ?
美留來:食べます!
びす子:私も!花音も食べるだろ?
花音:うん!
びす子:あ!根子さんお店closeにしてると思うけど、使者の人が十五時に来る予定なんだ。
厨房に戻ろうとしていた根子が使者というワードに何事かと戻って来た。
根子:使者?!どういう事?
美留來:びす子のお父さんの国の人が来るそうなんです。
びす子:今度、父さんの国の建国記念日と爺ちゃんの誕生日をするから招待される予定なんです。それで使者が来るから少しまたお店借りたいんですが良いですか?
根子:へぇ、良いわよ。ランチタイム終わるし。
びす子:ありがと根子さん!
根子:でも、使者だなんて何だか仰々しいわねえ。
烈:ほほう、びす子ちゃんの故郷の人か。どんなんが来るんだろな。
三人とも気が付かなかったがひょっこり隣のテーブルに座って烈がサンドイッチを食べていた。
花音:いつの間に?!
烈:最後のお客さんを帰してボクちんお昼食べてところだけど。
びす子:ちゃっかりしてんな。
烈:へへ。
根子:烈ありがと代わりにやっといてくれて。それ食べたら帰って良いわよ。
烈:はーい。あがります。お疲れっした。じゃね、美留來ちゃん、花音ちゃん、びす子!
美留來:烈くんまたね。
びす子:私だけ呼び捨てすんなよ!
烈は「はいはい」と二つ返事をしながらサンドイッチのパンのカスを両手で払うと厨房へと消えて行った。
花音:ホント、相変わらずだね烈くんって。
根子:まあね。でもあの子、大学に行きながら奨学金を払う為にいくつもバイト掛け持ちしてるのよ。
美留來:奨学金の為だったんだ。
びす子:偉いよ烈。私なら真似出来ないもん。
花音:うん。
そして少しすると根子がアップルパイを持って来た。
根子:はい、アップルパイどうぞ。私これから買い出しとかあるから出かけるね、
美留來:はーい。
根子:あ、それとcloseのままになってるけどドアは開けてるから入って来れると思うわ。
びす子:分かった。
花音:行ってらっしゃい根子さん。
根子は「じゃね」と軽く手を振りながらエプロンを外して買い出しへと行ってしまった。
つづく
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