だって私は、真の悪役なのだから。

wawa

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リリー 7 (十四歳~)

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   うちにおやつパーティーをしに来てたので、そこそこのお金持ちだとは思っていたが、まさかの王族だったグーさん。

   そんなグーさんと距離を置いて一年が過ぎた。私の突然の王族無視に、初めはパピーやマミーが騒いだけれど、今はなんとなくうやむやになっている。

   子供の事だからね。そっとしておいてよ。多感なお年頃なの。

   そんな言い訳が出来ないのが王族とのお付き合いなのだということも、なんとなくわかっているけどね。それは向こうも事情があるみたいで、今もまだ、たまーにグーさんから手紙は来るよ。

   でも私は既読スルーしてる。

   読んだあとに、暖炉にポイってしてる。

   この失礼を積み重ね、やっぱりダメだね悪役令嬢はって、向こうから婚約破棄してもらおうと思っている。
   
   死亡フラグとは積極的に関わりたくないからね。

   そんな私のネガティブを家族たちはどう見ていたのか、なんとパピーが、外出に許可を出してくれたのだ。


 **


   初めての街へのお出かけ。

   ふっふっーふふーふー、
   ふっふっーふっふー!

   口笛を吹きつつ、あの丘を越えたんじゃない? と思える旅路。お家からいつも見ていた野山を馬車で進むこと三時間、ようやく街が見えてきた。

   うきうきが止まらない私は、独りぼっちで馬車の中、吹けない口笛でテンションアップ。

   ふっふっーふっふっー、
   ふっふっふっーふっー!

   ぴーとは鳴らない空ぶかし。でも構わない。ここには私しかいない。マミーよりもマナーに厳しいクールなお兄さまも、意外とマナーにうるさいヤングレタお兄さまも、ここにはいない。

   連れは馬車のお外にお馬に乗って付いてくる、目つきの悪い警備員たちだけ。

   ムフッ!
   心強い!

   ツッパリにからまれたって、うちの警備員は強いんだから、なんとかなるなるー!

   カツアゲだって、怖くないよ!

   悪役が恐怖で支配する荒廃した街に、果たしてスィーツショップはあるのだろうか? だが初めての異世界旅行、いつもと違う景色に気分は揚がるぅっ!

   そして到着。高まる気分で踏み込んだ街の中、西洋風の石畳。西洋風の果物屋さん野菜屋さんの出店通り。待ち合い広場には水しぶきが光る大きな噴水。


   なんか、いいじゃん…。


   想像では、枯れ葉が舞う悪役が仕切る悪溜り、そこには厳ついおじさんや不良たちがトゲトゲの棒切れを持ってうろうろしていたのだが、現実はそうではなかった。思ったよりも、普通の観光地みたい。

   スィーツショップ、あそこに発見…。

   ザワザワ、ザワザワ…。

   あれ? これは、もしかして?

   むしろ人相の悪い子供警備員と、人相が凶悪な大人警備員に連れられて、道を歩く私だけが悪?

   顔に傷、黒々とした制服を身に纏う彼らと、その中で、唯一お出かけ用の水色ワンピを身に纏う、違和感と狂気を丸出しにした私を見て、通行人たちはあの波のごとく割れていく。

   モーゼ感、高まる。

   私たちが進むたびに、恐れ戦き人垣は裂けていく。そんなこの道を、どうどうとふんぞり返って歩きたいって思う? いや思わないよね。むしろ逆に、普通に考えたら恥ずかしいよね。

   でも私は悪役だって自覚があるから、人の目もはばからずにどうどうと真ん中を歩いてみる。

   さすが過去世も現在世も悪役な私。中央を、恥ずかしげもなく闊歩する。慣れてくると内心では、自分がモーゼなのかと錯覚してしまうほど、おごり高ぶっていた。

   そんなモーゼ中、ある路地から、大きな音が耳に届いた。


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