だって私は、真の悪役なのだから。

wawa

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リリー32 (十六歳)

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   一週間、探しに探したけれど、主人公は見つからなかった。

   だからね、最終手段。黒色メンバーズが止めるのも無視して、ピアンちゃんに突撃することにした。

   主人公とピアンちゃん、中庭でお話してたの、ずっと二階から見ていた私。

   きっと見かけなくなった主人公の、居場所を知っているかもしれない。

   お昼に仲間たちの制止を振り切って、速やかに中庭に移動。そして定期的に現れるピアンちゃんに、背後から声かけてみた。

   「お久しぶりね!」

   簡単に言った様にみえるでしょ?

   すんごい手汗かいてたからね。だって、心の中の、一人だけのお友達だよ? しかも、途中から他のニューフレンズが登場して、それから私とは音信不通だよ?

   手に汗握るよね。

   主人公ヒロインを言い訳に、やっと話しかける事が出来た。乙女ゲームとか、恋愛どころではない。今は私、友達作りに必死。

   「あ、…………ぉ…………」

   「…………」

   退化してる。

   前はあんなにお腹から声出てたのに、更に更に聞こえなくなった…。

   頭上でお仏壇に置いてある、チーー…ンて鳴らすあれが鳴り響いたよ。素晴らしい情景擬音、チーー…ン。

   そして厳かに目を瞑る。あのチーーンを聞くお坊さんの心境を察する。

   まあいいよ、気を取り直してもう一度。

   「お元気にしていたかしら?」

   「…………申し訳ありません…………」

   今度ははっきり喋ったピアンちゃん。私が声をかけた事により、前みたいに赤くなるでもなく、切なくしょんぼり俯いて、頭を下げると早歩きで去って行った。

   え、まじ? どーゆーこと?

   これって…、私、たった一人のお友達を、たった今、失ったってこと…?


 **


   理由はわからない。だって話すことが出来ないから。

   もしかすると、過去世のフレンズ関係者でもいたんだけど、あっちにくっつき、こっちにくっつき、利害関係により私はポイされたのかもしれない。

   (そういえば…、最近きゅるん白ウサギ見てないな…)

   前は学院来る度に何処からともなく現れて、イラッとさせられてバチバチしてたけど、白色メンバーズもあまりバチバチしてこない。

   ていうか、居るんだけど、黒色こっちに絡んで来ないよね。

   パピーに言いつけてやった効果か、あれ以来、失礼な新米祭司も見かけない。

   (……)

   心がやさぐれているので、悪役らしく誰かに八つ当たりしたかったのに、それも叶わず……。

   主人公探しも振り出しに戻り、それにより、謎のあの子が誰なのかもわからない。

   (いや別に、元から友達なんて居ないから、仲間達が常に私をガードしているから、謎のあの子なんて、近寄ってこないけど…)

   まあ、いいや。

   次の案件に移ろうと思います。

   奴隷探し。

   問題は、ここだよね。

  『このままいくと、奴隷に売られるよ』

   この不安な忠告の解決策も、実はすでに閃いている。

   親切な主人公が物語の都合上、やりたくなくても悪役をぐいぐい圧さなきゃいけない現場が発生しないとも限らない。

   ならば根本解決は、その奴隷を無くしちゃえばいいんだよね。

   こんなの全然サステナビリティじゃないよね。いやむしろ、持続可能してほしくない。

   百害あって一利なしでしょ?

   じゃあどーやって奴隷システム無くすのかって?

   皆様、忘れてもらっては困ります。

   我が家は揺るぎなき大企業。私、そこの長女なのです。ここぞとばかりに、それを利用するチャンスが来たのです。

   まあつまり、この事により、お兄ちゃんズと黒色メンバーズは、みんな困り果ててたよね。

   最近はわがままばっかり言って、迷惑かけて、皆を振り回して悪役満喫しているんだけど、なんだろう…。

   実際にやってみると、なんかこう、ガッツポーズしたい気分には全然ならない。

   悪役って、思ったよりも簡単には浸れないのかも。

   これじゃ加害者にレベルアップしてる人達って、どんな心境で加害者やってるのかな。

   虐めも暴力も、大体加害者側が笑いながらとかテンションアップして張り切ってやってるイメージある。

   でも自分のわがまま最大フル活用して周りに迷惑かけて騒いだって、なんかこれ、全然、楽しくないよね。


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