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リリー33 (十六歳)
しおりを挟む皆、それぞれの仕事が忙しいのに、目が合ったら質問したり、姿を見かけただけで質問したり、私が手間暇かけさせて、明らかに困った顔をしてたよね。
奴隷について、自由研究でも始めるのかって、そんな目で私を見ていた仲間たち。
結局この件は、グレイお兄様がなんとかするから、お前は学院の勉強しなさいって、そうは言われたんだけど、そういうわけにもいかないから、取りあえず知識不足を補う為に、奴隷について学ぼうと思います。
もっともっと、詳しく歴史を学んで、いかに奴隷が善くないことかって、証拠を集めて周りを説得しないといけないんだ。
グレイお兄様と話した時に思ったんだけど、やっぱり私は過去世と同じく短絡思考で勉強不足。
思い付いたらやってみようって、そういう感じで生きている。
現在世では、過去世の経験を活かして、しっかり立ち止まって考えて、悪そうな顔をしているけれど、実は味方だったの? っていう隠し味方も探そうと検索中。
過去世の裁判の右側左側、被害者の味方は左側で悪人ヅラで座っていたけど、現在世の白の左側は確実に味方ではない。
私、そんなに馬鹿ではない。
現在、少し気になる悪人ヅラさんたちは、王宮方面からたまに警備でやって来る、厳しい顔した王警務隊って人たち。
過去世では、敬礼する小学生にパトカーからニコッて敬礼しかえしてくれる、お巡りさんみたいに爽やかじゃない。
私たち、職務に絶対的に忠実です! 何をされても笑ってはいけないを完遂します! って真面目な雰囲気。
たまーにズカズカと学院内に乗り込んで来て、教室を点検して去っていく。
実はこれにはグーさんが関係していて。前にグーさんの兄弟が捕まった時に、彼らはいろいろ学院内にも禁制品を隠していたみたいで、それにより定期点検するようになったみたい。
抜き打ちでやって来て、ランダムに生徒の鞄やロッカーを遠慮なく開いていく。
こわいよね。プライベートの侵害だよね。
とは言っても調べられるのは紺色と深緑色だけで、右側はこの点検は対象外なの。
パピーとマミーと一族の皆様が、私たちのロッカーを開けることは「駄目です」って言ったら駄目なのです。
だから私が隠し持っている、鞄の中に潜ませた、巾着に包まれた砂糖菓子は無事なのです。
それは左側も同じみたいなんだけど。
このプライベートの侵害者。笑ってはいけない彼らが、実は味方ではないかと観察中。
ていうか、たまたま今日の授業終わりにやって来たから、いつもよりも見ているだけなんだけど。
悪い物を持っていなくても、王警務隊が来ると皆ハラハラそわそわしてる。そして確認が終わるとホッと胸をなで下ろす。
「…………」
目の前で行われていたプライベートの侵害の観察。ではなくて、ほとんど侵害者を上から下までじっくり見ていた事がバレていたみたいで、「何か?」って、質問された。
右側の領地に居てもおかしくない、スラリとした体格にしっかりとした肩幅に、クールな冷たい目線。
「私、リリエル・ダナーと申します。貴方のお名前は?」
ザ・ワッ……。
他の笑ってはいけない人達と、生徒達が一斉に振り返った。
突然発生した衝動的恋愛、ナンパじゃないよ。失われたお友達の補充の為でもない。
ただ目の前に来た事もあったけど、王警務隊とか王都に詳しそうな人達の方が、奴隷についてよく知ってるんじゃないかなーって、近道思い付いたんだ。
隣を見たらエレクト君の苦ーい顔に、笑って許してする私。自分でも勉強するし、調べたりもするよ。でもいろんな人の情報も聞いてみたいじゃない?
こんなプライベートの侵害者の意見なら、なおさらね…。
もちろん彼はニコリとも困った顔もしなかったけど、名前交換だけはしておいたから、後で連絡してみよう。
そう思っていたら、意外と早くそれは訪れた。次の日の授業終わりに、向こうから会いに来てくれたの。
それがさー、なんていうかさー、ズカズカと乗り込んで来た時には、あんなに頼りになりそうな仏頂面だったのに、勤務時間外だからなの? 初めての印象と全然違ったプライベートの侵害さん。
もちろん奴隷に関する話なんか、まともに答えてくれなかったよ。だからすぐ、右側のメンバーズの厚いガードに阻まれて、速やかに遠ざかって行きました。
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