蒼麗侯爵様への甘いご奉仕~番外編の館~

古都助(幸織)

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~番外編・グラーゼス×アルディレーヌ~

【番外編】逃避恋愛事情6◇

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 ――Side アルディレーヌ


 結婚をする気があるのなら、お互いの事をもっと知るべきだ。
 そう言われて引っ張りまわされながら辿り着いた、三階建ての大型文具店。
 素の自分としてダリュシアンに接する内にわかった事だけど……、この男。
 ジャンルは違うけど、私と同じ作家だったのよ。
 私よりも遥かに格上の、グランティアラ王国だけに留まらない売れっ子の作家。
 男性読者から根強い人気のあるダリュシアンは、自分の経験を活かして騎士達の生き様を綴っている。リアリティに溢れた物語は読者の心を常に惹きつけ、私自身も読者の一人だ。
 まぁ、驚きはしたけど納得の正体だったわね。ダリュシアンだからこそ、表現できる世界があの本の中にはあった。ちなみに、私が作家をやっている事も予め調べられていた、と。
 グラーゼスや家族、友人達以外に執筆した本の感想を目の前で言われるのは少しだけ気恥ずかしかったけど。ある意味で……、この男とは縁があったのかもしれないわね。
 
「資料の類は数多あれど、経験に勝る資料はない、そう思わないか? アルディレーヌ」

「まぁ、一理あるわね。どんなに資料を漁っても、わからない事ってのは沢山あるわ」

「特に、人の心は、か?」

「……馬車での話を蒸し返す気なら、この分厚い資料本の角でぶん殴るわよ」

 私の心には、もう誰か特定の男の存在が居座っている。
 勝手にそう決めつけたこの男を見ていると、本当に私と結婚する気があるのかと疑いたくなってしまう。まるで、戯れに私の心を掻き乱し、その動きを観察しているかのような……。
 
「お前では俺の背後をとる事も、一撃を喰らわせる事も難しいとは思うがな? だが、別に馬車での事を言ったわけではない。この世界には何千何万以上の命が存在している。動物も、人も、たとえ姿は似ていても、それぞれに心の機微が異なる。俺は話を書く時に、自分以外の誰かを描く度に思う。物語の中で生きる者達の心を、自分はどこまで感じ取り、表現出来るのか。どれだけの読み手が、その心を受け取ってくれるのか」

「ダリュシアン……」

「読み手によって、その受け取り方も、心に描き出されるイメージも千差万別だがな」

 ダリュシアンの中で、執筆において最も大事な要素は、物語の中で生きる人々の心なのね。
 登場人物を駒のようには考えず、一人一人を大事にしているタイプの作家。
 私はそれに同意しながら頷くと。

「何だか、アンタとは上手くやっていけそうな気がするわ」

「ははっ、それは何よりだ。お前とは同じ作家として、話が尽きぬ気がするな」

「そういうのも、夫婦としては長続きする要素になりそうよね」

 趣味や話が合う恋人や夫婦は、いつまでも楽しく自分達の関係を続けていける。
 必ず、というわけではないけれど、ダリュシアンとなら互いを高め合い、良い作品を書いていける気がするわ。まぁ、腹黒で豹変タイプなのは面倒だと思うけど。

「どれ、俺が会計まで運んでやろう」

「え? あぁ、いいわよ。別にそんなに重くないし」

「――アルディレーヌ」

 ダリュシアンに軽々と腕の中に積み重なっていた資料本を奪われかけていたその時。
 親しみのある低い声音が私を呼んだ。
 私達のいる窓際に、ゆっくりと近付いてくる……、黒髪の男。
 
「グラ……、グラー、シェル?」

 あえてその名で呼んだのは、グラーゼスが立場を隠してこの店に訪れている事がわかったから。
 あの黒髪姿の時は、グラーシェルという偽名で城下を散策しているから。
 だけど、……何でよりにもよって、アイツがここにいるのよ。
 胸の鼓動が速くなり、何故だかわからないけれど……、背中に冷や汗が伝ってゆく。
 まるで、今自分がダリュシアンといるところを見られたくなかった、そう心が叫んでいるかのように……、胸の奥が、騒ぐ。

「知り合いか?」

「え、えぇ……。ラスティアス侯爵家の方なの」

 グラーシェルがお忍びの際に使っているその家名は、母親である王妃陛下の妹が嫁入りをした家。
 どこの家の者だと尋ねられた際に正体がバレないよう、念入りに手をまわしている。
 
「ラスティアス……、あぁ、王妃陛下の妹君が嫁がれた家ですね。確か……、グラーシェル殿は三男だったと記憶しておりますが。このような所でお会い出来るとは思いませんでした」

 ダリュシアンは格上の侯爵家に対する言葉遣いを改めた。
 ラスティアス侯爵家のグラーシェル。その人物は実在しているけれど、社交の場には絶対に姿を現す事はなく、家族と親しい者以外は誰も、彼の姿を見た事がない。
 引きこもりだとか、何か理由があって家を長期不在にしているのだとか、色々と噂はあるけれど……。実際のところ、どうなのかしらね? 
 見た事のない本物のグラーシェル・ラスティアス。
 グラーゼス曰く、『アイツはなぁ……、すっごい変わり者だから、謎のままでいいんだよ』と、誤魔化されて終わってしまったし。
 ……って、そんな事よりも、今はこの面倒な遭遇を何とかしないと!

「私も存じておりますよ、ダリュシアン・ヴァルグ殿。貴方の輝かしい経歴は誰もが知るところです。あぁ、お会い出来て光栄です」

 内心キレまくってるくせに、相変わらず抜け目のない王子殿下ね……。
 嫉妬に駆られて横暴を働くでもなく、一応は場所と相手への態度を弁えている。
 友好的な笑みと共に手を差し出したグラーゼスと、それに応えるダリュシアン。
 他愛のない、貴族同士の交流。何の問題もない。傍(はた)から見れば、そんなところだろう。
 でも、私にはわかる。穏やかな笑みの下で……、巨大な猛獣二頭が互いを威嚇し合っている恐ろしいイメージ図が!!
 紳士の皮を被った貴族二人……、片方は王族だけど。
 とにかく、水面下で互いを探り合っているこの二人を見ていると、……あぁ、胃が、胃が痛くなるんだけどっ。
 
「しかし、アルディレーヌ嬢とグラーシェル殿が友人関係にあったとは、少々驚いてしまいました」

「そうですか? これでも、昔からの長い付き合いになるんですが」

「いえ、ラスティアス侯爵家とシャルドレア伯爵家に、特別な繋がりや友好的な関係があると……、そう耳にした事がなかったものですからね。それに、グラーシェル殿は夜会や舞踏会の類にも顔をお出しにならない方ですから……。どこで御縁を結ばれたのか、と」

「あぁ、そう思われるのも当然ですね。家、というよりも、私とアルディレーヌ嬢は子供の頃に城下で偶然出会いまして、その頃からですよ」

「なるほど……。となると、寂しくなるでしょうね」

 上手く誤魔化したかと思えば、ここでひとつ、ダリュシアンが大きな大きな一番不味い爆弾を落としにかかった。
 私の肩を抱き寄せ、見せつけるように額へと触れてきたダリュシアンの唇。
 一瞬……、すぐ近くから凄まじい殺気の気配が溢れ出た、そう感じた。

「お聞きになってはいませんか? 私とアルディレーヌ嬢とは、もうすぐ契りを結ぶ間柄なのですよ。式はこの王都で挙げる予定ですが、それが終わればすぐにヴァルグ伯爵家の領地に戻ります。
そうなると……、滅多には会えなくなるかと」

「結婚……?」

 訝しむような暗さを含んだ声音。
 ダリュシアンの腕の中で物も言えずにいる私を、グラーゼスが突き刺す勢いで凝視してくる。
 伝えずに終わるはずもなかった。当然の流れだ、これは。
 だけど……、グラーゼスに……、ダリュシアンとの事を……、知られたく、なかった。
 縁談の事を突き付ければ、決定打となって使えると思っていた。
 グラーゼスにもう望みなどないのだと、私の事は諦めろと、今度こそ現実を見せる事が出来ると……、そう思っていたのに。

「本当……、なのか?」

「……ええ」

「…………」

 いざ、望んでいた光景が現実になってしまうと、どうしようもなく不安になってしまった。
 心の底にずっしりと錘が居座って、全身が凍えるかのように……、寒い。
 だけど、後戻りなんて出来なくて、私はわざと笑みを作ってダリュシアンに懐く仕草を見せた。
 怯えるな、後悔するな、そう自分に言い聞かせる。
 だけど……、仲睦まじい様子を見せる私達に、グラーゼスは予想外の爆弾を投げつけてきた。

「ダリュシアン殿……」

「何か?」

「結婚を決められた貴方には申し訳ないのですが……、罪の告白を、させては頂けないでしょうか?」

 険しい表情を解いて、グラーゼスが浮かべたのは悲しそうな、何かを悔いているかのような気配だった。……ちょ、ちょっと待ちなさいよ!! こ、こいつ、な、何を言う気なの!?
 
「グラーシェル殿……、罪の告白、とは?」

「聞いては……、おられませんか? 彼女から……」

 何よ、何なのよ!! その、申し訳なさそうで、今にも消えてなくなりたい的な表情は!!
 その先を言わせるわけにはいかない!! だけど、今の私は蹴りを繰り出せる状況にもない!!
 それに、ダリュシアンがすでに興味を持ってしまっている。ま、不味過ぎる!!

「グラーシェル殿、何か、御心に辛いものを抱えておられるようですね? 彼女の事であれば、婚約者として伺っておく義務があります。よろしければ、その先を」

「ダリュシアン殿にとっては、ショックな事になるかと思われます……。私も、まさか彼女が一時の衝動で馬鹿な真似をするとは思わず……、あぁっ、何と罪深いっ」

「ちょ、ちょっと!!」

「私の子供を腹に宿しておきながら、他の男と婚約するなんて!! それも、事情のひとつも話さず、ダリュシアン殿を騙すなど!!」

「――っ!?!?!?」

 はぁあああああああああああああああああああああっ!?
 わ、わわわわわわわ、私のお腹に何がいるですってぇえええええええ!?
 誰のよ!! 誰の子よ!! そんなのいるわけないでしょうがぁあああああああああっ!!
 嘘八百を並べるにも無理があり過ぎるっ!! あ、だけど……、他から見たら……。
 その時、大声で大嘘を吐いたグラーゼスの姿を探して、フロア中の客達が視線を向けてきた。
 さ、さっきまで少ないと思っていた客の人数が、いつのまにか増えている!

「アルディレーヌ嬢……」

「だ、ダリュシアン様……っ」

 違う、違うから!! 処女の私に子供が出来てるわけないでしょうが!!
 冷ややかな目で見下ろしてきたダリュシアンに全力で首を振る私だったけど、――気づいた。
 ダリュシアンがショックを受けたようにその口元を手で覆う寸前、面白そうな笑みを浮かべた事に。

「そんな……、そんな大切な事を隠していたなんて……、あぁ、アルディレーヌ嬢、何故私に話して下さらなかったのか」

「彼女とは、些細な事で仲違いをしてしまいまして……。せめて、彼女の心が落ち着いて話が出来るようになるまでは、と、そう様子見をしていたのが間違いでした。思い詰めてダリュシアン殿に迷惑をかけてしまうとはっ」

 こ、こんの……!! わざとらしい大げさな演技で大嘘三昧かますんじゃないわよぉおおっ!!
 あぁっ、殴りたい!! 蹴り飛ばしたい!! 今すぐ胸倉を掴んで息の根を止めてやりたい!!
 それと、ダリュシアン!! アンタ絶対わかっててこの茶番に付き合ってるでしょう!!

「アルディレーヌ嬢……、いや、アルディレーヌ。これ以上、ダリュシアン殿に迷惑と罪を重ねてはいない。もう一度、私と話し合おう? お腹の子供の幸せの為にも……」

「~~~っ!!」

 限界だった。人に見られている事も、隣にダリュシアンがいる事も頭の中から消え去って、胸に沸き上がるのは激しい怒りの炎!!
 眼前で捨てられた悲劇の男を演じながら同情を集めようとしているグラーゼスを視界に捉え、踏み出した私が取った行動は……。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 ――Side グラーゼス

「殿下……、あまり聞きたくはありませんが、何があったんですか? その顔、とてもじゃありませんが、人目に晒せませんよ?」

「自業自得……、かなぁ」

 大型文房具店でアルディレーヌ……と、余計なおまけ一名と遭遇した翌日。
 俺はボッコボコにやられた顔や包帯でグルグル巻きになった身体を引き摺って、執務室にやって来た。第一王子の身に何が!? と、周囲の反応は予想通りだったが、俺は階段から転げ落ちたと最後まで言い張っておいたし、俺の姿を見た国王が一目で事情を察してくれたので、大事(おおごと)にはならずに済んだ。
 自分自身、何をやってるんだお前は……、と、思わないでもない。
 アルディレーヌに婚約者がいるとわかって、必死にその話をなかった事にさせたくて仕方がなかったからな……。
 ヴァルグ伯爵家のダリュシアン。
 俺も何度か顔を合わせた事のある相手だが、グラーシェルとしては別だ。
 俺個人として動く時、その顔は別人のそれに見えている。そういう魔術をかけている。
 ただし、俺と偽のグラーシェルが同一人物であると知っている相手には効かない。
 だが、ダリュシアン・ヴァルグの場合は……。

「はぁ……」

 ……にしても、あの男がアルディレーヌの婚約者、とはなぁ。
 あれか? 俺の諦めが悪すぎるから、一番手っ取り早い方法をシャルドレア伯爵家の当主が強硬したって事か? 俺の一途で純粋な想いを知っておきながら、酷過ぎるだろ!!
 
「なぁ、セレイド……。好きな女に婚約者とか出来てた場合、どうする?」

「俺にそんな質問をしても意味がないって、わかってて聞いてますか?」

「だって~、……他に誰も俺の話を聞いてくれないし。うぅっ、辛い、辛いんだよ~っ」

 男として情けないってわかってるさ……。
 でもな、どんなに惨めでも、恰好悪くても、俺はアルディレーヌの事を諦め切れないんだ。
 本音を話してくれない想い人、誤魔化される日々、反対されまくって邪魔ばっかりの恋路。
 諦めてしまえば楽なんだろう。だけど、その道は最初からないものだ。
 
「ふぅ……。貴方の場合、想いが一方通行なのが悩みどころですからねぇ。俺が駆け落ちの手配をして差し上げても、……お相手が逃げ出す確率が高すぎる」

「そうそう。すっごい頑固……。俺の事が気になってるくせに、あんな可愛い反応見せるくせに……っ、全っ然素直になってくんないんだよ~!!」

「八方塞がり、ですねぇ……。一番重要な突破口が、その女性を素直にさせる事なわけですから。あぁ、そうだ。いっその事自白剤とかどうですかね? 自分の口から本音が出てしまえば、その女性も観念するでしょうし」

 執務室の窓を閉めながら笑ったセレイドの背中に、俺の視線が突き立てる。
 自白剤なんかでアルディレーヌの本音を引き出したって、俺には何の意味もない。
 俺が望んでいるのは、自分の意思で想いを口にしてくれるその瞬間だ。
 
「気が進みませんか?」

「当たり前だろ……」

 俺の答えを予想していたらしきセレイドが、やれやれと苦笑を漏らす。
 全く進展のない俺の恋路……。光の見えない道は頼りなく、一日、一日と、俺を焦らせていく。
 状況はさらに悪くなっている。
 アルディレーヌに全力でボコボコにされた後、秘密裏に調べさせた情報は真実だった。
 確かに、アルディレーヌはヴァルグ伯爵家の当主と結婚を前提に付き合いを始めている。
 事前に行われていたという縁談相手の選定。大勢の令嬢の中から選ばれたのが、アルディレーヌだった、と。
 ヴァルグ伯爵家もまた、グランティアラ王家に忠誠を誓いながら『裏』の仕事を引き受けている。 
 シャルドレア家を始めとする者達は、王都内の不穏分子を探す役目や情報収集などの仕事をこなしているが、ヴァルグ伯爵家の場合は『外』だ。
 王都以外の、国内の東側を担当しているヴァルグ伯爵家は、どこかで争いの火種や企みごとが蠢いていないか監視の目を光らせ、一方で『裏』の仕事をこなす人員の育成なども担っている。
 シャルドレア伯爵家の当主がすんなりと娘を嫁に出そうとしているのも、その関係があるからだろう。何の障害もない。俺とは違う……、アルディレーヌに相応しい相手。
 ダリュシアンとアルディレーヌが結婚すれば、二人は東の領地に行ってしまう。
 公式の場で会えたとしても、もう……、個人として話をする事は。

「何で俺にばっかり悪夢のオンパレードなんだろうなぁ……」

「殿下、手元を見て、しっかりと案件を片付けて下さい」

「うぅ……っ」

 ソファー側で黙々と仕事をし始めていたセレイドに冷たく睨まれ、俺も仕方なく書類に目を落とす。暫く会話もなく時だけが過ぎ……、欠伸でも出そうな心地になってきた頃。
 窓をコンコンと、何かが叩くような、突(つつ)くような音が聞こえた。

「殿下、『鳥』ですよ」

「あぁ」

 小鳥と呼ぶには少し大きめの来客。
 窓を開けた俺の肩へと足を落ち着けた水色の鳥が、自分に近づけられた手のひらを見つめ、嘴からぽとりと結び紙を落とした。
 
「…………」

 紙に書かれている暗号を読み解いた俺は、足早に鳥用の餌を机の引き出しから取り出し、それを鳥に与えて、また空へと見送った。今日は、仕事をしている場合じゃない。
 
「セレイド、悪いが後を頼む。俺の分は帰って来てからすぐに片付ける」

「構いませんが……、何かあったんですか?」

 書類から顔を上げたセレイドの問いに、短く「猫が鳴いてる」とだけ伝え、扉へと向かう。
 大事な大事な俺の子猫。爪を出して威嚇してきたって、引っ掻かれて傷だらけになったって……、必ず、お前の傍に――。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 ――Side アルディレーヌ

「はぁ……、最っ悪だわ」

「それはこっちの台詞だ。この大ボケ&ド阿呆愚昧めっ」

 熱を出して寝込んでる妹に酷い対応ねぇ……。
 今日も今日とて女性用司書服を着込んでいるカマ野郎に罵られるなんて、あぁ、本当に最悪だわ。
 でも、これよりも最悪過ぎる目にはもう遭っているからダメージは少ないんだけど……。
 起き上がるのも辛い身体で横を向いた私は、自分の寝ている寝台のすぐ目の前に仁王立ちしている実兄、アドルフォンを睨む。
 アドル兄さんが私を罵りながら怒っているのは、昨日の件が原因だ。
 ダリュシアンと一緒に向かった大型文房具店。タイミングが良かったのか悪かったのか、そこに居合わせてしまったグラーゼス……。
 嫉妬の大暴走でダリュシアンに殴りかかったりとか、私を連れて逃亡を図るとか……、そういうのがなくて良かった、良かった……ん、だけど。
 あの馬鹿が大げさに言い散らかした大嘘のせいで、私はメンタル面をボッコボコにやられてしまった。……グラーゼスの奴には、肉体的なボッボコで報復してやったけど。
 で、アドル兄さんが激怒しているのは、そのボッコボコについて、なのよねぇ……。
 変装中とはいえ、次期国王を全力でしばき倒してしまったのだ。
 国王陛下とお父様の配慮、そして、ズタボロ状態になったグラーゼス自身が口を噤んだ事もあって、私には一切のお咎めなし、と。
 だけど、それで何もかも穏便に流れていくわけじゃない。
 アドル兄さんが寝台の端に腰を下ろし、私の頬の肉を強めに摘まんで引っ張り始める。

「いっ、いひゃぃわよぉっ!」

「黙れ! 仕事の徹夜明けで戻ってみれば、お前は何をやってるんだ!! 戯れ程度の事なら見逃してやるが、何で……、何で……っ、全力で自国の王子をぶん殴りまくってるんだ!! お前はぁあああああっ!!」

「いひゃぁあああああああっ!!」

 もうっ!! 昨日帰宅してからグラーゼスの件がバレた時も、お父様から散々怒られたってのに……っ、少しは妹を気遣いなさいよ!! このカマ愚兄!!
 こっちはグラーゼスから濡れ衣を着せられた上に、ストレスから体調崩して高熱出してんのよ!! ついでに、昨日はダリュシアンにもグラーゼスとの事を根掘り葉掘り聞かれていじられ倒されたんだからぁあああああああっ!!

「うぅ……っ。痛いっ、暴力愚兄っ!」

「ふんっ!! 少しは己の短慮を反省しろ!! ……で、グラーゼスの奴に縁談の事がバレたからって、心を揺らしたりはしてないだろうな?」

「し、してないわよ……っ!! けほっけほっ」

「………」

 だから……、何なのよ!! その疑いまくりの目は!!
 寝台の中で咽ながら睨み返す私に、アドル兄さんは全く信用していないと言いたげだわ!!
 まるで、昨日のあの場に居合わせでもしたかのように、……私の心を見抜いていると物語っている実兄の目。やめてよね……、そうやって私を責めるのは。

「……ダリュシアンとの件は、何があっても進めるぞ。これ以上、お前とあの馬鹿王子に振り回されるのは労力の無駄だからな」

「ふんっ、恋人とイチャつく時間が減ってるからって、私に当たるんじゃないわよっ」

「あ?」

「図星でしょうが。ふんっ」

 ドスの効いた声で脅し付けてきたって、私は普通の女とは違うんだから怖がったりしないわよ!
 大図書館の司書としての仕事、というよりも……、シャルドレアの仕事で徹夜の類が続いてるんでしょうね。他人に見せる愛想の良い上品な顔つきが、見事に不機嫌満載、近づいたら噛み殺してやるモードになってるもの。それに加えて、私とグラーゼスの件もあるし……、そりゃあ腹が立つでしょうよ。
 喧嘩を売られたと思ったらしきアドル兄さんが何かを怒鳴ろうと口を開きかけ、……自分の中で怒りを押し殺すような顔を見せる。
 そして、そのまま出口に向かい始めたアドル兄さんが扉を開けるその寸前。

「……ごめんなさい」

「…………」

 私にしてはらしくもない、か細い……、小さな謝罪の言葉。
 多忙なアドル兄さんや家族に、自分がどれだけ心配をかけているのかはよくわかっているもの。
 私とグラーゼスの選択ひとつで……、沢山の人達の在り方を変えてしまう事も。
 だけど……、どんなに目を背けても、正しい道に進もうとしても、……心が、それを拒もうとするのよ。必死に抗っても、グラーゼスという男の存在が私の中でどんどん大きくなってしまう。
 気付きたくない。認めたくない。認める事を許されない。
 私は、シャルドレア伯爵家の娘。王家に忠誠を捧げる一族の娘……。
 決して、その隣に立つ事なんてあってはならない。

「ごめんなさい……」

 心配をかけている事にもだけど……、それだけに対するものじゃない。
 アドル兄さんが、暫くの沈黙を過ごした後に寝台へと近づいてきた。
 また、寝台の、私の枕元の近くに腰を下ろし、頬に少しだけ冷たく感じられる手を添えてくる。

「アルディレーヌ……」

「……ごめん、なさい」

「……自分が何に対して謝っているのか、俺が、……何に対して怒っているのか、わかってるか?」

「ちゃんと……、グラーゼスの、事、対処、出来て、ない、から……。私が、……アドル兄さんや、お父様達に、……迷惑、ばっかり、かけてる、から」

「違う」

 何が、違うのよ……。内側から急速に上がってきた熱の気配に意識が朦朧とし始めている私に、アドル兄さんがムッとした表情を深めて額を同じ場所に落としてきた。

「ん……」

「いい加減にしろ」

 言葉とは違う、胸を締め付けられるような切なさに満ちた、アドル兄さんの声音。
 私のブラウンの瞳よりも鮮やかな、美しい青の瞳が至近距離で視線を捉えてくる。
 
「アドル、兄さん……?」

 何も言わず、ただ、じっと見つめてくる実兄の双眸。
 何をいい加減にすればいいのか、目の前の視線が私に何を言いたいのか……。
 必死に考えてみるけれど……、頭の中が熱でクラクラして……、何も、考えられなくなっていく。
 その内、睡魔の使いに引っ張られた私の意識が現実に別れを告げ、……夢の中へと、沈んでいった。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

『……ィレーヌ』

 心地良い闇の揺り籠。
 何も考えなくてもいい、安息に包まれたその場所で……、そっと手を引くように私の意識を呼び覚ました優しい声。
 姿は見えないけれど、私の熱を冷まして新しい温もりを両頬に与えてくれる感触が、どうしようもなく……、心地良い。

『アルディレーヌ……』

『……グラー、ゼス』

 私の名前を呼んでくれるその声に、自分の口元が綻ぶ。
 ふわふわとした夢見心地の頭で、私も相手の名前を紡ぐ。
 私を呼んで……、一度じゃ足りないのよ。もっと、もっと……、アンタが私を呼ぶ声を、温もりを、ちょうだい。
 こんな事、現実の世界だったら絶対に言えないし、必死に自分の心から目を逸らそうとしてしまうけど……。今なら、この温かな場所でなら、素直になれる気がするの。
 頬を包む温もりに伸ばした自分の手。それに触れて、甘える仕草をすると、僅かに動揺する気配が伝わってきた。

『熱、……高いな。ちゃんと医者に診て貰ったんだろうけど……、熱過ぎる』

『……大、丈夫、よ。この、くらい……』

『大丈夫じゃないだろう? 体調を崩して寝込むなんて、お前らしくない……。風邪や病だって、いつものお前なら蹴り飛ばして遠ざけられるのに……』

『はぁ、……はぁ、そう、ね』

 本当に私らしくもない。嫌いな男や、何とも思っていない男相手だったら、実力行使でぶっ飛ばす事だって出来るのに……。
 グラーゼスからの求愛に関しては、悩む事ばかり、だわ……。
 でも、それはひとつの答えを自分の中に持っているから、なのかもしれない。
 
『仕事は……、いい、の? 王子様は……、忙しい、ん、でしょ?』

『お前の傍にいたいから、放り出してきた』

 苦笑する気配と、愛しさを滲ませた優しい声音。
 そう言われて嬉しい、大切にされている、と、そう感じて喜ぶ自分。
 思っている事を、感じている事を、私は素直に伝える。

『ありがとう……。私も……、アンタに会いたかったから、……嬉しい』

『……帰れ、って、突き放されなくて、良かった。……熱のせい、かな? 今のお前は……、心配になるけど、……すごく、可愛い』

 私の長い髪を梳く、気遣いと愛情の籠った指の感触。
 まるで子猫にでもなったかのような心地だわ……。もっと触れてほしい。
 グラーゼスの零す甘い吐息を、その声を、温もりを、もっと近くで感じたいの。

『グラー、ゼス……』

『本当に……、子猫みたいに、可愛い』

 嬉しそうに笑う気配と、唇に触れた、少しカサついた温もり。
 可愛い、と、繰り返すグラーゼスが、小鳥のように私の唇を啄む。
 触れ合う小さな音がして、……悩ましい吐息を耳にした瞬間、私の唇の間を割って熱が入り込んできた。

『んっ、……グラぁ、……っ』

 隙間なく塞がれた唇。私の舌を求めて、ぬるりと生々しい感触が絡みついてくる。
 馬車の中で強引にされた時とは違う。私の反応を確かめながら、グラーゼスの舌が慎重に口内を探っている事がわかる。

『はぁ、……っ、んんっ』

『……弱ってるお前には悪いけど、可愛いお前の事が欲しくて……、凄く、困ってる』

 グラーゼスとのキスは、深まる交わりの気配と共に、歓びと、この先を望んでしまう私の心をも高めていく。ギシリと鳴った寝台の音。グラーゼスの背中に、私の両腕が縋り付く。
  
『グラーゼス……っ、んんぅっ、……はぁ、グラー、ゼ、スっ』

『アルディレーヌ、……アルディ、レーヌっ、好き、だ』

 これは、きっと夢だから……。私の見ている、夢、だから。
 邪魔なものは何もない。ここには私とグラーゼスの二人だけ。
この男に愛されても……、愛しても、誰にも咎められないの。
 本音を口にしても、現実の私はこの事を知らずにいられるから……、だから。

『……きっ』

『ん、……アルディレーヌ?』

『好、き……っ。グラーゼス……、好き、よっ』

『――っ! アルディレーヌっ!!』

 強固な首輪と鎖に縛められていた獣が解き放たれるかのように、グラーゼスの熱が増した。
 唇から蜜透の筋が伝い、濡れた舌の感触が私の首へと這い始める。

『んっ、……ァッ、あ、ぁあっ、グラー、ゼ、……んんっ』

『はぁ、……んっ、アルディレーヌ、言ってくれっ。もっと、……もっとっ』

『んぅっ、はぁ、……はぁっ、……好、き、っ、……んっ、あ、愛して……、る、のっ』

『もっと……っ。もっと、聞かせてくれ。俺の可愛い子猫(アルディレーヌ)』

 不快な熱の気配が、快楽と歓びの熱へと様変わりしていく。
 グラーゼスの愛を、今は全身全霊で受け止める事が出来る……。
 夜着の裾を捲りあげながら、肌をまさぐってくる硬い手の感触。
 寝台の軋みが強くなっていくにつれ、互いの吐息も冷静さを欠いていく。
 だけど、まだ足りないのよ……。足りないの……。

『んんっ、……グラー、ゼスっ、もっ、と……、はぁ、もっと、欲しっ、ぁあっ』

 触れてほしい場所を身を捩ってくねらせながら訴えると、グラーゼスが胸の突起を強く吸い上げ、苦しげに呻く声が聞こえた。
 
『はぁ、はぁ……。俺だって、もっとお前が欲しいよ。だけど、そろそろ気付かれるだろうし……』

『グラーゼス……っ』

『~~っ! ちょっ!! あ、足っ、足絡めてくるの駄目だから!! 俺っ、そんなに理性強くないから!! こらっ、駄目だって……っ。い、今だって、……限界、なのにっ』

『どうして……、どうして、駄目、なの、よ? げ、現実に……、戻った、ら、もう、……こんな風に、出来ない、のにっ』

 この夢が覚めたら……、私は現実の道を歩く。
 好きでもない男と結婚して、グラーゼスとは滅多に会えない、遠い場所に行く。
 本当に欲しいものを、歩きたい道を諦めて、一生を偽りの心で過ごす事になるのに……。
 どうして、どうして抱いてくれないのよ。
 あんなに私を欲しがって、人の事なんてお構いなしに求愛してきたくせに……!!
 
『グラーゼスの馬鹿ぁ……っ』

『あぁっ、ごめんっ、ごめんな!! アルディレーヌっ!! ……でも、熱に浮かされて、正気じゃない状態で俺と結ばれても、お前の為にならないだろう? だから、今は抱けない』

『うぅっ、夢の中でまでヘタレって、……グラーゼスの大馬鹿者ぉっ!!』

 夢の中でくらい、男らしく最後までやりなさいってのよ!!
 現実のアンタは、一生私とこうなる事なんてないんだから……、愛し合えないんだから、せめて、夢の中でくらい……。
 身体がきついのを我慢して、私は自分の身体に重なっている温もりにしがみつく。

『抱いてよ……っ。アンタが、アンタが欲しいのっ』

『駄目だ。……その代わり、俺の事を忘れないように、痕をつけておいてやる』

『あ、と……?』

 欲情の昂ぶりを示すように、耳元で囁かれた色香の滲む低い音。
 一度私の身体から遠くなった温もりが、予想外の場所へと狙いをつけた。
 両足を掴む感触と、開かされた中心にグラーゼスが潜り込んでくる気配……。
 するりと、大事な場所を守っていたショーツを引き抜かれる。

『時間がないから、直接、な』

『はぁ、……はぁ、何、を、――ぁああっ!』

 淫らな疼きを抱えるその場所に僅かな冷たさを感じた直後、覚えのある感触が秘部の中心をいやらしい舌遣いで舐め上げた。
 驚いて引きかけた腰と、両腿をグラーゼスの手に捉えられる。
 両足の間から淫卑な蜜音が漏れ始め、自分には見えないその場所がグラーゼスの欲を煽り立てるかのように腰ごと揺れ動いてしまう。

『ふ、ぅっ、ァアッ……、はぁ、はぁ、……あぁ、ッ、……ぁんっ』

『あぁ……、お前の花びらの奥から、たっぷりと美味そうな蜜が溢れてくる。ん……っ、全部、俺のものだ』

『ひ、ぃっ、ぁああっ、……はぁ、ぁんっ、舌っ、やぁっ、……あっ、ァッ、んんっ』

『ホント……、可愛すぎて抑えが利かなくなるな。はぁ、……指、欲しいか?』

 聞かなくてもわかっているくせに、グラーゼスは舌での愛撫を止めて耳元に顔を寄せて囁く。
 あぁ……、もう、グラーゼスの吐息や声にも、媚薬を飲まされたかのように欲情を煽られてしまう。高みを求めてもどかしくなっている秘部に、早く、早く、欲しい……っ。

『はぁ、はぁ……、ゆ、び、早、くっ。ちょう、だいっ』

『ん。じゃあ、キスしながら弄ってやろうな』

『グラーゼス……っ、んんぅっ』

 覚えのある感触が蜜口を擽った後にぐちゅりと押し入り、零れ出す私の感じている声をグラーゼスの唇が塞いでくる。
 男に慣れていない女襞がグラーゼスの指をしゃぶるように絡みつき、内側を押し広げて道を作るように掻き回す。

『は、ぁっ……、グラー、ゼスっ』

 ぼんやりとしか働かない頭で徐々に思い始めたのは、……あぁ、何だか夢なのに感触が生々しい、快楽の波が現実のように襲いかかってくる、という事だった。
 でも、それも一瞬の事。私はグラーゼスの与えてくれるキスと愛撫の激しさに溺れ込み、そのまま最後まで乱れ続け……。
果てる瞬間、高みに辿り着いた嬌声はグラーゼスの中に飲み込まれていった。

『……アルディレーヌ、必ず、迎えに来るからな。必ず、必ず……』

『はぁ、はぁ、……グラーゼス』

 そんなの無理よ。現実の私は、アンタを受け入れる事が出来ないんだから……。
 だけど、そう伝えた私に、グラーゼスが表した反応は落胆とは正反対のものだった。
 快楽の余韻と共に、また、意識が消えかけた……、その時。
 グラーゼスがそっと私の唇に同じ柔らかなそれを触れさせる感触と、自信に満ちた声が聞こえた。

『俺は、絶対にお前を諦めない。お前が納得するやり方で、お前を手に入れる。……おやすみ、アルディレーヌ』

 そう告げて遠のいていった温もり……。
 次に目が覚めた時、私は恐ろしい夢を見たものだと自分自身に慄きながら、夜までの時間を寝台の中で過ごし続ける事になった。
 ――自分の胸元に、約束の証が刻まれている事にも気付かずに。
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