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~蜜愛の館(婚約編)
蒼麗侯爵様の嫉妬編②◆
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◆◆◆◆◆(城下町・とあるカフェ)同日・午後◆◆◆◆◆
「じゃあ、私とブランシュはそこの雑貨屋に行ってくるから」
「すみません、行ってきますね」
アルディレーヌの横で、申し訳なさそうに頬を可愛らしく桃色に染めていった少女は、ブランシュ・パティーリア、子爵家の令嬢だ。
私達よりひとつ年下なのだけれど、彼女は顔立ちが幼いせいか、独特の愛らしさを纏っている。
金色の巻き毛をふわりと揺らして、ブランシュちゃんはアルディーヌと行ってしまった。
それを見送ったのは、私一人ではない。
私の向かいの席に座り、うっとりとブランシュちゃんの背中を見つめているのは……。
「レアンドル様、本当にブランシュちゃんがお好きなんですね」
微笑ましく思いそう言葉をかければ、『彼』の甘さを宿した青の瞳がこちらを向いた。
柔らかな金の髪に、『蝶』達が一瞬にして虜にされるような優しげな紳士の笑み。
レアンドル・クレイラーゼ公爵、二十四歳。
私達の住まう王国の、現国王陛下の甥に当たられる方。
そんな凄い立場にあられる方が何故城下町のカフェにいるのか、
私達が一緒に同席していたのか、それは、彼の『片想い』が関係している。
「一目惚れだったからね。けれど、今はまだ友人の身だ」
「確か、アルディレーヌに聞きましたけれど、その友人の立場になるのにもご苦労されたとか」
「そうなんだよ。俺が公爵という堅苦しい地位にあるせいで、どうにもブランシュは遠慮しているようでね。
彼女を手に入れるには、色々と遠回りな手順を踏まないといけなかったんだ」
それは、所謂外堀を埋めていくという手段だろうか。
レアンドル公爵は苦笑と共に、やれやれと肩を竦めて小さく息を吐きだした。
子爵家の令嬢であるブランシュちゃんに片想いをなさっているというこの方は、もう友人になって三ヶ月にもなるのに、そこから先に進めずご苦労をされているらしい。
想いを伝えて逃げられてしまわないか、地位や歳の差で身を引かれないか、色々と心配事が絶えない日々を過ごされているのだとか……。
確かに、ブランシュちゃんの性格だったら、たとえレアンドル公爵様を好いていたとしても、身分差について思い悩んでしまうかもしれない……。
素直で心優しい子だから、自分では釣り合わないと身を引いてしまうかも。
「ブランシュは、君やアルディレーヌ嬢に懐いていると聞いたものでね。出来れば、私が想いを告げた後、彼女が一人で悩まないようにフォローしてほしい」
一人で悩まないように、の部分のところだけ、今一瞬、レアンドル公爵様の青の双眸が妖しく光ったような……。
まるで……、『俺の想いから逃げないように、ブランシュの退路をちゃんと絶ってくれるかな?』と、言われたような錯覚が!!
それは、セレイド様が意地悪な事を考えている時の気配にも似ていた。
優しそうな人だけれど、私の本能が警鐘を鳴らしている。彼は、セレイド様と同類だと!!
ひくりと口の端を引き攣らせた私は、「わ、わかりました……」と愛想笑いを浮かべ、コクコクと頷いておいた。
逆らっちゃ駄目、逆らっちゃ駄目……!!
「それと、昨日君から受けたアドバイスを参考にしてプレゼントを選んで来たんだが、ブランシュは喜んでくれるだろうか」
――コトン。
丸テーブルの上に置かれた二つの小箱。
ひとつは薄桃色、もうひとつは空色を纏っていて、レアンドル公爵様は空色の箱を私に差し出してきた。
「開けてみてくれ」と微笑まれ、白いリボンをシュルリと紐解く。
小箱の中には、小さなジュエリーケースが収まっており、それを開けると……。
「まぁ! なんて可愛らしいイヤリング!!」
「どうだろうか? これと若干違うのだが、同じような物をブランシュに贈ろうと思うのだが」
私が手に取ったのは、空の色を透かしたような宝石があしらわれた、小さく羽を象った装飾がされているイヤリング。ブランシュちゃんと好みがほぼ同じ私がレアンドル公爵様から相談を受けてアドバイスをしたのだけれど、この可愛らしいデザインの系統の物なら、きっと大喜びするだろう。
「では、いよいよ今日の夜に告白されるんですね?」
「あぁ、これを贈って……、俺のありのままの気持ちをブランシュに伝えるつもりだ」
「上手くいくように、私もアルディレーヌも祈ってます」
中々二人きりで出かけてくれないブランシュを外に連れ出すべく、レアンドル公爵様は、友人でもあったアルディレーヌに相談を持ち掛けたらしい。
私やアルディレーヌがいれば、ブランシュちゃんも大人しく出て来てくれるから、と。
事前に贈り物のアドバイスも頼まれ、昨日の内に済ませておいた。
後は、私とアルディレーヌが途中で用事が出来たと言って雲隠れすれば役目は無事に終わる。
そこから先は、レアンドル伯爵様が彼女を上手くエスコートして自分のお屋敷に連れ帰る、と。
今日の一日の計画は、大まかに言うとそんな感じだ。
「それと、今君に渡したイヤリングは貰ってくれると嬉しい。アルディレーヌ嬢にも、君とお揃いの宝石違いのイヤリングを買ってある」
「そんな、私達にまで気を遣って頂かなくても……」
「ふふ、遠慮せずに貰っておくれ。君達のお蔭で……、俺はブランシュの傍にいられるのだからね」
なんだろう、また変な悪寒が……。
幻聴かしら? 『君達のお蔭で……、俺はブランシュをモノに出来るのだからね」と聞こえたような気が。
一瞬だけレアンドル公爵様の瞳に宿った艶と危うさから逃げるように、私はぺこりと頭を下げた。
ブランシュちゃん……、貴方、もしかしたら、物凄く大変な方に好かれたのかもしれないわ。
同じ気配を纏う男性を婚約者にしているせいか、彼女に対してある種の同情を感じずにはいられない。
「レアンドル様のお気持ち、きっと伝わりますよ。どうか、頑張ってください。幸運をお祈りしております」
「有難う。貴方は本当に……天使のように優しいな。ブランシュと出会っていなければ……」
「え?」
席を立ち上がり、私の傍で腰を屈めたレアンドル公爵様が、頬にそっとキスを落とした。
ちゅっと音を立てて離れていく温もり……。
「君の方を好きになっていたかもしれないな?」
「なっ、ななっ、れ、レアンドル様!!」
「ふふ、慌てる様も可愛らしいね」
キスを落とされた頬を押さえ、真っ赤になってレアンドル公爵様を見上げると、彼は茶目っ気のある笑みを浮かべなら、私の頭をひと撫でした。
しゃ、社交界でも評判の……浮名の多い方。本当に手慣れすぎていて、心臓に悪いっ。
戸惑う私に構わず、レアンドル様が席に戻ろうしたその時。
「フィニア……、貴方は一体……『何』をしているんですか?」
「え?」
ゾクリ……と、後ろから心臓をグッと鷲掴まれたかのような錯覚を覚える冷たい声……。
それが……、すぐ耳元に落ちた。
視界の端に、さらりと大好きなあの人の蒼い髪が頬に触れる。
右手をグッと背後から掴まれ、無理矢理席から立たされてしまう。
レアンドル公爵様が、「おやおや」と何故か暢気な声音で、私の身に起きた緊急事態を眺めている。
「せ、セレイド様!?」
胸の中に抱え込まれ、息苦しく上を見上げれば、……非常に危険な表情を見る羽目になってしまった。
彼は私ではなく、席に腰を下ろしたレアンドル公爵様を、今にも射殺しそうな憎悪の視線で見つめている。
「許しませんよ……絶対に」
「あ、あのっ……んんっ!!」
レアンドル公爵様から視線を外し、苛立った様子で私の顎を持ち上げたセレイド様が、
性急な仕草で唇を重ね合わせ、唇の中へと激情をぶつけるかのように濡れた舌を忍び込ませてきた。
くちゅりと唾液を絡ませ、セレイド様にしては珍しく、荒々しく余裕のない舌遣いで私の舌を嬲ってくる。
「んっ、……ふぅっ、はぁ、だ、だめっ」
「黙りなさい。んっ……はぁ、フィニアっ」
レアンドル公爵様が、周りの人達が見ているのに……!!
息をする暇さえ惜しいように、交わる淫らな音が響いていく。
そして、くたりと力を失った私の輿を力強く支え直したセレイド様が、再びレアンドル公爵様を睨み付けた。
「この愛らしい人は、俺だけのモノです。手を出したら……絶対に許しませんよ」
「ふふっ、肝に銘じておくとしよう」
「せ、セレイド様!! 何てことを言うんですか!!」
見当違いにもほどがある。レアンドル公爵様と私がいるのを見て、まさか誤解するなんて……!!
彼はただ、ブランシュちゃんとの事に協力したお礼にと友愛のキスをくれただけなのに!!
セレイド様は怒りを治めないまま、私に帰る準備をするようにと命じてくる。
「ま、まだ帰るわけにはっ」
「……その男とまだ一緒にいたいとでも言うつもりですか?」
「そうじゃなくて!!」
「フィニア嬢、後は俺が説明しておくから、彼と帰りなさい。でないと……、本当に殺されてしまいそうだ」
「レアンドル公爵様……」
不安と戸惑い、そして強い申し訳なさを込めてレアンドル公爵様の名を呼ぶと、私の右手首を掴んでいたセレイド様の力が……、骨にまで喰い込むように浸食した。
「痛っ!!」
「グレイシャール侯爵、大事な恋人が痛がっているよ? 可哀想だろう、離してあげたらどうだい?」
表情を苦痛に変えた私を心配してくれたレアンドル公爵様が、険しい光を湛えた眼差しでセレイド様を諫めてくれた。けれど、それさえも……彼の怒りを煽ってしまう増幅剤にしかならなくて……。
「フィニア、もう一度だけ言います。帰る準備をしてください。今すぐに」
「せ、セレイドさ……ま」
「それとも、……ここで、この男に見せつけるように抱いて欲しいですか? 別に構いませんよ。俺はどこだろうと、どんな時だろうと、貴方を愛せますからね」
「……っ!!」
「はぁ……、噂通り、独占欲の強い男のようだね。まぁ、俺も人の事は言えないが……」
涙ながらにバッグに頂いた小箱を直し、帰る準備を終えた私を確認すると、セレイド様は私を横抱きに抱え上げ、有無を言わさず歩き出した。
「ちょっ、セレイド様っ、い、いやっ!! 下ろしてくださいっ」
「黙っていなさい。……屋敷に着いたら、お仕置きですからね」
「お、お仕置きっ……?」
「俺の愛しい人、貴方は本当に罪深い……。あんな男に簡単に肌を許して……、到底許せることではありません」
(もしかして……、私が思っている以上に誤解の度合いが凄い!?)
肌を許すって……、不可抗力で頬にキスをされただけなのに……!!
まるで男女の仲があったかのように、セレイド様は私に対して激しい怒りを抱いている様子だ。
待たせておいたらしきグレイシャール家の馬車に乗り込み、私を膝の上に乗せて席に座ると、御者が馬に合図を出し町の景色が動き出す。
「せ、セレイド様、違うんです。誤解しないでくださいっ」
「何がですか? あの男に……キスされていましたよね?」
「あ、あれは!! ンッ!!」
私の言い訳を封じるように、外出着のフリルのついたブラウスを強引に割り開き、セレイド様がその唇を胸元に押し付けて来る。
所有の証を散らし、胸の中心にある桃色の蕾を怒りと共に噛み付いて吸い上げた。
「んぁっ、やぁっ」
「はぁ、……貴方は、俺のモノです。この真白の肌も……ん、……いやらしく尖ったこの突起も……」
「セレイド様っ、んんっ」
「この唇も、んっ、全部……はぁ、俺だけのモノなんですよ」
「お、お願いだからっ、はぁ、んぁっ、話をっ」
責めるように首筋に噛み付いたセレイド様が、ガリッと皮膚を引き裂いて滲み出てきた血を舐め上げた。
痛い……、濡れた肉厚の舌が……私の血と肌を嬲るように愛撫してくる。
ロングスカートを捲り上げ、下着の上から指先を擦り付け、セレイド様が耳元に苛むような言葉を注ぎ込んでくる。
「俺がどれだけ傷付いたか……、貴方にわかりますか、フィニア? ん……この肌に、他の男の痕を残す事なんか……絶対に許しませんよ」
「だからっ、あれは誤解っ、ひゃんっ」
秘部を布越しに愛撫していたセレイド様の逞しい指先が、邪魔だとばかりにそれをずらし割れ目へと侵入し始めた。花びらのような秘肉の中心を、ぐちゅり……と音を立てて指先で抉って押し入ってくる。
彼の感触を知っている私の膣内は、いつものように愛おしげにその指先を締め付けて愛撫していく。
「あっ……、だ、駄目っ、ですっ」
「あの男の指やモノを……、まさかここには受け入れていないでしょうね? フィニアの可愛くていやらしいここは……、俺のモノ、でしょう?」
「んっ、あぁっ」
――ガタンッ!!
セレイド様の指に押し広げられ、グチュグチュと刺激されていた膣内が、馬車の揺れと共に、さらに奥へと彼の指を咥え込んでしまう。
硬い感触が、奥まで届くかのように……私の中に入り込んでくる。
「そんな物欲しそうな顔をして……。俺の愛しい人は……本当に、淫乱でどうしようもないですね」
「んっ、ち、ちがっ、ぁんっ」
「はぁ、可愛い俺のフィニア。お仕置きですよ。今この場で俺のモノを受け入れて、たっぷりと『ご奉仕』しなさい。御者に聞こえるように、外まで貴方の痴態が知れ渡るように……」
「嫌っ、やぁっ」
私を膝の上に乗せたまま、背後から抱き締めて自身の灼棒を秘部へと突き入れたセレイド様が、馬車の揺れと重なるように膣内を激しく犯し始めた。
「フィニアっ、はぁ、いつも以上に感じていますね。外が気になるんですか?」
「んぁっ、やぁっ、抜いてっ、はぁ、はぁ」
「ふふっ、丸見えですよ。俺に挿れられて淫らに喘ぐ愛らしい貴方を……、町の人は皆驚いて……『見て』いますよ」
「いやぁっ、おねがっ、やめっ、はぁんっ」
「お仕置きだと言ったでしょう? 俺以外の男に笑いかけて、キスまで受け入れて……。大衆の中で犯されなかっただけ、感謝してください」
後ろから身体を強く抱き締められ、逃がさないとばかりに強く拘束されたまま、下から最奥を求めて何度も突き上げて来るセレイド様の灼棒に快楽をどんどん深くまで与えられていく。
いや……いや、見られちゃう……。外にいる人達に……。
けれど、周りを見る余裕なんてなくて……、首筋に顔を埋め情事による余裕のない吐息を零し続けるセレイド様の息遣いに、さらに快感を煽られてしまう。
言い訳を聞いてほしいのに、レアンドル公爵様とは何でもないのに……。
それさえ聞いてもらえない……。
「はぁ、フィニア、本当に貴方は……っ、イケナイ子ですね。他の男に浮気して、悪い子には沢山お仕置きが必要でしょうっ」
「あぁっ、セレイド、さまぁっ、お願いだから、話をっ」
「俺の屋敷に着いたら、覚悟しておいてください。んっ、淫らで罪深い貴方に相応しい……特別製のお仕置きを与えてあげますから」
「いやっ、いやっ、おねがっ、許してっ」
「くっ……、俺の考えは変わりませんよ。はぁ、それにしても、馬車の中で交わるのもイイものですね。貴方の中が、いつもより……はぁ、敏感で、物欲しそうに何度も強く締め付けてくるっ」
「んぁっ、やぁっ、だ、だめっ、はぁ」
露わになっている私の胸の膨らみを大きく揉み上げ、セレイド様が楽園に向かって腰の動きを速めてくる。
彼の怒りが……、私の不貞を疑った憎悪と嫉妬の想いが……。
「あぁっ、ぁぁ……」
「フィニア……っ、どこにも行かせません。俺の愛しい姫君……、貴方はっ、俺だけの……人、ですよっ」
最奥へと精を勢いよく放ったセレイド様が、何度も私の名を呼んで腰を揺さぶってくる。
彼と同じ熱をもった精が……私の中を隅々まで舐め回し深く沁み込んでいく。
力を失い、セレイド様の膝の上から落ちそうになる私を腕で支え、耳に注がれる罰の宣告。
「まだ、ですよ。フィニア。大罪を犯した貴方には……たっぷりと俺のお仕置きを受けて貰います」
脳を甘く痺れさせる裁きの声が……、意識の片隅に響いて……消えていった。
◆◆◆◆◆(セレイドの屋敷・自室)◆◆◆◆◆
「やぁ……、はぁ、はぁ……」
熱い……、下肢に塗り付けられた薬のせいで……、今にも発狂したいぐらいに苦しい。
セレイド様の部屋に閉じ込められ、もう何時間経っただろうか……。
両手は頭の上に紐で縛られ、この狂おしいまでの快楽から逃れる術さえ与えられない。
ヒクヒクと熱ともどかしい苦しさに喘ぐ私の秘部を、そっと硬い指先がなぞった。
「ぁあっ、せ、セレイド、さまぁっ」
「フィニア、貴方には見えないでしょうが、とてもいやらしい痴態になっていますよ。欲しい物を得られず、薬の効果で涎を垂らす貴方の秘部……。今俺が少し触っただけでも、腰が欲しい欲しいと揺れましたね」
「お、おねがっ、はぁ、もうっ、無理っ」
「馬車の中で沢山突いてあげたでしょう? まだ欲しいんですか? ……本当に、淫乱な令嬢ですね」
「だ、だって……セレイド、様、がぁっ」
身を捩り、涙を流しながらセレイド様を見つめていると、彼の手に……おかしな物があるのに気付いた。
棒のような……棘? のついた……物。
それを愛おしげにセレイド様が舐め上げ、……ちょ、ちょっと待って!! どこにやろうとしているの!?
私のたっぷりと濡れた秘部の中心に、ググッとその棒が押し込まれていく。
セレイド様以外のモノを受け入れた事のない私は、未知の感覚にいやいやと首を振って激しく抵抗する。
「いやっ!! 駄目っ!! そんな物、挿れない、でぇっ!!」
「これもお仕置きですよ。可愛い俺のフィニア。貴方も欲しくて欲しくて仕方なかったのでしょう? たっぷりと……感じさせてあげますよ」
「あぁっ、いやぁっ、中がっ、痛いのっ、棘がっ、チクチクしちゃうっ」
「俺が貴方の処女を奪った時のように、その痛みも時期に悦くなりますよ」
セレイド様の手によって、容赦なく出し入れされる棒。
膣内の蜜肉を抉り、蜜を絡め奥へ奥へといやらしく突き上げられる。
何……これっ。痛いのに……、段々、どうしようもなく気持ちよくなっていく。
「玩具で喜ぶ貴方もイイものですね。気持ちイイですか? フィニア。媚薬で火照ったここは、美味しそうに玩具を咥え込んでいますよ」
「いやぁ……はぁ、はぁ、ぁんっ」
「他の男に気を向けるからこんな事になるんですよ? 俺だけを見ていれば、もっと優しくしてあげるのに……っ」
「ちがぁっ、ぁんっ、レアンドル様はっ、――うぅっ」
苛立たしげに一気に奥まで突き込まれた棒に、私は背中を仰け反らせて悲鳴を上げてしまう。
「あぁぁああっ」
「フィニア、どこまで俺を怒らせたいんですか? 俺との最中に浮気相手の名など呼んで……」
「だ、だから、違ぁ……」
「そういえば、俺が帰り支度を命じた時に、何か小箱のような物をバッグに仕舞っていましたね?」
「あ、あれは……」
ブランシュちゃんに贈るプレゼントのお礼で……、そう言いたいのに、力が出ない。
セレイド様はソファーへと向かい、勝手にバッグの中身を取り出してしまった。
小箱の中身を確認し、……また恐ろしいほどまでに下がった室内の気温。
「綺麗な空色の宝石ですね……。耳飾り、ですか。晴れ渡る景色のように、無垢で穢れない……貴方の瞳と同じ色ですね?」
「それは、レアンドル様が……」
そこまで言ってはっと我に返った。
今ここでまたレアンドル様の件を口に出したら……!!
寝台に上がり込んできたセレイド様が、私の耳に手を伸ばし、イヤリングを嵌めていく。
そして、私の上に覆い被さり、冷たい眼差しで見下ろして来た。
「よく似合っていますよ、フィニア……。貴方の好みを理解しているかのようなこのデザインも……、非常に癪に障って仕方がない」
「――っ!!」
セレイド様は表情を悔しげに歪めた瞬間、予告もなく私の膣内へと灼棒を突き入れてきた。
激しい律動をもって、私を揺さぶる大きな身体……。
蜜肉を乱暴に擦り上げ、今にも私を壊してしまいそうな獣のような行為。
「いやっ、やめてっ!! こんなのっ、はぁ、いやぁっ」
「はぁ、んっ、貴方には……『罰』を受ける義務があるでしょう? 俺という婚約者がありながら、こんな贈り物まで受け取って……!!」
「ち、違うんですっ、あっ、やぁっ、駄目っ」
「渡しませんよっ。たとえ他に好きな男が出来ても、俺は貴方を離しません。この部屋に閉じ込めて、……ずっと愛し続けますっ」
「セレイドっ、様っ」
彼の愛情の深さに、執着の激しさに、私は不謹慎にも全身を喜びで満たしながら名を呼んだ。
浮気なんて誤解だけれど、彼が愛してくれているのは、間違いなく自分なのだと実感できる行為。
この腕の中から逃げ出す事なんて考えもしない。ずっと傍にいたい。
「好きっ、はぁ、セレイド、さまっ」
「ん……、俺も愛していますよ。貴方が想うよりも、ずっと、深くっ」
「はぁ、中にっ、んんっ、いっぱいセレイド様がっ」
「そうですよ。貴方の淫らなここを満たすのは、俺だけですっ。他の男なんて……、くっ、渡しませんよ」
堪え切れないように腰がグンッと押し付けられ、セレイド様の精が溢れんばかりに最奥へと流れ込んでいく。
唇を重ね合わせ、何度も彼に向かって『好き』と繰り返す。
私は貴方だけのもの……。他の誰かに愛されようとなんて、絶対に思わない。
まだ誤解を解く事の出来ないまま、私は一晩かけて彼の部屋に囚われながら、セレイド様の嫉妬の言葉と責め苦に、身を委ね続けた。
「じゃあ、私とブランシュはそこの雑貨屋に行ってくるから」
「すみません、行ってきますね」
アルディレーヌの横で、申し訳なさそうに頬を可愛らしく桃色に染めていった少女は、ブランシュ・パティーリア、子爵家の令嬢だ。
私達よりひとつ年下なのだけれど、彼女は顔立ちが幼いせいか、独特の愛らしさを纏っている。
金色の巻き毛をふわりと揺らして、ブランシュちゃんはアルディーヌと行ってしまった。
それを見送ったのは、私一人ではない。
私の向かいの席に座り、うっとりとブランシュちゃんの背中を見つめているのは……。
「レアンドル様、本当にブランシュちゃんがお好きなんですね」
微笑ましく思いそう言葉をかければ、『彼』の甘さを宿した青の瞳がこちらを向いた。
柔らかな金の髪に、『蝶』達が一瞬にして虜にされるような優しげな紳士の笑み。
レアンドル・クレイラーゼ公爵、二十四歳。
私達の住まう王国の、現国王陛下の甥に当たられる方。
そんな凄い立場にあられる方が何故城下町のカフェにいるのか、
私達が一緒に同席していたのか、それは、彼の『片想い』が関係している。
「一目惚れだったからね。けれど、今はまだ友人の身だ」
「確か、アルディレーヌに聞きましたけれど、その友人の立場になるのにもご苦労されたとか」
「そうなんだよ。俺が公爵という堅苦しい地位にあるせいで、どうにもブランシュは遠慮しているようでね。
彼女を手に入れるには、色々と遠回りな手順を踏まないといけなかったんだ」
それは、所謂外堀を埋めていくという手段だろうか。
レアンドル公爵は苦笑と共に、やれやれと肩を竦めて小さく息を吐きだした。
子爵家の令嬢であるブランシュちゃんに片想いをなさっているというこの方は、もう友人になって三ヶ月にもなるのに、そこから先に進めずご苦労をされているらしい。
想いを伝えて逃げられてしまわないか、地位や歳の差で身を引かれないか、色々と心配事が絶えない日々を過ごされているのだとか……。
確かに、ブランシュちゃんの性格だったら、たとえレアンドル公爵様を好いていたとしても、身分差について思い悩んでしまうかもしれない……。
素直で心優しい子だから、自分では釣り合わないと身を引いてしまうかも。
「ブランシュは、君やアルディレーヌ嬢に懐いていると聞いたものでね。出来れば、私が想いを告げた後、彼女が一人で悩まないようにフォローしてほしい」
一人で悩まないように、の部分のところだけ、今一瞬、レアンドル公爵様の青の双眸が妖しく光ったような……。
まるで……、『俺の想いから逃げないように、ブランシュの退路をちゃんと絶ってくれるかな?』と、言われたような錯覚が!!
それは、セレイド様が意地悪な事を考えている時の気配にも似ていた。
優しそうな人だけれど、私の本能が警鐘を鳴らしている。彼は、セレイド様と同類だと!!
ひくりと口の端を引き攣らせた私は、「わ、わかりました……」と愛想笑いを浮かべ、コクコクと頷いておいた。
逆らっちゃ駄目、逆らっちゃ駄目……!!
「それと、昨日君から受けたアドバイスを参考にしてプレゼントを選んで来たんだが、ブランシュは喜んでくれるだろうか」
――コトン。
丸テーブルの上に置かれた二つの小箱。
ひとつは薄桃色、もうひとつは空色を纏っていて、レアンドル公爵様は空色の箱を私に差し出してきた。
「開けてみてくれ」と微笑まれ、白いリボンをシュルリと紐解く。
小箱の中には、小さなジュエリーケースが収まっており、それを開けると……。
「まぁ! なんて可愛らしいイヤリング!!」
「どうだろうか? これと若干違うのだが、同じような物をブランシュに贈ろうと思うのだが」
私が手に取ったのは、空の色を透かしたような宝石があしらわれた、小さく羽を象った装飾がされているイヤリング。ブランシュちゃんと好みがほぼ同じ私がレアンドル公爵様から相談を受けてアドバイスをしたのだけれど、この可愛らしいデザインの系統の物なら、きっと大喜びするだろう。
「では、いよいよ今日の夜に告白されるんですね?」
「あぁ、これを贈って……、俺のありのままの気持ちをブランシュに伝えるつもりだ」
「上手くいくように、私もアルディレーヌも祈ってます」
中々二人きりで出かけてくれないブランシュを外に連れ出すべく、レアンドル公爵様は、友人でもあったアルディレーヌに相談を持ち掛けたらしい。
私やアルディレーヌがいれば、ブランシュちゃんも大人しく出て来てくれるから、と。
事前に贈り物のアドバイスも頼まれ、昨日の内に済ませておいた。
後は、私とアルディレーヌが途中で用事が出来たと言って雲隠れすれば役目は無事に終わる。
そこから先は、レアンドル伯爵様が彼女を上手くエスコートして自分のお屋敷に連れ帰る、と。
今日の一日の計画は、大まかに言うとそんな感じだ。
「それと、今君に渡したイヤリングは貰ってくれると嬉しい。アルディレーヌ嬢にも、君とお揃いの宝石違いのイヤリングを買ってある」
「そんな、私達にまで気を遣って頂かなくても……」
「ふふ、遠慮せずに貰っておくれ。君達のお蔭で……、俺はブランシュの傍にいられるのだからね」
なんだろう、また変な悪寒が……。
幻聴かしら? 『君達のお蔭で……、俺はブランシュをモノに出来るのだからね」と聞こえたような気が。
一瞬だけレアンドル公爵様の瞳に宿った艶と危うさから逃げるように、私はぺこりと頭を下げた。
ブランシュちゃん……、貴方、もしかしたら、物凄く大変な方に好かれたのかもしれないわ。
同じ気配を纏う男性を婚約者にしているせいか、彼女に対してある種の同情を感じずにはいられない。
「レアンドル様のお気持ち、きっと伝わりますよ。どうか、頑張ってください。幸運をお祈りしております」
「有難う。貴方は本当に……天使のように優しいな。ブランシュと出会っていなければ……」
「え?」
席を立ち上がり、私の傍で腰を屈めたレアンドル公爵様が、頬にそっとキスを落とした。
ちゅっと音を立てて離れていく温もり……。
「君の方を好きになっていたかもしれないな?」
「なっ、ななっ、れ、レアンドル様!!」
「ふふ、慌てる様も可愛らしいね」
キスを落とされた頬を押さえ、真っ赤になってレアンドル公爵様を見上げると、彼は茶目っ気のある笑みを浮かべなら、私の頭をひと撫でした。
しゃ、社交界でも評判の……浮名の多い方。本当に手慣れすぎていて、心臓に悪いっ。
戸惑う私に構わず、レアンドル様が席に戻ろうしたその時。
「フィニア……、貴方は一体……『何』をしているんですか?」
「え?」
ゾクリ……と、後ろから心臓をグッと鷲掴まれたかのような錯覚を覚える冷たい声……。
それが……、すぐ耳元に落ちた。
視界の端に、さらりと大好きなあの人の蒼い髪が頬に触れる。
右手をグッと背後から掴まれ、無理矢理席から立たされてしまう。
レアンドル公爵様が、「おやおや」と何故か暢気な声音で、私の身に起きた緊急事態を眺めている。
「せ、セレイド様!?」
胸の中に抱え込まれ、息苦しく上を見上げれば、……非常に危険な表情を見る羽目になってしまった。
彼は私ではなく、席に腰を下ろしたレアンドル公爵様を、今にも射殺しそうな憎悪の視線で見つめている。
「許しませんよ……絶対に」
「あ、あのっ……んんっ!!」
レアンドル公爵様から視線を外し、苛立った様子で私の顎を持ち上げたセレイド様が、
性急な仕草で唇を重ね合わせ、唇の中へと激情をぶつけるかのように濡れた舌を忍び込ませてきた。
くちゅりと唾液を絡ませ、セレイド様にしては珍しく、荒々しく余裕のない舌遣いで私の舌を嬲ってくる。
「んっ、……ふぅっ、はぁ、だ、だめっ」
「黙りなさい。んっ……はぁ、フィニアっ」
レアンドル公爵様が、周りの人達が見ているのに……!!
息をする暇さえ惜しいように、交わる淫らな音が響いていく。
そして、くたりと力を失った私の輿を力強く支え直したセレイド様が、再びレアンドル公爵様を睨み付けた。
「この愛らしい人は、俺だけのモノです。手を出したら……絶対に許しませんよ」
「ふふっ、肝に銘じておくとしよう」
「せ、セレイド様!! 何てことを言うんですか!!」
見当違いにもほどがある。レアンドル公爵様と私がいるのを見て、まさか誤解するなんて……!!
彼はただ、ブランシュちゃんとの事に協力したお礼にと友愛のキスをくれただけなのに!!
セレイド様は怒りを治めないまま、私に帰る準備をするようにと命じてくる。
「ま、まだ帰るわけにはっ」
「……その男とまだ一緒にいたいとでも言うつもりですか?」
「そうじゃなくて!!」
「フィニア嬢、後は俺が説明しておくから、彼と帰りなさい。でないと……、本当に殺されてしまいそうだ」
「レアンドル公爵様……」
不安と戸惑い、そして強い申し訳なさを込めてレアンドル公爵様の名を呼ぶと、私の右手首を掴んでいたセレイド様の力が……、骨にまで喰い込むように浸食した。
「痛っ!!」
「グレイシャール侯爵、大事な恋人が痛がっているよ? 可哀想だろう、離してあげたらどうだい?」
表情を苦痛に変えた私を心配してくれたレアンドル公爵様が、険しい光を湛えた眼差しでセレイド様を諫めてくれた。けれど、それさえも……彼の怒りを煽ってしまう増幅剤にしかならなくて……。
「フィニア、もう一度だけ言います。帰る準備をしてください。今すぐに」
「せ、セレイドさ……ま」
「それとも、……ここで、この男に見せつけるように抱いて欲しいですか? 別に構いませんよ。俺はどこだろうと、どんな時だろうと、貴方を愛せますからね」
「……っ!!」
「はぁ……、噂通り、独占欲の強い男のようだね。まぁ、俺も人の事は言えないが……」
涙ながらにバッグに頂いた小箱を直し、帰る準備を終えた私を確認すると、セレイド様は私を横抱きに抱え上げ、有無を言わさず歩き出した。
「ちょっ、セレイド様っ、い、いやっ!! 下ろしてくださいっ」
「黙っていなさい。……屋敷に着いたら、お仕置きですからね」
「お、お仕置きっ……?」
「俺の愛しい人、貴方は本当に罪深い……。あんな男に簡単に肌を許して……、到底許せることではありません」
(もしかして……、私が思っている以上に誤解の度合いが凄い!?)
肌を許すって……、不可抗力で頬にキスをされただけなのに……!!
まるで男女の仲があったかのように、セレイド様は私に対して激しい怒りを抱いている様子だ。
待たせておいたらしきグレイシャール家の馬車に乗り込み、私を膝の上に乗せて席に座ると、御者が馬に合図を出し町の景色が動き出す。
「せ、セレイド様、違うんです。誤解しないでくださいっ」
「何がですか? あの男に……キスされていましたよね?」
「あ、あれは!! ンッ!!」
私の言い訳を封じるように、外出着のフリルのついたブラウスを強引に割り開き、セレイド様がその唇を胸元に押し付けて来る。
所有の証を散らし、胸の中心にある桃色の蕾を怒りと共に噛み付いて吸い上げた。
「んぁっ、やぁっ」
「はぁ、……貴方は、俺のモノです。この真白の肌も……ん、……いやらしく尖ったこの突起も……」
「セレイド様っ、んんっ」
「この唇も、んっ、全部……はぁ、俺だけのモノなんですよ」
「お、お願いだからっ、はぁ、んぁっ、話をっ」
責めるように首筋に噛み付いたセレイド様が、ガリッと皮膚を引き裂いて滲み出てきた血を舐め上げた。
痛い……、濡れた肉厚の舌が……私の血と肌を嬲るように愛撫してくる。
ロングスカートを捲り上げ、下着の上から指先を擦り付け、セレイド様が耳元に苛むような言葉を注ぎ込んでくる。
「俺がどれだけ傷付いたか……、貴方にわかりますか、フィニア? ん……この肌に、他の男の痕を残す事なんか……絶対に許しませんよ」
「だからっ、あれは誤解っ、ひゃんっ」
秘部を布越しに愛撫していたセレイド様の逞しい指先が、邪魔だとばかりにそれをずらし割れ目へと侵入し始めた。花びらのような秘肉の中心を、ぐちゅり……と音を立てて指先で抉って押し入ってくる。
彼の感触を知っている私の膣内は、いつものように愛おしげにその指先を締め付けて愛撫していく。
「あっ……、だ、駄目っ、ですっ」
「あの男の指やモノを……、まさかここには受け入れていないでしょうね? フィニアの可愛くていやらしいここは……、俺のモノ、でしょう?」
「んっ、あぁっ」
――ガタンッ!!
セレイド様の指に押し広げられ、グチュグチュと刺激されていた膣内が、馬車の揺れと共に、さらに奥へと彼の指を咥え込んでしまう。
硬い感触が、奥まで届くかのように……私の中に入り込んでくる。
「そんな物欲しそうな顔をして……。俺の愛しい人は……本当に、淫乱でどうしようもないですね」
「んっ、ち、ちがっ、ぁんっ」
「はぁ、可愛い俺のフィニア。お仕置きですよ。今この場で俺のモノを受け入れて、たっぷりと『ご奉仕』しなさい。御者に聞こえるように、外まで貴方の痴態が知れ渡るように……」
「嫌っ、やぁっ」
私を膝の上に乗せたまま、背後から抱き締めて自身の灼棒を秘部へと突き入れたセレイド様が、馬車の揺れと重なるように膣内を激しく犯し始めた。
「フィニアっ、はぁ、いつも以上に感じていますね。外が気になるんですか?」
「んぁっ、やぁっ、抜いてっ、はぁ、はぁ」
「ふふっ、丸見えですよ。俺に挿れられて淫らに喘ぐ愛らしい貴方を……、町の人は皆驚いて……『見て』いますよ」
「いやぁっ、おねがっ、やめっ、はぁんっ」
「お仕置きだと言ったでしょう? 俺以外の男に笑いかけて、キスまで受け入れて……。大衆の中で犯されなかっただけ、感謝してください」
後ろから身体を強く抱き締められ、逃がさないとばかりに強く拘束されたまま、下から最奥を求めて何度も突き上げて来るセレイド様の灼棒に快楽をどんどん深くまで与えられていく。
いや……いや、見られちゃう……。外にいる人達に……。
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「はぁ、フィニア、本当に貴方は……っ、イケナイ子ですね。他の男に浮気して、悪い子には沢山お仕置きが必要でしょうっ」
「あぁっ、セレイド、さまぁっ、お願いだから、話をっ」
「俺の屋敷に着いたら、覚悟しておいてください。んっ、淫らで罪深い貴方に相応しい……特別製のお仕置きを与えてあげますから」
「いやっ、いやっ、おねがっ、許してっ」
「くっ……、俺の考えは変わりませんよ。はぁ、それにしても、馬車の中で交わるのもイイものですね。貴方の中が、いつもより……はぁ、敏感で、物欲しそうに何度も強く締め付けてくるっ」
「んぁっ、やぁっ、だ、だめっ、はぁ」
露わになっている私の胸の膨らみを大きく揉み上げ、セレイド様が楽園に向かって腰の動きを速めてくる。
彼の怒りが……、私の不貞を疑った憎悪と嫉妬の想いが……。
「あぁっ、ぁぁ……」
「フィニア……っ、どこにも行かせません。俺の愛しい姫君……、貴方はっ、俺だけの……人、ですよっ」
最奥へと精を勢いよく放ったセレイド様が、何度も私の名を呼んで腰を揺さぶってくる。
彼と同じ熱をもった精が……私の中を隅々まで舐め回し深く沁み込んでいく。
力を失い、セレイド様の膝の上から落ちそうになる私を腕で支え、耳に注がれる罰の宣告。
「まだ、ですよ。フィニア。大罪を犯した貴方には……たっぷりと俺のお仕置きを受けて貰います」
脳を甘く痺れさせる裁きの声が……、意識の片隅に響いて……消えていった。
◆◆◆◆◆(セレイドの屋敷・自室)◆◆◆◆◆
「やぁ……、はぁ、はぁ……」
熱い……、下肢に塗り付けられた薬のせいで……、今にも発狂したいぐらいに苦しい。
セレイド様の部屋に閉じ込められ、もう何時間経っただろうか……。
両手は頭の上に紐で縛られ、この狂おしいまでの快楽から逃れる術さえ与えられない。
ヒクヒクと熱ともどかしい苦しさに喘ぐ私の秘部を、そっと硬い指先がなぞった。
「ぁあっ、せ、セレイド、さまぁっ」
「フィニア、貴方には見えないでしょうが、とてもいやらしい痴態になっていますよ。欲しい物を得られず、薬の効果で涎を垂らす貴方の秘部……。今俺が少し触っただけでも、腰が欲しい欲しいと揺れましたね」
「お、おねがっ、はぁ、もうっ、無理っ」
「馬車の中で沢山突いてあげたでしょう? まだ欲しいんですか? ……本当に、淫乱な令嬢ですね」
「だ、だって……セレイド、様、がぁっ」
身を捩り、涙を流しながらセレイド様を見つめていると、彼の手に……おかしな物があるのに気付いた。
棒のような……棘? のついた……物。
それを愛おしげにセレイド様が舐め上げ、……ちょ、ちょっと待って!! どこにやろうとしているの!?
私のたっぷりと濡れた秘部の中心に、ググッとその棒が押し込まれていく。
セレイド様以外のモノを受け入れた事のない私は、未知の感覚にいやいやと首を振って激しく抵抗する。
「いやっ!! 駄目っ!! そんな物、挿れない、でぇっ!!」
「これもお仕置きですよ。可愛い俺のフィニア。貴方も欲しくて欲しくて仕方なかったのでしょう? たっぷりと……感じさせてあげますよ」
「あぁっ、いやぁっ、中がっ、痛いのっ、棘がっ、チクチクしちゃうっ」
「俺が貴方の処女を奪った時のように、その痛みも時期に悦くなりますよ」
セレイド様の手によって、容赦なく出し入れされる棒。
膣内の蜜肉を抉り、蜜を絡め奥へ奥へといやらしく突き上げられる。
何……これっ。痛いのに……、段々、どうしようもなく気持ちよくなっていく。
「玩具で喜ぶ貴方もイイものですね。気持ちイイですか? フィニア。媚薬で火照ったここは、美味しそうに玩具を咥え込んでいますよ」
「いやぁ……はぁ、はぁ、ぁんっ」
「他の男に気を向けるからこんな事になるんですよ? 俺だけを見ていれば、もっと優しくしてあげるのに……っ」
「ちがぁっ、ぁんっ、レアンドル様はっ、――うぅっ」
苛立たしげに一気に奥まで突き込まれた棒に、私は背中を仰け反らせて悲鳴を上げてしまう。
「あぁぁああっ」
「フィニア、どこまで俺を怒らせたいんですか? 俺との最中に浮気相手の名など呼んで……」
「だ、だから、違ぁ……」
「そういえば、俺が帰り支度を命じた時に、何か小箱のような物をバッグに仕舞っていましたね?」
「あ、あれは……」
ブランシュちゃんに贈るプレゼントのお礼で……、そう言いたいのに、力が出ない。
セレイド様はソファーへと向かい、勝手にバッグの中身を取り出してしまった。
小箱の中身を確認し、……また恐ろしいほどまでに下がった室内の気温。
「綺麗な空色の宝石ですね……。耳飾り、ですか。晴れ渡る景色のように、無垢で穢れない……貴方の瞳と同じ色ですね?」
「それは、レアンドル様が……」
そこまで言ってはっと我に返った。
今ここでまたレアンドル様の件を口に出したら……!!
寝台に上がり込んできたセレイド様が、私の耳に手を伸ばし、イヤリングを嵌めていく。
そして、私の上に覆い被さり、冷たい眼差しで見下ろして来た。
「よく似合っていますよ、フィニア……。貴方の好みを理解しているかのようなこのデザインも……、非常に癪に障って仕方がない」
「――っ!!」
セレイド様は表情を悔しげに歪めた瞬間、予告もなく私の膣内へと灼棒を突き入れてきた。
激しい律動をもって、私を揺さぶる大きな身体……。
蜜肉を乱暴に擦り上げ、今にも私を壊してしまいそうな獣のような行為。
「いやっ、やめてっ!! こんなのっ、はぁ、いやぁっ」
「はぁ、んっ、貴方には……『罰』を受ける義務があるでしょう? 俺という婚約者がありながら、こんな贈り物まで受け取って……!!」
「ち、違うんですっ、あっ、やぁっ、駄目っ」
「渡しませんよっ。たとえ他に好きな男が出来ても、俺は貴方を離しません。この部屋に閉じ込めて、……ずっと愛し続けますっ」
「セレイドっ、様っ」
彼の愛情の深さに、執着の激しさに、私は不謹慎にも全身を喜びで満たしながら名を呼んだ。
浮気なんて誤解だけれど、彼が愛してくれているのは、間違いなく自分なのだと実感できる行為。
この腕の中から逃げ出す事なんて考えもしない。ずっと傍にいたい。
「好きっ、はぁ、セレイド、さまっ」
「ん……、俺も愛していますよ。貴方が想うよりも、ずっと、深くっ」
「はぁ、中にっ、んんっ、いっぱいセレイド様がっ」
「そうですよ。貴方の淫らなここを満たすのは、俺だけですっ。他の男なんて……、くっ、渡しませんよ」
堪え切れないように腰がグンッと押し付けられ、セレイド様の精が溢れんばかりに最奥へと流れ込んでいく。
唇を重ね合わせ、何度も彼に向かって『好き』と繰り返す。
私は貴方だけのもの……。他の誰かに愛されようとなんて、絶対に思わない。
まだ誤解を解く事の出来ないまま、私は一晩かけて彼の部屋に囚われながら、セレイド様の嫉妬の言葉と責め苦に、身を委ね続けた。
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