蒼麗侯爵様への甘いご奉仕~蜜愛の館~

古都助(幸織)

文字の大きさ
14 / 35
~蜜愛の館(婚約編)

蒼麗侯爵様と子犬の話9◆

しおりを挟む
 
 ◆◆◆◆◆パウリスの宿屋・二階・セレイドの部屋◆◆◆◆◆

 ――Side フィニア

「セレイド様、やっぱり、今日は一人でゆっくり眠った方が……」

「俺の事を気遣ってくれるのは嬉しいですが、……貴女が手の届く場所にいるのに、離れ離れで眠るなんて、そんな勿体ない事は出来ませんよ」

 淡いオレンジの光が寝台を照らす中、夜着に着替えた私は、セレイド様の腕の中に包まれるように身を横たわらせていた。
 目の前には、セレイド様の胸元が少しだけ肌蹴ていて、直に肌へと頬がくっついてしまう。
 ほんのりと漂う、愛しい人の優しい匂い……。
 もう体調は大丈夫だと彼は言うけれど、私としては、朝までゆっくりと休んで欲しいと思う。
 だって、私が傍にいると……。

「ン……っ、セレイド様、駄目ですってば!!」

 案の定、数時間前にレアンドル様に行為の邪魔をされて不機嫌だったセレイド様が、やっと取り戻せた二人の時間を楽しむかのように、私の首筋へと顔を埋め、肌を舌先で擽り始めてしまった。
 
「俺が元気になる為には、フィニアを食べるのが一番ですからね……。ん……、お風呂上がりの貴女の肌は、甘い香りがして美味しいですね。何のボディーソープを使ったんですか?」

「ぁっ……、も、桃の……って、そうじゃなくて、体調を万全にする為にも、お願いですから大人しくしてくださ、ぁんっ」

 セレイド様をどうにか大人しく眠りに就かせようと声を上げるけれど、私を抱き締める腕の力はますます強まるばかりで、肌を吸い上げられる度に、彼の所有の華印が刻まれていく。
 パウリスの町に着くまでにも、愛され過ぎるほどに求められて、その上、体調まで崩したというのに、セレイド様のどこにこんな力と性欲が残っているのか、……不思議すぎる。
 
「セレイド様、いい加減にしてくださらないと……、き、嫌いになります、よっ」

 無理をさせて、また翌日に体調を崩してしまったら意味がない。
 私は快楽の始まりを予感させる愛撫に負けないように顔を逸らし、セレイド様の頬を両手で挟み込んだ。キッと咎める視線で彼を見上げると、目の前の表情が訝しげな気配に染まっていく。

「今日は、ゆっくりと休んでください。でないと……、心配で私の方が体調を崩してしまいそうです。そうなったら、セレイド様だって嫌でしょう?」

「何度言わせればわかるんですか? 俺は、貴女をこの手に抱く事で、幾らでも元気になれるんですよ。逆に言えば、愛しい貴女が俺を置いて別室に行ってしまう方が、体調の悪化を招きます」

「じゃ、じゃあ、一緒に眠りますから、この行為を続行するのはやめましょう? 身体に負担がかかりますし、馬車の中でも沢山愛してくださったじゃないですか」

 むしろ、やりすぎなんですっ。少しは私の体力も考えてください!! そんな抗議の意味合いも含めて、近付いてくる唇を寸での所で躱した私に、ますますセレイド様の表情は不機嫌一色に染まっていく。私が思い通りに流されないから不満なんですね、まったく……。
 自分の体調よりも、私を愛する事を優先してくれるのは嬉しいけれど、やっぱり駄目。
 セレイド様の事だから、一度やり始めたら一回で終わってくれるわけもないし、絶対に際限なく求めてくるに決まっているもの。
 ここはひとつ、愛する人の為に、私は鬼にならないと……!!

「フィニアは、俺の事を誰よりも心から深く心配してくれますね……。けれど、本当に俺の身体の事は大丈夫なんですよ。何も心配はいりませんから、大人しく俺の腕の中で愛らしく啼」

「啼きませんから!! 無理にしようとしたら、さっきも言った通り、本当にセレイド様の事を嫌いになります。旅行中も口を利きません。別行動しますから!!」

「……」

 私は本気だと訴える視線でセレイド様を射抜くと、一瞬だけ躊躇うような顔をした後、その口許に……、非常に面倒な黒い笑みが浮かんでしまった。
 私を見つめる眼差しが、面白い……とでも言うかのように愉しげな気配を醸し出す。
 これは……、セレイド様が私にとって不味い事を考えている時の顔……!!

「俺の事を嫌いに、ですか……。それはそれは……婚約者殿は酷な宣告をしてくれますね。俺を嫌いに……口も利かない、……ほぉ」

「せ、セレイド、様っ?」

「試してみましょうか」

「え?」

 クスリと零れた微笑の直後、私はセレイド様に身体を寝台に押し付けられ、上から見ろされる形でのしかかられてしまった……。
 私の首筋をセレイド様の熱を抱いた手のひらが、淫らな仕草でなぞりながら撫でる。

「んぁ……、セレイド様、やめてくださいっ」

「俺が貴女を欲しいと言っているのに拒絶するなんて……、深く傷つきましたよ? クレイラーゼ公爵に邪魔された時も腹が立ちましたが、愛する貴女に駄目だと言われるなんて、拷問以外の何物でもない……。この胸の中にある心を、刃物でズタズタにされるかのように傷付きました」

 絶対嘘!! あんな言葉ぐらいでセレイド様が本気で傷付くわけがないもの!! 
 その証拠に、情欲に染まった深緑の眼差しは、どうやって私を啼かせようかと思案している様子がばっちりと見てとれた。首筋を下りた手が、私の胸元で結ばれているリボンを紐解き、鎖骨を一度なぞった後、心臓側の衣をぐっと膨らみの下まで引き下げ、その下に挟み込ませる。

「愛しい人に付けられた傷は、本人に癒して貰うのが一番ですからね……。それと、貴女が本当に俺を嫌いになれるのかどうか、この身体に聞いてみたくなりました」

「セレイド様っ、本当にいい加減にしてください!! んぅっ、やぁ……」

 右手の平が私の胸の膨らみを優しく包み込むと、その手に余る部分が指と指の間に盛り上がり、緩急をつけて揉み上げられていく。愛しい人の愛撫が、私の中に眠る快楽を呼び起こし、形を変えながら歪む膨らみに気を良くしながら、桃色の突先を捉える。

「フィニア、我慢しなくても良いんですよ? 俺に触らわれて、とても気持ちが良いでしょう? 胸を愛撫する度に、貴女の身体がビクビクと震える様を見ながら反応を目にするのは、どんな遊戯よりも俺の心を掻き立てる……」

「い、ぁっ、ひあぁ……駄、目ぇっ。ちゃんと、んぅっ、休んで、くだ、さいっ」

「俺にとっての休息は、貴女という存在を愛でる事に他なりません。他の誰でもない、俺という男に触れられて、女としての顔を見せる貴女を、この世で唯一人、俺だけが独占できる……」

 胸元へと唇を寄せ、ふぅ……と、熱く濡れた吐息を桃色の突先に吹きかけると、硬くなったそれをセレイド様の舌先が味見をするかのようにぺろりと舐め上げる。
 「あ……」と漏らした甘い吐息を、セレイド様は思惑通りに事が運べると確信しているのか、そこを子犬のように舌先や舌腹の部分で愛撫しながら、私を見つめてくる。

「んぅっ、いやぁ……、駄目って、言ってるのに……、セレイド様の、馬鹿っ」

「俺は元気だと言っているのに、つれない事ばかり言う貴女が悪いんですよ、フィニア。せっかくの旅行なんですから、帰るまでに貴女をたっぷりと愛してあげないと、勿体ないでしょう?」

「愛しすぎだと、んっ、思い、ますっ。はぁ……ぁっ、ァっ」

「何を言っているんでしょうね、俺の可愛い人は……。愛しすぎ? 寝惚けた事を言わないでください。俺はまだまだ……貴女の全てを愛し足りない。その愛らしい囀りも、俺の愛撫で蕩けていくこの淫らな身体も……まだまだ知り足りないんですよ」

 切なそうにそう零したセレイド様が、もう片方の膨らみにも愛撫を与えようと、夜着を一気にお腹のあたりまで引き下げた。今度は焦らす事無く、彼の唇が反対側の膨らみの突先に吸い付き、口内で柔らかな蕾を舌の腹で丹念に舐め上げ、強く根元から吸い上げた。

「あっ、ぁあああっ」

「はぁ……、可愛い蕾が、こんなに硬くなって……、フィニア、どうですか? 俺に抱かれたくて堪らなくなってきたでしょう?」

「んぁ……はぁ、はぁ……だ、めっ」

 このままでは、またいつもと同じ。セレイド様の愛撫に負けて、快楽に流された先には、彼に縋って気持ち良くして貰う事しか考えられなくなってしまう。
 セレイド様の愛撫でねっとりと濡れた胸から沁み広がる快感が、もう下肢にまで伝わってしまっている。どうしよう……、どうしたら、セレイド様はこの行為をやめてくれるの?
 何とか、この部屋を逃げ出して、誰かの部屋に匿って貰わないと……。
 
「フィニア、素直になってごらんなさい。ン……っ、俺が、……欲しいでしょう?」

「ふぁっ……ンンッ、セレイド、様っ」

 口内に忍び込んできた彼の厚く淫らな舌に愛撫を受けながら、私は必死に考える。
 彼をゆっくり休ませる為にも、私が今ここにいるのは駄目。
 
「ァっ、はぁ、んくっ、……ふぅ、ンっ」

「俺の可愛い人、せっかくの旅行なんです。時間がある限り、二人だけの場所にいる時は、貴女の全てを俺に曝け出してください。……王都に戻る頃には、新しい命が芽吹いているように、ね?」

「――っ!!」

 この瞬間、絶対にこの部屋から何がなんでも逃げ出そうと思い直した。
 セレイド様自身、結婚式を早めるという目的の他に、心の底から私との赤ちゃんを望んでくれている事はわかっているけれど、その気持ちに私の思いがまだ追いついていない。
 一年後の結婚式まで、恋人同士としての時間をゆっくりと育みたいし、夫婦になる為に、彼の事をもっと良く知っていかないと……。そう思う気持ちがあるから、だから、まだ早いの。
 それなのに、セレイド様が赤ちゃんを待ち望んでいる事がわかる熱い眼差しを前にすると、結局流されてしまって、自分の本音が言えずに終わってしまう。

「んっ、……ひ、……ぁ、ァ、ァアッ」

 だって、やっぱり私との赤ちゃんを欲しがってくれている事は、心から嬉しいから。
 一緒に町に出掛けた時に、セレイド様が赤ちゃんの用品店の前で立ち止まり、腕を組んでショーウインドウを見つめて目許を和ませているのを、私は知っている……。
 愛し合う人と結ばれて、新しい家族という存在を得る事を……セレイド様が心の底から望んでいる事を……知っている。
 
「セレイド、様っ、あの、……早く私と結婚したいと思って下さる気持ちは嬉しいんですけど、私は……まだっ、ふぁあっ」

 自分の本音を閉じ込めたままでは、後になってセレイド様に迷惑をかけてしまうような気がしてしまって、私は意を決して自分の気持ちを伝えようと口を開いた。
 けれど、本音は私の秘部に這わされたセレイド様の手の感触によって封じ込められる。
 すでにキスと胸への愛撫によって潤んでいた花弁の奥は、とろりと淫らな朝露を零し、セレイド様の指先をあっという間に汚してしまった。
 一度強く膣内に侵入してきた指先が、入り口の内側をコリコリと確かめるように擦り、中の感触を味見した後、今度は外側に出て焦らすように秘部を弄り始める。

「ぁっ……やぁ、セレイド、はぁ、様ぁっ」

「フィニア、わかりますか? 貴女のココは、俺の愛撫でヒクヒクと震えて、物欲しそうに蜜を次から次へと零していますよ……。この状態で、俺を欲しくない、なんて……嘘ですよね? 本当は俺に愛されたくて堪らないのでしょう?」

「いぁっ、……ンゥッ、セレイ、ド、はぁ、様ぁっ。擦るのやめっ、ぁんっ」

「俺が貴女を心から愛するように、フィニア、貴女もまた、俺を愛し常に欲しているのですよ。嫌いになんて……絶対になれない、いいえ、俺が貴女を愛している限り、その心は……誰の許にも行かせません」

「セレ、はぁ、いやぁっ、ァっ、あぁっ」

 表面を撫で擦っていた指を、二本同時に膣内へと突き入れたセレイド様が、勢いをつけてそれを激しく出し入れし始める。ぐちゃりぐちゃりと蜜を纏いながら抽送される硬い指の感触が、私の蜜壁を荒々しく蹂躙し、何も考えられなくなるぐらいに翻弄してくる。

「可愛いですよ、フィニア……。貴女は俺に突かれるのも大好きですが、こうやって指で弄られるのも好んでいますからね。たっぷりと俺の指をしゃぶって良いんですよ?」

「セレイド様っ、も、もうっ、やめっ、……ぁっ、あぁっ」

「あぁ、貴女はココを弄られると、堪らなく淫らな声が出るんでしたね……。俺だけが聞けるフィニアの感じている声……、はぁ……今すぐこの身体を、貴女の心を、俺という存在で埋め尽くしてしまいたい……」

 膣内を抜き差ししながら、セレイド様が私の胸とお腹の真ん中あたりにもう片方の手を這わせ、興奮したように肌をまさぐり始める。
 
(どうしよう、このままじゃ、またいつもと同じことになってしまう……)

 与えられる快楽に腰を揺らしながら喘ぐ私は、すでにセレイド様を受け入れる準備が整ってしまっている。後はもう、彼の分身を受け入れて、お互いの熱を求め合うだけ……。
 自分が自分でなくなってしまう時間、セレイド様だけを見つめて甘い吐息と嬌声を漏らす痴態を晒すまで時間がない……。
 
「ちゃんと、はぁ……休まなきゃ、駄目……セレイド、様っ。お願いっ、私の言う事を、ぁんっ、き、聞いて、く、んぅっ、だ、さいっ」

「俺は大丈夫だと何度も言ってるでしょう? それよりも、早く貴女を愛でさせてください。クレイラーゼ公爵に邪魔されてから、かなりの忍耐を試されましたからね。宿に戻るまで、本当に歯がゆい思いをしましたよ……」

 ……駄目だ。完全にセレイド様のやる気がピークに達してしまっている。
 さながら私は、巨大な獣の前に、お皿に載せられて差し出された食事と言うべきだろうか。
 晩餐の合図が鳴れば、私という食事はセレイド様という獣にぱっくり大口を開けて美味しく頂かれてしまうのは確実だ。
 しかも、セレイド様の求め具合はいつもより性急な気がする……。
 レアンドル様に邪魔された経緯もあり、本人も言っている通り我慢の限界。
 それが何を意味するのか……、食事である私は嫌というほどこの身体と心で感じてしまっている。
 だけど、それが実行されれば、またセレイド様の体調が崩れてしまうかもしれない。
 どうにか、どうにかして逃げないと……。

「……せ、セレイド様、あの」

「何ですか? そんなお強請りをするような潤んだ目で、俺を見つめて……」

 私は両手をセレイド様に伸ばし、起こして貰うようにお願いした。
 お互いの肌を隙間なく触れ合わせたいという……大嘘を告げて。
 セレイド様の膝の上に乗るような形でぴったりと密着した私は、意を決して両手を彼のお腹の下へと移動させる。多分、……確実に、物凄く……恨まれる気がするけれど。
 余計な体力を使ってまた明日寝込んでしまったら、セレイド様の為にはならない。
 だから、令嬢として、女性として、世の中の男性陣の皆様を敵に回すような事を、私は今からやる。ごめんなさい、セレイド様。私……。

「どうしたんですか、フィニア? 貴女から俺のモノを愛撫してくれるのは、珍しいですね」

「……」

 私がセレイド様の硬く張り詰めた分身を夜着の上から何度か撫で上げると、ビクンと彼の膨らみが愛撫に反応し、私の肩口に顔を埋め低い吐息を漏らしたセレイド様に、私の身体もゾクリと震える。

「フィニア……はぁ、この焦らすような触れ方も、また良いものですね」

「……あっ、セレイド様、耳に……んんっ」

 首筋をツー……と、道筋を辿るように舌先でなぞっていったセレイド様が、私の愛撫にやり返すように、耳朶を食みながら感じている吐息を私の耳へと注ぎ込む。
 擽ったいのもあるけれど、セレイド様の熱を纏った吐息や声音が、まだ抱かれてもいないのに、先に私という存在の一番深い部分を支配するかのように甘く強い痺れをもたらしてくる。
 駄目、駄目……、セレイド様にゆっくり休んで貰う為にも、どうにか戦意を削がないとっ。
 私は焦る気持ちを隠しながら、セレイド様の分身を夜着の中から取り出した。
 すでに熱く膨れ上がった楔は、私の手のひらに包まれながらビクビクと震えている。
 私を求めてこんなにも……。いつも私を愛してくれているセレイド様の愛しい分身。
 本当はこの熱で愛してほしいと望む自分もいるけれど、今はそんな場合じゃない。
 これからの旅行を皆で楽しむ為にも、心を鬼にして……!!

「セレイド様、……――っ!!」

「フィニア……、……っ!!!!!!」

 本当にごめんなさい!! 私はセレイド様の熱塊を両手で思いきり掴むと、渾身の力を振り絞ってそれを強く握り締めた。途端、彼が猛烈な痛みを下肢から感じたせいで、その美しい容貌が苦悶一色に染まっていった。

「ふぃ、フィニア!! な、何をするんですかっ」

「ごめんなさい、セレイド様!! こうでもしないと、休んでくれないでしょう? だからっ」

「ぐっ……、フィニア、以前にも貴女にココを蹴り上げられた事がありますが、……痛ぅっ、今度は握力でくるとは……、うっ、……良い度胸をしていますね」

 私の攻撃で痛みを覚えた分身を押さえながら倒れ込んでいくセレイド様の隙を突いて床へと降りると、乱れた夜着を急いで整え、怒らせる事を覚悟で私は言葉を紡いだ。

「お叱りは後で受けます!! だから、今はゆっくり休んでください」

「いえ、むしろ、この痛みのせいで休めなくなりそうなんですが……っ」

 ぼふんと寝台のシーツに埋めていた顔を僅かに起こし、私を苛立った眼差しで見つめると、セレイド様が身体に力を入れてどうにか起き上がろうとしてくる。
 
「フィニア、……たまに貴女はズレたことを仕出かしますが、今回のこれは酷過ぎるでしょう? また俺を、あの時のように再起不能の危機に陥らせたいんですかっ」

「あ、あの……、そういうつもりでは……」

 物凄く痛そうな顔をしているセレイド様。確かに、この状態をみると……、休ませるどころか、逆に数日間寝込ませそうな気が……。
 当初の予定では、もう少し威力を弱めてセレイド様の分身にダメージを与えるつもりだったのに、気が付けば必死になりすぎて、焦りで倍以上のダメージを与えてしまったらしい。
 ……これって、本末転倒って話な気がするのだけど。
 けれど、ここでセレイド様の傍に戻るわけにはいかない。今すぐにこの部屋を出ないとっ。
 私は下肢に走る疼きを堪えながら、よろよろと寝台から遠ざかり始める。
 しかし、その途中で、目の前にあった椅子に躓いて、床にドサリと倒れ込んでしまった。

「痛っ……うぅっ」

 ――ギシッ……。

 膝を打ち付けた私の耳に、背後で不穏な音が軋みと共に響き渡る……。
 転んでいる私の背中に覆いかぶさる熱い身体の感触。まさか……。

「フィニア、……俺のモノにこんな仕打ちをして、タダで済むとは……思っていませんよね?」

「せ、セレイド様っ、お、重いっ、離れてくださっ、いやぁっ」

 大ダメージを受けた分身の痛みを堪えて、逃げ出そうとしている私の身体を後ろから覆いかぶさり拘束したセレイド様が、疑いようもない怒りを声音に宿して、私の二つの膨らみの突先を掴んで酷いくらいの強さをもって引っ張り上げた。

「痛っ、ぁあっ、いや、セレイド様っ、ごめんなさいっ、謝りますからっ、そこ、あぁっ、だ、駄目っ、はぁ、お願いっ、やめてっ」

「駄目です。愛する婚約者のモノを使い物にならなくしようとした貴女には、泣いて懇願しても終わらないお仕置きを与えて、……二度と同じ真似をしないように、躾をしなくては」

「し、躾!?」

 私はセレイド様のペットじゃないのに、何て事を言い出しているの!!
 振り向く事も出来ず、耳元で苛立ち混じりの責め苦を囁かれながら、私は胸元の夜着から膨らみを取り出され、さっきと同じように、痛いくらいの苦痛と快楽を与えられながら、セレイド様に両胸を揉みし抱かれ始めた。

「男が自身のモノを痛めつけられて、どれほどの苦痛を伴うのか……。
 貴女は全くわかっていないようですからね。……痛っ、……俺の痛みを、貴女に拒絶された悲しみを、一晩かけて……この身体に教え込んであげましょう」

「い、いやっ、セレイド様、痛いっ、駄目っ、そこ、あぁっ、痛い、はぁっ」

 セレイド様の指先が私の桃色の突起を握り潰すほどに弄りまわし、その大きな手のひらが乱暴な手つきで乳房を鷲掴むと、私の身体はガクガクと揺れ、痛みと快楽の両方を与える責め苦に辛い声が漏れ始めてしまう。
 痛い……、こんな触り方、セレイド様がどれだけ怒っているのかわかるほど、いつもと比べて気遣いのない乱暴な愛撫。
 
「あぁっ、いやぁっ、……セレイド、様ぁっ」

「今夜はどれだけ泣いても、懇願しても、俺はやめませんよ? 恋人を痛めつけるような酷い人には、……くっ、同じ痛みを刻み込まないと、学習しませんからね。覚悟しなさい、フィニア」

 瞬間、お尻の辺りまで捲り上げられた夜着の感触を察した私は、完全なる敗北を悟った。
 セレイド様は、あれだけの苦痛を受けておいて、それでも私を抱く事を諦めていないらしい。
 痛いんですよね? なのに、それを私の中に挿れる気ですかっ。
 
「セレイド様、やめましょうっ。痛いのなら無理をしては……あぁっ!!」

 灼熱の業火のような熱を宿した先端が膣内へと押し入り、セレイド様が角度を見ながら私の中へと、その太く逞しい肉棒を容赦なく突き入れてくる。
 蜜で潤んだ膣内は、私の意思とは反対に、今から始まる快楽を予感して、彼の分身を歓喜して出迎えるように奥へ奥へと呑み込んでいく。

「いやぁ……、やめっ、……セレイド、はぁ……様っ」

「くっ……、流石に、貴女の与えてくれた痛みで、自由には動くにはまだ時間がかかりそうですが、この熱い蜜肉に包まれていると、急速に癒されていく気はしますね」

 一度最奥まで肉棒を埋め込むと、セレイド様は私を背後から抱き締めた状態で息を吐き、少しの間動きを止めて私の耳へと囁き始めた。
 痛みを堪えながら、私の中の熱を堪能するように、その声は情欲に濡れている。

「俺が貴女を逃がすなんて失態……犯すと思っているんですか?」

「ふぁっ、……はぁ、やぁっ」

「フィニア……、愛しい俺の唯一人の女性。俺はいつだって、貴女を求め飢えている獣なんですよ? どんなに疲れていても、体調が優れなくても、貴女が傍にいてくれれば、すぐに良くなるんです。それなのにフィニア、貴女は……一体俺に何をしてくれたんでしょうね? また以前のように、俺のモノに奉仕する日々を送りたくなったんですか?」

 咎めるように、セレイド様の肉棒が私の最奥をズン! と、強く突き上げたかと思うと、交わる為の本当の動きが、緩やかに行われ始めた。
 痛みを堪えて私の中を擦りあげ、その熱と締め付けの抱擁で自身を癒そうとするかのように、セレイド様は腰を揺らし、苦痛と快楽の声を零す。

「くぅっ、……貴女のせいで、はぁ……いつもとは違う、おかしな感覚ですよ。ンっ!!」

「ぁんっ、ご、ごめんなさ、ぁあっ、いっ。セレイド、様っ」

 与えられる欲望の行為から逃れようと、私は手を前に伸ばし前に進もうとするけれど、その手をセレイド様が掴み、自分の方へと力強く引き寄せてしまう。
 どこにも逃がさないと宣言するかのように、私を抱き締め腰の動きを速めるセレイド様。
 あんなに痛がっていたのに、徐々に抽送は勢いを増し、ぐちゅりぐちゅりと蜜を掻き混ぜるように淫卑な音色が漏れ始め、私は床の上に這い蹲って後ろから勢いよく突き上げられる。

「フィニア……っ、くぅっ、貴女の中で、俺のモノを癒してください。この柔らかな蜜肉で包み込んで、痛みなど忘れさせるほどに、はぁ……んっ、いいですね?」

「いやっ、はぁ、今日は、んぁっ、……駄目、なんですっ。ちゃんと、休まないと……っ」

 それでも抵抗の意思を示す私の両胸を痛いほどに掴み上げたセレイド様が、私の肩に噛み付いて柔らかな肌に紅の雫を滲ませて吸い上げる。
 甘すぎるほどの快楽と、罰を与えるかのような痛み……。相反する感覚に苛まれながら、私はセレイド様と触れ合う肌の熱と汗を感じて、無意識に腰を揺らしてしまう。
 今日は休ませてあげないと駄目なのに、愛する人に求められているこの欲望の行為が、私の理性を溶かすように、彼への愛情と快楽だけに染まっていく……。

「ンウゥッ!! セレイド様っ、はぁ、はぁ、嫌っ、駄目っ」

「愛しい俺のフィニア……、段々と俺の痛みが和らいできましたよ。ンっ……、やはり、愛する人の治療は何物にも勝りますね。くっ……、フィニアっ、愛していますよっ」

「あっ、……はぁ、……やぁっ、中を、……ぁんっ」

「気持ち良くて堪らないという顔ですね? ちゅっ、素直に感じている声を響かせて良いんですよ? ここには俺と貴女しかいません。どんなに愛し合っても咎められることはないんですからね」

「ふぁっ、……セレイド、さまっ」

 後ろからの行為は、野生の獣を思わせるほどに酷く淫らで、膣内と耳を同時に犯されながら、私はもう快楽の虜に成り果てるしかなかった。
 叩き付けるようにぶつかる濡れた肌の感触、私の中でお仕置きと称して暴れまわるセレイド様の分身。すでに私が膣内で零す蜜で溢れたそこを、セレイド様の逞しいそれが亀頭から先走りを零しながら、互いの蜜を交わらせているせいで、この暗い室内に卑猥な音が絶えず響き渡る。
 もう無理……、この人に愛され過ぎている私の身体は、快楽の底へと溺れこむしかない。

「あっ、ァっ、……セレイド……様っ、セレイドっ」

 声が途中で途切れ、セレイド様の名前を呼び捨てにしてしまった瞬間、彼の分身が膣内で一層大きく膨れ上がったかと感じた瞬間、セレイド様の低い呻き声が漏れ聞こえ、私の中にドクリと彼の情欲の残滓が大量に注ぎ込まれた。
 ドクドクと、セレイド様の分身が蜜を吐き出しながら、ビクビクと私の中で震えている。
 私の膣内も、激しい攻めに陥落し、蜜を繋がりあった部分から滴らせ、彼の分身を強請るように蜜肉が彼のモノを抱き締める。

「フィニア、貴女に名前を呼び捨てにされた瞬間、とてもゾクリときましたよ。愛しい人に敬称なしで呼ばれると、こんなにも嬉しくて堪らないものなんですね……」

「はぁ……はぁ、セレイド……さ、ンゥッ」

「そのまま。もっと俺をさっきのように呼んでください。はぁ……貴女の声で、俺という存在を縛り付けてください」

「セレイド……、ンっ……はぁ、セレイドっ」

 繋がったまま、私の身体の向きを正面に向けさせたセレイド様が、私を膝の上に抱き抱え、まだ物足りないとでもいうかのように、唇を重ね合わせてくる。
 彼の名前を、そのままの音で呼ぶ度に、愛しいという感情が私の中に溢れてくる。

「あぁっ、……はぁっ、……はっ、……ぁあっ、ァんっ」
 
 ――って、私ったらまた、流されてどうするの!!

「セレイド様っ、も、もう、いいですよね? 後はゆっくりとお休みに……」

 ギロリ……。肩で乱した息を繰り返しながら唇を重ねていたセレイド様の深緑の双眸を見て悟った。行為の最中にも責め立てられるように言われた事だけど、やっぱり一度で済ます気なんてないんですね? セレイド様の大事な分身を酷い目に遭わせた私を、ひと晩かけてお仕置きする気に違いない。その事に身震いして涙目になっていると、セレイド様が頬を伝った涙に唇を這わせ、その険しい気配をすっと解いた。

「少し、お仕置きが過ぎたようですね」

 苦笑と共に私の頬に触れるセレイド様の柔らかで温かな唇の感触。
 もうその眼差しには、怒りの感情は存在しない。あるのは、困った子を微笑ましく見るような、そんな優しい気配だけ。これ以上のお仕置きは、ないと考えて安心して良いのだろうか?

「けれど、フィニア……、男のモノを痛み付けるような真似は感心しませんよ? 女性にはわからないかもしれませんが、死ぬほどの苦痛を味わう事になるんですから」

「ご、ごめんなさい」

「ここで約束してください。二度と、今回のような真似はしないと」

「はい……」

「良い子ですね。……ですが、痛みを負った状態で貴女を抱くのも、いつもと違い、新鮮な感覚が身体に走って、危うくクセになりそうでしたよ」

「……せ、セレイド様?」

 少しだけ、うっとりとした声音になったセレイド様。ちょっと待って……、痛い目に遭ったというのに、どうしてそんな艶めいた表情で意味不明な事を言っているんですかっ。
 まさか……セレイド様、危ない方向に目覚めてしまったんじゃ。
 
「……嘘に決まっているでしょう、まったく。俺にアブノーマルな趣味はありませんよ」

「本当ですか?」

 呆れたような眼差しで見つめられたけれど、何故かしら……。セレイド様の今までの行為の最中を思い出すと、信じきれない何かを感じてしまう。
 過去に使われた媚薬や、嫉妬された時に膣内に押し入ってきた棘付きのディルド。
 私の快楽や羞恥心を煽るように囁かれる意地悪な言葉……、ノーマルとは、思えない何かがあるのだけど……。
 お互いに探り合う視線を交わらせていると、同時にぷっと小さな笑いを噴き出してしまった。
 
「まぁ、実は少しだけ……、未知の感覚には惑わされかけましたけどね」

「やっぱり」
 
「痛めつけられたい趣味はないんですが……、相手が貴女だと思うと、その苦痛さえ大切な感覚となっていく気がするところが、また不思議な事なのですが……、これも惚れた故の産物というものでしょうか」

 額にちゅっと口づけると、セレイド様は私を抱き上げて寝台へと戻った。
 今夜の行為はこれで終わりだと告げ、二人で毛布の中へと潜り込む。トクトクと少しだけ速く鼓動を刻むセレイド様の音を間近で聞きながら、まだ火照る身体の熱を絡め合う。

 ――カチ、カチ、カチ……。

 部屋に掛けられている時計の音が、感覚だけで心を通わせ合う私達の耳に響く。

 ――サァァァァァァ……。

「雨?」

 セレイド様の胸に抱き寄せられていると、窓の方から穏やかな雨音が聞こえ始めた。
 食事に出た時は、晴れやかな空が広がっていたのに、その雨は徐々に勢いを増していく。
 
「雨……か」

 ぽそりと、頭の上でセレイド様が静かな音を零した。
 何を思っているのか、私には見る事の出来ない窓の方に視線を投じている気配がする。

「セレイド様、どうしたんですか?」

「……すみません、フィニア。俺の事を、強く……抱き締めて貰っても良いですか?」

「は、はい。それは、構いませんけど……」

 両手をセレイド様の背中にまわし、私は彼の身体を強く抱き締める。
 
「雨と闇の組み合わせは、……昔から苦手なんです。あの日を……思い出さずには、いられませんから……」

「あの日?」

 顔を上げた先には、痛みを宿したセレイド様の寂しそうな気配があって、軽く唇を啄まれると、その温もりが深くなり、彼と私の切なげな吐息が交わる。

「ん……、セレイド、様っ」

「フィニア……、貴女は、貴女だけは……、俺を一人にしないでください。ずっと俺の傍に……、俺だけの貴女でいてください」

「どうしたんですか、セレイド、ンゥッ、……はぁ、様、『あの日』って、一体……何があったんですか……」

「すみません、貴女は俺の苦しみを自分も背負うと言ってくれたのに、今の状態では上手く話せそうもありません。せめて……光が訪れる朝の瞬間を迎えるまで、この陰鬱な雨と闇が晴れるまで、貴女の優しい温もりで、俺の心を包み込んでください……っ」

 その抱擁は、泣きじゃくる子供が母親に求める庇護を思わせるようなもので……、セレイド様の心の中にどんな闇が潜んでいるのか、まだ事情を話して貰えていない私には、ただ……抱き締めてあげることしか出来ないの……。

「フィニア、貴女は本当に……俺にとって女神のような女性ですね。俺という存在を、その優しい心で包み込み、不安も何もかも……溶かすように抱き締めてくれる、最愛の人だ」

「セレイド様……」

「お願いします、もう一度……、俺の名を、そのままの音で呼んでください。敬称なんていりません。愛する貴女の、その愛らしい声音で、俺を求めてください……」

 私を抱き締める手の動きが、淫らな動きをもって夜着の中へと潜り込んでくる。
 視線は私だけを捉え、窓の外から聞こえる叩き付けるような雨音を振り切るように、口付けが深くなり、セレイド様の深緑の瞳に不安と情欲が混じるような気配が浮かび上がっていく。

「ンァッ……、セレイ、ド……はぁ、……さ、ま」

「違います。『セレイド』……と、様なんて付けずに呼び続けてください。……ンっ、はぁ、もっと貴女に呼ばされたい。フィニアの愛を、俺だけに注いでくださいっ」

「セレイ、ドっ……ンンッ、セレイドっ、好きです、セレイドっ」

 もうお互いの濡れて熱くなった吐息しか聞こえない。私の上に覆いかぶさってきたセレイド様が救いを求めるかのように肌を撫でさすり、夜着を剥ぎ取り床へと投げ捨てた。
 
「すみません、フィニア……。今日はもうしないと言ったのに」

 先ほどの行為でまだ熱を失っていなかった蜜の痕が残る秘部に昂ぶった分身をあてがうと、私の頬に手を添え、セレイド様が申し訳なさそうに謝ってくれた。
 さっきは強引に抱いておいて、変な所で急に気を遣うその様子に、笑みが零れる。
 きっと……窓の外で荒れ狂う雨音と、この闇のせいなのだろう。
 全てを忘れてしまいたいほどに、セレイド様は私との交わりを求めている……。

「セレイド様、大丈夫ですよ。貴女の心を支えられるなら、……抱いてください」

 正直言って、彼の体調が気にならないわけではなかったけれど、それ以上に、彼が抱く心の不安を思うと、抵抗する方がセレイド様を苦しめてしまうのではないかと思える。
 
「フィニア、……くっ」

 熱の楔がぐっと膣内へと押し入ったかと思うと、セレイド様が私の胸を押し潰し、しっかりと密着した状態で、彼の腰が淫らな動きを纏って揺れ始める。

「貴女の熱で、俺を溶かし尽してください……っ、フィニア、……はぁ、愛しい貴女の全てを、底の底まで……、ンっ……フィニアっ」

 蜜肉を蕩かしていた二人のそれを、セレイド様の逞しい肉棒が、ぐちゅりぐちゅりとあられもない音を纏って膣壁に擦り付け、最奥を求めて突き上げてくる。
 焦らす事はなく、彼の心の余裕が平常時ほどもない事を伝えるように、行為は性急な焦りを抱いているかのように行われていく。私という存在だけを求めるセレイド様の抽送が奏でる音色は、私の鼓膜を震わせ、重ねられる唇の熱と交わりも、下肢の動きに負けないくらいに淫卑になっていく。
 外にはまだ、彼の心を曇らせる冷たい雨が……絶えず空から流れ落ちているけれど、私達の五感は、互いの温もりを感じ合う事だけを求めていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです

沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

秘密の館の主に囚われて 〜彼は姉の婚約者〜

七転び八起き
恋愛
伯爵令嬢のユミリアと、姉の婚約者の公爵令息カリウスの禁断のラブロマンス。 主人公のユミリアは、友人のソフィアと行った秘密の夜会で、姉の婚約者のカウリスと再会する。 カウリスの秘密を知ったユミリアは、だんだんと彼に日常を侵食され始める。

処理中です...