無垢なる密蕾は、愛しき腕にて咲き誇らん

古都助(幸織)

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~サージェスティン・フェイシア編~

【婚約関係】幸福の足音を聴きながら……。【2】◆~サージェスティン×幸希~

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※R18回です。


 ――Side サージェスティン


 情けない……。余裕なんていう下らないものは、最初から俺の中にはなかった。
 何にも執着せず、あるがままを受け入れ、時の流れるままに生きてきた自分が出会った、奇跡。
 一人の女性を愛するという、自分には無縁だろうと思っていた幸福を手にし、永遠の約束を交わす時まで迫っているというのに……。
 俺はまだ、足りないと、我儘な子供が泣き叫ぶかのように、愚かな醜態を晒してしまっている。

「サージェ、スっ、……んっ、あっ、……ふ、くぅっ、……んんっ!!」

「大丈夫だよ。誰にも聞こえないように、音が外部に漏れない術を使ってあるからね。我慢しないで? 俺に感じさせられているユキちゃんの可愛い声……、ちゃんと聴かせて」

 彼女を愛する時は、必ず場所を選ぶようにしていた。
 安心して俺に身を任せられるように、俺の寝室で、というのがいつもの事で……。
 だけど、今日は我慢出来なかった。
 ロフェさんに指摘された件や、ユキちゃんに趣味の悪い、不貞を唆す手紙を送った奴らの件……。
 何よりも腹が立ったのは、彼女の心に下種な染みを作ってくれた奴らに対してだ。
 ユキちゃんは大丈夫だと、茶化しながら言っていたけれど……、毒、というのは、時が経ってから浸食を始める事もある。術で読み取った手紙の内容は、男の俺でも受け入れ難い、いや、手紙の主ごと焼き尽くしてやりたくなるような醜文そのもの。……大方、ユキちゃんの人の好さに付け込んで、外部に漏れる心配はないと高をくくったのだろう。俺の目に触れるとも知らずに。

「ん、ぁあっ、……ぅっ、んんぅっ、……あっ、あっ、ぁあぅっ」

「可愛いよ、ユキちゃん……。時間はいっぱいあるから……、ゆっくりと中を馴らしてあげる」

「サージェス、さんっ……、あぁあっ、……はぁ、はぁ、……んんぅっ、あぁあ」

 服を乱され、スカートを脱がされた彼女は、魔術によって生じた淡い光に照らされながら、俺の目に甘く蕩けた秘所を晒している。いや……、強引に暴かれていた、
 俺を受け入れ、破瓜の痛みを味わった蜜口。雄を受け止めるはずのそこには、今、俺の指が二本、中の女襞を愛液と共に掻き混ぜながら、出し入れを繰り返している。
 彼女の中は愛撫の刺激によって柔らかく蕩け、いつ男を受け入れても万全な状態だ。
 けれど俺は、まだ彼女の中には押し入らず、指や舌を使って蜜口に奉仕し、何度も彼女を高みに導いている。
 他の男じゃない。この世界で唯一人、俺だけが彼女を愛し、欲望と快楽を共有し、ひとつに溶け合える存在。
 
「ひあぁっ!! やぁあっ、んんぁあっ、……きちゃ、あっあっ、サージェス、さんっ、またっ」

「うん。全部見ててあげる。だから、好きな時にイッていいよ」

 ソファーに置いてあったクッションにしがみつき、俺が与える指の抽送に甘い声を漏らしながら、ユキちゃんが何度目かの高みに辿り着く。
 彼女の中では、女襞が俺の指を食い破る程に強く締め付け、どろりと、また愛液が溢れて、べっとりと濡らしていく。

「ユキちゃんがイク時の顔は、どんな時に見せるものよりも最高に可愛いね。俺が触れる度に……、どんどん、気持ちのイイ事が好きになっていってるんじゃないかな?」

「うぅっ……。い、意地悪っ。ふぅっ」

「ふふ、これは意地悪じゃなくて、俺の必死の足掻きみたいなものなんだよ」

「……ぇ?」

「君を誰にも渡したくないから、いっぱい触れて、一緒に気持ちよくなって、俺だけに抱かれたいって、そう思うように、ユキちゃんの心を、身体を、変えていきたい」

 ビクビクと、絶頂の余韻に震えているユキちゃんの唇にキスをし、その柔らかな感触を割り開いて口内に舌を潜り込ませる。最初はキスの仕方もわからないような、純粋で真っ白な子だったのに……。

「んっ、ふぅっ……はぁ、んっんっ」

「お利口さんだね。……んっ、……はぁ、舌の使い方も上達が早い。ユキちゃんは俺とキスしてる時が一番可愛いね。はぁ……、君の笑顔は誰もが知っているものだけど、この表情は、俺のもの……」

「はぁ、……はぁっ。サージェス、……さんっ、もう、……やめっ」

「恥ずかしい? 夜じゃないと、俺の寝室じゃないと、愛されたくない?」

「だ、だって、……そ、外っ」

 倫理観のある、彼女らしい恥じらいだ。
 だけど俺は……、時間も明るさも関係なく、いつだって彼女を愛したいと思っている。
 ただ、普段は何も知らない彼女に合わせて、無理をさせないように、怖がられないように、幻滅されないように、大人しくしているだけ……。
 だから、今日みたいに強引な迫り方をして、彼女にいつも以上の羞恥を与えてしまうのは……、恐らく、あの手紙の奴らには決して手の届かない女神を、自分のものだと、俺だけが独占出来るのだと、そう感じたいからなのかもしれない。……相変わらず、心が狭くて情けない。

「ユキちゃん……」

「うぅっ……」

「駄目?」

 羞恥と疲労で息を乱している彼女に、わざと気弱な物言いで問えば、愛らしく潤む瞳が俺に応えてくれる。
 小さく柔らかな唇が動き、か細く聞こえた白旗(声)。
 
「し、……て、……くだ、さ、……ぃ」

「いいの? 許しちゃったら、暫く止まらないよ? もっと恥ずかしい思いするってわかってる?」

 これだけ攻めておいて、引く姿勢を見せるのは卑怯としか言えないだろう。
 彼女は俺を拒まない。最後には必ず俺を愛し、受け入れてくれる……。
 そう知っていて、意地悪な誘惑を仕掛けるのだから、最悪だ。
 ……性質(たち)の悪い男でごめんね? ユキちゃん。
 こくりと頷く仕草を確認してから、俺は彼女の両足を開き、魅惑的と言っていい程に蕩けている蜜口に狙いを定める。愛撫を繰り返している時から、堪えるのがきつくて仕方がなかった。
 
「ごめんね。最初はいつも通りきついと思うけど、出来るだけ……、優しくするから」

「んっ……」

 羞恥に染まり、横を向いていた彼女の瞳が、今自分の中に押し入ろうとしている俺を正面から見据えてくる。
 嫌悪でも、拒絶でもない。――男の箍(たが)を一瞬で吹き飛ばしてしまうほどの、壮絶な色香。
 
「ユキちゃ――ッ」

 まだ少女期だというのに、何故この子はこんなにも男の欲情を煽るのか。
 待ち望んでいた彼女の中に自分の分身をゆっくりと沈めていきながら、末恐ろしくなってしまう。
 今はまだ隠す事が出来ていても、いずれ成熟期が訪れる……。
 
「は、……っ、……くっ、ユキ、ちゃん、ッ」

「んんぅっ!! はぁ、はぁ……、奥、に、……ぁあっ、熱、ぃっ」

 ロフェさんの言う通りだ。
 俺はただ、彼女と永遠を誓うその日に、自分の花嫁がどれほど愛らしいか自慢したかった。
 彼女の幸せな笑顔を、魅力的な姿を、俺の隣で見せるその姿を……、見たくて。
 その日なら、きっと最後には折れて、俺が普段我慢している望みも、叶えてくれると思ったんだ。
 だけど、大間違いだった。

「はぁ、……んっぁあ、サージェ、スっ、……サージェス、さんっ」

 必死に俺を呼ぶ、艶を帯びた甘い声。
 彼女の熱を感じながら奥まで猛りを沈めた俺は、少し苦しそうな息を吐いている唇にそっとキスを贈る。
 額や頬には汗で蒼い髪がはりついてしまっていたから、それを優しく横によけ、労りのキスをしながら囁く。
 無理をさせてしまってごめん。
 幸せ過ぎて我を失ってばかりの残念な婚約者でごめん。
 ……君への愛を抑えきれない愚かな男で、ごめん。

「……どう、して」

「ん?」

「はぁ、はぁ……。どう、して、謝るん、です、か?」

「大人のくせに、君を困らせてばかりだから、かな。……結婚式の事だって、君よりも俺の方が浮かれてる」

 そして、君が俺に向けてくれる愛情よりも、俺が君に抱いている愛情の方が、面倒な程に大きい。
 彼女の中に納まっているモノを動かさずに自嘲していると、ユキちゃんの両手が俺の首にまわってきた。

「ユキちゃん?」

「ん……っ。……違い、ます」

「え?」

「サージェスさんが、……くっ、……はぁ、はぁ。お色直しをいっぱいしよう、って言ってくれた時、本当は、嬉しかったん、です。心から愛されてるんだって、子供みたいに、喜んで……」

 だけど、彼女はずっと困っていると主張する顔で、俺と平行線を辿っていた。
 照れているだけなのか、遠慮深い性格のせいなのか、……それとも、本当に迷惑なのかと、不安になる時もあったけど、彼女の涙に濡れた嬉しそうな顔に、鼓動が高鳴る。
 お色直しは着替えるのが大変で確かに困っている部分もあった。
 だけど、それとは別に、俺の自分に対する愛情の深さは何よりも嬉しいものだったのだと、ユキちゃんは俺の首にしがみつきながら、唇を押し付け、想いを伝えてくれる。

「はぁ、はぁ……、うぅっ。……し、幸せ、すぎて、怖く、なる、くらい、に……、嬉しかったん、です」

「ユキちゃん……」

「サージェスさん、は、……自分の方が、私を、……んんっ、……愛して、るって、言いました、けど、……私だって、面倒に、思われる、くらい……」

 ――好き。
 彼女の纏う甘い香りと、混じりあう汗の熱。
 俺みたいな残念な大人に、彼女は首を振ってそれを否定した。
 制御出来ないほどに膨れ上がっていく君への愛情を、迷惑に思わず、優しく受け入れてくれる。
 
「大好き、です。サージェスさん」

「――っ!!」

 惚れ直した、と言えばいいのか? いや、ますます、惚れ込んだ、が正しいのかもしれない。
 計画的ではなく、ただただ純粋に、素直に、俺への愛情を示してくれる君。
 こんなにも健気で可愛い花嫁さんと、俺はこれから家族になる。
 あぁ、ありきたりな言葉だけど……、幸せ過ぎて、怖いよ、ユキちゃん。
 事前に部屋を薄暗くしておいて良かった。顔中に熱を抱くこの醜態を見られずに済んだ。

「大好きと、愛してる以上の、……君を想う言葉が欲しいよ。ユキちゃん」

「ふふ、私も……、それ以上の言葉が、欲しいと思っていました。いつも」

 誰かを特別に想い、恋という感情に目覚め、やがて変わりゆく愛への過程。
 だけど、確かにそうだね、ユキちゃん……。
 俺達二人が考えているように、愛の先には、一体何があるんだろうか。
 どうすれば、愛以上の想いを言葉に変えて、互いに伝え合えるんだろうか。
 
「……あぁ、そうか」

「サージェス、さん?」

「ふふ、簡単な答えだね。愛してる以上に想いが募ったら、もう言葉なんか必要ないんだよ」

「え? ――ひあぁっ!!」

 ニッコリと微笑み、俺は彼女の身体を抱き締めながら、まだ奥を求めるように強く腰を前に突き出した。
 何度も俺と愛し合ってくれた彼女の中……。
 とろりと愛液に塗れた女襞が、俺のモノに絡みつき、早く動いてほしいと懇願している。

「好きが恋になって、恋が、愛になる。そして……、語り切れない程の想いが育ったら……、愛はひとつに溶けて、……約束(未来)に変わっていく」

「んっ、ぁあっ、……サージェ、スっ、さんっ。ひあぁっ、……んんっ、あっあっ、深、ぃっ」

「子孫を残す為だけじゃない。俺達が交わりを求めるのは、もう言葉じゃどうにもならないくらいに育った想いを成就させる為なんだ……。ンッ……、君と俺の熱が混じり合って、何もかもが……ひとつになっていく」

 神にも、人にも、それ以外の種族や動物達にも、魂があり、心がある。
 心がある必要性に関して、原初の神は言った。
 元はただの自然の摂理で、そこに理由などはないのかもしれない。
 けれど、――きっと、誰かと心を寄り添わせ、幸せになる為に、心は在るのかもしれない、と。
 本当にその通りだね。愛しい人のぬくもりを感じながら、ひとつに溶けていける事の幸運を、心から感じている。快楽に喘ぐ彼女の首筋に吸いつき、交わりの蜜が音を立てる程に、俺は彼女を突き上げ、その心を求める。

「結婚式は、……まだ、先、だけどっ、……くっ、いつだって、誓いたく、なるっ」

「んっ、ぁっああっ、……は、……んんぅぅっ、……ぁあああっ!」

「愛よりも深く、君だけを想い続けられる幸福を……、永遠(とわ)にっ」

 激しく軋むソファーの上で、彼女が快楽の波に逆らいながら、唇を動かす。
 
「私、も……っ、んんっ!! あっ、はぁぅぅぅっ……、ぁっあっ! 誓い、……ますっ」

 決して破られる事のない誓い。未来がどうなるかなんて、誰にもわからないけど……。
 俺と彼女が交わした誓いは、永遠(とわ)に違えられる事はないだろうと、心から信じられる。
 それだけの力が、想いが、二人の重ね合った唇を通して確信へと変わりゆくように、身体と心を巡っていく。

「く、ぁっ……! ユキちゃ、……ごめ、んっ。もうっ、うぅっ」

「はぁ、はぁっ……、ァッ、ぁああっ、私、もっ」

 互いの熱を掻き抱きながら、俺は飢えた獣のように彼女を求め続け……、――そして。
 
「ぁああああああっ!!」

「ユキ――ッ!! くっ、ぅあっ!!」

 高みを極めた直後、彼女の柔らかな肉に包まれていたモノが一気に弾け、その最奥を溢れるほどに濡らした。
 外に漏れないように、蜜口を根元までビクビクと震えている熱塊で塞ぎ、本能のままに腰を揺らす。
 雄の精を貪欲に求める、彼女の女襞。その締め付けはあまりに凶悪で、絶頂に至ってもまだ、俺のモノは萎えない。そう……、愛しい女神に恋い焦がれた愚かな男は、獣同然に浅ましい。

「はぁ、はぁ……。んっ。……好きだよ、ユキちゃん。もっと、もっと……、俺の愛を感じて?」

「サージェス……、さ、ん」

 行為の余韻で意識がぼんやりとしている彼女が、近付いてくる俺の唇を受け止め、自分からも舌を絡めてくれる。繋がっている部分程じゃないけど、唾液で濡れた舌を誘うように擦りつけると、雄を包み込んでいた女襞がきゅぅぅっと物欲しそうに締まった。

「んっ、……ふ、ぅ、……はぁ、はぁ」

「大丈夫だよ。俺が君を欲しがっているって事は、君も俺を欲しがってるって事だから……。いっぱい、欲しがってほしい。……何もかも、わからなくなるまで」

 ――互いの胸に抱く愛が、深く、深く、蕩々に、何もかも、溶け合うまで。
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