ウォルヴァンシアの王兄姫~淡き蕾は愛しき人の想いと共に花ひらく~

古都助(幸織)

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第三章『遊学』~魔竜の集う国・ガデルフォーン~

悲劇の記憶

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※ガデルフォーン皇国元第一皇子、ラシュディースの視点で進みます。


 ――Side ラシュディース


 皇宮を追われ、逃亡の身となってから三ヶ月余り……。
 俺達は旅の兄妹とその連れという設定を作り、皇宮に関する情報を集め続けていた。
 皇帝を殺害し、その罪をディアに着せた弟達……。
 その筆頭が、俺のすぐ下の弟である、アルフェウスだ。
 アルフェウスは次期皇帝代理という立場に収まり、政務を行っていると聞く。
 自分達のその手で……、親父を惨殺した事実さえも、忘れているかのように。

「――ディア、シュディ、今戻った。変わりはなかったか?」

「お帰りなさいませ、ラシュディース様。外の様子は如何でしたか?」

「今は大丈夫そうだ。ディアは?」

「お休みでございます。とても、お疲れの御様子で……」

 宿屋の一室に入り鍵を閉め強力な結界を張り直す俺の目には、シュディ自身も疲労の気配が濃く映っている。三ヶ月間……、心の休まる時がなかったからな、当然だ。
 俺も、シュディも、ディアも、正体がバレないように髪型や色を変えたり、気配を消す為に色々と苦労をしている。特に……、ディアは本来の性格を封じて、得意の演技力で全くの別人になっているからな。身体が、というよりは、精神の方が追い詰められているのだろう。
 寝台に近づき、眠っているディアの頬を撫でながら息を吐く。

「すまないな……。弟達が親父を殺ったという事はわかっているのに……、それを操っている黒幕が、まだわからないんだ」

「ん……」

 あんなにディアの事を可愛がっていた弟達が、何故こんなにも酷い仕打ちが出来るのか。 
 親父が殺された晩に見た、弟達の異様な目の淀み。
 あれは、操られている者特有の……、洗脳を受けている気配だった。
 そうわかっているのに、真の黒幕はいまだに姿を現す気配がない。
 皇家に恨みを抱いている者なのか、それとも、アルフェウス達を洗脳して国を乗っ取ろうとしているのか……。

「救いがあるとすれば、親父の中にあった宝玉……、いや、そう呼ばれている術式が元の場所に戻り、沈黙を守ってくれている事だな」

 代々の皇帝女帝が受け継いできた、神々から与えられたという至宝。
 あれは、悪しき力や存在を受け入れず、皇家の血筋の中でも、皇国や民を守ろうとする強い意志を兼ね備えた存在を愛するものだ。
 主を失った今、安置場所で神々の創り上げた術式の陣へと戻り、揺蕩いながら来るべき時を待ち続けている。ガデルフォーンという国を、裏の世界を維持し、制御する力の塊。
 次期皇帝か女帝が定まれば、術式の陣はその者の中へと流れ込み、宝玉となって体内に宿る。
 有事の際には、神の恩恵を受けられるように……。
 まぁ、主がいなくとも、あれは存在しているだけでガデルフォーンを維持する力を発し続けている。だから、次期皇帝の件について焦る必要はない。……が。
 
「問題は黒幕だな。いっそ、俺が皇宮に乗り込んで囮になってみるか」

「ラシュディース様……」

「そんな顔をするな。一応、俺の知り合いに頼んで皇宮に関する情報を仕入れて貰っているが、いざという時は、その必要も出て来るというだけの話だ」

 寝台を離れ、シュディの座っている場所に歩み寄って行く。
 向かい側の椅子に腰を下ろし、ひと息吐いた後にテーブルの上に置かれていた茶色い袋に手を伸ばす。シュディがこの宿屋の隣にあるパン屋で買って来た物だが、もう、冷めているな。
 
「……さて、どう出るべきか」

 パンを千切り、それを口に放り込みながら天井を見上げる。
 やはり……、このまま逃げ続けているだけでは話にならないだろう。
 ディアやシュディの限界も近い。賭けにはなるが……、入ってくる情報次第では、最後の一手を打つしかない、か。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 ――その夜の事だった。
 寝台で眠りに就いているディアとシュディの眠りを守る為番についていた闇の中。
 窓が小刻みに震えだし、宿屋の上空に強大な力の気配を感じ取った。
 明日からどう動くべきかと悩んでいたところだが、どうやら向こうも待ち切れずに痺れを切らしたようだな。今までに俺達を追って来た刺客と、まるで違う気配……。

「ディア、シュディ、起きているか?」

「あぁ、ようやく……、父上の仇と相まみえる事が出来そうだ」

「手間が省けたようで何よりですが……、これは」

 早く出て来いと急かすように宿屋へと強大な力の気配を押し付けてくる存在に、俺達は望み通り窓を開けて飛び出して行く。
 人々の眠りを壊さぬように、町全体に結界を張り巡らせる。
 俺達の視界に広がる闇夜には、この不快に感じられる力を発している者の姿はどこにも見えない。
 だが、――いる。姿を現していないだけで、隠す気もなく俺達を嘲笑っているその気配が。

「俺達に会いに来たんじゃないのか?」

『……ふふ、ふふふふふふ』

 空(くう)の気配を揺らす、少女のような愛らしいながらも、油断出来ない不穏さを秘めた笑い声。穏やかであるはずの、夜の静寂が……、脅しじみた力の気配に怯えている。
 瞼を閉じ、耳障りな笑い声だけを響かせる存在の気配に意識を研ぎ澄ませ、――捉えたその場所に向かって一撃を放つ。
 壁にでもぶつかったかのように宙の真ん中で轟音を響かせて爆散した一撃。

『酷いですわね~、可愛い妹に攻撃を仕掛けるなんて……』

「生憎と、俺にはディア以外の妹を持った覚えはない。――出て来い」

 俺の攻撃は、まだ隠れている存在に当たってはいない。……相殺されたな。
 それに今、何と言った? 可愛い妹? 何を言っているんだ……。
 睨み据える先で、空間が紙を握り潰すかのように歪みを見せる。
 
「いいえ……、私は、お兄様の妹ですわ。ラシュディースお兄様」

 波のように広がる、黄金の眩き髪。
 小柄な少女の姿をしたそれは、純白のフリルを袖や裾にあしらった黒のドレスを纏っており、その精巧な、人形のように愛らしい顔に笑みを浮かべている。
 一見してみれば、貴族の幼い令嬢といったところか……。
 あの禍々しい気配と力の余波さえなければ、無条件に見惚れていた事だろう。
 それに……、何よりも目を引いているのは、俺やディアと同じ、アメジストの双眸。
 膝より少し長いスカートの裾を僅かに持ち上げ、少女が品の良い仕草で一礼した。

「私は、お兄様達の可愛い妹ですわ……。けれど、認めて下さっているのは、まだ数人なんですの。せっかく『帰って来た』のに、酷いですわよね」

「どういう意味だ?」

 槍を少女のいる方向へと向かって突き出したディアが、怒りを抑え込んだ声音で問う。
 俺達と同じ色を纏う少女が笑みを深め、その場でくるりと舞ってそれに答える。

「私、ずっと闇の中にいましたの……。冷たくて、怖くて、寂しくて……、ようやく帰って来たのに、お父様は私を受け入れては下さいませんでしたわ」

「ディアの他に隠し子がいるなど、俺は聞いていないぞ……」

 大体、親父はディアという隠し子こそいたものの、それは正体を隠して外に出かけた際に出会った女性……、つまり、ディアの母親と意気投合し酒に酔った果てに起きた、まぁ、事故のようなものだ。本来は家族や妻を愛する真面目な人間で、だからこそ、親父が間違いを犯した時の俺の母親、皇妃の怒り様は凄まじいものだった。
 だが、怒るだけ怒ったらスッキリしたのか、母上殿は親父を許し……、後に、一晩だけ情を交わした相手が身籠り出産していた事を知ると、母親共々皇宮に迎え入れろと言ったのだ。
 器が大きいというか、本当に……、俺の母上殿は大したものだと、今でも尊敬に値する念を抱かずにはいられない相手だと思っている。
 
「親父が間違いを犯したのは一度だけだ。それ以降は絶対に不義を犯していないと、俺は信じている」

 むしろ、それ以降一定量の酒を飲む事を禁じられた親父は、二度と間違いを犯すまいと自身を律していたのだから。ならば、俺の視線の先にいる、あの娘は何だ?
 それに、俺達の血族という割には……、ディアや弟達に感じている共通した気配の根本が見えない。だが、あの娘が宿している魔力の流れから感じるそれは、確かにガデルフォーン皇家に連なる事を証明する波動も……。だが、それ以前に――。

「お前がどこの誰かは知らないが、弟達を使って親父を殺したのは……、お前だな?」

「うふふ、だって仕方ありませんのよ。お父様ったら、私の事を知らない、って、何を言っても拒絶するんですもの。お仕置きが必要でしょう?」

「貴様!! それだけの事で我らの父上をあんな目に遭わせたのか!?」

「本当は、少し痛めつけるだけで許して差し上げるはずでしたのよ? ……でも、最後まで私の事を受け入れて下さらなかったから、穢れた者だと酷い事を口にしたから、終わらせてあげましたの」

 穢れた者――。
 親父がそう評したのもよくわかるな……。
 あの娘は、悪意の塊そのものだ。他者を害する事に何の躊躇いもなく、それどころか、その行為を愉しめる悪辣な心の持ち主。
 俺達に向けられている愛らしい顔には醜悪さを宿した愉悦の気配が滲み、親父を殺した時の光景を実に愉しそうに語る……、忌まわしき声音。
 
「ふざけるな……!!」

「ディア!!」

 父親を殺され、家族を利用された怒りのままに、ディアが槍を振り上げて金髪の少女へと飛びかかっていく。普段は何事にも冷静に対処する異母妹にしては珍しい、衝動的な動きだった。
 空(くう)を駆け巡りぶつかり合う二人の力。

「一応、あの娘が何なのかには、気付いているようだな」

「ラシュディース様、では、やはり……」

 戦場となった闇夜の中で、シュディが眉根を寄せて確認の言葉を口にする。
 あの黄金の髪を纏う謎の少女は、――生身の存在ではないのですね? と。
 離れていれば生者と変わらぬように見えるが、触れるか、よく観察していればわかるはずだ。
 この世界に生まれ、そして、……死した者の魂、霊体であると。
 それに気付いているからこそ、ディアは気付いていないふりをして通常の攻撃や術を仕掛け続けている。
 俺とシュディも援護をする為に金髪の少女の背後にまわり、同じような戦法を取り……。

「ガデルフォーンの皇女は私ですわ!! お兄様達に可愛がられるのも、貴方が今までその手にしていた幸福も、全部、全部!!」

「ぐっ!! 何を……、言っている? 貴様は我が皇家を、父上を、兄上達を貶めた賊だ!! 貴様がガデルフォーン皇家の皇女だなどと……っ、誰が認めるものか!!」

「――きゃぁあああああっ!!」

 詠唱を行使せずに発動させた、対亡霊用の強力な術。
 水面下で詠唱を紡がずに発動の瞬間を狙っていたディアのそれは、予想以上に桁外れの結果をもたらした。だが……、自分にかかる負担も考えずに無茶をしすぎだっ、ディア!!
 
「ぐっ、……本当に、忌々しい女、ですわねっ」

「我からすれば、貴様の方が数千倍は忌まわしい存在だ……っ。次こそは、仕留める」

「ふふ、……まだ、こんなところで『死ぬ』気はありませんのよ。私は、手に入れられなかったあの幸福を、今度こそ、掴んで、みせるっ」

「逃がすか!!」

 魂という器のない剥き出しの存在にダメージを喰らってしまった為か、金髪の少女は苦しげに表情を歪め、これ以上の攻防を拒み逃げようとした。
 ディア、そして俺達も捕獲に動いたが……、一歩、遅かったようだ。
 指先を掠るようにすり抜けた死者の髪。大気が揺らぎを見せ、少女の姿が闇に飲まれていく。

『あぁ、そうでしたわね……。お返しをしなくちゃ』

 星々の輝きが降り注ぐ闇の中、忘れていたものを思い出したように、姿なき声が聞こえた。
 俺とシュディがそれに気付いた時には遅く、ディアの真上に生じた禍々しき力の気配。
 凄まじい雷(いかずち)のような衝撃と共に小柄な身体を貫いた一撃の後、ディアの全身から血飛沫が噴き出した。そしてそのまま……、力を失って地上へと落ちて行く。

「ディア!!」

「ディアーネス様!!」

 悲鳴さえ許されなかった一撃はディアの意識までも奪ってしまっている。
 俺が助けに向かうのと同時に、シュディの放った全身黒一色のぬめりとした存在である触手が放たれ、俺よりも先にディアの身体へと絡みつき救い上げた。
 
「ディア!! ディア!! しっかりしろ!!」

「う……っ、ま、て……、仇、を」

「ディアーネス様……っ」

 全身を刃で引き裂かれたかのような酷い傷を負ったディアだが、どうにか、一命は取り留められそうだ。シュディと二人で治癒の術を発動させながら、そこにまだいるだろう存在に声を張り上げるが、癪に障る愉し気な笑い声だけが町全体へと響き渡るのみだ。

『ラシュディースお兄様、お待ちしておりますわ……。私達のお家(うち)、ガデルフォーン皇宮の、玉座の間にて、兄妹としての抱擁が出来る事を、楽しみに』

「待て!! 何の為にこんな事をするんだ!! お前は一体……!!」

『ふふ、ふふふふ……。御機嫌よう、お兄様』

 切り離された別の空間。その場所から響いてくる挑戦的な招きの声が、やがて元通りの静寂へと……、溶け消えた。
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