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第三章『遊学』~魔竜の集う国・ガデルフォーン~
騒動を終えて……
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回廊での騒ぎを終えた私は、一度自分達の部屋に戻るという一部の方々を見送って、残った皆さんと一緒に私の部屋へと集まる事になった。
「あの、ルイヴェルさん……。私、別にベッドに入らなくてもいいんじゃ……」
「駄目だ。お前は寝台で大人しくしていろ」
私も皆と一緒にテーブルの方に座ると言っているのに、皇宮に帰還した時と同様に、ルイヴェルさんに却下されてしまった。
本当に大丈夫なのに……。
ベッドに入り、上半身だけ起こした状態で足を毛布の中に伸ばすと、私のすぐ傍の椅子に、ルイヴェルさんと激しい戦闘模様を繰り広げていた黒銀髪の男性が腰を下ろした。そういえば、まだお互いに挨拶をしていなかった事を思い出す。
「あ、あのっ、初めまして……、私」
「『ユキ』だろ? 小せぇ時の面影が残ってるからな。見た時、すぐにお前だってわかったぜ」
カインさんに似た物言いと、私の名を呼んだ親しげな響きに、あぁ、この人も同じなんだと感じた。ウォルヴァンシアにいる皆と同じ……。
私にはない幼い頃の記憶と思い出を抱く人……。
「ごめんなさい。私、幼い頃の記憶がないんです……。だから、貴方の事も覚えていなくて」
「気にする事はねぇよ。また、こっから始めればいいんだからな」
「は、はい……」
男性は気にした風もなく、私の頭に手のひらを添えると、その口許に優しげな笑みを浮かべた。
その顔に、何となく……心の奥深くが優しい温もりに包まれていく気がする。
たとえ記憶を封じられていても、私の心が、この兄のような笑みを抱く人を覚えているのかもしれない。
「ってことで、一応挨拶はさせて貰うぞ。俺はディーク。セルフェディーク・フェリデロードだ。こっちの生意気な眼鏡の従兄だ。よろしくな」
「ディークさん、ですね。はい、よろしくお願いします」
「お~い、ディーク……。弟子の俺に対する扱いと、ユキへの扱いが違いすぎねぇか?」
差し出された右手に温もりを重ねていると、テーブルの方に座っていたカインさんが、じっとりと不満気にディークさんの事を見た。
ディークさんは、女官さん達の用意してくれたお茶を飲みながら苦笑を漏らす。
「そりゃ、野郎と可愛い姫相手じゃ、差も出るだろうな?」
「けっ、そーかよ」
「ディークは、時々しかウォルヴァンシアには戻らないが……。そういえば、ユキの事も可愛がっていたな」
多くの時を共に過ごしたわけではないけれど、幼い頃の私の遊び相手もしてくれていたと、レイル君が懐かしそうに思い出しながら当時の事を話してくれた。
最初は楽しそうに、けれど……、やがて、何故か遠い目になり始めていく。
「ユキの遊び相手を代われと要求するディークに、是が非でも渡さなかったルイヴェルの面倒な押し問答……とか、な」
「れ、レイル……君?」
まるで、黒歴史を思い出してしまった!! とでも言うかのような暗い表情だ。
間近で聞いているカインさんも、「大丈夫か……」と心配げになってしまっている。当然、当時の事を私が覚えているわけもないのだけど……。
ルイヴェルさん、ディークさん、お二人共……、一体どんな面倒事を。
「俺のせいじゃねぇと思うぞ。大人しくユキの遊び相手の役を交代すれば、何事もなく済んだんだ。なのに、こいつ……、何度言っても離しゃしねぇ」
「タイミングが悪かっただけだろう。ユキが昼寝をしている時に来たり、俺がユキで遊んでる時に横から割り込んだりな」
「ルイヴェルさん……、今、『私で』遊んでた、とか、言いませんでした?」
「言ったが、どうした?」
「ナンデモアリマセン……」
幼い時に一体どんないじりをルイヴェルさんから受けていたのか、思い出せない事が幸せなのかどうか、悩むところだ。
けれど、抗議の意味も含めてルイヴェルさんをじとっと睨んだというのに、最近ご無沙汰だった意地悪な笑みが私へと向けられた。
駄目だ。これ以上何か言おうものなら、今の私に被害が降りかかってきそうだ。
「懐かしいよなぁ。王宮が半壊状態になりかけたりな」
「ふっ、お前は諦めが悪いからな……。こっちとしても、応戦せざるを得ない」
「それはテメェだろうが? セレスが止めても、ユキを離しやがらねぇし。寛大な心を持つ従兄としては、お前がロリコンにでも目覚めたなんじゃないかと、色々心配したもんだがな……?」
「面白い事を言ってくれるな、ディーク?」
ルイヴェルさんとディークさんの血の繋がりを感じさせる深緑の双眸が、妖しく煌めき、喉奥で笑いを漏らしながら不穏な睨み合いが始まってしまう。
この二人、従兄弟同士という話だけれど……、仲、悪いのかな?
再会した瞬間にも、回廊横の庭で大戦闘を始めていたし……。
私には何も言葉を差し挟む隙はないと判断していると、寝台の右側にカインさんとレイル君がやって来た。
「確実に同じ血が流れてんな、ありゃ」
「そうですね……」
「時々とはいえ、あの二人は濃い時間を周りに押し付けていくからな……」
フェリデロード家の血に連なるお二人は、今にもまた戦闘でも始めそうな雰囲気を纏いながら、互いに昔の事を持ち出して、静かな言い合いを続けている。
たまに、幼い自分が遭遇したらしき危険この上ない話も聞こえてくるのだけど……。あまり深くは聞かない方が身の為、かな?
「それよりユキ、身体の方は大丈夫なのか?」
思い出したように、レイル君が私のベッドに浅く腰かけ、額に手を当ててくる。
ガデルフォーンの皇宮に帰って来た際に、後で説明するとルイヴェルさんがレイル君に伝えたまま、詳しい説明はされないままになっていた。
「心配かけてごめんね。今はもう大丈夫なんだけど」
「そういや、ディークとの戦闘が終わった後に、ルイヴェルがお前の事を運んだんだっけな。理由を聞いても後回しにしやがるし、いい加減説明してくれよ」
お互いが喧嘩中だという事がどこかに行ってしまったかのように、カインさんも心配顔でベッドへと腰を下ろした。
私はそんな二人にもう一度謝って、ラナレディアでの出来事を話し始める。
サージェスさんに連れられて向かった町で、彼を待っている間に出会った金髪の少女と不精髭の男性の事。
彼女達と別れた後に、『瘴気』と呼ばれる存在のせいで自分が倒れてしまった事……。今はもう、サージェスさんのお蔭で問題はないのだと。
そう説明を終えて二人を見遣ると、……物凄く深刻な表情を向けられていた。
「『瘴気』って……、お前、そんなヤバイもんに害されたってのかよっ」
「本当に大丈夫なのか? たとえ浄化が終わっていても、どこかに影響が残っていたりしないか?」
ベッドに上がり込んで来た二人が、私の身体をぺたぺたと触り次から次へと心配の声をかけてくる。し、心配してくれているのは有難いけれど、ちょっと過保護すぎるような……!!
「だ、大丈夫ですから!!」
「俺の時みたいに、何か呪いとか刻まれてねぇだろうな!? おい、ちょっと脱いでみろ!! 全部確認してやる!!」
「えっ、ちょっ、カインさん!! 何してるんですか!!」
「カイン皇子!! さすがにそれはやりすぎだ!!」
いきなり着ていた少女趣味な服の襟元をガバッと左右に開かれたかと思うと、フリルの着いた袖まで捲り上げられていく。
「見たとこ、何もねぇようだ……、――ぐはああああああ!!」
私の戸惑いや驚きなど関係なく、じっくりと身体に害の痕がないか調べていくカインさんの頬を、力強い鉄拳が思いきり派手に殴り飛ばして向こう側へと吹っ飛ばしてしまった……。
い、今のは……。恐る恐るそちらを振り向くと、不機嫌顔で手をパンパンと払うディークさんの立ち姿があった。
間違いない、今の一撃はこの人だ!!
「ったく……、医者でもねぇのに、勝手な事やってんじゃねぇよ。この馬鹿弟子が」
「一応お前の弟子だろう? 手加減しなくて良かったのか?」
「そんなのいるか。少しは更正したかと思えば、平気で女の服を引っ剥(ぱ)がしにかかりやがって」
「いや、ディーク……。カイン皇子は、ユキの事を心配して……」
衝撃的なシーンを目撃してしまった私は、とりあえずカインさんの安否を確かめる為に、襟元を直して急いでベッドから飛び出した。
あぁ……、壁にカインさんが激突した痕跡が……。
絨毯にバッタリと倒れ込んでいるカインさんが、「ディーク……テメェ」と恨みの呻きを発している。
「大丈夫ですか!! カインさん、しっかり!!」
「その馬鹿弟子は、滅多な事じゃ死にゃしねぇよ。放っとけ」
あっさりと放置を推奨したディークさんの言には従わず、私はレイル君と一緒にカインさんを支えてベッドへと連れていく。
ドサリとベッドに寝かせると、ルイヴェルさんが治癒の術を施しに来てくれた。
「うぅ……」
「本当に容赦がないな、ディーク……。仮にも自分の弟子だろう」
治療を受けているカインさんを見下ろしながら、レイル君ががっくりと肩を落としている。
……そういえば、さっきからディークさんがカインさんの事を『馬鹿弟子』と言っているような気がしたけれど。
「あの、ディークさんは、カインさんのお師匠様なんですか?」
会話の内容でそれとなく察していたものの、事実確認を求めてディークさんに訊ねてみた。今はいないけど、ラシュディースさんとも何か関わりがありそうだったし、カインさんに対しても、とても砕けた態度で接しているディークさん。
再び椅子に腰を下ろし、ベッドに頬杖を着いたディークさんが「まぁな」と呟く。
「俺とラシュは、こいつが幼い頃に縁があって出会った。たった一日だけだったが、数年後にカインが俺の所に来てな。戦う力が欲しいって頼んで来たから弟子にしてやったんだよ」
「そうだったんですか……」
「昔は素直で可愛い奴だったんだけどな。どこをどう間違ったのか、気付いたらクソ捻くれた馬鹿弟子になっててよ。破門にした日以来の再会を、このガデルフォーンでしたってわけだ」
「俺もディークから聞いて吃驚したんだ。まさか、そんな昔から繋がりがあるとは思わなかったからな……。カイン皇子の件もそうだが、このガデルフォーンでは懐かしい人によく会うものだ」
「レイル君……」
苦笑するレイル君の顔に見入っていると、治療を終えたルイヴェルさんが、何だか浮かない顔をして、独り言のように小さく呟いた。
「望まぬ再会も……、あるようだがな」
白衣を翻し、一度自分の部屋に戻ると伝えて来たルイヴェルさんに、その独り言の意味を聞く事は出来なかった……。
バタンと閉じた扉を見つめていると、ディークさんもルイヴェルさんの様子に気付いたのか、私と同じように視線をそちらに定めていた。
「ルイヴェルさん……、どうしたんでしょうか」
「……さぁな。ま、小難しい事は大人に任せとけばいいさ。それよりも、ユキ」
「は、はいっ」
「悪いが、この馬鹿弟子の事、レイルと一緒に看てやっててくれ。ちょっと俺は、生意気な従弟と話があるんでな」
椅子から立ち上がり、ルイヴェルさんと同じように白衣を翻したディークさんが、手をひらひらと振って出て行く……。
残されたのは、気絶しているカインさんと、それを見守る私とレイル君だけ。
「ルイヴェルさんもディークさんも、本当に一体どうしたんだろう……」
「何かあれば、その時になれば俺達にも話してくれるさ。それよりも……、ユキ。カイン皇子の目が覚めたら、今度こそ仲直りをした方がいいぞ」
「う、うん……」
一応、もうカインさんは怒ってはいないみたいだったけれど、うん。
ちゃんと、私も謝らないと……。
カインさんの漆黒の髪をそっと顔から払うと、レイル君の言葉に頷きを返した。
彼の過去を否定してしまうような事を言ってしまった事、
今のカインさんが、ウォルヴァンシアやガデルフォーンで、どんなに努力を重ねているか……。
「私、カインさんに酷い事をいっぱい言ったから……。許してくれる……かな?」
「カイン皇子がユキの事を許さないわけがないだろう。お互いに素直になれば、すぐに仲直り出来るさ……」
「レイル君、私ね……。よくよく考えてみたら、凄く贅沢な立場にいるくせに、……ちっともその自覚をしてなかったんだと思うの」
「ユキ?」
「私は、……まだ、どちらの気持ちにも応えてない。二人の優しさに甘えて、いつになるかわからない答えを待たせ続けてる……。そんな自分が、カインさんの過去をどうこう言う資格なんて、全然なかったのに」
私の酷い言葉で、彼の心を深く傷つけた……。
シュディエーラさんの部屋で、カインさんが見せた表情……。
私にそれを言う資格なんか皆無だったのに、カインさんを……、選べていないのに。自分が一番傲慢な存在なのだと、後になってひしひしと感じた。
「ごめんなさい、……カインさん」
そして同時に、遠くの地にいるアレクさんの事にも思いを馳せる。
ガデルフォーンに向かう私を、心の底から心配してくれていた優しい人……。
最近はセレスフィーナさんとの通信にも顔を見せてくれないし、きっと騎士団のお仕事が忙しいんだろうな。
カインさんと同じように、私に優しい想いを向けてくれている副団長さん。
私は、……いつになったら、二人の想いに答えを返せるのかな。
「……」
この心の中に芽吹いた二つの蕾、まだどちらも……、色鮮やかな花を咲かせる気配はない。アレクさんの事もカインさんの事も、優柔不断かもしれないけれど、とても大切な存在だと感じている。
最初に出会ったのは、私を気遣いいつも傍にいてくれたアレクさん……。
一緒に過ごした時間は、カインさんよりも長い……。
傍に居ると安心出来て、お兄さんのようにも感じる温かな存在。
だけど、ウォルヴァンシアに遊学に来たカインさんとの出会いもまた、私に変化をもたらした。
どうしようもなく自分勝手で、俺様的な態度と意地悪なイリューヴェルの第三皇子様。貴方の存在は、アレクさんとは全くの真逆……。
心臓に悪いような事もされたし、トラウマも植え付けられて……。最初は大嫌いな存在だったのに……。
「カインさん……」
私の感情を茶化して乱すのが趣味のような皇子様。
彼の遊学期間中には、クッションや物を投げ合ったり、色々騒がしい事が多かったなぁ。アレクさんが『静』の存在なら、カインさんは『動』と言えるだろう。
背中合わせの二人……。光と闇を思わせる対比を描く別々の魅力をもった存在。
二人を大切だと想う気持ちは育っていくのに、まだ、明確な答えが出ない。
本当にいつまで待たせる気なのかな、私は……。
そう思うのと同時に浮かぶ疑問。
――私に、選ぶ事なんて……、出来るのかな。
アレクさんとカインさんを大切だと感じる度に、心の染み出す不安……。
二人の想いを受けるだけ受けて……、もし、最後に……。
「……キ、ユキ?」
「……あ」
沼のようなどろりとした不安に沈みかけていた私の意識を、レイル君の、少し大きくなった声が引き上げる。
現実へと戻って来た私の呆けた顔を、レイル君の綺麗な面差しが覗き込んできた。
「大丈夫か?」
「……ごめん、ね。ちょっとぼーっとしてたみたい」
「ユキ、まだ瘴気の影響が残っているんじゃないか? 顔色も少し悪いようだし……、横になったらどうだ」
「そう……だね。じゃあ、ちょっとだけ」
カインさんの事は自分が看ているから、とレイル君が微笑んでくれたから、私はその言葉に甘えて毛布の中に潜り込む。
そして、カインさんと背中合わせになるような体勢で、静かに瞼を閉じた。
「あの、ルイヴェルさん……。私、別にベッドに入らなくてもいいんじゃ……」
「駄目だ。お前は寝台で大人しくしていろ」
私も皆と一緒にテーブルの方に座ると言っているのに、皇宮に帰還した時と同様に、ルイヴェルさんに却下されてしまった。
本当に大丈夫なのに……。
ベッドに入り、上半身だけ起こした状態で足を毛布の中に伸ばすと、私のすぐ傍の椅子に、ルイヴェルさんと激しい戦闘模様を繰り広げていた黒銀髪の男性が腰を下ろした。そういえば、まだお互いに挨拶をしていなかった事を思い出す。
「あ、あのっ、初めまして……、私」
「『ユキ』だろ? 小せぇ時の面影が残ってるからな。見た時、すぐにお前だってわかったぜ」
カインさんに似た物言いと、私の名を呼んだ親しげな響きに、あぁ、この人も同じなんだと感じた。ウォルヴァンシアにいる皆と同じ……。
私にはない幼い頃の記憶と思い出を抱く人……。
「ごめんなさい。私、幼い頃の記憶がないんです……。だから、貴方の事も覚えていなくて」
「気にする事はねぇよ。また、こっから始めればいいんだからな」
「は、はい……」
男性は気にした風もなく、私の頭に手のひらを添えると、その口許に優しげな笑みを浮かべた。
その顔に、何となく……心の奥深くが優しい温もりに包まれていく気がする。
たとえ記憶を封じられていても、私の心が、この兄のような笑みを抱く人を覚えているのかもしれない。
「ってことで、一応挨拶はさせて貰うぞ。俺はディーク。セルフェディーク・フェリデロードだ。こっちの生意気な眼鏡の従兄だ。よろしくな」
「ディークさん、ですね。はい、よろしくお願いします」
「お~い、ディーク……。弟子の俺に対する扱いと、ユキへの扱いが違いすぎねぇか?」
差し出された右手に温もりを重ねていると、テーブルの方に座っていたカインさんが、じっとりと不満気にディークさんの事を見た。
ディークさんは、女官さん達の用意してくれたお茶を飲みながら苦笑を漏らす。
「そりゃ、野郎と可愛い姫相手じゃ、差も出るだろうな?」
「けっ、そーかよ」
「ディークは、時々しかウォルヴァンシアには戻らないが……。そういえば、ユキの事も可愛がっていたな」
多くの時を共に過ごしたわけではないけれど、幼い頃の私の遊び相手もしてくれていたと、レイル君が懐かしそうに思い出しながら当時の事を話してくれた。
最初は楽しそうに、けれど……、やがて、何故か遠い目になり始めていく。
「ユキの遊び相手を代われと要求するディークに、是が非でも渡さなかったルイヴェルの面倒な押し問答……とか、な」
「れ、レイル……君?」
まるで、黒歴史を思い出してしまった!! とでも言うかのような暗い表情だ。
間近で聞いているカインさんも、「大丈夫か……」と心配げになってしまっている。当然、当時の事を私が覚えているわけもないのだけど……。
ルイヴェルさん、ディークさん、お二人共……、一体どんな面倒事を。
「俺のせいじゃねぇと思うぞ。大人しくユキの遊び相手の役を交代すれば、何事もなく済んだんだ。なのに、こいつ……、何度言っても離しゃしねぇ」
「タイミングが悪かっただけだろう。ユキが昼寝をしている時に来たり、俺がユキで遊んでる時に横から割り込んだりな」
「ルイヴェルさん……、今、『私で』遊んでた、とか、言いませんでした?」
「言ったが、どうした?」
「ナンデモアリマセン……」
幼い時に一体どんないじりをルイヴェルさんから受けていたのか、思い出せない事が幸せなのかどうか、悩むところだ。
けれど、抗議の意味も含めてルイヴェルさんをじとっと睨んだというのに、最近ご無沙汰だった意地悪な笑みが私へと向けられた。
駄目だ。これ以上何か言おうものなら、今の私に被害が降りかかってきそうだ。
「懐かしいよなぁ。王宮が半壊状態になりかけたりな」
「ふっ、お前は諦めが悪いからな……。こっちとしても、応戦せざるを得ない」
「それはテメェだろうが? セレスが止めても、ユキを離しやがらねぇし。寛大な心を持つ従兄としては、お前がロリコンにでも目覚めたなんじゃないかと、色々心配したもんだがな……?」
「面白い事を言ってくれるな、ディーク?」
ルイヴェルさんとディークさんの血の繋がりを感じさせる深緑の双眸が、妖しく煌めき、喉奥で笑いを漏らしながら不穏な睨み合いが始まってしまう。
この二人、従兄弟同士という話だけれど……、仲、悪いのかな?
再会した瞬間にも、回廊横の庭で大戦闘を始めていたし……。
私には何も言葉を差し挟む隙はないと判断していると、寝台の右側にカインさんとレイル君がやって来た。
「確実に同じ血が流れてんな、ありゃ」
「そうですね……」
「時々とはいえ、あの二人は濃い時間を周りに押し付けていくからな……」
フェリデロード家の血に連なるお二人は、今にもまた戦闘でも始めそうな雰囲気を纏いながら、互いに昔の事を持ち出して、静かな言い合いを続けている。
たまに、幼い自分が遭遇したらしき危険この上ない話も聞こえてくるのだけど……。あまり深くは聞かない方が身の為、かな?
「それよりユキ、身体の方は大丈夫なのか?」
思い出したように、レイル君が私のベッドに浅く腰かけ、額に手を当ててくる。
ガデルフォーンの皇宮に帰って来た際に、後で説明するとルイヴェルさんがレイル君に伝えたまま、詳しい説明はされないままになっていた。
「心配かけてごめんね。今はもう大丈夫なんだけど」
「そういや、ディークとの戦闘が終わった後に、ルイヴェルがお前の事を運んだんだっけな。理由を聞いても後回しにしやがるし、いい加減説明してくれよ」
お互いが喧嘩中だという事がどこかに行ってしまったかのように、カインさんも心配顔でベッドへと腰を下ろした。
私はそんな二人にもう一度謝って、ラナレディアでの出来事を話し始める。
サージェスさんに連れられて向かった町で、彼を待っている間に出会った金髪の少女と不精髭の男性の事。
彼女達と別れた後に、『瘴気』と呼ばれる存在のせいで自分が倒れてしまった事……。今はもう、サージェスさんのお蔭で問題はないのだと。
そう説明を終えて二人を見遣ると、……物凄く深刻な表情を向けられていた。
「『瘴気』って……、お前、そんなヤバイもんに害されたってのかよっ」
「本当に大丈夫なのか? たとえ浄化が終わっていても、どこかに影響が残っていたりしないか?」
ベッドに上がり込んで来た二人が、私の身体をぺたぺたと触り次から次へと心配の声をかけてくる。し、心配してくれているのは有難いけれど、ちょっと過保護すぎるような……!!
「だ、大丈夫ですから!!」
「俺の時みたいに、何か呪いとか刻まれてねぇだろうな!? おい、ちょっと脱いでみろ!! 全部確認してやる!!」
「えっ、ちょっ、カインさん!! 何してるんですか!!」
「カイン皇子!! さすがにそれはやりすぎだ!!」
いきなり着ていた少女趣味な服の襟元をガバッと左右に開かれたかと思うと、フリルの着いた袖まで捲り上げられていく。
「見たとこ、何もねぇようだ……、――ぐはああああああ!!」
私の戸惑いや驚きなど関係なく、じっくりと身体に害の痕がないか調べていくカインさんの頬を、力強い鉄拳が思いきり派手に殴り飛ばして向こう側へと吹っ飛ばしてしまった……。
い、今のは……。恐る恐るそちらを振り向くと、不機嫌顔で手をパンパンと払うディークさんの立ち姿があった。
間違いない、今の一撃はこの人だ!!
「ったく……、医者でもねぇのに、勝手な事やってんじゃねぇよ。この馬鹿弟子が」
「一応お前の弟子だろう? 手加減しなくて良かったのか?」
「そんなのいるか。少しは更正したかと思えば、平気で女の服を引っ剥(ぱ)がしにかかりやがって」
「いや、ディーク……。カイン皇子は、ユキの事を心配して……」
衝撃的なシーンを目撃してしまった私は、とりあえずカインさんの安否を確かめる為に、襟元を直して急いでベッドから飛び出した。
あぁ……、壁にカインさんが激突した痕跡が……。
絨毯にバッタリと倒れ込んでいるカインさんが、「ディーク……テメェ」と恨みの呻きを発している。
「大丈夫ですか!! カインさん、しっかり!!」
「その馬鹿弟子は、滅多な事じゃ死にゃしねぇよ。放っとけ」
あっさりと放置を推奨したディークさんの言には従わず、私はレイル君と一緒にカインさんを支えてベッドへと連れていく。
ドサリとベッドに寝かせると、ルイヴェルさんが治癒の術を施しに来てくれた。
「うぅ……」
「本当に容赦がないな、ディーク……。仮にも自分の弟子だろう」
治療を受けているカインさんを見下ろしながら、レイル君ががっくりと肩を落としている。
……そういえば、さっきからディークさんがカインさんの事を『馬鹿弟子』と言っているような気がしたけれど。
「あの、ディークさんは、カインさんのお師匠様なんですか?」
会話の内容でそれとなく察していたものの、事実確認を求めてディークさんに訊ねてみた。今はいないけど、ラシュディースさんとも何か関わりがありそうだったし、カインさんに対しても、とても砕けた態度で接しているディークさん。
再び椅子に腰を下ろし、ベッドに頬杖を着いたディークさんが「まぁな」と呟く。
「俺とラシュは、こいつが幼い頃に縁があって出会った。たった一日だけだったが、数年後にカインが俺の所に来てな。戦う力が欲しいって頼んで来たから弟子にしてやったんだよ」
「そうだったんですか……」
「昔は素直で可愛い奴だったんだけどな。どこをどう間違ったのか、気付いたらクソ捻くれた馬鹿弟子になっててよ。破門にした日以来の再会を、このガデルフォーンでしたってわけだ」
「俺もディークから聞いて吃驚したんだ。まさか、そんな昔から繋がりがあるとは思わなかったからな……。カイン皇子の件もそうだが、このガデルフォーンでは懐かしい人によく会うものだ」
「レイル君……」
苦笑するレイル君の顔に見入っていると、治療を終えたルイヴェルさんが、何だか浮かない顔をして、独り言のように小さく呟いた。
「望まぬ再会も……、あるようだがな」
白衣を翻し、一度自分の部屋に戻ると伝えて来たルイヴェルさんに、その独り言の意味を聞く事は出来なかった……。
バタンと閉じた扉を見つめていると、ディークさんもルイヴェルさんの様子に気付いたのか、私と同じように視線をそちらに定めていた。
「ルイヴェルさん……、どうしたんでしょうか」
「……さぁな。ま、小難しい事は大人に任せとけばいいさ。それよりも、ユキ」
「は、はいっ」
「悪いが、この馬鹿弟子の事、レイルと一緒に看てやっててくれ。ちょっと俺は、生意気な従弟と話があるんでな」
椅子から立ち上がり、ルイヴェルさんと同じように白衣を翻したディークさんが、手をひらひらと振って出て行く……。
残されたのは、気絶しているカインさんと、それを見守る私とレイル君だけ。
「ルイヴェルさんもディークさんも、本当に一体どうしたんだろう……」
「何かあれば、その時になれば俺達にも話してくれるさ。それよりも……、ユキ。カイン皇子の目が覚めたら、今度こそ仲直りをした方がいいぞ」
「う、うん……」
一応、もうカインさんは怒ってはいないみたいだったけれど、うん。
ちゃんと、私も謝らないと……。
カインさんの漆黒の髪をそっと顔から払うと、レイル君の言葉に頷きを返した。
彼の過去を否定してしまうような事を言ってしまった事、
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「私、カインさんに酷い事をいっぱい言ったから……。許してくれる……かな?」
「カイン皇子がユキの事を許さないわけがないだろう。お互いに素直になれば、すぐに仲直り出来るさ……」
「レイル君、私ね……。よくよく考えてみたら、凄く贅沢な立場にいるくせに、……ちっともその自覚をしてなかったんだと思うの」
「ユキ?」
「私は、……まだ、どちらの気持ちにも応えてない。二人の優しさに甘えて、いつになるかわからない答えを待たせ続けてる……。そんな自分が、カインさんの過去をどうこう言う資格なんて、全然なかったのに」
私の酷い言葉で、彼の心を深く傷つけた……。
シュディエーラさんの部屋で、カインさんが見せた表情……。
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「ごめんなさい、……カインさん」
そして同時に、遠くの地にいるアレクさんの事にも思いを馳せる。
ガデルフォーンに向かう私を、心の底から心配してくれていた優しい人……。
最近はセレスフィーナさんとの通信にも顔を見せてくれないし、きっと騎士団のお仕事が忙しいんだろうな。
カインさんと同じように、私に優しい想いを向けてくれている副団長さん。
私は、……いつになったら、二人の想いに答えを返せるのかな。
「……」
この心の中に芽吹いた二つの蕾、まだどちらも……、色鮮やかな花を咲かせる気配はない。アレクさんの事もカインさんの事も、優柔不断かもしれないけれど、とても大切な存在だと感じている。
最初に出会ったのは、私を気遣いいつも傍にいてくれたアレクさん……。
一緒に過ごした時間は、カインさんよりも長い……。
傍に居ると安心出来て、お兄さんのようにも感じる温かな存在。
だけど、ウォルヴァンシアに遊学に来たカインさんとの出会いもまた、私に変化をもたらした。
どうしようもなく自分勝手で、俺様的な態度と意地悪なイリューヴェルの第三皇子様。貴方の存在は、アレクさんとは全くの真逆……。
心臓に悪いような事もされたし、トラウマも植え付けられて……。最初は大嫌いな存在だったのに……。
「カインさん……」
私の感情を茶化して乱すのが趣味のような皇子様。
彼の遊学期間中には、クッションや物を投げ合ったり、色々騒がしい事が多かったなぁ。アレクさんが『静』の存在なら、カインさんは『動』と言えるだろう。
背中合わせの二人……。光と闇を思わせる対比を描く別々の魅力をもった存在。
二人を大切だと想う気持ちは育っていくのに、まだ、明確な答えが出ない。
本当にいつまで待たせる気なのかな、私は……。
そう思うのと同時に浮かぶ疑問。
――私に、選ぶ事なんて……、出来るのかな。
アレクさんとカインさんを大切だと感じる度に、心の染み出す不安……。
二人の想いを受けるだけ受けて……、もし、最後に……。
「……キ、ユキ?」
「……あ」
沼のようなどろりとした不安に沈みかけていた私の意識を、レイル君の、少し大きくなった声が引き上げる。
現実へと戻って来た私の呆けた顔を、レイル君の綺麗な面差しが覗き込んできた。
「大丈夫か?」
「……ごめん、ね。ちょっとぼーっとしてたみたい」
「ユキ、まだ瘴気の影響が残っているんじゃないか? 顔色も少し悪いようだし……、横になったらどうだ」
「そう……だね。じゃあ、ちょっとだけ」
カインさんの事は自分が看ているから、とレイル君が微笑んでくれたから、私はその言葉に甘えて毛布の中に潜り込む。
そして、カインさんと背中合わせになるような体勢で、静かに瞼を閉じた。
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