ウォルヴァンシアの王兄姫~淡き蕾は愛しき人の想いと共に花ひらく~

古都助(幸織)

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第三章『不穏』~古より紡がれし負の片鱗~

ガデルフォーンの騎士と少年の問答

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「……ディークさん、ちょっとだけ、ルイちゃんの事、頼めるかな?」

「あ? あぁ、少しだけなら、別に良いが……、すぐ戻れよ」

「了解」

 その時、再度確認した自分の無力さと、人にどれだけ迷惑をかけても皆の優しさに守られている自分の王兄姫という立場に複雑な感情を抱き始めた私と、宙に浮かぶ三人に反論を向けようとしてくれたアレクさんよりも先に、静かな……本当に、何の感情も感じさせない声音が響いた。
 治療を行っていた血塗れの手をルイヴェルさんから外し、騎士服の端で拭ったサージェスさんが……、戦闘が起きている宙へと跳躍し、神業とも言える速さで抜剣し、少年に狙いを定め襲い掛かる。

「さっきの言葉、一部撤回して貰えるかな?」

「何を? ……君達が甘やかして駄目にしている無能なお姫様の事?」

 サージェスさんの繰り出す鋭い剣戟。
 少年はどこからか出現させた二振りの双剣でそれを薙ぎ払ったけれど、体勢を整える暇もなく、すぐにサージェスさんの第二撃目が力強く振り下ろされ、少年は柱の方へと吹き飛ばされてしまう。

「君達が、無能だ無力だと馬鹿にした子はね……。確かに俺達に守られているお姫様で間違いないよ。今はまだ何の力もない」

「ほら……、僕達の言った通り、じゃ……ないか」

「俺達の護衛なしで外に放り出せば、面倒事にも巻き込まれるだろうし、雑魚レベルの魔物に遭遇しただけでも、あの世行きだよ」

「そこまでわかってるなら、言ってやりなよ。お荷物でどうしようもない、無能な人形だって、さ」

 自分の意見にサージェスさんが同意した事に気を良くしたのか、柱に叩き付けられた事も気にせずに、少年は嬉しそうに笑いながら私を指差した。
 ドクリと鼓動が不安に脈打ち、自分の無力さを認めてはいても、サージェスさんが次に何を口にするのか……その音が訪れる瞬間が永遠にも感じられるほどに怖かった。事実を指摘されるだけ。それを初めて言葉にされるだけ……。
 傷付く資格なんて……、どこにもないんだから。
 だけど、そんな私の不安とは真逆に、サージェスさんは一瞬で少年のいる柱まで移動し、少年の顔の真横に剣を突き立てた。
 そのアイスブルーの奥で燃え盛っているのは……、怒りの情?
 それを少年に据えて、左手でその小さな肩を鷲掴み、ダン!! と、柱に押し付けて指先を喰い込ませるサージェスさん。

「だけど……、あの子は、たとえ無力であろうとも、努力をする子だ。嘆くだけじゃない……、その状況をどうにかしようと、足掻く事の出来る強い子だ。それがどんなに小さな一歩でも、俺は何もしない子より、断然マシだと思うね」

「……っ、そんなの、ただの……、過保護な奴らの言い分、じゃないか。君達にとって、ウォルヴァンシアの王兄である男の娘は、守るべき存在だ。文句を言う事も出来ず……、ただひたすらに甘やかす」

「確かにね……。俺も他国からの可愛いお姫様に色々はしゃいでた感があった事は認めるよ。他の子達も、ユキちゃんを守ろうと必死だし、過保護な所があるっていうのも否定しない。だけどね……、あの子は、傅かれてその愛情や甘さに溺れきるようなお姫様じゃないんだよ」

「どこがだよ……。あのお姫様の周りには、絶えず守り手が在り続ける。何も出来ないくせに、何も返せるものなんて持たないくせに……。王兄姫というだけで、彼女は全てを手に入れ、人々の好意と愛情さえ惜しみなく与えられる。それのどこが、自分の環境に溺れてないって言い切れるんだろうね?」

 少年の双剣のひとつが、サージェスさんの首許に突き付けられ、薄らと……赤い血が流れ落ちる。
 けれど、サージェスさんは肌に傷を付けられてもまだ少年から離れない。

「サージェスさん!! もういいですから!! 早く逃げてください!!」

「心配してくれてありがとー、ユキちゃん。だけどね、ちょーっとお兄さんは、このクソガキとお話があるから、もうちょっとだけ待っててねー」

 ……く、クソガキ……?
 マリディヴィアンナの時は、悪戯の過ぎた子供、とか、お子様とか、そういう風に軽く言っていたサージェスさんが……。
 今……、あの少年を『クソガキ』って口にしたような。
 というか、私の方に振り向いた時の笑みが本気で怖かった!! 
 不穏極まりないオーラ全開だったのだけど!!

「さて、話を戻そうか。覚えておくといいよ、クソガキ君。君はあの子を無能だと評したけれど、そこだけは間違いだ。本当の無能で救い様がない奴ってのは、与えられた環境に何の違和感も抱く事なく、それを当然のものとして甘受し、自分が負っている責任や立場の在り方に自覚を持たない奴。そんな愚図共と、ウチのユキちゃんを一緒にしないでくれるかな?」

「はっ、随分とあの王兄姫に懐柔されちゃったもんだね……。ウチのって何? 自分ん家(ち)の子にでもしちゃったつもりなのかな?」

 少年が鼻で笑い、挑発をサージェスさんに仕掛けると、それに対してもまた、サージェスさんがにっこりと不穏過ぎる笑みを深めて、喉元にある双剣の片方を素手で掴みそれに亀裂を入れた。

「このガデルフォーンで生活してるんだから、ウチの子で間違いないよ? ついでにね、俺とディークさんはユキちゃんの申し出を邪魔なんて微塵も思ってないからね。 その辺、よぉーく理解してくれるかな?」

サージェスさん、私の事を庇ってくれるのはとても嬉しいんですけど……、私はいつからサージェスさん家(ち)の子になったんだろう。
 ついさっきまで、あの少年達に突き付けられた言葉で自己嫌悪と葛藤を抱いていたはずの私は、視線の先で繰り広げられている二人の会話が徐々に変な方向にずれ始めた事で、ぽかんと気が抜けてしまっていた。

「何の役にも立たないんだから……、邪魔には変わりないと思うけど? あのお姫様を傷付けたくないから、平気で嘘を吐くのかな。だとしたら……、やっぱり、あの子は腐っていくしかないよね」

「腐らないよ。たとえ治療に参加させられなくても、今はまだ、使える力がなくても……。あの子のルイちゃんを助けたいって想いは、何よりも尊くて、ルイちゃんをこの世に繋ぎ止める為の力にもなるんだからね」
 
 サージェスさんは……、私の全てではなく、認められる部分だけを肯定してくれている。無力な事、皆に守られて生きている事。それは決して否定しない。
 だって事実だから……。
 全部を庇われて甘やかされるよりは断然マシだけれど、……まさかサージェスさんが、ルイヴェルさんの治療を中断してまで文句を言いに行ってくれるとは思わなかった。私がこれから、変わろうと、成長しようと思う意志と努力を忘れない限り、サージェスさんは、そこだけは認めてくれるんだ……。
 思わずじんわりとしてしまったその時、私は今がどういう状況なのかを瞬時に思い出した。

「……あ!! る、ルイヴェルさんは大丈夫なんですか!? サージェスさんに早く戻って貰わないとっ」

 途中でサージェスさんが抜けてしまったから、セルフェディークさんとレイル君に負担がかかっているはずだ。
 そう思い慌てて振り向いたのだけど、そこには、滅茶苦茶顔が青ざめてピキピキと苛立ちの青筋を立てて唸っているセルフェディークさんの姿が!!

「あの野郎……っ、ちょっと、って言っただろうがっ。それを何、ウチの子自慢合戦みたいな言い合いしてんだよ……っ」

「ディーク、傷口に爪を立てないでくれ!! ようやく血が止まったんだ。あとは慎重に俺達の魔力を術に変えて流し込んでいかないといけないのにっ」

「レイル殿下、ルイは……、助かりそう、ですか?」

 セルフェディークさんと二人、治療を進めていたレイル君が、心底案じる気配を込めたアレクさんからの問いに、肯定を込めた頷きを送ってくる。

「ディークの腕が良いからな。それに、サージェス殿も離れる際に、大量の魔力を注ぎ込んでくれたようだし、あとはもう少し治癒術を施して傷が塞がり次第、部屋に戻して様子見というところだな。まぁ……今の状況では、ここをすぐに出られるか難しいところだが」

「ルイヴェルさん……、本当にごめんなさい」

 アレクさんに支えられながら、私は二人の治療の邪魔にならないように、そっと大丈夫な場所に膝を着き、うつ伏せ状態で、横に向いているルイヴェルさんの顔を覆い隠している銀の髪を避ける。
 まるで死人のように温もりが感じられない……。
 だけど、浅く繰り返される呼吸の音と、弱々しく上下している心臓の様子だけが、ルイヴェルさんが生きている事を教えてくれる。
 
「……ルイヴェルさん」

 自分が操られる事さえなければ、こんな目に遭わせる事もなかったのに……。
 私は……、どうやってルイヴェルさんに償えば良いのだろうか。
 傷を負わせただけでなく、私の暴走を止める為にも無理をさせてしまったから……。

「おい、ユキ……。こいつの負傷に関しては、お前が責任を感じる必要はねぇぞ」

「ディークさん、……気遣ってくれるのは有難いですけど、どんな理由があれ……、この人を刺してしまったのは、紛れもなく、私自身なんです……。だから……」

 自分が仕出かした事から逃げてはいけない。
 ここを出られたら、私は私に出来る精一杯で、ルイヴェルさんを看病して元の生活に戻れるまで支えとなれるように頑張らないと……。
 投げ出されていたルイヴェルさんの手を取り、私はそのひんやりとした感触を握り締める。
 ルイヴェルさん……、ウォルヴァンシアの王宮医師であり、私がエリュセードに帰還してから沢山お世話になった人……。
 そして、……暴走した時に取り戻した、……『ルイおにいちゃんとの記憶』。
 幼かった頃の記憶と想いが、今の私に溶け込んで……ルイヴェルさんを傷付けてしまった事に関する罪悪感はさらに増している。

「お前、本当……、根っからの真面目だよなぁ。あのな、今回の事は、別にお前に気を遣ってるとかじゃねぇんだよ……。大体、あの生意気なガキ共が言ってただろ。俺達とは違う力あるって……。ついでに、気付けないように細工済みときた。そんな面倒臭いモン、予備知識も前例もないのに予知しろって方が無理だからな」

「そうだぞ、ユキ。責任を感じるというのは美徳だが、どうにもならない事に心を痛めても何の解決にもなりはしない。それに、ルイヴェルだって、お前の中に植え付けられた第二の呪いに気付けなかった事を、きっと今も悔いているだろうしな……」

「そういうこった。誰のせいでもない事を、いつまでも気にしても仕方ねぇだろ。お前もルイヴェルも、そんな面倒な事考えてる暇があったら、これからの事を考えた方が、何倍も効率的だ」

 傷口から一旦手を放し、水の術で手を綺麗に洗い流したセルフェディークさんが、今度は別の術を唱え、ルイヴェルさんの背中目掛けてバシンと喝を入れるかのように叩いた。そ、そんな手荒な事して……、だ、大丈夫、なの、かな。

「かはっ……、ごほっ……、はぁ」

「ルイヴェルさん!!」

「ルイ!!」

 セルフェディークさんの喝、じゃなくて、術が効いたのか、ルイヴェルさんが急に意識を取り戻したように咽て咳を少しだけ漏らした後。
 その綺麗な睫毛の流れる瞼の奥に眠っていた深緑の双眸が、現実へと戻ってきた。

「……くっ、……ディーク、経過時間は」

「まだそんなには経ってねぇよ……。お前の傷も塞ぎ終わったし、俺とサージェス、それからレイルと治癒の術をかけた。言っとくが……、意識を引き戻したのは、その方が何かあった時に都合が良いからだ。無理をさせる為じゃねぇからな。そこんとこは把握しとけ」

「……この状態では、無理をしようとしても、身体が追いつかないだろうな。だが、起きて座るぐらいは……、良いだろう?」

 レイル君とセルフェディークさんに支えられ、ゆっくりとその場に座る格好になるルイヴェルさん。
 ふぅ……、と辛さと疲労の滲む溜息を吐き、次いで、その視線がいまだに言い合いを続けているサージェスさんと少年の所で止まり、眉を顰めた。

「アイツは一体……、何をやっているんだ?」

 剣と双剣で攻防を続けながら舌戦を繰り広げているサージェスさんと少年は、周りで戦っているディアーネスさん達からも呆れられているようだ。
 ラシュディースさん、シュディエーラさん、クラウディオさんを含めた戦闘参加者の皆さんが、二人の傍にだけは近付かず、マリディヴィアンナとカインさんの偽物を相手に激しい戦いを繰り広げている。

「すみません、私のせいです……」

 まさか私をフォローする為に、こんなにも長く舌戦が続くなんて……。
 サージェスさん、気持ちは嬉しいですが、流石にそろそろ戻って来てください。
 事の経緯をルイヴェルさんに話すと、やっぱり出て来るのは呆れの溜息だった。

「なるほどな……。サージェスがあそこまで熱くなる事は珍しいが、あれもお前の幼い頃と今を知っているからな。良かったな、ユキ? 次からガデルフォーンの騎士団長を好きに使えるぞ」

「あはは……。多分、私が自己嫌悪に陥っているのを見兼ねて、だと思いますけどね。それよりも、……ルイヴェルさん、本当に……すみませんでした。私のせいでこんなにも酷い怪我を負わせて、その上、暴走まで止めて貰って……」

 セルフェディークさんは気にするなと言ってくれたけれど、これだけは言っておきたかった。
 私はその場に正座してルイヴェルさんに深々と頭を下げると、もう一度、ごめんなさい、と泣きそうな声で心を込めた謝罪を向ける。
 
「……謝る意味がわからないんだが?」

 静かな、落ち着いた声音が……、頭の上に乗った大きな手のひらの感触と共に響く。
 いつもと同じ、冷静さを纏う気配……。

「今回の事は、あの面倒な子供達に出し抜かれた俺の自業自得だ。お前の精神状態を乱し、挙句の果てには封じの崩壊まで招いた……。父さんに知られれば……」

 そこで一度唇を閉じ、ルイヴェルさんが顔を片手で覆う。
 何を想像しているのか、……気配が不機嫌に染まっていくのは気のせいかな?
 セルフェディークさんの方は、従兄弟という間柄の為か、納得顔だ。

「フェリデロード家当主……。あぁ、確かに今回の事がバレれば、ルイヴェル……、お前、とんでもねぇ目に遭うなぁ」

「想像したくもない……」

 フェリデロード家当主? とんでもない目に遭う? ルイヴェルさんが?
 さっぱり話の中身が見えないというか……、何だか聞いてはいけない気がする。
 
(アレクさんとレイル君も、ルイヴェルさんに同情的な視線を送っているし……)

「はぁ……、これも自業自得だな。ユキ、事が片付いたら、お前の診察をするから、そのつもりでいろ」

「は、はいっ」

 何かを観念してしまったらしいルイヴェルさんにそう言い含められ、一旦私達は壁の方へと移動した。
 一応、セルフェディークさんが結界を張ってくれているから、ここにいれば安全らしいのだけど……。私はルイヴェルさんを刺してしまった事もだけど、もうひとつ気になる事がある。
 それは、今空中で皆さんと戦っているカインさんの偽物の事……。
 彼がカインさんでない事はもうわかりきっているけれど……、じゃあ、『本物』のカインさんは一体にどこに……。

「ディークさん、本物のカインさんは……」

「さぁな……。馬鹿弟子のせいで、お前にもルイヴェルにも苦労をかけちまったが、……最悪の場合、死んでる可能性もあるだろうが、アイツも結構しぶといからな。ちょっとあの紛いモンをとっ捕まえて居場所を吐かせてくるとするか」

 ルイヴェルさんを壁に預け、さらに強度の高い結界を重ねて展開すると、セルフェディークさんは、ラシュディースさんの攻撃を受けているカインさんの偽物に狙いを定め地を蹴った。
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