学芸院凰雅の華麗なる日常

枕返し

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学芸院凰雅と転校生

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妹に少し遅れて凰雅も学校へ向かう。
凰雅の通う学校はなぜか皆に学園と呼ばれている。普通の県立高校なのだが、なぜか皆揃って学園というのだ。
全員普通に入学試験を受けて合格したハズなのに、いつも赤点のバカ、全国上位の秀才、ヤンキー、御曹司が同じクラスにいる。とにかく人材の宝庫のような学園だ。

教室に着いた凰雅は早速鞄からグリッパーを取り出す。
するとクラスメイトが彼に話しかけてきた。
「今日も筋トレ?本当に筋トレが好きだね。」
凰雅に声をかけてきたのは布津能丸ふつのうまる。高校に入学してから凰雅がずっとつるんでいるやつの一人だ。彼はこの変人ばかりの学校の中では珍しく、いかにも普通の高校生なので、普通の高校生活を送りたい凰雅は彼のことが嫌いではない。

「ところで今日、転校生が来るらしいけど聞いた?」
「いや、知らないな。」
「そっか。凰雅は筋肉のことしか興味ないもんね。」
凰雅が心外だなと思っていると更にもう一人やってきて話に入ってきた。同じく仲良くしているクラスメイトの御用崎ごようざきだ。
「その話知ってるぜ。なんでもアメリカのMRIだかFBIだかからの留学生でパツキン美女らしい。」
「相変わらず御用崎君は情報通だね。時々色々と間違ってるけど。」
「情報ってのはどっかから何となく耳に入ってくるもんだからな。この前はちょっと間違えていたが今回は間違いない。汚名挽回させてもらうぜ。」
「そういうとこだよ。それに肝心のソースが随分ふわっとしてるのは毎度気になるけど。でもどんな人かは気になるよね、凰雅?」
「興味ないな。」
「もー、凰雅は本当に筋肉にしか興味ないんだから。本当に変わってるよ。」
「おいおい。俺が変わっているって?よしてくれよ。俺なんて何の変哲もない平均的高校生さ。」
「本当の平均的高校生は何の変哲もないことをそんな風に誇らしく言わないと思うよ。って言うか凰雅には悪いけど身長が2メートル以上ある時点でなんの変哲もない高校生は無理があるよ。」

そんな話をしているとチャイムが鳴った。
しばらくして先生が教室に入ってくる。その先生の後に見知らぬ女の子が着いてきていた。きっと噂の転校生なのだろう。
クラスから外人だとか金髪だ、凄い美人、スタイルいい、といった声が聞こえてくる。

「はじめまして、ワタシはジェシーです。ワタシがこの学園に転入してきたのには理由がありマース。それは・・・」
そう言って転校生はクラスの奥に向かって歩き出す。
そして転校生は凰雅の机の横に立ち、
「あなたに会うためでーす。ミスターオーガ。」
クラスの視線が凰雅に集まる。
こうして学芸院凰雅の平穏な学園生活は隙あらば崩されてしまうのだ。
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